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Botter自主ゼミノート 4.1 確率微分方程式とは?

2023/01/09に公開約3,700字

やること

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を読んで、確率微分方程式による最適化問題を解けるようになることです。

これまでのBotter自主ゼミノート

Botter自主ゼミノート 1.2 確定システムの制御の回顧
Botter自主ゼミノート 2.1 確率過程とは?, 2.2 確率過程の数学的表現
Botter自主ゼミノート 1.2 数式導出
Botter自主ゼミノート 2.3 確率モーメント
Botter自主ゼミノート 2.4 確率過程の分類
Botter自主ゼミノート 2.5 エルゴード性
Botter自主ゼミノート 2.6 確率過程の周波数表現
Botter自主ゼミノート 2.7 マルコフ過程
Botter自主ゼミノート 2.8 正規型確率過程
Botter自主ゼミノート 2.9 ウィーナ過程(1)
Botter自主ゼミノート 2.9 ウィーナ過程(2)
Botter自主ゼミノート 2.10 白色雑音
Botter自主ゼミノート 3.1, 3.2 確率変数列の収束
Botter自主ゼミノート 3.3 確率過程の連続性
Botter自主ゼミノート 3.4 自乗平均微分
Botter自主ゼミノート 3.5 自乗平均積分

4.1 確率微分方程式とは?

一般的な不規則雑音を含んだシステムの微分方程式

有限次元のシステムが不規則雑音による外乱を受けているとき、そのシステムの方程式はx(t, \omega)n次元状態量ベクトル、\gamma(t, \omega)d次元のベクトル不規則雑音過程とすると、一般的に、そのシステムは以下のような式で表されます。

\frac{dx(t, \omega)}{dt} = f\left[t, x(t, \omega), \gamma(t, \omega) \right] \tag{4.1}

ここで、f(\cdot, \cdot, \cdot)は(非線形)n次元ベクトル値関数です。このようなシステムは不規則雑音\gamma(t, \omega)をその式に含むので、動的確率システム (stochastic dynamical system)と呼ばれ、\gamma(t, \omega)を不規則外力、あるいは不規則入力と呼びます。

式(4.1)の初期値は固定された値、あるいは何らかの分布を持つ確率変数x_0(\omega)でもよいです。

関数f\{\gamma(t, \omega)\}が適当な条件を満たすなら、積分\int_{0}^{t} \dot{x}(\tau, \omega) d\tauは存在し、式(4.1)から以下のような関係式が得られます。

x(t, \omega) - x(t_0, \omega) = \int_{t_0}^{t} f \left[ \tau, x(\tau, \omega), \gamma(\tau, \omega) \right] d\tau \tag{4.2}

ランジュヴァン方程式再び

教科書によると、式(4.1)の特別な場合として、次のような微分方程式をよく見かけるそうです。

\frac{dx(t, \omega)}{dt} = f[t, x(t, \omega)] + G[t, x(t, \omega)]\gamma(t, \omega), \quad x(t_0, \omega) = x_0(\omega) \tag{4.3}

式(4.3)は、動的システム\dot{x}(t) = f[t, x(t)]に不規則雑音が加法的に加わった場合の表現で、この教科書では主にこのようなシステムを対象とするそうです。以降、\gamma(t, \omega)を加法的正規性白色雑音と予備、G(\cdot, \cdot)x \times d次元マトリクス値関数、初期値x_0(\omega)\{\gamma(t, \omega)\}とは独立とします。

このようなシステムは \S 2.9でブラウン運動からウィーナ過程を導出する際に出てきており、ランジュバン方程式と呼ばれます。

:::messages
\gamma(t, \omega)の次元をx(t, \omega)の次元に合わせるマトリクスGも、x(t, \omega)にもとづいて変化していくんですねきっと。
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\gamma(t, \omega)過程は、式(2.72)で求めた通り、その自己相関関数は相対時間差\tau\tau = 0のとき無限大となり、その積分値は通常の意味では存在しません。そのため、式(4.3)の右辺第二項は (確率1で) 積分可能ではありません。教科書によると、これはつまり式(4.3)が数学的な意味を持たないということなのだそうです。

ここで、教科書では\S 2.10の例2.2で示されている、

\gamma(t, \omega) \sim \frac{dw(t, \omega)}{dt}

という形式的な関係を利用して、式(4.3)を以下のように変形しています。

dx(t, \omega) = f[t, x(t, \omega)]dt + G[t, x(t, \omega)]dw(t, \omega) \tag{4.4}

教科書によると、式(4.4)は差分表現となっているので、以下の積分表現を数学的に定義できたとき初めて意味を持ちます。このとき、特に右辺第二項の積分が問題となりますので、次節ではそこを掘り下げて確率積分を定義していきます。

x(t, \omega) - x(t_0, \omega) = \int_{t_0}^{t} f[\tau, x(\tau, \omega)] d\tau + \int_{t_0}^{t} G[\tau, x(\tau, \omega)]dw(t, \omega) \tag{4.5}

Discussion

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