【マネージャー必見】1on1の質問、もう困らない!部下の本音と成長を引き出す「3つの問いかけ術」
まずは自己紹介
ナレッジワークでエンジニア組織の仕組み作りなどを担当しているsedoと申します。
Enablement Groupという部署に所属していて、社内のプロジェクト管理の仕組みを整えたり、社外への情報発信イベントの運営サポートなどをしています!
前職は、ヤフー(現LINEヤフー)に所属しており、そこでEM(エンジニアリングマネジャー)を担当していました。
ヤフーといえば1on1に力を入れていて、自分もたくさんの1on1を経験し、そこで学んだことの一部をこの記事に書いていきます。
ちょっと紹介
前回、投稿した「1on1を劇的に改善!エンジニアの成長を加速する対話のコツ」が多くの方に読んでいただき、非常に嬉しい気持ちでいっぱいです。
この記事を読む前に読んでいただくと効果的なので、ご一読ください。
その1on1、「最近どう?」だけで終わっていませんか?
マネージャーの皆さん、日々の業務に加え、メンバーとの1on1、お疲れ様です。
さて、その1on1ですが、「最近どう?」「特に困っていることはない?」といった定番の質問から始まり、表面的な会話や業務の進捗確認だけで時間が過ぎてしまう…ということはありませんか? 時には、会話が途切れて気まずい雰囲気になってしまうこともあるかもしれません。
「もっとメンバーの成長に繋がるような、深い対話がしたい」
「本音を引き出して、的確なサポートを提供したい」
このように考えているマネージャーは多いはずです。しかし、いざとなると「どんな質問をすれば良いのだろう?」と悩んでしまい、結局いつも同じような形式に落ち着いてしまう…という声もよく聞かれます。
もし、あなたがこうした状況に心当たりがあるなら、この記事がお役に立てるかもしれません。今回は、あなたの1on1の質を高め、メンバーの思考を深め、本音と成長を引き出すための「3つの問いかけ術」 をご紹介します。これを読めば、もう1on1の質問に悩む時間は減るはずです。
なぜ「引き出す質問」が部下の成長に繋がるのか?
私たちは、メンバーの成長を願うあまり、つい具体的なアドバイスや指示を与えたくなるものです。しかし、多くの場合、課題解決の糸口や、本人がまだ気づいていない可能性は、メンバー自身の中に存在しています。
効果的な質問は、メンバーが自らその「答え」や「気づき」に到達するための、いわば触媒のような役割を果たします。良い質問を投げかけることで、
- メンバー自身が深く考え、内省する機会を作る
- 新たな視点や選択肢に気づかせ、視野を広げる手助けをする
- 「自分で考え、行動する」という主体性を育む
といった効果が期待できます。つまり、マネージャーの重要な役割の一つは、「答えを教える」ことだけでなく、メンバーが自ら答えを見つけ出すプロセスを「支援する」 ことにあるのです。これからご紹介する「3つの問いかけ術」は、その支援をより効果的に行うための実践的なテクニックです。
もう質問に困らない!部下の思考を深める「3つの問いかけ術」
難しく考える必要はありません。大切なのは、メンバーの思考を様々な角度から刺激し、対話を深めていくことです。そのための具体的なアプローチとして、以下の3つの「問いかけ術」を覚えておきましょう。
- 時間軸を意識した質問(過去・現在・未来)
- 視点を変える質問(他者・客観視)
- 前提を変えて考える質問(もしも)
この3つの術を意識するだけで、どんな話題からでも自然に会話を深掘りし、メンバーの内面にある考えや想いを引き出しやすくなります。
問いかけ術1:時間軸を意識した質問(過去・現在・未来)
一つ目は、会話の中で「時間軸」を意識的に動かす問いかけです。「あの時はどうでしたか?」「今、どう感じていますか?」「これからどうしていきたいですか?」といった質問を通じて、過去の経験からの学びを促したり、現状への理解を深めたり、未来に向けた意欲を高めたりすることができます。
【こんな場面で特に有効!】
- メンバーの強みや過去の成功体験を具体化したい時
- 現在抱えている課題の本質を探りたい時
- キャリアプランや目標設定について具体的に話したい時
【問いかけの例】
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過去の経験を掘り下げる:
- 「これまでの仕事でさ、〇〇さんの強みが『これだ!』って輝いた瞬間って、どんな時だったか聞かせてもらえないかな?」
- 「前に似たような壁にぶつかった時って、どうやって乗り越えたんだっけ? 当時のこと、もう少し詳しく聞きたいな。」
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現在の状況や気持ちを確認する:
- 「今やってる仕事で、〇〇さんが特に『これ、やってて楽しいな』とか『手応えあるな』って感じるのって、どんなところ?」
- 「目標に向けて進んでる中で、今一番『うーん、ここが難しいな』って感じてることって、どんなことかな?」
-
未来の展望を描く:
- 「このプロジェクトが終わる頃にはさ、〇〇さん自身、どんな風にパワーアップしてたいって思う?」
- 「ちょっと先の未来の話だけど、3年後とか5年後、〇〇さんはどんなスキル持って、どんな仕事してたいってイメージしてる?」
問いかけ術2:視点を変える質問(他者・客観視)
