『RPGツクールMZ』[マップデータの設定]ウィンドウのヘルプ
『RPGツクールMZ』のマップに関する記事をいくつか書きました。
- 『RPGツクールMZ』[モード]-[マップ]のヘルプ
- 『RPGツクールMZ』[データベース]-[タイルセット]のヘルプ
- 『RPGツクールMZ』[レイヤー]-[自動]のヘルプ
- 『RPGツクールMZ』オートタイルのヘルプ
- 『RPGツクールMZ』タイルセット規格のヘルプ
- 『RPGツクールMZ』[マップリスト]のヘルプ
今回は[マップデータの設定]の説明です。
用語
マップデータ…1枚のマップの情報を持ったデータで[マップリスト]から選択できます。
エンカウント… 敵と遭遇し戦闘が開始されることです。
ランダムエンカウント…マップ上に表示されていない敵とランダムに遭遇するタイプのエンカウントです。
シンボルエンカウント…敵がマップ上に表示され、ぶつかると遭遇となるタイプのエンカウントです。
BGM … バックグラウンドミュージック、背景音楽です。
BGS… バックグラウンドサウンド、雨音などの環境音です。
メタデータ… メモ欄に書かれる <メタ>
あるいは <メタ:データ>
という書式で記述されるデータ。
マップデータの設定ウィンドウ
[マップリスト]で[新規]または[編集]を選んで出てくるのが[マップデータの設定]ウィンドウです。
基本設定
- [名前]… 開発時に[マップリスト]に表示される名前で、ゲーム実行時には影響しません。
- [表示名]…マップ移動の直後に表示される名前です。必要ないなら空で構いません。
- [タイルセット]…タイルパレットに設定されるタイルセットの種類です。詳細は[データベース]-[タイルセット]で設定されます。参照: 『RPGツクールMZ』[データベース]-[タイルセット]のヘルプ
- [幅]…マップの東西の距離で、単位はタイル数です。0~256の範囲で指定できます。
- [高さ]…マップの南北の距離で、単位はタイル数です。0~256の範囲で指定できます。
- [スクロールタイプ]…マップ端が循環(ループ)するかを指定します。
- [ループしない]…マップ端に行くとスクロールが止まります。
- [縦方向にループする]…南北方向がつながります。
- [横方向にループする]…東西方向がつながります。
- [縦横ともループする]…東西南北の全方向につながります。
- [敵出現歩数]…ランダムエンカウントで敵が出現する平均的な歩数(移動タイル数)です。1~999の範囲で指定できます。
- [BGM自動演奏]…マップが表示された時に演奏される曲を指定します。
- [BGS自動演奏]…マップが表示された時に再生される環境音を指定します。
- [戦闘背景指定]…このマップで戦闘が発生した際の背景を指定します。
- [ダッシュ禁止]…このマップでShiftキー(標準の操作)でのプレイヤーのダッシュの可・不可を指定します。
豆知識
[名前]はゲーム実行時には影響しませんと書いてますが、これは標準のシステム話です。
"data/MapInfos.json" ファイルに[名前]は記録されていて、次のようにすると JavaScript で取得できます。
$dataMapInfos[ 1 ].name
[スクロールタイプ]でループを指定するのは主にフィールドマップですが、迷路をループさせて広く見せるテクニックとしても使えますし、ループした背景の上を高速で移動させることで遠距離の移動の演出としても使えます。
[BGM自動演奏]は "audio/bgm/"、[BGS自動演奏]は "audio/bgs/" フォルダのファイルが指定できます。
[BGM自動演奏][BGS自動演奏]は指定ファイルのフォルダが異なるだけで、基本的には同じ機能です。
ただしマップと戦闘のBGMが同じ場合、演奏が途切れずに流れます。
また、BGMとBGSは同時に流せます。
エディタで開発中に再生した音声は、停止しない限り開発環境に流れ続けます。
メインメニューの[サウンドテスト]でも再生・停止ができます。
[BGM自動演奏][BGS自動演奏] のチェックを外しても曲を設定しているとファイルが必要なものと判断されます。
<Bad!>なので[デプロイメント]や[ゲームアツマールにアップロード]を行う際[未使用ファイルを除外する]にチェックを入れても、曲ファイルがコピーされます。
つまり、チェックを外すだけでなく (なし)
