『RPGツクールMZ』[レイヤー]-[自動]のヘルプ
ツクールフォーラムアドベントカレンダー Advent Calendar 2021 11日目の記事です。
前の記事は、カルマプレアさんの『2021年500DL未満フリゲ発掘大会に参加した話』です。
次の記事は、 通りすがり犬さんの『データベースコンバーターを活用しよう!』です。
はじめに
『RPGツクールMZ』のマップの製作機能のうち、主に[レイヤー]-[自動]の機能を解説します。
<Nice!>[自動]機能は「とくに考えて配置しなくてもなんとなくいい感じに」レイヤーを選んでくれます。
<Bad!>しかしツクールは[自動]機能に限らず「初心者に優しくしようと工夫した結果、意味のわからない仕様や挙動する変なツール」になってるところがあります。
『RPGツクールMZ』の場合はレイヤーを選択できるので、[自動]を使わずに配置すればなんとかなりますが、『RPGツクールMV』ではこの複雑怪奇なタイルの挙動を把握しないと、思い通りにマップを作るのは困難でした。というか知ってても思い通りにはいきませんでした。
とはいえ『RPGツクールMZ』でも基本的には[自動]を使ってタイルを配置するのがレイヤーを意識せずにすんで楽ではあります。
ということで、[自動]機能によって実際どのレイヤーにタイル置かれるのか、詳細に見ていこうと思います。
読者は[マップモード]の基本的なツールと[ステータスバー]に表示される情報について理解しておく必要があります。
これは関連記事『『RPGツクールMZ』[モード]-[マップ]のヘルプ』に書いてあります。
また、[データベース]-[タイルセット]の内容の理解も必要です。
これは『『RPGツクールMZ』[データベース]-[タイルセット]のヘルプ』に書いてあります。
すでに関連記事で書いたことも繰り返し書いています。大事なことなので…というのもありますが、近い場所に解説があった方が理解しやすいと思ったので、重複しても書いています。
エディタの状態として[モード]-[マップ]、[描画]-[鉛筆] 、[レイヤー]-[自動]を前提とし、他の状態については適宜追加で解説します。
[ヘルプ]-[チュートリアル]、あるいは[ヘルプ]-[目次 F1] の情報もありますが、割とそこに書いてない情報が多い…気がします。ちゃんと確認してない(笑)
タイルセットを使う時ではなく作るときの説明ですが、公式の素材規格の説明#タイルセットの詳細も参考になるでしょう。
豆知識の部分を開くと最初は飛ばしていい細かいことを書いています。ある程度慣れている方はそちらを中心に読むと良いかもしれません。
では、じっくり頭から読むなり、ざっと気になる部分だけ読むなり、お好きにお使いください。
用語
スポイト … [マップビュー]で右クリックをして、タイルをコピーすること。
装飾タイル … [自動]で配置した時に[レイヤー2]に置かれるタイル。
コンボタイル … 2つのレイヤーに特定の組み合わせのタイルが同時に置かれるタイル(とんびさん独自用語)
レイヤー
レイヤー … タイルを重ねて表示する仕組み。透明の板に絵を描いたものを重ねるイメージ。
レイヤーのイメージがわかっていないと、マップ作りはかなり難しくなります。
しっかりタイルの重ね合わせのイメージを持ってマップデザインを進めましょう。
豆知識
『RPGツクールMV』では内部的にレイヤーを持っていましたが、エディタ上では存在が隠されていました。
レイヤーの概念を身につけるのは結構難しく、ホビー向けのツールでは全面に出すことを避けたのだと思います。
ただ、難しいからといって隠したことで、マップエディタの仕様が膨らみ、余計わかりづらくなっている面が大きかった印象です。
(そのややこしい仕様を解説しているのが、このページです)
そのためMVの方針にこだわらず、『RPGツクールMZ』でレイヤー操作をユーザーに解放したのは、非常に良い判断だと言えます。
コンピュータで絵を描いている人なら、レイヤーの概念は持っているはずなので、以前に比べたらレイヤーを受け入れやすい環境になっていると思います。
タイルの取得方法
[マップビュー]にタイルを置くためには、まず設置するためのタイルを選択する必要があります。
選択方法には二種類あって、[タイルパレット]から選択するか、[マップビュー]からスポイトするかです。
タイルパレット
メインウィンドウの左上のタイルが並んでいる部分( ③ )を[タイルパレット]と言います。
下にタブが並んでいるので、それをクリックするとタイルのセットを切り替えられます。
ここで[タイルパレット]をクリックすると好きなタイルを選択できます。
