Chapter 02

Generative AI時代の到来とChatGPT

maKunugi
maKunugi
2023.02.19に更新

Generative AI

Generative AIとは、生成系AIとも呼ばれ、過去のデータから学習し、オリジナルのアウトプットを生み出すAIのことを指す総称です。画像や動画、音楽、文章など、様々なアウトプットをAIが生み出しています。2021年頃から、画像生成の領域において、革命的な進化を遂げました。中でも注目を集めたのが、2022年にオープンソースで公開された「Stable Diffusion」です。人間が描いた絵と見分けがつかないクオリティの合うアウトプットを高速で生成でき、日々多くのユーザーに利用されています。

https://stablediffusionweb.com/

そんな画像領域先行で進んでいたGenerative AIですが、まさに自然言語処理領域でも台頭してきました。その象徴こそが、今世間を賑わせている「ChatGPT」の登場です。

自然言語処理領域における進化

自然言語処理領域、つまり人間の言葉を理解しアウトプットできる領域のGenerative AIも発達を遂げてきました。2020年に一見人間とAIのどちらが書いたかわからない文章を表現できる、「GPT-3」の登場が話題となりました。GPT-3の登場は、「人間と同等レベルの会話ができるAIが出現するのではないか」という期待を膨らませる大事件でした。そこから2年が経過し、満を持して登場したのがChatGPTです。

2020年当時、GPT-3が書いたブログがかなりのView数を稼いだと話題になっていました。
https://www.technologyreview.jp/s/216514/a-college-kids-fake-ai-generated-blog-fooled-tens-of-thousands-this-is-how-he-made-it/

ChatGPTはGPT-3の後継である「GPT-3.5」がベースとなっていると言われています。このGPTを始めとする自然言語処理領域におけるGenerative AIが、今後確実に世界の技術トレンドとなっていきそうです。

ChatGPT

ChatGPTは現在のGenerative AIの台風の目とも呼べる、対話ができる大規模言語モデルです。
https://openai.com/blog/chatgpt/

対話の中で、様々な質問に答えてもらったり、ユーザーの支持によって様々な自然言語によるアウトプットを生成してくれます。ビジネスアイデアの相談やレポートの執筆、コーディングの相談までできてしまうという優れものです。
https://twitter.com/maKunugi/status/1598170329612169216

従来のチャットボットは、人間が登録したセリフしか返せないものが一般的でした。それによって、チャットボットと会話するときは、ある種の「気を遣いながら」の会話が必要でした。そんなチャットボットのイメージを一変させる程、ChatGPTは賢く振る舞い、自然と会話をすることができます。文脈も正しく解釈し、的確な回答をしてくれます。まさに「優秀なAI秘書」として常にそばに置いておきたい存在となりました。

まだ誤った情報をあたかも本当のことのように話してしまう等の課題はありますが、先代のGPTシリーズと比べ、様々な課題を拡大しながら、飛躍的に精度も向上しています。

GPT-3.5

ChatGPTは、GPT-3.5という文章生成用の大規模言語モデルを対話用にチューニングしたものと言われています。文章生成用の大規模言語モデルとは、一言で表すと、入力された文章に続く文章を確率的に予測し、生成するためのモデルです。

GPTシリーズは、OpenAIが開発を行っています。2018年にGPTが登場してから進化を遂げ、現在のGPT-3.5に至っています。GPT-3.5は現在、OpenAIのWebサービス上で利用ができる他、APIも提供されています。

https://platform.openai.com/overview

GPT-3.5は様々な種類の言語タスクに応用が可能です。例えば、文章分類、要約、翻訳などです。その一つとしてチャットボットへの応用も可能です。GPT-3.5を利用することで、ChatGPTと同等の精度のチャットボットを開発することができます。ChatGPTはこの技術を「対話」に特化させたことで、多くの人々がGenerative AIの凄さを体感できる点で画期的でした。しかし、「対話」というインターフェースはごく一部の側面にすぎず、このGPTシリーズにはさらに広い領域でのポテンシャルを秘めています。このGPT-3.5を活用して次世代型のチャットボットを構築していくことこそが、本書のメインテーマになります。具体的な利用方法については、この後のChapter5で解説していきます。