Chapter 11

チャットボットのセリフをカスタマイズする

maKunugi
maKunugi
2023.02.19に更新

ここまでのおさらい

前Chapterでは、meboを使ってGPT-3.5のAIと会話ができるところまでを行いました。会話を行うにあたって、主に下記の内容を設定したと思います。

  1. AIの名前
  2. AIの自己紹介文
  3. AIの会話例

基本的に上記の内容は全て、GPT-3.5で応答を生成する際のプロンプトに含まれます。この3つの情報を用いて、AIのキャラクター性や話す内容にバイアスをかけています。

本Chapterでは、チャットボットのセリフを追加していき、GPT-3.5が応答を生成する際に利用するプロンプトを動的に変更される状態を作っていきます。

会話のトレーニング

meboのトレーニング一覧画面に移動しましょう。
https://mebo-admin.work/admin/trainings

meboは様々な方法で会話コンテンツを登録することが可能です。一問一答でセリフを追加したり、会話のシナリオを追加したり、マークダウンのコンテンツを追加したりと様々です。本書では1つ1つの機能について詳しく触れません。詳しく知りたい方は、ぜひ下記のmebo公式ガイドをご参照ください。
https://zenn.dev/makunugi/books/f3d9eb62b6d133

トピックの編集

今回は会話のトレーニング機能のうち、「トピックの編集」を利用していきます。

トピックの編集では、トピックを作成し、それに紐づくセリフを手動で登録していくことができます。

試しに「プロフィールについて」というトピックを追加し、その中にチャットボットのプロフィールに関する情報を追加していきましょう。

まずはトピックを作成します。

トピック内に発話を追加できます。

発話を追加したら、右下の「変更を保存」を押しましょう。セリフを追加したら、「公開設定」画面へ移動します。

追加したセリフを会話に反映させるためには、「トレーニングを反映する」というボタンを押す必要があります。このボタンを押すと、入力したセリフが会話で利用できるようになります。

トレーニングが完了したら、「会話をテストする」をクリックしましょう。

追加したトピックは、下の発話候補に表示されるようになります。まずは登録したセリフ通りに発話をしてみましょう。

登録したセリフが返されることがわかりました。このように、登録したセリフをそのまま応答に利用できそうなケースでは、AIの応答生成は実行されません。しかし、関連するような質問をユーザーが行った際、ここで登録したセリフは考慮され、プロンプトに動的に挿入されます。セリフを手動で追加していくことで、プロンプトが動的に切り替わるようになり、より正しい情報を応答できるようになっていきます。

また、エージェントの設定では、手動で設定したセリフを優先するか、AIの応答生成を優先するかを調整する設定項目が存在します。エージェント設定画面の「AIによる応答の設定」の中にある、下記の項目を見てみましょう。

登録済みのセリフをAIの応答よりも優先するしきい値

上記の操作で触れたとおり、手動で登録したセリフは、ユーザーが登録したセリフに近しい質問をした場合は、AIの応答生成を行わずにそのまま応答を返します。登録したセリフとどれだけ近しければ、そのまま応答を返すかを設定することができます。

しきい値が「弱い」を設定すれば、登録したセリフがそのまま出やすくなります。(つまり、AIの応答生成は行われにくくなります。)逆に「とても強い」を設定すると、セリフをそのまま採用するハードルが高まり、ほとんど完全一致しない限り、AIによる応答生成が行われるようになります。適宜チャットボットの特性に応じて設定を変更してください。試しに、「とても強い」に設定をして、話しかけてみましょう。

あえて、手動で教えたセリフとは表現がかけ離れた表現で話しかけてみました。そのため、登録した応答をチャットボットはそのまま返していません。返してはいませんが、登録した応答と似た表現で文章を生成していることがわかります。これは、手動で登録したセリフがAIの応答が生成される際のプロンプトに挿入されているためです。このように、手動でセリフを追加することで、AIの応答にバイアスをかけることができます。

まとめ

以上が、meboのセリフの追加の方法でした。meboのセリフの追加は、単に応答を追加するだけでなく、AIの応答生成時に利用されるプロンプトの内容へも影響を与えます。この点が、従来のチャットボット構築と異なる点です。このセリフの追加を行う場合、AIの応答生成時に扱われるプロンプトには、下記の情報が含まれることになります。

(プロンプトの内訳)

  1. AIの名前
  2. AIの自己紹介文
  3. AIの会話例
  4. 登録したセリフ (ユーザーの質問に関連した内容のみ)

チャットボットに特に会話をさせたい話題に関しては、細かくセリフを追加していくことで、発言を調整していくことが可能です。