を選択しておくべきと言えます。
となると、そもそもチェックボックスが必要ないのではないか、という気がします。
<Bad!>このマップ単位での[ダッシュ禁止]機能はほとんど役に立ちません。イベントコマンドに用意してあれば融通が利いたんですが。
戦闘背景指定
戦闘背景を指定しなかった場合[データベース]-[タイルセット]-[基本設定]-[モード]の設定で挙動が異なります。
エリアタイプの場合は、マップをぼかし加工して背景とします。
フィールドタイプの場合は、プレイヤーがいる場所のタイルに対応した背景が設定されますが、その決定方法は次のようになっています。
- 船に乗っている場合は画像1・2共に "Ship" が選択されます。
- レイヤー1のタイルが次の表の番号であればその画像。
- レイヤー2のタイルが次の表の番号であればその画像。
- 規定値として画像1・2共に "Grassland" が選択されます。
1の条件に合わなければ2、それでも合わなければ3、でなければ規定の4となります。
レイヤー奥の戦闘背景画像1(地面) "img/battlebacks1/"フォルダ
タイル番号 | 画像ファイル名 |
---|---|
4,5 | "PoisonSwamp" |
24,25 | "Wasteland" |
26,27 | "DirtField" |
32,33 | "Desert" |
34 | "Lava1" |
35 | "Lava2" |
40,41 | "Snowfield" |
42 | "Clouds" |
レイヤー手前の戦闘背景画像2(壁) "img/battlebacks2/"フォルダ
タイル番号 | 画像ファイル名 |
---|---|
4,5 | "PoisonSwamp" |
20,21 | "Forest" |
22,30,38 | "Cliff" |
24,25,26,27 | "Wasteland" |
32,33 | "Desert" |
34,35 | "Lava" |
40,41 | "Snowfield" |
42 | "Clouds" |
オートタイル(A1,A2)の番号表。
豆知識
<Bad!>この条件と画像ファイルの対応関係、公式ヘルプに書いてありません!
<Bad!>条件が決まっているということは、フィールド用のマップ作りは公式のものからあまり大きな変更はできないということです。
<Bad!>[デプロイメント]した時に[未使用ファイルを除外する]にチェックを入れても、これらの背景画像は削除されません。
これらの画像を使っていないならば、[デプロイメント]前に "img/battlebacks1/"、"img/battlebacks2/" から画像を削除してもエラーは出ません。
遠景
- [画像]…遠景に表示する画像を指定します。
- [横方向にループする]…遠景の東西方向をつなげて繰り返し表示するかの指定です。
- [スクロール]…自動スクロールスピードで、-32~32の値を入力できます。
- [縦方向にループする]…南北方向の繰り返しです。
- [スクロール]…自動スクロールスピードで、-32~32の値を入力できます。
- [エディターに表示]…[マップビュー]に遠景を表示するか指定します。
豆知識
[画像]は "img/parallaxes/" フォルダの画像が指定できます。
[画像]のファイル名の頭に「!」がついていると、タイルと遠景の視差が0になり、スクロール速度に違いがなくなります。
これを利用することで、いわゆる遠景マップが作れます。
<Bad!>ファイル名で機能を切り替えられることは、開発環境を使っているだけではいつまでも分からないので、開発環境側に視差のON・OFFができるチェックボックスなどをつけるべきです。
なお、パララックスとは視差といった意味で、手前と奥でスクロール速度を少し変えることで画像をずらし奥行き感を与える手法です。なので「!」をつけて視差を0にしたらパララックス効果はなく、そういった背景をパララックスマップと呼ぶのは間違いです。
<Bad!>この誤解が発生したのはフォルダ名が "parallaxes" であることが原因だと思います。
ちょっと蛇足感ある情報ですが、3Dグラフィックの世界では平面テクスチャを視点によってずらすことにより立体感を出すことに対して「正確な意味での」パララックスマップという用語が使われています。