タイルをマウスオーバーした時に、下( ⑥ )の[ステータスバー]に簡単な説明が出る(ものもある)のでタイル選びの参考にできます。
ドラッグして選択すると四角の領域のタイルを一度に複数選択できます。
樹木や窓、彫像など複数のタイルにまたがった画像を選択する場合に便利です。
離れた場所や四角以外での選択はできません。
豆知識
複数タイルを選択した時に[四角形]や[楕円形]で使う場合はドラッグ開始地点に、複数選択の左上タイルが置かれます。
つまり基本的には左上から右下に(↘︎)ドラッグすることを想定しています。
右下から左上に(↖︎)ドラッグすれば、選択時の左上タイルが右下にくることになります。
当然、他の向き(↗︎↙︎)でも選択時と異なったパターンになります。
これを利用すれば、4タイルを選択している場合の異なる組み合わせパターンが作り出せます。
標準の外観タイルセットのBセット真ん中あたりに森用のタイルが用意されています。
これよく見ると①と④、そして②と③は、まったく同じ画像のタイルです。
なんでこんなデータをムダにするようなことをしているのか不思議ですね。
実はこの4タイルを一度に選択して[四角形][楕円形][塗りつぶし]のいずれかで配置することを想定しているようです。
こうすることで、木々が綺麗につながったマップになります。
個人的にはデータがムダなので、上の2つは[☆]設定にして隠し通路にできるようにして、下2つを
④③
③④
とマップ上に並べて、スポイトしてから[四角形][楕円形][塗りつぶし]を使うようにしています。
ツクールにはこういった使い方を知ってると便利だけど、知らないと理解不能な作りが溢れています。
たまたまこの森の使い方には気づきましたが、他にも気づいていないだけで便利な使い方がたくさんありそうです。
ちゃんとヘルプで解説しないと、ユーザは単に「意味わからない、使いにくい」と思うだけです。
別売りの解説本を出すとかでもいいので、ちゃんとそういう部分までフォローしてほしいものです。
スポイト
マップビュー( ⑤ )に置いたタイルは右クリックでスポイト(コピー)できます。
[レイヤー]-[自動]設定時にタイルが複数のレイヤー重なっている場合、重なった状態丸ごとコピーされます。
個別のレイヤーを選択している場合は、そのレイヤーのタイルのみがコピーされます。
[リージョン]編集中のみ[リージョン]がスポイトできます。
<Nice!>スポイトの際も右ボタンでドラッグして複数選択ができます。
豆知識
<Nice!>別のマップでスポイトしたものも配置できます。
スポイトすること前提の作業用マップを作っておくと便利です。
[マップリスト]にある階層の親にあたるマップを作業用に使うと便利かと思います。
別のプロジェクトでスポイトしたものを持ってくることもできます。
マップ範囲外をスポイトすると透明や黒いタイルが取れそうですが、何も起きません。
<Nice!>[自動]の場合に[塗りつぶし]は別レイヤーにタイルがあるとそこで塗り分けが止まりますが、個別のレイヤーを選択している場合は、そのレイヤーだけを対象にするので、とくに地面や壁の種類を入れ替える場合は大変重宝します。
[自動]の時にスポイトした後、個別のレイヤーを指定して配置する場合、常にレイヤー1のタイルが配置されるようです。
スポイトした時のレイヤーに対応したタイルが配置されて欲しいように思います。
タイルの配置方法
[描画]機能には4つのタイル配置ツールが用意されていて、それぞれの操作は次の通りです。
[鉛筆] …… クリックまたはドラッグ。
[四角形] …… ドラッグして範囲指定。
[楕円] …… ドラッグして範囲指定。
[塗りつぶし] …… クリックした箇所のタイルと同じ周辺のタイルに、ペンキを流し込むように配置。
豆知識
複数タイルをスポイトした時に[四角形][楕円]ツールの場合、クリックしても1タイルしか配置されません。ドラッグして範囲を指定する必要があります。
<Nice!>タイルが市松模様のように交互に並んだものを広い面積で配置したい場合、まず4つのタイルを並べ、それをスポイトしたのち[四角形][楕円]あるいは[塗りつぶし]を使えば簡単に、繰り返しパターンのタイルが設置できます。
サンプルマップには交互にタイルが置かれた床や絨毯が多く使われているので、組み合わせの参考になります。
通行設定
マップを製作する際はレイヤーと通行設定の関係も意識しなければいけません。
- 通行設定はレイヤー高層に置いたものが優先されます。
- [☆]通行設定は通行に影響を与えません([通行(4方向)]は無視されます)
- [☆]通行設定のタイルしかない場合は、その場所は通行できません。
