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Botter自主ゼミノート 2.5 エルゴード性

2022/11/23に公開約5,600字

やること

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を読んで、確率微分方程式による最適化問題を解けるようになることです。

これまでのBotter自主ゼミノート

Botter自主ゼミノート 1.2 確定システムの制御の回顧
Botter自主ゼミノート 2.1 確率過程とは?, 2.2 確率過程の数学的表現
Botter自主ゼミノート 1.2 数式導出
Botter自主ゼミノート 2.3 確率モーメント
Botter自主ゼミノート 2.4 確率過程の分類

2.5 エルゴード性

エルゴード性の定義

  • 次の関係式が確立1で成立するとき、その確率過程は (平均値に関して) エルゴード的 (ergodic) であるといいます
\mathcal{E}\{x(t, \omega)\} = \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T} \int_{-T}^{T} x(t, \omega) dt \tag{2.18}
  • 左辺は、\{x(t, \omega)\}の平均値m_x=\int_{-\infty}^{\infty} xp(x)dx = \mathcal{E}\{x(t, \omega)\}であり、全ての見本過程の平均。これを集合平均 (emsamble average)といいます
  • \frac{1}{2}T\int_{-T}^{T} x(t, \omega) dtは、\{x(t, \omega)\}をスカラ定常過程としたとき、[-T, T]区間におけるx(t, \omega)の時間平均です
  • エルゴード的とは、全ての見本過程の平均値が、無限時間の時間平均と等しいことです
  • エルゴード性は定常過程全てで成り立つわけではありません

メモ

  • 直感的には、エルゴード性のある確率過程を無限時間観測すると、いずれあらゆる\omegaのパターンが出てくるので、時間平均と集合平均が確立1で同じになるよということだと理解しました
  • 常識は右辺も左辺も縦ベクトルかスカラー値になっているはず…
  • エルゴード性がないと、すごーく長い時間確率過程を観測しても、もしかしたら本当の確率過程の性質は観測したものとは違うのかも…という疑いがなくならないので困りそうです。

エルゴード性が成立する条件とその証明

確率過程x(t, \omega)に対して、以下の条件が成立する時にエルゴード性が成立します

\lim_{T \to \infty} \frac{1}{T} \int_{0}^{2T} \left(1-\frac{\tau}{2T})\left[\psi(\tau)-{m_x}^2\right]\right) d\tau \tag{2.19}

証明は以下の通りです

まず、任意の\epsilon > 0に対してもし{\sigma_y}^2 := \mathcal{E}\{(Y-{m_Y})^2\} = 0ならば、P_r\{|Y(\omega) - \mathcal{E}\{Y(\omega)\}| \ge \epsilon\} = 0が成り立つという事実から出発します。

Y(\omega) := \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T} \int_{-T}^{T} x(t, \omega) dt

と置くと、x(t, \omega)は定常であるので

\begin{aligned} \mathcal{E} \{Y(\omega)\} &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T} \int_{-T}^{T}\mathcal{E} \{x(t, \omega)\} dt \\ &= \mathcal{E}\{x(t, \omega)\} = m_x \tag{2.21} \end{aligned}

またその分散は以下の式によって与えられます。

\begin{aligned} \mathcal{E}\{[Y(\omega) - m_x]^2\} &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{4T^2} \int_{-T}^{T} \int_{-T}^{T} \mathcal{E}\{x(t_1, \omega) x(t_2, \omega)\} dt_1 dt_2 - m_x^2 \\ &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{4T^2} \int_{-T}^{T} \int_{-T}^{T} \psi(t_2 - t_1) dt_1 dt_2 - m_x^2 \tag{2.22} \end{aligned}

(2.22)式の重積分を実行するために\tau_1 = t_2 + t_1, \tau_2 = t_2 - t_1と置くと、t_1 = \frac{\tau_1 - \tau_2}{2}, t_2 = \frac{\tau_1 + \tau_2}{2}なので、この変換に対するヤコビアンは以下の通りとなります。

\begin{aligned} \begin{vmatrix} \frac{\partial t_1}{\partial \tau_1} & \frac{\partial t_1}{\partial \tau_2} \\ \frac{\partial t_2}{\partial \tau_2} & \frac{\partial t_2}{\partial \tau_2} \end{vmatrix} &= \begin{vmatrix} \frac{1}{2}\frac{\tau_1 - \tau_2}{\partial \tau_1} & \frac{1}{2} \frac{\tau_1 - \tau_2}{\partial \tau_2} \\ \frac{1}{2} \frac{\tau_1 + \tau_2}{\partial \tau_1} & \frac{1}{2} \frac{\tau_1 + \tau_2}{\partial \tau_2} \end{vmatrix}\\ &= \begin{vmatrix} \frac{1}{2} & - \frac{1}{2} \\ \frac{1}{2} & \frac{1}{2} \end{vmatrix}\\ &= \frac{1}{2} \end{aligned}

ヤコビアンを使って式(2.22)の変数変換を行うと、以下のように変形できます。

\begin{aligned} &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{4T^2}\int \int \frac{1}{2} \psi(\tau_1) d\tau_1 d\tau_2 - m_x^2 \\ &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{8T^2}\int \int \psi(\tau_1) d\tau_1 d\tau_2 - m_x^2 \tag{2.23} \end{aligned}

教科書の図2.3から、変数変換後の積分は図の斜線部分の4倍となるので以下のように式変形できます。

\begin{aligned} &= \lim_{T \to \infty} \frac{4}{8T^2} \int_{0}^{2T} \int_{0}^{2T-\tau_1} \psi(\tau_1) d\tau_2 d\tau_1 - m_x^2 \\ &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T^2} \int_{0}^{2T} \int_{0}^{2T-\tau_1} \psi(\tau_1) d\tau_2 d\tau_1 - m_x^2 \\ &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T^2} \int_{0}^{2T} (2T-\tau_1) \psi(\tau_1) d\tau_1 - m_x^2 \\ &= \lim_{T \to \infty} \frac{2T}{2T^2} \int_{0}^{2T} (1 -\frac{\tau_1}{2T}) \psi(\tau_1) d\tau_1 - m_x^2 \\ \mathcal{E}\{[Y(\omega) - m_x]^2\} &= \lim_{T \to \infty} \frac{1}{T} \int_{0}^{2T} (1 -\frac{\tau_1}{2T}) [ \psi(\tau_1) - m_x^2]d\tau_1 \tag{2.24} \end{aligned}

式(2.24)の右辺が0の時、Y(\omega) = \mathcal{E}\{Y(\omega)\}となり、式(2.20)から式(2.18)が確率1で成り立つことがわかる。

相関関数に関するエルゴード性

エルゴード性は相関関数に対しても成り立ちます。

\lim_{T \to \infty} \frac{1}{2T} \int_{T}^{T} x(t, \omega)x(t+\tau, \omega)dt = \psi(\tau) \tag{2.25}

ただし、これは条件

\lim_{T \to \infty} \frac{1}{T} \int_{0}^{2T} \left(1 - \frac{\tau_1}{2T}\right) [\xi(\tau_1) - \psi^2 (\tau) ] d\tau_1 = 0 \\ \xi(\tau_1) := \mathcal{E} \{ x(t + \tau + \tau_1) x(t +\tau_1) x(t + \tau) x(t) \}

が成り立つ時、かつその時に限り成り立ちます。

Discussion

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