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【統計検定準1級】母比率の検定

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はじめに

この記事では、統計検定準1級取得に向けて学習したことをまとめていきます。
工学系の数学ではなく数理あるあるの、論述ゴリゴリな解答になっていると思いますのであらかじめご了承ください。
注意:さらに計算過程は数学文化の『省略の美』を無視してエレファントに書いています。

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統計検定準1級のまとめ記事一覧
これまで書いたシリーズ記事一覧

学習書籍について

この記事では「統計学実践ワークブック」を中心に、学んだことをまとめていきます。記事を読んで本格的に勉強してみたいなと思った方は、是非ご購入を検討なさってください。


参考書籍について

統計実践ワークブックは、大量の知識項目と問題が収められている反面、計算過程や知識背景が大きく省略されているため、知識体系をきちんと学ぶ参考書として東京大学から出版されている名著「統計学入門」を使っています。


母比率の検定

例題

(「統計学入門」より)
あるクラスの平均出席率は0.90であるといわれている.ある日の欠席者は160人中25人であった.この日は特に欠席者が多かったといえるか.\alpha = 0.01とせよ.

例題の解答

「この日の出席率は平均出席率と同等である(=出席率は0.9である)。」という仮説(つまりは欠席者が多いとは言えない)を帰無仮説H_0とし、
「この日の出席率は平均出席率と同等ではない(=出席率は0.9ではない)。」という仮説(つまりは欠席者が多いとは言えない、というわけではない)を対立仮説H_1
として、統計的仮説検定を行う。ただし有意水準は\alpha = 0.01であると仮定する。

クラスの平均出席率(母比率)を\piとする。また、サイズn標本のうちクラスの出席者の数X二項分布Bin (n, \pi)に従う。
このとき、帰無仮説H_0と対立仮説H_1をそれぞれ次のように仮定する。

H_0 \ : \ \pi = 0.9 \\ H_1 \ : \ \pi \neq 0.9

よって帰無仮説H_0を仮定して、仮定が棄却されるかを調べる。つまり

\pi = 0.9

とする。ここで題意より、

n = 25, \pi = 0.9

であり、標本数が十分に大きいためXは近似的に正規分布N(n \pi, n \pi (1 - \pi))に従う。

ゆえに、正規分布の再生性より\cfrac{X}{n}(※これが出席率を表していることに注意)はN(\pi, \pi (1 - \pi))に従う。

(※ここから先は、母平均の検定(母分散既知ver)と同じです。)

ここで確率変数Z

Z = \cfrac {\cfrac{X}{n} - \pi} {\sqrt{\cfrac{\pi (1 - \pi)}{n}}}

とおけば、Z標準正規分布N(0, 1)に従う。よって有意水準が\alpha = 0.01であることと標準正規分布表を用いて、棄却域R

\begin{alignat*}{2} R &= \{ z | \left| z \right| > 2.57 \} \\ &= \{ z | z < -2.57, 2.57 < z \} \end{alignat*}

と定める。ここでこの日の出席率は

\begin{alignat*}{2} &\cfrac{160 - 25}{160} \\ =& \cfrac{135}{160} \\ \fallingdotseq& 0.8438 \end{alignat*}

である。したがってZの実現値z

\begin{alignat*}{2} z &= \cfrac{0.8438 - 0.9} {\sqrt{\cfrac{0.9 \times (1 - 0.9)}{160}}} \\ &= \cfrac{-0.0562} {\sqrt{\cfrac{0.09}{160}}} \\ &= \cfrac{-0.0562} {\sqrt{0.0005625}} \\ &\fallingdotseq \cfrac{-0.0562} {0.023717} \\ &\fallingdotseq 2.370 \notin R \end{alignat*}

したがって帰無仮説H_0は棄却されない。つまりこの日の出席率は平均出席率と同等である(つまりは欠席者が多いとは言えない)



参考資料

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