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[AWS]EC2の運用(EIP,AMI,ライフサイクル,スケジュールイベント)

2025/02/18に公開

昨日に引き続き、AWSの学習を進めていきます!
学んだこと:ENI,セキュリティグループ,EC2のIPアドレス,EC2のストレージ

前提知識

EIP(イーアイピー, Elastic IP)

AWSが提供する 固定のパブリックIPアドレス。
EC2インスタンスに割り当てることで、IPアドレスを固定化し、インスタンスの再起動や障害時にも同じIPを使い続けることができる。

AMI(Amazon Machine Image)

EC2インスタンスを作成するための「テンプレート」
OSや設定、ソフトウェア、アプリケーション環境を含んでおり、AMIを使うことで同じ環境のEC2インスタンスをすばやく複製・デプロイできる。

このページの・・・

ここで選択できる!

EC2インスタンスの「ライフサイクル」(状態変化)について

EC2インスタンスは、起動・停止・再起動・終了の各フェーズを持ち、それぞれの状態で異なる挙動をする。特に「停止」と「再起動」では動作が異なる。


インスタンスの停止/起動時の挙動

停止すると物理サーバーから削除される

  • EC2インスタンスを 「停止」 すると、そのインスタンスは 現在実行されている物理サーバー(ホストマシン)から削除 される。
  • そのため、停止したインスタンスを 再び「起動」すると、異なる物理サーバー上で動作する ことになる。

📌 ポイント:

  • 停止 → 別の物理サーバーで起動するが、表面的には変化なし。
  • EBSにデータが残っていれば、停止前と同じ状態で再開できる。
  • インスタンスストア(Instance Store) を使用していた場合、データは消える。

インスタンスの再起動時の挙動

再起動は「同じ物理サーバー」で行われる

  • AWSマネジメントコンソールから「再起動」 した場合、OSの通常の再起動と同じであり、インスタンスが現在動作している物理サーバー上で再起動される。
  • そのため、パブリックIPアドレスやパブリックDNS名、インスタンスストアのデータは通常保持される。

📌 ポイント:

  • OSレベルの再起動と同じ挙動(WindowsやLinuxの「再起動」コマンドと同等)。
  • 停止とは異なり、別の物理サーバーには移動しない。
  • インスタンスストアのデータは保持される可能性が高いが、保証はない。

インスタンス停止時のEBSやEIPの挙動

インスタンスの「終了(terminate)」でEBSが削除される場合がある

  • EBSボリュームの削除設定 によって、EC2インスタンスを 終了(terminate) した際に、EBS(ルートボリューム)が削除されるかどうかが決まる。
  • インスタンス作成時の「ストレージ(ボリューム)」設定で、「終了時に削除」を「はい(Yes)」にすると、EBSも削除される
  • 「いいえ(No)」にすると、インスタンスが削除されてもEBSは残る

📌 ポイント:

  • EBSを保持する場合 → 「終了時に削除」の設定を「いいえ(No)」にする。
  • EBSを削除したくない場合は、事前にスナップショットを取得しておく

Elastic IP(EIP)の挙動

  • EIPはインスタンスが「停止」しても保持される
  • ただし、インスタンスを「終了」するとデフォルトでEIPは解放される
  • 未使用のEIPは課金対象 なので、不要なら解放(Release)すること。

EIPの解放とは
AWSが提供する 固定パブリックIPアドレス(EIP)を手放すこと。
EIPは 割り当て(Allocate)→ アタッチ(Attach)→ 解放(Release) という流れで管理される。

EIPは EC2にアタッチされている間は無料 だが、未使用(どのEC2にもアタッチされていない)状態 では課金が発生する。
不要なEIPを保持すると無駄なコストが発生するため、使わなくなったEIPは解放するべき!


まとめ

操作 物理サーバーの変化 IPアドレスの変化 EBSのデータ インスタンスストアのデータ
停止 削除される(再起動時に別の物理サーバー) パブリックIPは変わる(EIPを使えば固定) 保持される 消える
再起動 同じ物理サーバー 変わらない 保持される 保持される可能性あり(保証なし)
終了 削除される EIPを設定しないと削除 「終了時に削除」がYesなら消える 消える

「スケジュールイベント」とは

AWSでは、EC2インスタンスがAWS側のメンテナンスや障害対応のために、
自動的に「停止」「再起動」「リタイア」されることがある これを 「スケジュールイベント(Scheduled Event)」 と呼ぶ。

「主にメンテナンスや障害対応のために発生する、事前に予定されたイベント」

スケジュールイベントの概要

AWSがEC2インスタンスに対して行う予定された操作のこと
主にメンテナンスや障害対応のために発生する
AWSアカウントのEメールに通知が届く(実施日や内容が記載されている)
影響を受けるインスタンスは、AWSマネジメントコンソールやAWS CLIで確認可能

📌 注意点:

  • スケジュールイベントは事前通知されるが、指定された期間内にユーザーが対応しない場合、AWS側で強制的に実行される
  • AWSの管理する物理サーバー上で問題が発生した場合、EC2が別のホストへ移行されることがある(特に「停止」「リタイア」のイベントで発生)

スケジュールイベントの種類

スケジュールイベントには、3つの主な種類 があります。

イベント名 内容 影響
Instance stop(停止) インスタンスが 一時的に停止 される 再起動すると 別の物理サーバーで起動
Instance retirement(リタイア) インスタンスが 完全に削除(リタイア) される Instance Store-backed の場合は削除、EBS-backed の場合は停止
Instance reboot(再起動) インスタンスが 再起動 される 物理サーバーは変わらない

