続いては勉強するのは楽しいけれど仕事に活かせるか微妙な技術です。
この分類の中でも技術は内容によっては「将来的に仕事に活かせる可能性があるもの」「将来的に仕事に活かせる可能性がほぼ無いもの」に分かれます。極力前者を学習しましょう
将来的に仕事に活かせる可能性がある技術
今の仕事に直接は関係しなくても、将来的に関係性が高まりそうな技術は学ぶべきだと思います。
一つ例を挙げます。
私は主にデスクトップでローカルで動かすソフトウェア/ハードウェアを開発が主な業務です。
ただ、昔からプライベートでは気まぐれにWeb関連の技術(HTML/CSS/Javascript/Vue/React/Django等)を勉強していました。
Webについての業務は一切ありませんでしたが、私がweb関連の技術を学んだ理由は下記の通りです
- web技術は「OSに関係なく単一コードで共通したGUIを提供する」という事を実現できている数少ない技術。今後、業務で使っているデスクトップ向けのGUI技術がWeb技術ベースのものに移り変わったり、GUIをWebサイト形式で提供してほしいというニーズが高まる可能性は高い
- Webエンジニアは(多分)一番人口が多い。人口が多い分野からはより優れた技術が生まれやすい/ドキュメントも整備されているので学習しやすい/トラブルにはまっても大抵他の人が先に経験してWebに解決策がある可能性が高い(=学習コストが低い)
最近、Webサイトの開発案件が2件発生しました。社内で初めてのWeb案件です。事前に学習していた内容を活かして特に問題なく納品までこぎつけました。
今は仕事に使えなくても、将来的に仕事で活かせる可能性が高そうな技術や学習コストが低い技術は積極的に勉強しましょう。
将来的に仕事に活かせる可能性がほぼ無い技術
私は以前、京極夏彦や水木しげるにハマっていて「👹妖怪」について多少勉強していた時期があります。
その時の私の仕事は半導体業界での設計の仕事でした。
当然、妖怪の知見が仕事に活きることはありませんでした。
ただ、このようなネタであっても勉強しないよりはマシかもしれません。
「最適化問題」という数理問題があります。AIの学習を行っている人ならなじみがあるかと思います。ロスと最適化関数の事です。
現状を改善するには周辺を観察してロスが少なくなる方向へ遷移することが有効です。これを「局所最適化」などと言ったりします。
局所最適化を行うことで状況は改善しますが、そのようにして得られた局所的最適解が本当の意味でベストな解である保証はありません。全然異なる手法でもっと優れた買いが存在する可能性があります(大域的最適解)。
局所最適化だけだと生まれない大きなイノベーションもあり得るという事です。
この手の勉強は、いわゆるGoogleの「20%ルール」「生物多様性」や「イノベーションのジレンマ」「攻殻機動隊でトグサを9課に採用した理由」などに通じる話だと思います。
草薙が彼を引き抜いた理由が語られる。
曰く、「戦闘単位としてどんなに優秀でも、同じ規格品で構成されたシステムは、どこかに致命的な欠陥を持つことになるわ。組織も人も、特殊化の果てにあるのは緩やかな死」
(=画一化された集団は何かのアクシデントで全滅する可能性があるため、多様化を目的としてあえてほぼ生身であるトグサを選んだ)。
(Wikipedia「トグサ」のページより引用)
注意点としてはこのような勉強が本当に将来役に立つかは誰も保証できないという事です。Googleと同じようにせいぜい全体の勉強の2割程度に収めるのがいいでしょう。
また、他にもメリットはあります
- 勉強を行うという習慣付けや勉強法の改善に役立ちますし、仕事以外のプライベートでの活用もあり得るかもしれません(同じ趣味での人とのつながりの形成等)
- 何事であっても極めれば価値が生まれます。そのようにして極めた事が新しい仕事になる可能性が無いことはないです。(このようなケースは本書の対象外のためこれ以上は記載しません)