『RPGツクールMZ』[モード]-[マップ]のヘルプ
ツクールフォーラムアドベントカレンダー Advent Calendar 2021 3日目の記事です。
前の記事は、pandaさんの『モブ会話の作り方』です。
次の記事も、僕で『『RPGツクールMZ』[タイルセット]のヘルプ』です。
はじめに
『RPGツクールMZ』の機能のうち、キャラクターが動き回る舞台となるマップを作るために必要な機能を解説します。
まだチュートリアルを行なっていない場合は[ヘルプ]-[チュートリアル]メニューを選んで[ステップ1:マップの基礎]を実行することをオススメします。
また[ヘルプ]-[目次 F1]を選べばブラウザでヘルプが開かれます。その[RPGツクールMZ ヘルプ]-[マップ]以下の部分を読めば、だいたい以下と同じことが書いてあります。
公式サイトの初心者講座のマップ編も参考になります。
何で別に同じようなものを書いているかというと、ヘルプに書かれていない隠し機能的なものが結構あるので、その辺も含めてまとめておこうというわけです。
去年書いた 『RPGツクールMZ』の見逃されがちな操作のうち[マップモード]に関するものをヘルプ的なものに組み込んで書いたというか。
また「なぜこんな作りになっているのか」という疑問に対する答えとして「僕もよくわからない」と書いておくことで、「わからないのは自分だけではないのだ」と安心していただこうという意図もあります(笑)
あと「ここダメだろ」って部分の情報を共有しておこうかなと…まぁグチですね!<Bad!>マークをつけておきました!
豆知識の部分を開くと最初は飛ばしていい細かいことを書いています。ある程度慣れている方はそちらを中心に読むと良いかもしれません。
では、じっくり頭から読むなり、ざっと気になる部分だけ読むなり、お好きにお使いください。
ショートカットキー
著者がMacユーザなので、基本的にMacでの画面や操作方法で記述しています。
Windowsユーザのかたは、ご自分の環境に合わせて読み替えてください。
記号 | Mac | Win |
---|---|---|
⌘ | command | Ctrl |
⇧ | shift | Sft |
⌥ | option | Alt |
⌃ | control | なし |
[⌃]はコンテキストメニュー(いわゆる右クリックメニュー)を表すのに使っています。
用語
ドット…コンピュータの画面を構成する正方形の最小単位です。
マップ…ゲームの背景です。歩行キャラが移動できる範囲や、重ね合わせ(レイヤー)、敵の出現率(エンカウント)の情報も持っています。マップを単位として組み合わせることで全体のゲームを作り上げます。
エリアマップ… 街・森・神殿などの個別の場所ごとのマップです。
フィールドマップ…とくに広い地域を表現するためのマップです。
マップタイル…マップを構成する48×48ドットの画像で、単にタイルとも書かれます。
タイル画像…複数のマップタイルを収録したPNG形式の画像ファイルです。
タイルセット…タイル画像と対応する通行判定などの情報をまとめたものです。マップごとに違う[タイルセット]を指定することで、がらりと雰囲気の違うマップを作ることができます。タイルセットはさらにA〜Eのセットに分かれています。
東西南北 … 本書ではマップの方向は画面の上を北として東西南北で指定します。
<New!>レイヤー … タイルを重ねる層のことです。『RPGツクールMV』にもレイヤーは存在していましたがユーザは自由に選べませんでした、『RPGツクールMZ』ではユーザが4つのレイヤーを指定できます。
高層・低層 … 本書ではプレイヤーの歩行キャラ手前にあるタイルを高層、奥にあるタイルを低層と呼びます。これに伴い、レイヤーの配置も上下や深い浅い奥と手前ではなく高低で指定します。
マップデザイン… マップを作成すること。ここではタイル配置のことのみを指して使います。
豆知識
ドット(dot)はピクセル(pixel)と呼ばれることもあります。
ドットは「点」を意味しているので、水玉模様はドット柄などとよばれたりします。
ピクセルは「画素」を意味するので、技術用語としてはより正確な表現といえます。
『RPGツクールMZ』で作るゲームではドットが用語として使われる傾向にあるので、本書ではドットを主に使います。
