Chapter 04

I.3 解答・解説

後生楽 広小路
後生楽 広小路
2021.07.24に更新
このチャプターの目次

解答

複素数zの共役を\overline{z}で表す.
複素平面上の円\left|z-\frac{1-i}{2}\right|=\frac{1}{\sqrt{2}}は,\thetaを実数として

z=\frac{1-i}{2}+\frac{1}{\sqrt{2}}e^{i\theta}

と表される.この円がM(z)により実軸に写されるということは,M(z)の虚部が0であるということである.すなわち

M(z)=\overline{M(z)}

となる.よって

\begin{aligned} \frac{mz}{mz-z+1}&=\frac{\overline{mz}}{\overline{mz}-\overline{z}+1}\\ mz(\overline{mz}-\overline{z}+1)&=\overline{mz}(mz-z+1)\\ mz(1-\overline{z})&=\overline{m}\,\overline{z}(1-z) \end{aligned}

となる.両辺にmを掛けると

\begin{aligned} m^2z(1-\overline{z})&=m\overline{m}\,\overline{z}(1-z)\\ &=|m|^2\overline{z}(1-z) \end{aligned}

となる.|m|=1であるから

m^2z(1-\overline{z})=\overline{z}(1-z)

となる.円上の不動点z=0,1では任意のmで成り立つ.z\ne 0,1のとき

\begin{aligned} m^2 &=\frac{\overline{z}(1-z)}{z(1-\overline{z})}\\ &=\frac{\left(\frac{1+i}{2}+\frac{1}{\sqrt{2}}e^{-i\theta}\right)\left(\frac{1+i}{2}-\frac{1}{\sqrt{2}}e^{i\theta}\right)}{\left(\frac{1-i}{2}+\frac{1}{\sqrt{2}}e^{i\theta}\right)\left(\frac{1-i}{2}+\frac{1}{\sqrt{2}}e^{-i\theta}\right)}\\ &=\frac{-(1-i)-\sqrt{2}(1+i)i\sin\theta}{-(1+i)+\sqrt{2}(1-i)i\sin\theta}\\ &=\frac{(1-i)(\sqrt{2}\sin\theta-1)}{(1+i)(\sqrt{2}\sin\theta-1)}\\ &=\frac{1-i}{1+i}\\ &=-i \end{aligned}

となる.|m|=1,m\ne 1より,0\lt\varphi\lt 2\piとしてm=e^{i\varphi}とおくと

\begin{aligned} m^2=e^{2i\varphi} &=-i\\ &=e^{\frac{3}{2}\pi i}e^{2k\pi i}\\ \therefore 2\varphi&=\frac{3}{2}\pi+2k\pi\\ \varphi&=\frac{3}{4}\pi+k\pi\\ &=\frac{3}{4}\pi,\frac{7}{4}\pi \end{aligned}

となる.ここにk=0,1である.ゆえに,求めるm

m=\pm\frac{1-i}{\sqrt{2}}\tag{答}

である.

解説

複素平面の上半平面を原点中心の単位円領域へ写す変換をケイリー変換(Cayley transformation)といい,

f(z)=\frac{z-i}{z+i}

と表されます.今回の問題は円が点(1-i)/2中心,半径1/\sqrt{2}の場合です.

問題の設定を図示すると下図のようになります.
m=(1-i)/\sqrt{2}のとき,赤い円弧は赤い線分に写り,青い円弧は青い半直線に写ります.点\betaは無限遠点に写ります.
m=-(1-i)/\sqrt{2}のとき,青い円弧は赤い線分に写り,赤い円弧は青い半直線に写ります.点\alphaは無限遠点に写ります.
複素平面

複素数zが実数である(虚部が0)という条件では,共役と等しい(z=\overline{z})ことを用いるのは常套手段ですので覚えて(思い出して?)おきましょう.

解答の計算の中で,用いなくても良いのですが,正弦関数を指数関数で表す式

\sin\theta=\frac{e^{i\theta}-e^{-i\theta}}{2i}

を用いました.