キャリアプランは“仮”でいい。メンバーと未来を話すためのヒント
まずは自己紹介
ナレッジワークでエンジニア組織の仕組み作りなどを担当しているsedoと申します。
Enablement Groupという部署に所属していて、社内のプロジェクト管理の仕組みを整えたり、社外への情報発信イベントの運営サポートなどをしています!
前職は、ヤフー(現LINEヤフー)に所属しており、そこでEM(エンジニアリングマネジャー)を担当していました。
ヤフーといえば1on1に力を入れていて、自分もたくさんの1on1を経験し、そこで学んだことの一部をこの記事に書いていきます。
自分のキャリアも曖昧なのに、メンバーの未来なんて描けるの?
マネージャーをしていると、「この人のキャリアって、どう考えたらいいんだろう?」と悩むこと、ありませんか?
僕はよくありました。
正直、自分のキャリアだってまだ手探りなのに、他の人の未来をサポートするなんて…と思ったことも何度もあります。
しかも、「キャリアプランを考えるのもマネージャーの仕事」と言われても、
具体的にどうやればいいかなんて、誰も教えてくれないんですよね。
でも、そんな中で一つの気づきがありました。
キャリアプランは完璧じゃなくていい。“仮”でいい。
“仮”のプランがあるだけで、メンバーと未来の話ができるし、不安を少し和らげることもできる。
今回は、そんな「仮のキャリアプラン」の考え方と、僕が実際にやっているヒントをまとめてみます。
完璧じゃなくていい。「仮の地図」を一緒に描いてみる
未来をきっちり決めるのって、誰にとっても難しいです。
むしろ、「5年後にどうなりたい?」なんて聞かれても、ピンと来ない人の方が多いはず。
だからこそ、僕は仮の地図くらいがちょうどいいと思っています。
- 今、どんな強みがあるか
- どんな仕事が向いていそうか
- どんな役割がフィットしそうか
そんな今の延長線上でいいから、
「こういう未来もありそうだよね」と話すことが、キャリアを考える第一歩になります。
仮のキャリアプランを考える3つのヒント
1. 観察する 〜強みは「当たり前」に出る〜
仮のプランを描くには、まずその人の素材を知ることが大事です。
とはいえ、特別なことをする必要はありません。
普段の仕事ぶりを少し意識して見るだけで、強みは自然と見えてきます。
見るべきポイント:
- MTGでの様子:発言、準備、フォローの動き
- 仕事の進め方:丁寧?スピード重視?独自の工夫?
- 成果の出し方:どこにこだわっている?何を大事にしている?
実際の体験:
あるメンバーは、既存のやり方に沿って確実に進めるのが得意なタイプでした。
新しい方法を考えるのは苦手そうでしたが、決まった手順の中で、
より効率的に進める工夫をしてくれたり、着実に成果を出してくれる人でした。
僕はその人に、「こういう進め方、すごく信頼してるよ」と伝えたうえで、
「もっと型を持っておくと、さらに力を発揮できそうだね」と、
型を活かすキャリアを一緒に考えました。
2. モデルを探す 〜似た人の未来からヒントを得る〜
「未来を描くのが難しい」と感じたときは、似た特性を持った人のキャリアを参考にするのも一つの方法です。
- 過去に見たことがある、似たタイプの人
- 自分自身の経験
こんな問いかけが役立つ:
- 「この人、前の〇〇さんにちょっと似てるかも?」
- 「自分だったら、この強みをどう活かすかな?」
ゼロから考えなくていい。既にあるものから組み立てればOKです。
3. 仮説を伝える 〜“仮”だからこそ、話せる〜
未来像を伝えるときは、「仮だけどね」と枕詞をつけるだけで、すごく話しやすくなります。
- 「なんとなく、こういう方向もありそうだなと思って」
- 「似たようなタイプの人が、こんなふうに活躍してたよ」
正解を押し付ける必要はありません。
「仮の話」として伝えるからこそ、相手も気楽に受け取れて、
「そうかも」「違うかも」と、自分なりに考えるきっかけになります。
仮のキャリアを「動き」にする 〜仕事をアサインするという支援〜
ここまでで仮のキャリア像が見えてきたら、次に大事なのは、
「そのキャリアを実現するための一歩目」を踏み出すサポートをすることです。
仕事を通じて、キャリアは現実になる
仮に描いたキャリア像があっても、それを行動に移せなければ、ただの夢で終わってしまいます。
だからこそ、マネージャーとして、「この人にはこういう仕事が合っているかもしれない」と考えたら、
実際にその方向に近い仕事を任せてみるのが大事です。
- 「仮の地図」を試せるような小さな仕事を探す
- 成功体験を積んでもらえるよう、フォローもする
もしチームに仕事がなかったら?
「良い感じの仕事がうちのチームに無いんだよな…」ということもあります。
でも、そういうときこそ、マネージャーの出番です。
- 他のマネージャーに相談して、横のつながりで仕事を探す
- 上司に働きかけて、適したプロジェクトをつくる・紹介してもらう
チームを超えて、環境を整えるのはマネージャーだからこそできること。
キャリア支援は「考えて終わり」じゃない
キャリアを考えるだけでは、意味がありません。
行動に移すための「仕掛け」をつくってこそ、本当のサポートになります。
- 仮の地図を描く
- その道を実際に歩き出せるよう、仕事をアサインする
- 必要なら、周囲を巻き込んで道をつくる
こうして、キャリアが少しずつ現実になっていくんです。
キャリアプランは“仮”でいい。話すことがスタートになる
キャリアをきっちり決める必要はありません。
まずは、今ある情報だけで「仮の未来」を描いてみる。
それが、メンバーの不安を和らげ、自信を持つきっかけになります。
そして、こうした対話は、自分自身にも返ってきます。
「自分だったら、どんな仮の地図を描くだろう?」と、自然と考えるようになるんです。
あなたも、“仮”のキャリアを話してみませんか?
キャリアは、一人で考えると難しい。
でも、誰かと一緒に“仮”の地図を描くなら、少しだけ前に進める気がしませんか?
まずは、「この人、こういうところ得意だな」と思うところを観察してみてください。
その先に、自然と未来の話ができる瞬間がやってきます。
最後にちょっと紹介
他にも以前に私が投稿した記事を紹介しておきます。ご興味あれば読んでみてください。