技術の賞味期限
これまで述べてきた技術の4分類に加えて勉強ネタの選別に際しての重要な要素として「技術の賞味期限」があります。
ここでの「賞味期限」とは仕事に活かせるかどうかを意味します。
- 仕事に活かせる技術=鮮度がある
- 仕事に活かせない技術=賞味期限切れ
1つ例を挙げると、🌲木材加工の分野ではかつては「木の節」は嫌われ者でそれを避けて製品を作るという技術に価値がありました。しかし、近年、木の個性を楽しむ風潮が高まり木の節も嫌われ者ではなくなってきました。木の節を避けるという技術の価値が下がり、木の節を生かす技術の価値が上がって来た訳です(元ネタ)。
諸行無常・盛者必衰
このように時代や業界や企業の状況など、様々な要因によって価値のある技術はどんどん移り変わります。
また、超長期的に見ればどんな技術でも賞味期限切れを迎えると思っておいた方がいいでしょう。
例えば、2021年現在で人気のJavaScriptフレームワークReact.jsですが、100年後に仕事でつかえる最善の技術だと思いますか?
「諸行無常、盛者必衰の理」という訳です。
技術の賞味期限の目利き
技術に賞味期限があるのであれば、学習する技術はできるだけ賞味期限が長いものを選びたいところです。
食品であれば賞味期限が明記されているのでいつまで食べられるかが分かりますが、技術の場合はそういう訳にはいきません。
今日隆盛を誇っている技術があと何年その状態を維持できるかは推測するしかありません。
エンジニアにとってどの技術がどの程度の賞味期限なのかを見分ける能力は非常に重要になってきます。
技術トレンドの予測は株価の予測と似ており、総合的な判断に頼らざるを得ません。
具体的には下記のような道具を使うことになるでしょう(これら以外にもいろいろあると思います)
- 各種指標(GitHubのStar数、Google Trend、Stackoverflow Trend、定例報告(State of JavaScript等)、Survey論文等)
- 主要な企業・組織(GAFAなど)が参画・利用しているか
- SNS等(Twitter/Qiita/Zenn/Booth出版物等)でよく目にするか
- より優れた技術が出てきていないか
- メンテナンスが頻繁に行われているか/関連するドキュメント・記事を見つけやすいか
裏技
また、賞味期限に関する裏技として、「学校で学んだ内容は比較的賞味期限は長い」という事が言えます
(歴史の年号や道徳教育など必ずしも当てはまらないものも一部あります)
そもそも学習者の教養として学ばせることを意図して策定された内容なので、数年で陳腐化するような内容は選ばれにくいです
- プログラミング教育における特定の言語の利用など、学習に際して比較的賞味期限が短いと思われるツールを使うこともあるとは思います。しかし、そのツールの習得自体が目的ではありません。その学習を通して学んだ事(プログラミング言語であればプログラムを組む時の考え方等)自体は長い賞味期限を有する可能性が高いです
また、学問において新たな発見があったとしても、以前に学んだ内容が必ずしも陳腐化するわけではありません。
量子力学が開拓されたからと言ってニュートン力学の価値が損なわれるわけではないのです。
このように、賞味期限の面では優秀な学校の教材ですが、問題が一つあります。
学校で学ぶような内容は面白くないと感じるものが多いのです。
もし学校で教えていることで面白いと感じるような物事があれば、積極的に学ぶのがいいでしょう(ただし、あまりにも仕事からかけ離れているものはある程度優先順位を下げて学んだ方がいいかと思います)