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Botter自主ゼミノート 3.3 確率過程の連続性

2023/01/04に公開

やること

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を読んで、確率微分方程式による最適化問題を解けるようになることです。

これまでのBotter自主ゼミノート

Botter自主ゼミノート 1.2 確定システムの制御の回顧
Botter自主ゼミノート 2.1 確率過程とは?, 2.2 確率過程の数学的表現
Botter自主ゼミノート 1.2 数式導出
Botter自主ゼミノート 2.3 確率モーメント
Botter自主ゼミノート 2.4 確率過程の分類
Botter自主ゼミノート 2.5 エルゴード性
Botter自主ゼミノート 2.6 確率過程の周波数表現
Botter自主ゼミノート 2.7 マルコフ過程
Botter自主ゼミノート 2.8 正規型確率過程
Botter自主ゼミノート 2.9 ウィーナ過程(1)
Botter自主ゼミノート 2.9 ウィーナ過程(2)
Botter自主ゼミノート 2.10 白色雑音
Botter自主ゼミノート 3.1, 3.2 確率変数列の収束

3.3 確率過程の連続性

三種類の確率過程の連続性

3.2で読んだ確率変数列の収束の概念は、確率過程に対して拡張することができます。

\{x(t,\omega), t\in T, \omega \in \Omega\}をスカラー二次確率過程とします。このとき、シュヴァルツの不等式により、\mathcal{E}\{|x|\} \le \sqrt{\mathcal{E}\{|x|^2\}} < \inftyであるので、平均値m(t) = \mathcal{E}\{x(t,\omega)\}の存在は保証されます。同様にして自己相関関数\psi(t,\tau) = \mathcal{E}\{x(t,\omega)\:x(\tau,\omega)\}の存在も保証されます。

確率過程${x(t)}は

  1. すべてのtに対して、
\lim_{h \to 0} \mathcal{E}\{\|x(t+h)-x(t)|^2\} = 0 \tag{3.11}

が成り立つなら、自乗平均連続であるといいます。

式(3.11)は以下のように表記することもあります。

\underset{h \to 0}{\text{l.i.m.}}\:x(t+h) = x(t) \tag{3.14}
  1. すべてのt\epsilon > 0に対して、
\lim_{h \to 0} \Pr\{|x(t+h)-x(t)| > \epsilon\} = 0 \tag{3.12}

が成り立つなら、確率連続であるといいます。

  1. すべてのtに対して、
\Pr\left\{ \lim_{h \to 0} x(t+h) = x(t)\right\} = 1 \tag{3.13}

ならば、確率1で連続といいます。

チェビシェフの不等式を用いると、\epsilon > 0のとき

\Pr\{|x(t+h)-x(t)| > \epsilon \} \le \frac{1}{\epsilon^2}\mathcal{E}\{|x(t+h)=x(t)|^2\} \tag{3.15}

となり、両辺をh \to 0で極限を取ると、確率過程x(t)が自乗平均連続ならば右辺は0となり、結果として確率連続の定義そのものとなり、確率連続であることが確定します。

ウィーナ過程の定義である式(2.55)から、

\mathcal{E}\{|w(t+h)-w(t)|^2\} = \sigma^2\:h \to 0 \: (h \to 0) \tag{3.16}

が成立し、ウィーナ過程が自乗平均連続 (かつ、確率連続) であることがわかります。

定理 3.1 自乗平均連続の判定定理

二次確率過程\{x(t), t \in T\}は、その自己相関関数\psi(t, \tau)(t, t)において連続であるとき、かつそのときに限りtにおいて自乗平均連続となります。

証明 : \psi(t, \tau)(t, t)において連続ならば、その時

\begin{aligned} \mathcal{E}\{|x(t+h) - x(t)|^2\} &= \psi(t+h, t+h) - \psi(t, t+h) - \psi(t+h, t) + \psi(t, t) \\ &= [\psi(t+h,t+h)-\psi(t,t)] - [\psi(t+h,t)-\psi(t,t)] - [\psi(t,t+h)-\psi(t,t)] \to 0 \: (h \to 0) \end{aligned}

となります。

逆に、x(t)tにおいて自乗平均連続であるなら

\begin{aligned} \psi(t+h, t+h') - \psi(t,t) &= \mathcal{E}\{x(t+h)x(t+h')\}-\mathcal{E}\{x^2(t)\} \\ &= \mathcal{E}\{[x(t+h)-x(t)]x(t+h')\} + \mathcal{E}\{x(t)[x(t+h')-x(t)\} \end{aligned}

となるので、シュヴァルツの不等式を適応すると、

|\psi(t+h,t+h')-\psi(t,t)| \le \sqrt{ \mathcal{E}\{|x(t+h)-x(t)|^2\} \mathcal{E}\{|x(t+h')|^2\}} + \sqrt{\mathcal{E}\{|x(t)|^2\} \mathcal{e}\{|x(t+h')-x(t)|^2\}} \to 0 \quad (h,h' \to 0)

となるため、\psi(t, \tau)(t,t)において連続となります。

また、二次確率過程\{x(t)\}が弱定常ならば、

\psi(\tau) = \psi(t, s) = \psi(t - s) \quad (\tau = |t-s|)

\tau = 0で連続である時、かつそのときに限りx(t)は自乗平均連続となります。

Discussion