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不確実性をなくすことは目的ではない - 次の時代の組織の考察
理想論の骨子
- 万物は流転する。すごく雑にいうと、何らかのエネルギーを伴う事象が常に発生し続ける。
- 発生するエネルギーには負というものはない。普通のものの見方では破壊として捉えられる事象も、ただのエネルギーと思える。
- エネルギーを"目的"の方向に向けて使うことができるか、それともマイナスの作用をさせるかは、究極的には自分自身の選択による。
- 不確実性によってもたらされるエネルギーを常に正の方向に使い続けるアンチフラジャイルという在り方がある。
- 別の対処法として、ある系の内部で不確実性を減らすために、外部のエネルギーをゼロにするという対処方法がある。
- 不確実性を単純に減らすことにフォーカスをすると、不確実性をうまくハンドルできずにマイナスに作用するよりはマシだが、プラスも得られない。
- スケジュールがそれなりに厳しい中で、外部要因で生じた新しい要求を受け付けることにはリスクがあるが、それによるプラスもある。
- OKRの目標をGoogleが60〜70%に設定しているのは、不確実性のプラスの恩恵を受けるという効果がある。
- 結果的に特定のタスクについて遅延が発生するようなアサインをしたとしても、それによってメンバーが新しいノウハウを得ることができれば、今後の作業が改善する可能性がある。
- いずれの場合も、最終的に発生事象をプラスに変えるような解釈・取り組みが必要になる。
- 逆のパターンで、既存のやり方に執着し続けると、効率が悪くなってしまう。
- 不確実性と効率・成果は、時に独立であり、時にバーターとなる指標である。
- 不確実性を減らすことが、効率・成果を上げることとバーターになる場合は、闇雲に不確実性を減らせばよいわけではない。
- 不確実性を可視化して、組織として許容可能な不確実性を計算した上で組織デザインを行うと、効率的な組織運用ができる。
- OKRのパーセンテージがまさしくその例、許容可能な不確実性のある種の可視化。
- 相互に許容可能な不確実性の認識が合っていれば、結果がずれても事前の取り決めに従って許せる。
- 許容可能な不確実性は、物事や内容によって細かく違うかもしれない。
- 組織文化として規定される内容が、許容可能性を定義している。
- タスクに対する権限の委譲だけでなく、実際にどれぐらいの不確実性を許容するか?という事の認識合わせが必要。
- 古典的な日本の組織で言えば、「責任は俺が取る」の部分が不確実性の許容。
要検討事項
- 最終的に「手に余るタスク」か否かの判断をどこでどうするか。
- 品質が悪いものが上がってきた時にどうするか?
- 自己認識ができてなくて、できると言って手を挙げて、実際にできない時どうするか?
- これらの場合について、どう引き取るか・責任の取り方は。
- 事前にフローを決めて合意しておくことで解決するか?
- 「できない可能性があることを振る場合は、できなかったときの事を考えておく」という当然のことか。
- 事前にフローを決めて合意しておくことで解決するか?
- 不確実性を許容した場合の組織的な下剋上への対策。
- 「責任は俺が取る」ことで正常に統合が行われなくなり、現場の独断専行が始まる場合など。
スクラムの場合
- ガイドが制定された当初には、鶏と豚というような記述があったり、スクラム内部と外部の分断を生じ得る記述がしばしば見受けられた。
- 長期的な運用を通して、そうした記述は注意深く削除されていった。
- 鶏と豚は2011年に削除された。
- 2017年->2020年の変遷においても、開発者とオーナーの分断を生じ得る記述や、スクラムチームと外部の分断を生じ得る記述は削除された。
- こうした変化は、スクラムガイド自体が経験主義的な取り組みである事を示している。
- 10年前の内容では疑問に思われることについて、ある種のアウフヘーベン的な解決が行われている。
- こうした分断について敏感な人でも、本質的なスクラムの体制を容易に受け入れられるようになった。
- アンラーニングができる人は、分断について敏感=ガイドの記述と矛盾する価値観を持っていても一旦脇に置いて受け入れることができた。
- アンラーニングができない人は受け入れられるようになるまで時間がかかる。
参考
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外部サイト等
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Discussion