[横方向にループする]-[スクロール]は電車の外の景色を自動で動かして、乗り物が走っている雰囲気を出すといった演出に使えます。
[縦方向にループする]-[スクロール]はエレベーターの外の景色を自動で動かして、乗り物が上下移動している雰囲気を出すといった演出に使えます。
メモ
メモ欄は単にマップの備忘録として使われるほかに、メタデータを書き込む場所として使われます。
豆知識
<Bad!>メモ欄は様々なデータに付随していますが、位置やサイズがまちまちで、使い勝手は良くありません。
メタデータはメモ欄とは別に入力箇所を設けるべきだと思います。
エンカウント
ランダムエンカウントを採用した場合に使われるデータです。
逆に言えばそれ以外のシンボルエンカウントなどを採用した場合、不要になるデータです。
コンテキストメニュー[⌃]
- [編集… ↩]
- [切り取り ⌘X]
- [コピー ⌘C]
- [貼り付け ⌘V]
- [削除 ⌫ ]
- [全選択 ⌘A]
下のデータ項目がない部分を選択して[↩]で[新規]、データ項目を選択して[↩]で[編集]です。
[切り取り]と[貼り付け]、またはデータ項目のドラッグで位置の入れ替えが可能です。
豆知識
<Nice!>リスト系の操作では、この[エンカウント]のリストがベストです!
<Bad!>直前の[マップリスト]や[データベース]内のリスト全般を、この操作に揃えて欲しいところですが、見事にバラバラです。
できればこのコンテキストメニュー、下のデータがない部分を選択しているときは[新規… ↩]に表示を変えて欲しい。
メニューで[編集]を選択したにも関わらず、新規データが作られるので混乱します。
- [敵グループ]…出現する敵の設定です。[データベース]-[敵グループ]で設定します。
- [重み]…出現確率を算定するための0~100の数値。大きいほど出現しやすく、同じリージョンに設定された他の敵グループの重みとの比率で出現率が決まります。
- [範囲]…出現する場所です。
- [マップ全域]…このマップのどこでも出現します。
- [リージョンIDで指定]…指定したリージョンID(3つまで)が設定してある場所に出現します。
リージョン
[タイルパレット]の下にあるタブのうち[R]を選択するとカラフルなタイルが表示されます。
これがリージョン設定で、もともとはランダムエンカウントの地域わけのために用意された機能だと思います。
ただ、現在はマップ関連のプラグインの挙動の変化や、[条件判定]イベントコマンドで振り分けることによる地形制御に使われることの方が多い印象です。
通常のタイルと同様に[タイルパレット]から選択(複数選択も可)します。
[鉛筆][四角形][楕円][塗りつぶし]のツールを使って配置できます。
右ボタンで[マップビュー]に配置したリージョンをドラッグすることでコピーもできます。
豆知識
リージョンはタイルパレットの機能というより、[モード]の[マップ][イベント]と並んで[リージョン]があった方が自然ではないかと思います。
たとえばリージョンをコピーする際は[R]タブを選択しておく必要がありますが、[マップ]とは[モード]が変わっていると理解しないと違和感があります。
<Bad!>[イベント]モード編集中にリージョンの編集を行いたいと思ったら、一度[マップ]に[モード]を切り替え、その時にリージョン編集状態でなかったら[R]タブを選択する必要があり、さらに使いたい描画ツールが選択されていなかったら選択する必要があり、極めて操作が迂遠です。
最後に
フィールドマップやランダムエンカウントは最近のゲームでは使われなくなりつつあるシステムで、もはや好事家のみ使えばいいぐらいになっています。
しかし『RPGツクールMZ』のエディタの機能としてはかなり大きな部分を占め、多くのツクラーにとって「使いもしない機能の理解に時間を消耗してしまう」いびつな状態になっています。
またフィールドの戦闘背景選択を筆頭に、かなりコアスクリプト側にシステムが規定されていて、フィールドマップやランダムエンカウントを使いたいツクラーにとっても、あまり使いやすいものではありません。
さて[イベント][プレイヤー][乗り物]を除いたマップ関連の解説はこれでひと通り終わり。
ゲームを作るには不十分ですが、マップを作って遊ぶには十分です。
レッツエンジョイ ツクールライフ!
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