豆知識
<New! 1.1.0> Aセットにも[☆]を指定できるようになりました。
上記の性質があるので、[☆]Aセットタイルのみをレイヤー1に設定しても通行できません。
- [☆]Aセットタイルをレイヤー2以上に配置し、レイヤー1に別途通行可のタイルを置く。
- [☆]Aセットタイルをレイヤー1において、2より高いレイヤーに通行可のタイルを置く。
どちらかを行う必要があります。
自動レイヤー配置
『RPGツクールMZ』ではレイヤーを指定してタイルを配置できますが、やはりいちいちレイヤーを指定するのは面倒ですし、極力[自動]で一気に作りたいものです。
その時[自動]で作ったタイルがどのレイヤーに配置されるのかをきちんと理解していると、仕上げの段階などでレイヤーを指定した作業が格段にはかどります。
レイヤー | 説明 |
---|---|
レイヤー4 | B〜Eセット |
レイヤー3 | B〜Eセット |
レイヤー2 | A2領域右側の装飾ブロック |
レイヤー1 | Aセット |
ただし[データベース]-[タイルセット]で設定される通行設定[☆]はプレイヤーより上のレイヤーに、上記の重なり順で置かれます。
B〜Eセット
[自動]モードだとB〜Eセットに共通して、タイルを置く際に次の性質があります。
- パレットのタイルはレイヤー4に配置されます。
- レイヤー3のタイルは消去されます。
- もともとレイヤー4にあったタイルはレイヤー3に押し出されます。
- ただし、レイヤー4にあるものと同じタイルを設置しようとした場合、何も起きません。
またB〜Eセットは[イベント]の画像として指定できます。
逆にいうとAセットは[イベント]の画像に指定できません。
豆知識
『RPGツクールMV』でのB〜Eセットのタイルを重ねた状態でレイヤー3のタイルだけを入れ替えることはできませんでした。
なので上記性質を利用して、2つのタイルを順に配置して今あるタイルを押し出す。
もしくは、いったんBセット左上のタイルで消してから、2つのタイルを重ね直す。
といった分かりづらくかつ手間のかかる作業が必要でした。
『RPGツクールMZ』では…
<Nice!>[レイヤー3]を選択したあと入れ替えたいタイルを置けばいいので、圧倒的に楽になりました!
<Nice!>[レイヤー2]を利用すれば、B〜Eセットのタイルを3つ重ねることができます!
<Nice!>[遠景]を地面として使う場合や、透明部分のないタイルを置くなら、[レイヤー1]を使ってB〜Eセットのタイルを4つ重ねられます!!
同じタイルセットを使っても、表現力が段違いに上がったと言えるでしょう。
タイルを[イベント]に設定した場合には、通行設定などが引き継がれたりします。
この辺りはまた複雑な挙動をするので、また機会があれば。
A2領域Bブロック
右側の赤い部分がBブロックです。
[自動]モードだとA2領域右側のBブロック(装飾ブロック)に共通して、タイルを置く際に次の性質があります。
- パレットのタイルはレイヤー2に配置されます。
- レイヤー1のタイルは変更されません。
- レイヤー3と4のタイルは消去されます。
公式の素材規格の説明#タイルセットの詳細A2(地面)の部分に説明があります。
豆知識
この領域の[カウンター]設定のオートタイルは特殊な挙動をして、1つ南側のタイルにテーブルの足に当たる部分が描かれます。
ちょっと意外な感じがしますがA1領域(水域)のタイルの上にも置けます。
海に山が突っ込んでたり、水の上に柵や木があると、ちょっと他のゲームとは違う雰囲気が出せます。
<Nice!>『RPGツクールMV』ではレイヤー2にはコンボタイルとA2領域Bブロックという特殊なタイルしか置けなかったのですが、『RPGツクールMZ』ではレイヤー2をユーザが自由に選択できるので、マップづくりの選択肢が大きく広がっています。
Aセット
コンボタイルとA2領域Bブロック以外のAセットのタイルの性質です。コンボタイルについては後で説明します。
[自動]モードだと共通して、タイルを置く際に次の性質があります。
- パレットのタイルはレイヤー1に配置されます。
- レイヤー2、3、4のタイルは消去されます。
豆知識
『RPGツクールMV』では、B〜Eセットを使ったレイヤー3、4のタイルを配置した後にレイヤー1、2のタイルを変更しようとすると、高層のタイルが消去されてしまうので、新規に作るのと変わらない労力がかかっていました。
<Nice!>『RPGツクールMZ』では、個別の[レイヤー1]や[レイヤー2]を選択すれば、他のレイヤーに影響を与えずにタイルを置けるので、圧倒的に楽になりました!
