責任をストレスに感じたら
私自身もそうですし観測範囲においても「責任」という言葉に対してネガティブな印象で捉えてしまい、自分や誰かを責めたり、押しつぶされてしまうことも多いです。
そこに認知行動療法の考え方を取り入れてみるとよさそうです。
認知行動療法では「認知」「感情」「身体」「行動」の4つの側面で物事を捉え、それぞれがお互いに影響を与えながらストレスを形成していると考えます。
- 認知:ある出来事に対して頭の中に浮かんだ考え
- 感情:その時に感じた気持ち
- 身体:体に起こった反応
- 行動:最終的にとった振る舞い
「不安にならないで」(感情)「胃の痛みを止めて」(身体)と言われても自分の意思で変えることはできません。逆に自分の意思でコントロールできるのが考え方(認知)と振る舞い(行動)です。
まずは責任に対する考え方(認知)を捉え直してみます。
責任を3つの視点から捉える
責任という言葉には複数の意味が含まれていますが、英単語で考えると切り分けがしやすいようです。
- 遂行責任(Responsibility):困難な状況でも最後まで諦めずにやり遂げること
- 説明責任(Accountability):判断や結果に対して納得できる回答をすること
- 賠償責任(Liability):過失や違法行為などで与えてしまった損害を法的に補償すること
責任に対する遂行・説明・賠償という考え方(認知)がわかったので、次はそれぞれに対する振る舞い(行動)を設定してみます。
適切に行動できるようになれば、責任と建設的に向き合うことができるのではないでしょうか。
何を実施できれば責任を果たせるのか
会社員として働く前提で、それぞれの責任を果たすための行動を考えてみました。
- 遂行責任(Responsibility)
- 相談をしながら今できる最善を尽くす
- うまくいなかったら別の方法を試す
- 完了するまでやり遂げる
- 説明責任(Accountability)
- 成功と失敗を明確に定義する
- 失敗した原因を明確にする
- 改善策を立案する
- 賠償責任(Liability)
- 自分の身(時間やお金)を削ってやり遂げる
- 減給や降格といった処分を受け入れる
- 辞職する
上記は「この行動をすれば責任を果たせる」という「銀の弾丸」というわけではありません。「責任」という言葉の曖昧さを軽減して、適切な距離感で問題と向き合い、行動するための問いかけとして使えればと考えています。
1. 遂行責任(Responsibility)
遂行責任は「困難な状況でも最後まで諦めずにやり遂げること」でした。
そのためには完了するまで試行錯誤を繰り返す必要があります。
- 相談をしながら今できる最善を尽くす
- うまくいなかったら別の方法を試す
- 完了するまでやり遂げる
考えてみれば当たり前のことを書いていますが、当たり前を当たり前に実行することはとても難しいです。
遂行責任には救いが1つあります。それは誰かに助けを求めるといった「責任を分かちあえる」ということです。助言をもらう、一緒にやる、部分的にやってもらうといった完了するための最善策も考えられます。
相談する側の場合はこちらが参考になります。
相談を受けたらこちらが参考になります。
役割分担を明確にするフレームワークとして「DACI」があります
2. 説明責任(Accountability)
説明責任は「判断や結果に対して納得できる回答をすること」でした。
そのためには客観的な分析と現実的な計画が必要です。
- 成功と失敗を明確に定義する
- 失敗した原因を明確にする
- 改善策を立案する
何かを達成するためには成功と失敗の定義が必要です。いわゆる「期待値合わせ」です。
ゴールが揃っていないと何を遂行するかも定まらないので、依頼する側もされる側も双方で合意に向けた努力をする必要があります。
必ずしも成功しなければいけないわけでもありません。失敗しても次に成功するための情報や知識を得られたのなら問題がない場面も多いです。そのあたりも含めて合意形成ができると理想的です。
成功と失敗を明確に定義をするということは、誰がみても同じ判断ができる客観的な指標を設定することです。
誰だって自分が失敗することは避けたいし認めたくないもの。失敗を認めないと言い訳になり、納得できる回答をすることはできなくなります。
説明責任を果たすためには問題を自分の隣に置くのではなく、問題を俯瞰してロジカルに捉えるくらいの距離感がちょうどいいのだと思います。
認識合わせにはこちらが参考になります。
改善にはこちらが参考になります。
3. 賠償責任(Liability)
賠償責任は「過失や違法行為などで与えてしまった損害を法的に補償すること」でした。
そのためには法律にのっとった補償が必要ですが、故意または重大な過失がない場合は会社が損害を負担するのが一般的です。
- 自分の身(時間やお金)を削ってやり遂げる
- 減給や降格といった処分を受け入れる
- 辞職する
残業や休日出勤で補うことはできますが、常態化してしまうと、働き方や経営として適切とはいえなくなります。少なくとも燃え尽き症候群が起きて早期の離職につながり、個人と会社の双方にとって損しかありません。
責任感の強い人ほど賠償責任への意識も高いので、日頃から認識合わせを怠らず、無茶な働き方ができないようにルールを定めておく必要もあると思います。
前提として、重大な損失や多大な損害をこうむるリスクは個人が注意することは当然ですが、リスク管理として会社全体で取り組むべきものと考えています。
まとめ
- 責任を遂行・説明・賠償の3つに分けて考える
- 責任の理解と適切な行動を取ることで責任を果たす
- 周りとうまく助けあいながら最後までやり遂げて遂行責任を果たす
- 問題とロジカルに向き合いながら納得できる回答をして説明責任を果たす
- 賠償責任はルールによって制限と防止をする
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