マップタイル(map tile)はマップチップ(map chip)と書かれることもあります。
『RPGツクールMZ』では48×48ドットを基本単位として、初期値の816×624ドットの画面では17×13タイルが表示されます。
タイル画像について詳しくは、『RPGツクールMZ』タイルセット規格のヘルプ をご覧ください。
フィールドマップは冒険の舞台となる世界全体が描かれるので、ワールドマップと呼ばれることもあります。
画面の説明
[モード]-[マップ]で、マップにタイルを配置する[マップモード]
[モード]-[イベント]で、マップイベントを配置する[イベントモード]
以上2つの編集モードに切り替えられます。
[イベントモード]については別の章で取り上げます。
豆知識
①メインメニューはMacとWindowsで形や位置など異なりますが内容は同じです。
[イベントモード]では、③はイベントリストに入れ替わります。
①メインメニュー・②ツールバー
メインメニューから、マップデザインに使うものを並べました。
豆知識
<Bad!> 多くはショートカットキーが割り当てられていませんし『RPGツクールMZ』の[環境設定]で設定することもできません。
Macの場合『システム環境設定』の[キーボード]-[ショートカット]-[アプリケーション]に『RPGツクールMZ』を登録し、ショートカットキーの設定ができます。
- [編集]
- [元に戻す ⌘Z] …… 直前の操作の前に戻します。
豆知識
<Bad!> [元に戻す](アンドゥ)はありますが、[やり直し](リドゥ)はありません。
<Bad!>[マップモード]では[切り取り][コピー][貼り付け][削除]といった一般的な編集機能は使えません。
右ボタン(サブボタン)クリック(ドラッグ)で指定タイルをスポイト(コピー)し、別の位置でクリックすることでそれらの編集機能の代わりとします。
- [モード]
- [マップ F5] …… マップデザインをするには、まずこのメニューを選択します。
豆知識
<Bad!>[イベントモード]の時に[描画]および[レイヤー]メニューは選択できません。
また後述のレイヤー変更のショートカットキーも働きません。
一度[マップモード]に切り替える操作が必要で、一手間ムダです。
- [描画]
- [鉛筆] …… 主に使う機能で、クリックした場所にタイルを配置します。
- [四角形] …… ドラッグした範囲にタイルを配置します。
- [楕円] …… ドラッグした範囲を基準に楕円形にタイルを配置します。
- [塗りつぶし] …… クリックした場所にあるタイルの周辺にある同じタイルを置き換えます。
- [影ペン] …… タイルの1/4サイズの影を配置します。影がある部分をクリックすると影を消します。
豆知識
<Bad!>消しゴム機能はありません。Bセットの左上の透明タイルを消しゴムがわりに使います。
<Bad!> [楕円][塗りつぶし]ボタンのアイコンに『RPGツクールMV』の時にはなかった⊕が表示されていますが、意味は不明です。
<Bad!>多くの描画ツールで一般的な[⇧ドラッグ]による直線や正方形の描画機能はありません。
<New!1.5.0><Nice!> ⇧ + [影ペン]で[四角形]と同様な配置が可能です。
<Bad!> ⇧を押している間 ではなく、ドラッグ開始時に⇧を押していると 四角描画モードになります。一般的ではない使いづらい仕様です。
[影ペン]はドラッグ開始した時の影の状態でドラッグ後の状態が決まります。
つまり、影がないところからドラッグを開始するとドラッグ中は影を配置し、影があるところから開始するとドラッグ中は影を消します。
[影ペン]はレイヤー2と3の間の層に配置されます。
つまり実際には4つのレイヤーの他に[影レイヤー]が存在しています。
- [レイヤー]
- [自動] ……『RPGツクールMV』と同様の方式で、自動でレイヤーを選んでタイルが配置されます。
- [レイヤー1] …… <New!>最低層です。地面・床のタイルなどを置きます。
- [レイヤー2] …… <New!>地面・床を装飾するタイルを置きます。
- [レイヤー3] …… <New!>[レイヤー4]と層が異なりますが役割は同じで、植物や家具などを置きます。