とくに[塗りつぶし]で一気に変更できるので、気軽に床や絨毯のタイルを入れ替えて雰囲気を見てみたり、改造して別のマップとして利用するのが簡単になりました。
個人的にMVではなくMZを使う最大の理由と言っても過言ではありません。
コンボタイルのレイヤー配置
タイルパレットから選べるタイルのうち、2つのレイヤーに同時にタイルが置かれるものをコンボタイルといいます。
公式のヘルプを読んでも、なかなか2つのタイルが同時に置かれているということを理解するのは難しいと思います。
コンボタイルには共通して次の性質があります。
- レイヤー1、レイヤー2同時にタイルが置かれます。
- パレットで選択したタイルはレイヤー2に配置されます。
- 加えてレイヤー1に組み合わせ用のタイルが配置されます。
- レイヤー3と4のタイルは消去されます。
レイヤー1の組み合わせ用のタイルの種類が違うブロックがいくつか存在するので、次から解説します。
豆知識
[自動]ではなく個別のレイヤーを選択した場合は、2タイルの組み合わせではなく高層のタイルのみが置かれます。
また個別のレイヤーを選択してスポイトしたのち[自動]にすると、スポイトしたタイルのみがスポイトしたレイヤーに配置できます。
<Nice!>『RPGツクールMZ』ではこれらの性質を利用して、[自動]の制約を気にせず好きな組み合わせでタイルを置けます。
[フィールドタイプ]A2領域左側の2列目4列目
赤い部分が2つのレイヤーに同時にタイルが置かれるコンボタイルです。
[自動]モードだと[タイルセット]が[フィールドタイプ]の場合A2領域の左側の2列目4列目に共通して、タイルを置く際に次の性質があります。
- レイヤー1、レイヤー2同時にタイルが置かれます。
- パレットのタイルはレイヤー2に配置されます。
- パレットのタイルの、左隣のタイルがレイヤー1に置かれます。
- レイヤー3と4のタイルは消去されます。
公式の素材規格の説明#タイルセットの詳細にあるブロックA(フィールドタイプ)の部分に説明があります。
豆知識
コンボタイルを置いた部分に対してA2右側の装飾タイルを設定するとタイルの種類が変わってしまいます。
『RPGツクールMV』ではレイヤーの状態を確認する手段がなかったので、相当奇妙な挙動に感じました。
『RPGツクールMZ』ではレイヤーの状態が簡単に確認できるので、これは単に[レイヤー2]のタイルが入れ替わっているだけ、ということが理解できます。
A1領域のCブロック
赤い部分が2つのレイヤーに同時にタイルが置かれるコンボタイルです。
A1領域のCブロックと言われてもわからないでしょうが、標準のタイルセットの[フィールド]だと[岩礁]や[氷山]のタイルです。[エリア]でも同じ位置の[蓮の葉]や[水草]のタイルがCブロックです。
これが[自動]モードだと、次のような性質があります。
- レイヤー1、レイヤー2同時にタイルが置かれます。
- パレットのタイルはレイヤー2に配置されます。
- [タイルパレット]左上のアニメーションタイル(Aブロック)がレイヤー1に置かれます。
- レイヤー3と4のタイルは消去されます。
公式の素材規格の説明#タイルセットの詳細A1(アニメーション)』の部分に説明があります。
豆知識
Cブロックのタイルもレイヤー2のタイルを単独で使えるので、陸上に[岩礁]や[氷山]を直接置けます。
あまり使われていないテクニックなので、ツクールのゲームをたくさんプレイしている人には、割とインパクトのあるマップが提供できます。
A1領域のBブロック
赤い部分が2つのレイヤーに同時にタイルが置かれるコンボタイルです。
A1領域のBブロックと言われてもわからないでしょうが、標準のタイルセットの[フィールド]だと[深い海]のタイルです。[エリア]でも同じ位置の[深い水場]のタイルがBブロックです。
- レイヤー1、レイヤー2同時にタイルが置かれます。
- パレットのタイルはレイヤー2に配置されます。
- [タイルパレット]左上のアニメーションタイル(Aブロック)がレイヤー1に置かれます。
- レイヤー3と4のタイルは消去されます。
Cブロックとほぼ同じ性質ですが、Bブロックはレイヤー2の部分もアニメーションします。
豆知識
コンボタイルでは繰り返し同じようなこと書いていますが、要はレイヤー2のタイルのみを使うこともできるのです。
