Encraft #15 「SRE文化を考える」開催レポート
株式会社ナレッジワークの SRE の tapih(@_tapih) です。
本記事では 2024 年 6 月 27 日に開催した勉強会 SRE文化を考える - Encraft #15 の開催レポートをお届けいたします。
Encraftとは?
Encraft(エンクラフト)は株式会社ナレッジワークが提供する、 "Enablement" と "Craftsmanship" をテーマにした勉強会です。技術にこだわりを持つ人々が集まって互いに知見を交換し、できることを増やしていく場を作りたいと思っています。
過去のイベントの開催レポートは以下からご覧ください。
- Encraft #1「フロントエンド × 設計」開催レポート
- Encraft #2「サーバーとクラインアントを結ぶ技術」開催レポート
- Encraft #3「エンジニアイネーブルメント - 共有・育成・評価・効率化 -」開催レポート
- Encraft #4「React/Next.js 最前線」開催レポート
- Encraft #5「Go1.21+ 最前線」開催レポート
- Encraft #6「Focus on UI Component 実装」開催レポート
- Encraft #7「AppDev with Google Cloud」開催レポート
- Encraft #8「Engineers Career」開催レポート
- Encraft #9 「QA Enablement - Practical Test Design -」開催レポート
- Encraft #10 「Go 1.22+ Enablement Lesson」開催レポート
- Encraft #11 「LLMとエンタープライズの距離感」開催レポート
- Encraft #12 「Frontend Quiz Night」開催レポート
- Encraft #13 「QA Enablement - Insight by QA activity」開催レポート
- Encraft #14 「技術発信文化の作り方」開催レポート
オフラインで参加することが難しい方などに向けて、今回も YouTube での Live 配信も行いました。
動画アーカイブもありますので、ご視聴の際は感想をハッシュタグ #encraft でつぶやいていただけると嬉しいです。
はじめに
最近では SRE という職種が一般的になり、 SRE のプラクティスも幅広く認知されるようになってきたことを個人的に感じています。しかし、現場で実践してみると難しいことが多く、悩みを抱えている組織は多いのではないでしょうか。
この問題に対しての「様々な経験をしている SRE を各社から集め、 SRE 文化について一緒に考えたら有意義な会になるのではないか」という発想から企画はスタートしました。
今回は Encraft 開催 15 回目にして初の SRE 会でした。 1 人目 SRE の mado(@nnhiguchi) さんが中心となり、 2 人目 SRE の tapih とマネージャーの shogo(@nownabe) さんの 3 人で協力して企画を行いました。 Enablement チームの sedo(@sedo) さんの強力なサポートもあり、初の SRE 会にも関わらずスムーズに企画を進めることができました。
mado さんの挨拶とアイスブレークから会はスタート。ナレッジワークでは定番となりつつある AhaSlides を利用してワイワイ感を出しながらセッションに進みました。
@nnhiguchi)
サブセッション:ナレッジワークでのマルチプロダクトにおける信頼性向上の取り組み by mado(ナレッジワークの歴史を知る mado さんが SRE としての過去の取り組みの概要を紹介しました。
- マルチプロダクト施策が始まると同時に SRE プラクティスの浸透をする必要があった。
- SLO やインシデントレスポンスハンドブック、ポストモーテムといった施策を行った。
- うまくいかなかった部分をケアするために SRE ギルド ✕ Product SRE 体制を開始した。
などの話がありました。様々な施策を行ってきた実績とその苦悩が伝わってくる発表でした。
プレゼンの最後に、セッションに参加するナレッジワークのメンバーの紹介がありました。
- 100km マラソンを完走し、全国各地のフルマラソンに参加しているメンバー
- 世界一周で怖い思いをいっぱいしたが生き延びたメンバー
- マネージャ・移行プロジェクトのリードとして二足の草鞋を履きながらも朝晩の犬の散歩を欠かさない元 Google のメンバー
タフなメンバーが揃っていますね(笑)
入社 3 ヶ月目の自分は、皆のプロダクトに賭ける思いの強さを日々ひしひしと感じながら業務をしています。メンバー全員がタフである必要は必ずしもないと思っていますが、コミットメントの強さはナレッジワークの SRE のいいポイントの一つだと感じています。
パネルディスカッション
サブセッションでは SRE 施策の大枠について紹介しましたが、続けて一つ一つの話を深堀るためにパネルディスカッションを行いました。
他社から経験の深い SRE のお二方に快くご参加いただき、豪華な顔ぶれで開催されました。
- パネラー:
- 株式会社 MIXI: Isao Shimizu さん (@isaoshimizu)
- 株式会社メルカリ: Mitsuhiro Shibuya さん (@m4buya)
- tapih
- モデレーター: shogo
Shimizu さんは SRE チームのマネージャー、 Shibuya さんはテックリード、 tapih は IC(Individual Contributor) と、立場は三者三様ですが、皆チーム立ち上げに近しい経験があることが共通していました。
事前にナレッジワークで用意した質問に数問答えた後、会場から集まった質問に答えていくスタイルで進行しました。会場からも非常に活発に質問が上がっていて、参加者の皆様の意識の高さを感じることができました。
以下でディスカッションで実際に扱った質問の一部を紹介します (一部敬称略)。回答の詳細やその他の質問に関しては、是非実際に動画を見ていただけると嬉しいです!