- [レイヤー4] …… <New!>最高層です。植物や家具などを置きます。
豆知識
<Nice!> [⌥tab]で1つ高層、[⇧⌥tab]で1つ低層のレイヤーに切り替わります。
<Bad!>メニューのレイヤーの順番は、低層が上、高層が下という直感と逆のならびになっています。
<Bad!>レイヤーを選択した場合、他のレイヤーが半透明表示されるので、非常に見づらくなることがあります。
他のレイヤーを完全に非表示にする方法は用意されていません。
<Bad!>現在選択中のレイヤーはステータスバー右に表示されますが、ボタンと離れていて理解しづらい作りです。
<Nice!> [自動] を設定している場合は、全レイヤーのオートタイルや[影ペン]の影に影響を与えますが、個別のレイヤーを選択している場合は影響がレイヤーの外に及びません。
地面を一括で置き換えたい場合や、絨毯の模様などを家具や壁を考慮して配置したい場合など、個別のレイヤーを使って配置すると格段に作業が楽になります。
- [スケール]
- [拡大 ⌘+] …… [マップビュー]を拡大します。
- [縮小 ⌘-] …… [マップビュー]を縮小します。
- [原寸 ⌘0] …… [マップビュー]を100%に戻します。
豆知識
拡大・縮小のショートカットキーはテンキーとの組み合わせでも操作可能です。
[拡大 ⌘+]のショートカットキーはMac標準キーボードでは[⇧⌘; ]です。
[原寸 ⌘0] のショートカットキーはオーではなくゼロです。
<Nice!> [⌘スクロールホイール]で拡大・縮小ができます。
<Bad!> ただしマップが表示されている部分にマウスポインタが乗っていないと拡大・縮小が動作しません。
<Bad!> 拡大・縮小の基点はマップビューの左上に固定されていて、小さくしたマップをマップビュー中央などに表示することはできません。
<Bad!> スクロールホイールの方向と拡大・縮小対応を反転させる設定項目はありません。
<Bad!> 拡大は150%までしかできません。
<New!1.6.0> [システム2]-[タイルサイズ]の設定によって、拡大率の最大値が変更されるようになりました。
タイルサイズ | 拡大率 |
---|---|
42×42 | 150% |
32×32 | 225% |
24×24 | 300% |
16×16 | 450% |
<Bad!> 一律1000%とかで良く、タイルサイズ毎に変える意味がありません。
これらのマップデザイン用のメニューは、すべてツールバーに同じ機能のボタンが存在します。
豆知識
<Bad!>レイヤーボタンは一般的なレイヤー操作配置では縦に並んでいるのと異なり、横に並んでいるのでレイヤーの高低が直感的にわかりづらくなっています。
一応アイコンの青い部分で高さを表していますが、見やすくはありません。
<Bad!> ツールバーの拡大・縮小の配置順が、一般的な操作配置の(右側を押すと数字が大きくなる)[縮小][拡大]の順と逆です。
<Bad!> マップの拡大率はステータスバー右に表示されますが、ボタンと離れた場所にあるため見ただけでは何の数値かわかりません。
③タイルパレット
現在選択されている[タイルセット]を表示しています。
下にあるA〜Eタブのいずれかをクリックしてセット(タイル画像)を選択します。
そして表示されているタイルをクリックして[マップビュー]に配置するタイルを選びます。
豆知識
[タイルパレット]のタブ下にある区切りをドラッグして、縦の長さを変更できます。
<Bad!>[タイルパレット]・[マップリスト]・[マップビュー]の位置は固定です。
<Nice!> [タイルパレット]上にポインタがある場合、ステータスバー左にタイルの説明が出ます。
ただし、タイルの説明は設定ファイル(タイル画像と同名で拡張子が.txt)がない場合には出ません。
<Bad!> [タイルパレット]と説明の表示場所が離れていて表示も小さいため、存在に気づきにくいし見辛いです。
[マップリスト]で[⌃]-[編集]で開かれる[マップの設定]ウィンドウでマップデータごとの[タイルセット]を選択できます。
タイルセットは[データベース]-[タイルセット]で、タイル画像および通行制定などの属性を設定できます。
中身が空でもAタブは存在しますが、B〜Eタブは設定によっては存在しません。