ですからBブロックの場合は、陸上にいきなり深海を出現させることができます。
[自動]だと砂浜を挟まないと海が置けなかったわけですが、単独で[深い海]を使うと草原や氷原にいきなり海が置けるのです。
Bブロックはアニメーションするので、境界面がゆらゆら動いて面白いですよ。
<Bad!>標準のタイルセットの Outside_A1.png のBブロックに関しては、タイルが全面使われています。データ的にはレイヤー1に隣のタイルが配置されるのですが、見た目としてはレイヤー2のタイルに隠されて表示されません。
なので、A2領域のBブロックを設定するとレイヤー2のタイルは消えますし、当然レイヤー2に直接何か配置しても消えてしまいます(左)
[レイヤー1]を選択した状態でBブロックのオートタイルを配置した後、[自動]でA2領域Bブロックを配置すればオートタイルの表示が乱れることはありません(右)
個人的に、この理屈を知らないときは、置いた覚えのないタイルが突然出てきて混乱しました。
Bブロック左上
赤い部分が2つのレイヤーに同時にタイルが置かれるコンボタイルです。
消しゴムがわりに使用するBブロック左上のタイルは、レイヤー3と4の特殊なコンボタイルです。
使用するとレイヤー3と4のタイルが同時に消えます。
豆知識
『RPGツクールMV』ではレイヤーを選択できなかったので、一度レイヤー1か2にタイルを置いてしまうと、[遠景]が見えるようにするには、A5領域の左上あたりにある透明タイルが必要になりました。
ちなみに透明な部分をスポイトして使えばいいので、もし全面タイルで埋まっていても、他のマップからスポイトしてくればよく、必要ないといえば必要ないタイルでした。
『RPGツクールMZ』ではレイヤーを任意に選択できるので、Bブロック左上をレイヤー1に配置可能です。
そうなるとA5の透明タイルは不要ですから、通行設定を[○]にして通行可能な透明部分として利用する方がいいかもしれません。
高いレイヤーの通行判定が優先される性質を利用すれば、隠し通路などか作れます。
<Bad!>ただし、マップビューの見た目では通行できるタイルが置いてあるのかどうかわからないので、不要なマップバグを生んでしまう原因となりかねません。
そうなると、dataフォルダにあるMapXxx.jsonファイルを直接編集しないとバグの除去ができないという事態になます。
あとは、どっちにしろ力技ですが、タイル画像を加工して透明部分に何か描くか。
コンボタイルと書きましたが、Bブロック左上は正確には「タイルがない」という状態です。
その証拠に、Bブロック左上を選択して、レイヤー1に配置すると通行できません。
高いレイヤーに配置したものほど通行設定が優先されるというルールを適用するなら、高いレイヤーに置いた時に通行できたならレイヤー1に置いた時にも通行できて良さそうですが、「タイルがない」という判定になり通行できないのです。
タイルのIDは普通4桁の整数なのですがBブロック左上は0なので、透明部分は極力Bブロック左上を使った方がデータが軽くなります。
みみっちいようですが、大量にID4桁の透明タイルを使用しているとバカにならない大きさになります。
極力透明タイルではなくBブロック左上を使って透明な部分を埋めましょう。
なおマップを[新規]で作った状態では、すべてのタイルに0のデータが入っています。
イベントも含めたレイヤー
マップを製作する際は先ほどのタイルのレイヤーに加え、[イベント]などのレイヤーを意識すると、より緻密なマップ作りができます。
表の上の方が高層、下に行くほど低層のレイヤーです。
種類 | 説明 |
---|---|
イベント | プライオリティ[通常キャラの上] |
レイヤー4 | 通行設定[☆] B〜Eセット |
レイヤー3 | 通行設定[☆] B〜Eセット |
レイヤー2 | 通行設定[☆] 装飾ブロック |
レイヤー1 | 通行設定[☆] Aセット |
イベント | プライオリティ[通常キャラと同じ] |
イベント | プライオリティ[通常キャラの下] |
レイヤー4 | 通行設定[○][×] B〜Eセット |
レイヤー3 | 通行設定[○][×] B〜Eセット |
影レイヤー | [ツール]-[影ペン]の影が置かれる |