SRE組織を立ち上げる際に大事なことは何だと思いますか?
全質問共通で印象的だったのは、表現は三者三様なもののパネラーの皆が異口同音に同じポイントを重視していたことでした。
この質問への回答をまとめると「何をするチームなのかの認識を揃えること」をパネラーの全員が重視していました。
- Shimizu: 便利な運用屋にならないように
- Shibuya: SRE は考え方であって SRE 専任の組織が答えとは限らない
- tapih: SRE として短期/中期の目線を揃える
SRE は幅広いスキルセットがあるためつい便利な運用屋として使われてしまったり、 SRE という組織を作ることが目的化してしまったりと、 SRE 組織立ち上げならではの難しさがあると思われます。チーム内外で対話を入念に行うことで、 SRE 組織で何を解決するかの目線合わせを行うことの重要さを感じました。
SREチームは他のプロダクト開発チームとどのように協力するべきだと思いますか?
この質問への回答をまとめると「施策がスケールするような形で SRE が関わること」でした。
- Shimizu: 開発チームが自律的に動けるように
- Shibuya: SRE は希少なリソースである
- tapih: X as a Service (チームトポロジーの用語)
Shibuya さんには Product SRE や Embedded SRE という施策を紹介していただきました。これはプロダクト開発のスクラムに入り込みながら SRE プラクティスを実践していく施策ですが、どのくらいの期間入り込むかのバランスが難しく、試行錯誤をしながら施策を行っているようでした。
SLO を導入する際に大事なことは何だと思いますか?
この質問への回答をまとめると「SLO で解決したい問題が何か、にフォーカスすること」でした。
- Shimizu: SLO で解決したいことを明確に
- Shibuya: Actionable であること
- tapih: SLO を使う側の言葉で SLO のメリットを語る
Shimizu さんからは「SRE が SLO を押し付けるのはダメ」という発言がありました。これは自分も日々の業務の中で気をつけてはいるものの、相手の目線に立ったときに押し付けられている感覚になっていないか悩ましく思うことがあり、非常に共感するポイントでした。
また、 SLO の施策を社内で説明する際に BtoB と BtoC で説明のしやすさに違いがあるのではないか、といった話題にも話が及びました。この場では深堀りし切れなかったので、また別の機会に深堀りしてみたいと思いました。
開催の様子
以上でセッションは終了しました。聴講の後は疲れた頭と体をピザとビールで労います。様々な会社の様々なバックグランドのメンバーが集った場でしたが、 SRE という名の下で様々な話に花開き、一体感を感じることができました。参加者の皆様のおかげで、「SRE 文化を考える」というタイトルにふさわしい会にすることができました。
Triple-WIN アンケート
Encraft では、参加者のアンケート回答に連動してナレッジワーク社が OSS プロジェクトに寄付をする試みを行っております。参加者の 1 回答当たり 8 ドルをナレッジワークが OSS に寄付することで、参加者と OSS プロジェクトをナレッジワーク社が繋ぐ仕組みです。
今回は 23 名の方がアンケートに回答してくださり、 184 ドルを Open Collective 経由で cURL に寄付いたしました。
オフライン・オンライン問わず、ご回答いただいた皆様、ありがとうございました!
次回予告
次回の Encraft #16 のテーマは「プロダクトを支えるコアシステム」です。
有難いことに、ナレッジワークはサービス提供開始から順調に成長し、様々な業界のお客様に広くご利用いただいております。では、その裏側はどうなっているのでしょうか???
- プロダクトを支えるコアシステムを作る際にどういうアプローチをしたのかの他社事例を知りたい
- ナレッジワークのサービスがどう仕組みで成り立っているのかを知りたい
興味のある方、奮ってご参加お待ちしております!
Encraft は今後も定期的に学びと交流の場として開催を予定しています!
Connpass でグループメンバーになっていただけると開催通知メールが送られますので、開催を知りたい方は以下より是非グループメンバー登録をよろしくお願いします。
セッションをオンラインでご覧いただいた方も、感想などハッシュタグ#encraftでツイートしていただけたら嬉しいです!
それでは、また次の Encraft でお会いしましょう!👋👋
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