Rタブは[リージョン]を設定する特殊なセットで、[タイルセット]には含まれず基本的なマップデザインでは使用しません。
<Nice!>タイルパレットのタイルはドラッグして複数選択することもできます。
1タイルに収まらない樹木や家具などを、まとめて選択して一度に配置できて非常に便利です。
④マップリスト
プロジェクトに含まれているマップの一覧を表示しています。
マップ名の上で開けるコンテキストメニューのうち、マップデザインに関連する項目を並べました。
- [⌃]
- [編集... スペース] ……
- [サンプルマップのロード] …… サンプルマップを指定して読み込みます。
- [シフト... ⌘T] …… マップ全体を指定した数値にしたがって移動します。はみ出した部分はループします。
- [ダンジョン生成... ⌘D] …… 乱数を用いて通路と部屋の組み合わせの、シンプルなマップを自動で作ります。
豆知識
<Fix! 1.3.0>[ロード...]メニューは[サンプルマップのロード...] に変更され、わかりやすくなりました。
[ダンジョン生成]ではAセットの下の方のA4(壁)タイルが壁の側面と上面、A5(通常)タイルが床に使われます。
かなりそれっぽい迷路状のマップを自動で作ってくれるので、そのまま使っても良いですし装飾など改造を施す基礎として利用してもいいでしょう。
[⌃]-[編集]-[マップの設定]にはたくさんの設定項目が並んでいますが、マップデザイン的には[タイルセット][幅][高さ]が関連する設定です。
[プロジェクトの新規作成]を行ったばかりだと、フィールド、外観、内装、ダンジョン、近未来外観、近未来内装の6つの[タイルセット]が用意されています。
[幅][高さ]は最大256×256まで設定できます。
⑤マップビュー
[マップリスト]で選択したマップデータが表示されます。
- 描画ツールから[鉛筆]などのツールを選びます。
- [マップタイルパレット]からタイルを選びます。
- [マップビュー]の好きな場所をクリックまたはドラッグしてタイルを配置します。
ポインタの位置はマップ座標としてステータスバー右に表示されます。
マップ座標はマップの北西を原点(0,0)とするタイル数です。
マップの拡大率は[スケール]メニューの[拡大 ⌘+][縮小 ⌘-][原寸 ⌘0]またはツールバーのボタンで変更できます。
豆知識
[マップビュー]に限らずスクロールに関してはOSの機能によりますが
- スクロールホイールが横方向に対応していれば横方向にもスクロールできます。
- 縦のみのスクロールホイールの場合[⇧ホイール]で横向きにスクロールできます。
- ホイールがボタンになるマウスや3ボタンマウスの場合それら中央のボタンでのドラッグ操作でもスクロールできます。
<Bad!> 多くの作画・作図系のソフトに共通な[spaceドラッグ]によるスクロールはできません。
<Bad!>マップビューのタイルが[タイルパレット]上のどのタイルにあたるかは見た目で判断するしかありません。
つまり、通行設定などのタイル属性が異なっているが同じ見た目のタイルはマップビュー上では確認できないわけで、テストプレイで確かめるまで間違った配置をしていても気づけません。
とくに透明の通行可と不可のタイルは、なかなか原因が特定できないバグを作り出してしまいます。
<Bad!>キーボードのみでの操作はできません。
<Bad!> ゲームプレイ時の表示範囲がマップ上に出ないので、実際にプレイしないとどこまで表示されるかわかりません。
⑥ステータスバー
これまでの説明で、いくつかの機能の説明はしましたが、それらも含めて次のような情報がステータスバーには表示されます。
※マウスポインタがある場所によって表示が変わるので「[タイルパレット]のヘルプ」と「ポインタのあるマップX座標,Y座標」は同時には表示されません。
最後に
以上で[マップモード]でのマップデザインに関わる機能の紹介は終了です。
すぐに[データベース]-[タイルセット]の使い方についても書きます。
また、実際にマップデザインを行う際に使える操作やタイル配置の仕組みなども、別に取り上げたいと思っています。
では、レッツエンジョイ ツクールライフ!
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