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ハッカソン初心者がハッカソンを主催したら、複数の作品が多くの賞を受賞した話

2023/05/07に公開

ハッカソン初心者がハッカソンを主催

私は精神科医で、在宅医療を中心としたクリニックを運営しています。

本記事内容とはあまり関係ありませんが、少し前にはChatGPTを使って論文の要約メールを毎日届ける仕組みについてツイートしバズるという経験をしました。

また、もともと認知症を専門としているなかでプログラミングを学び始め、テクノロジーを活用して認知症フレンドリーなまちづくりを加速させたいと考えるようになり、認知症フレンドリーテックというコミュニティを作ることにしました。
過去の経緯については、こちらのZenn記事をご覧ください。

https://zenn.dev/tarocl/articles/73efb5a39fafba

そしてこのコミュニティを盛り上げるべくハッカソンを行いたいと考えたのですが、私自身は身内のハッカソンに一度参加しただけの初心者!どうなることかと思いましたが、多くのサポートをえることでハッカソンを無事に主催することができました。
しかも、このハッカソンで生まれた複数のプロダクトが、ハッカソン後のコンテストでも多くの賞を受賞し、新聞の取材も複数入るなど大きな注目を集めました。

8月5、6日には第二回ハッカソンを開催することになったのですが、その前に第一回を振り返るべくこの記事を書いています。

https://dementia-friendly-tech.connpass.com/event/282971/

ハッカソン当日の運営

第一回ハッカソンは2022年9月24、25の土日で開催しました。(振り返り記事を書くのに、ずいぶん間があいてしまいました、、)
Zoomを用いたハイブリッド開催とし、現地は福岡市のエンジニアカフェでした。
エンジニアカフェは、イベントを行うのに基本的に会場費はかからずさまざまなデバイスも使い放題という、夢のようにありがたい施設です。

https://engineercafe.jp/ja/

また、私自身がハッカソン初心者ということもあり、LINE Developer Group Q-shuの皆さんが運営をサポートくださり、事前にアイデアソンやハンズオンイベントも開催しました。

さらに、初日午前のチームビルディングとアイデアソンでは、私がプログラミングを学んだコミュニティでお世話になった、一般社団法人MAの伴野さんにファシリテートいただきました。

ハッカソンで生まれたプロダクトたち

ここからは、実際に作成されたプロダクトを紹介します。

想起-SOBA

一つ目の作品は、「想起-SOBA」 です。

https://protopedia.net/prototype/3378

認知症といえば記憶障害というイメージが多くの方にあると思います。
この、記憶したことを思い出す(想起)ことを助けるための「あなたの側(そば)に頼れる記憶パートナーアプリ」が 「想起-SOBA」 です。

LINE通知やリッチメニューから思い出をメッセージや写真で投稿
アプリは投稿されたメッセージや写真を解析し、応答メッセージを返す
その後、不定期にLINEからメッセージが送られてきて思い出を想起することを助ける
という仕組みになっています。

この作品は、ハッカソン参加者からの最多得票を集め、認知症フレンドリーテック賞に輝きました。

なかまのなかま

二つ目の作品は、「なかまのなかま」 です。

https://protopedia.net/prototype/3380

LINEチャットボットの入力情報と、ビーコンによる位置情報を活用して、地域資源情報をもとに、ユーザーの地域との出会い直し(つながりづくり)から”もしもの備え”を支援するアプリになっています。

アイデアの起点は、福岡県中間市職員であるなかまのなかまSCさんで、日頃から集めている地域資源情報をデジタル化し多くの人が利用しやすい形にしたいという思いがベースになっています。

この作品は、エンジニアフレンドリーシティ福岡 Engineer Driven Day Progate賞、ヒーローズリーグ2022のLINE API ヒーロー賞とenebular賞を受賞しました。

お願いマイコンシェル みかんちゃん

三つ目の作品は、 「お願いマイコンシェル みかんちゃん」 です。

https://protopedia.net/prototype/3375

こちらは、若年性アルツハイマー型認知症の当事者に寄り添いながら本人が仕事を続けられるように、出勤前の持ち物チェックをしつつ記憶面や精神面をサポートしてくれるためのコンシェルジュです。
開発の段階で認知症当事者にインタビューを行い、こまやかなペルソナが設定されていました。

この作品は、福岡市認知症支援課の笠井課長が選ぶ 認知症フレンドリーテック笠井賞を受賞 しました。

L Tag

四つ目の作品は、「L Tag」 です。

https://protopedia.net/prototype/3379

NFCタグを身の回りのアイテムに貼ることで、未来に読み込んだ人にメッセージを残せるサービスです。
NFCとLINEを連携することで、「かざす」だけで、サービスが使えるという究極の手軽さが実現されています。

開発の中心者であるようかんさんは、ハッカソン開始後にNFCを使用するためAndroid端末を買いに行くところからはじめていたのが印象的でした。

この作品は、エンジニアフレンドリーシティ福岡 Engineer Driven Dayのプロダクト開発部門EFC AwardとGMOペポパ賞に輝きました。

しりとりばりぐっどくん

五つ目の作品は、 「しりとりばりぐっどくん」 です。

https://protopedia.net/prototype/3377

あの有名なばりぐっどくんの中の人が参戦し、作成されたプロダクトです。

しりとりが認知症の進行を遅らせる効果があるという論文を引用し、手軽にしりとりを楽しめるアプリを実装されています。

さいごに

第一回ハッカソンの様子は、こちらのYoutubeでもご覧になれます。

https://www.youtube.com/playlist?list=PLoITlN55Wjc2PVrGtq9WFMrW-bbpZgK84

第一回ハッカソンは、共同通信社に取材いただき全国20をこえる地方紙に記事が掲載されました。

https://www.zakzak.co.jp/article/20221229-QQBE6TQDXBLXDIZGD3JQZENHDQ/

また、医療ITをドライブするウェブメディアであるMed IT Techさんでも特集記事を組んでくださるなど、注目度の高さに驚きました。

そして、はじめにもお書きしましたが、8月5、6日に第二回ハッカソンを開催することになりました。

https://dementia-friendly-tech.connpass.com/event/282971/

第二回ハッカソンでは、はじめのインプットの時間に、書籍『MCI・認知症のリハビリテーション | Assistive Technologyによる生活支援』の著者である安田清先生からお話しいただきます。
(この書籍の書評はこちら。)

今回のハッカソンでも、初日のチームビルディングとアイデアソンは伴野さんにファシリテートいただけることになりました。
このため、 「明確に作りたいものはないけどハッカソンに参加したい」という方も大歓迎です。
ChatGPTなどの生成系AIの進歩も著しいなかで行うハッカソンであり、どういったプロダクトが生まれるのか私自身とても楽しみにしています。

ハイブリッド開催ですので、どこからでも参加可能です。
たくさんのエンジニアにご参加いただけることをお待ちしています!!

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