二つ目は、メンバーに意図的に「視点」を変えてもらう問いかけです。「もしあなたが〇〇の立場だったら?」のように、本人以外の視点や、より客観的な視点から物事を考えてもらうことで、固定観念から解放されたり、自分だけでは気づけなかった側面に光を当てたりすることができます。
【こんな場面で特に有効!】
- 特定の考えに固執しているように見える時
- より広い視野で物事を捉えてほしい時
- 自己認識を深め、客観的な自己評価を促したい時
【問いかけの例】
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他者の視点を取り入れる:
- 「もしさ、〇〇さんが僕(私)の立場だったら、今の〇〇さんにどんなアドバイスするかな?」
- 「この企画、お客さんに見せたら、どんなところが一番ウケる(あるいは心配される)と思う?」
- 「チームのみんなはさ、この状況のこと、どんな風に見てると思う?」
-
客観的な視点を持つ:
- 「ちょっと一歩引いて、今の状況を客観的に見てみると、何か気づくことってある?」
- 「もし親友から『実はさ…』って同じ相談されたら、なんて言ってあげる?」
問いかけ術3:前提を変えて考える質問(もしも)
三つ目は、「もしも〇〇だったら?」という仮定の問いかけを通じて、現在の制約や前提条件を一時的に取り払って考えてもらう方法です。これにより、自由な発想を促したり、現状を相対的に捉え直したり、本当に大切にしたい価値観を見つけ出すきっかけを作ることができます。
【こんな場面で特に有効!】
- 新しいアイデアや解決策が求められる時
- 現状の制約の中で思考が停止してしまっている時
- 本質的な目標や理想の状態を明確にしたい時
【問いかけの例】
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制約を取り払ってみる:
- 「もしさ、予算とか納期とか、そういうの全部ナシで考えられるとしたら、この課題、どんな風に取り組むのが一番いいと思う?」
- 「もし、役職とか関係なく、何でも自由に提案できるとしたら、会社にどんなこと言ってみたい?」
-
異なる環境を想定する:
- 「もし、全然違う役割(例えば〇〇とか)をやるってなったら、今の経験ってどう活かせそうかな?」
-
理想の状態を具体化する:
- 「〇〇さんが『ここでなら、めっちゃ頑張れる!』って思える最高の職場って、どんな感じ?」
- 「仕事関係で、もし一つだけ願いが叶うなら、どんなことお願いしたい?」
効果を最大化する!質問を活かすコミュニケーションの秘訣
これらの「問いかけ術」は非常に有効ですが、その効果を最大限に引き出すためには、質問の仕方やその後のコミュニケーションにもポイントがあります。
- 問いかけは組み合わせ可能: 各アプローチは単独でも有効ですが、「過去(時間軸)のあの場面で、お客様の視点(視点)だったらどう感じたと思う?」のように組み合わせることで、さらに多角的な対話が可能です。
- 「開かれた質問」を意識する: 「はい/いいえ」で答えられる質問(クローズドクエスチョン)だけでなく、「なぜそう思いますか?」「具体的にはどういうことですか?」といった、相手が自由に考え、話せる質問(オープンクエスチョン)を積極的に使いましょう。
- 最も重要なのは「傾聴」: 効果的な質問と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが、相手の話を真摯に聴く姿勢です。相手の言葉に注意深く耳を傾け、相槌やうなずき、時には内容を要約して確認するなど、「あなたの話をしっかりと受け止めています」という姿勢を示しましょう。これが信頼関係の基盤となります。
- 沈黙を恐れない: 相手が考え込んでいる時間は、思考が深まっている証拠かもしれません。焦って言葉を継いだりせず、相手のペースを尊重し、少し待つことも大切です。
- 質問の意図を伝える配慮: 相手が戸惑うかもしれない質問をする際は、「少し視点を変えて考えてみたいのですが…」のように、質問の意図を伝えると、相手も安心して考えを巡らせることができます。
- 対話の内容を記録し、活用する: 1on1での重要な発言や気づき、次に繋がるアクションなどは、メモに残しておくことをお勧めします。次回の1on1でのフォローアップや、メンバーの中長期的な成長支援に役立ちます。
まとめ:「質の高い問いかけ」で、部下と組織の成長を加速する
今回は、1on1の質を高め、部下の本音と成長を引き出すための 「時間軸を意識する」「視点を変える」「前提を変えて考える」 という3つの問いかけ術をご紹介しました。
これらのアプローチを意識的に活用することで、あなたの1on1は、単なる進捗確認の場から、メンバーの内なる可能性を引き出し、主体的な成長を促すための価値ある時間へと変わっていくはずです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、まずは次回の1on1で、どれか一つでも試してみてはいかがでしょうか。質の高い問いかけの実践は、メンバーとの信頼関係を深め、個人の成長を加速させるだけでなく、ひいては組織全体の活性化にも繋がっていきます。
この記事が、あなたの1on1をより豊かで実りあるものにするための一助となれば幸いです。
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