レイヤー2 | 通行設定[○][×] 装飾ブロック |
レイヤー1 | 通行設定[○][×] Aセット |
豆知識
プライオリティ[通常キャラと同じ]の通常キャラには、プレイヤーキャラ、隊列キャラ、[飛行船]を除く乗り物があります。
[飛行船]は着陸時に[通常キャラの下] 、飛行時は[通常キャラの上]に配置されます。
また標準プラグインの OverpassTile.js を使い立体交差の上を通行するときは[通常キャラの上]に移動しています。
<Bad!>立体交差の上では[☆]タイルより上にキャラがあるわけですから、キャラをタイルの後ろに表示する方法がありません。
立体交差で橋を作った場合にキャラの手前に手すりタイルを表示する、ということはできないのです。
(いちおうタイルではなく[イベント]を使えばキャラの手前に何か表示できますが)
これら[イベント]があるレイヤーはY軸(画面縦方向)を基準に重ね合わせが行われていて、南にあるものほど手前(高層)に表示されます。
表を見てわかるように[イベント]はタイルのレイヤーの間に配置することはできません。
レイヤー4と[☆]レイヤー1の間か、[☆]レイヤー4の上に限定されています。
多少不自由ですが、そこまで問題になることもないと思います。
表を見るとわかるように[影ペン]はレイヤー2と3の間にあります。なので影の上であるレイヤー3と4には[影ペン]を使っても影がつきません。
つまりB〜Eセットに影を乗せたい場合は、[レイヤー1]か[レイヤー2]を選択してタイルを配置する必要があります。
とはいえ、その手間をかけてまで影をつける必要はほとんどないと思いますので、いちおう影をつける方法はあるくらいに思っておけばいいでしょう。
実際にゲームを実行する場合には、マップの他に、天候、タイマー、マップ名表示、ピクチャ、フキダシ、アニメーション、飛行船の影が重なります。
…クラクラしますね。
余談ですが飛行船より高いレイヤーに飛行船の影はあります…なぜ?
<Bad!>ステータスバー右のレイヤー表示からはレイヤーを選択できません。
<Bad!>[☆]は実際はレイヤー4よりさらに高くプレイヤーキャラより高い層に描かれるのに、エディタで配置する際には[○][×]と同じレイヤーに配置するので混乱します。
ちなみに、[○][×]のレイヤーと[☆]のレイヤー合わせて8レイヤーあるから8タイルを重ねられそうですが、同じ位置に設定できるタイルの上限は4つです。
<Fix!>『RPGツクールMV』では[☆]設定のタイルがエディタ上ではゲーム実行時と同じ表示にならず、重ね合わせ順が入れ替わっていることがありました。
[イベント]は『RPGツクールMZ』でもエディタではタイルの上に表示されます。
ゲームプレイ時と同じ表示にして欲しい気もしますが、[イベント]の場合は見落としてしまうことの方が問題になりそうです。
もはや「豆知識」レベルではないですが、JavaScriptレベルでの重ね合わせは、RPGツクールMZ 非公式JavaScriptリファレンス Sprite#重なりの優先度あたりをご覧ください。
最後に
以上で[レイヤー]-[自動]の紹介は終了です。
あまりに複雑なので、ここで紹介したうちのいくつかは「まず確実に」僕の理解が間違っていると思います。
ここ間違っとんぞー、と思ったらコメント欄などで指摘ください。
また、個別のレイヤーでスポイトした後に[自動]で配置する場合の動きが、今ひとつよくわからず、きちんと説明できませんでした。
これについても、こういう挙動しているのでは?という意見があればコメント欄などにどーぞ。
[自動]設定は、基本的には初心者がレイヤーを意識することなくマップが作れるように配慮して、その仕様が決定されているものと思います。
なので、感覚が合えば息をするように自然に使えるんじゃないかと思うんですが、個人的には『RPGツクールMV』購入直後は謎だらけの挙動にキレ散らかしていたのを覚えています。買って2年近く放置した原因の1つなのは間違いありません。
大抵の挙動は『RPGツクールMZ』でレイヤーが導入されて確認できるようになったので、かなりのストレス軽減になりました。
では、レッツエンジョイ ツクールライフ!
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