1. Instance Stop(インスタンスの停止)

EC2インスタンスがAWS側の判断で「停止」されるイベント。
これは、メンテナンスや障害対応のために必要な場合に発生 します。

✅ 影響

  • インスタンスは「stopped(停止)」状態になる
  • インスタンスを「起動」すると、別の物理サーバー上で動作する
  • EBS-backedインスタンスのデータは保持される
  • パブリックIPアドレス(EIPなしの場合)は変わる

📌 対策

  • できるだけ 事前に手動で停止→起動を行い、早めに移行するのが推奨
  • Elastic IP(EIP)を利用すると、IPアドレスの変更を防げる

2. Instance Retirement(インスタンスのリタイア)

インスタンスが完全に削除(リタイア)されるイベント。
これは、AWSの物理サーバーの老朽化や障害が原因で発生することが多い。

✅ 影響

  • Instance Store-backed(インスタンスストア) の場合
    リタイアと同時にインスタンスは削除され、データも消える
  • EBS-backed(EBSボリュームを利用) の場合
    EBSは保持され、インスタンスは停止される

📌 対策

  • Instance Store-backed の場合は、事前にデータをバックアップすることが必須
  • EBS-backed の場合は、スナップショットを取っておくと安全

3. Instance Reboot(インスタンスの再起動)

インスタンスがAWSによって「再起動」されるイベント。
通常はOSレベルの再起動と同じ動作で、インスタンスが現在動作している物理サーバーのまま再起動 される。

✅ 影響

  • EC2は一時的に停止し、数分後に再起動される
  • パブリックIPアドレス(EIPなしの場合)は変わらない
  • インスタンスストアのデータは通常保持されるが、保証はない

📌 対策

  • 定期的にOSのシャットダウン処理が正常に行われるかチェックしておく
  • 念のためEBSスナップショットを取得しておく

Auto Recovery(自動回復)とは?

AWSが自動的に行うステータスチェック(EC2インスタンスが正常に動作しているかどうか監視すること)が原因で、EC2が正常に動作しなくなる問題が発生することがある。
この時、自動的にインスタンスを復旧する機能をAuto Recovery(自動回復) という。


ステータスチェックの「失敗」の種類

ステータスチェックの失敗は 2種類 に分けられる。

チェックの種類 問題の発生箇所 原因 対応方法
①システムステータスチェックStatusCheckFailed_System AWSの物理ホスト側 ネットワーク障害、電源障害、ホストマシンの問題など Auto Recoveryが適用され、AWS側で修復される
②インスタンスステータスチェックStatusCheckFailed_Instance EC2の内部(OS) メモリ不足、ネットワーク設定ミス、ファイルシステム破損など ユーザーが手動で対応する必要がある

① 「システムステータスチェック」の主な原因(AWS側の問題)

AWSの物理サーバーやネットワークに問題が発生し、EC2インスタンスが正常に動作できなくなる。

主な原因

  • ネットワーク接続の喪失(AWS側のネットワーク障害)
  • システム電源の喪失(物理サーバーの障害)
  • ホストマシンのソフトウェアの問題(AWS側のバグやアップデートの影響)
  • ハードウェア障害(AWSのデータセンター内の機器故障)

📌 この場合、AWSが自動的にEC2を別の正常なホストマシンに移動し、復旧を試みる(Auto Recovery)


② 「インスタンスステータスチェック」の主な原因(ユーザー側の問題)

EC2のOSやアプリケーションが原因で、インスタンスが正常に動作しなくなる。

主な原因

  • ネットワーク設定ミス(ファイアウォールやセキュリティグループの誤設定)
  • メモリの枯渇(アプリのメモリリークや大量のプロセス起動)
  • ファイルシステムの破損(誤った設定変更やディスク障害)

📌 この場合、AWSでは自動復旧されず、ユーザーが手動で対応する必要がある

Amazon CloudWatch(監視・モニタリング)

AWSでは、システムやサービスを安定して運用するために、常に状態を監視する必要がある
そのための監視ツールが Amazon CloudWatch で、AWSのリソースやアプリケーションのリアルタイム監視 を行う。

監視対象の主要なAWSサービス

  • Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)
  • Amazon EBS(Elastic Block Store)
  • Amazon RDS(Relational Database Service)
  • Elastic Load Balancing(ELB)

CloudWatchの3つの主要機能

CloudWatchは 「モニタリング」「結果の可視化」「アラート通知」 という3つの機能を提供する。

機能 説明
モニタリング サービスの稼働状態やパフォーマンスを監視する
結果の可視化 取得したメトリクス(監視データ)をグラフ化
アラート通知 しきい値を超えたらアラームを発生させる

メトリクス(Metrics)

AWSのリソースやアプリケーションの状態を監視するための「監視項目」。
メトリクスを使うことで、CPU使用率・ディスクI/O・ネットワークトラフィックなどのパフォーマンスデータを収集し、可視化・分析・通知できるようになる。
AWSでは、メトリクスの収集・管理を Amazon CloudWatch で行う。

CloudWatchのメトリクスには、「標準メトリクス」 と 「カスタムメトリクス」 の2種類がある

標準メトリクス(AWSが自動で収集するメトリクス)

AWSが提供するサービス(EC2、RDS、EBS、ELB など)の 主要なパフォーマンスデータ を自動的に収集する。

カスタムメトリクス(ユーザーが独自に設定するメトリクス)

標準メトリクスでは収集できない項目を、独自に定義して収集・監視できる 機能。

今回出てきた用語まとめ

用語 意味
EIP(イーアイピー, Elastic IP) AWSが提供する 固定のパブリックIPアドレス。EC2インスタンスに割り当てることで、IPアドレスを固定化し、インスタンスの再起動や障害時にも同じIPを使い続けることができる。
AMI(Amazon Machine Image) EC2インスタンスを作成するための「テンプレート」
スケジュールイベント 主にメンテナンスや障害対応のために発生する、事前に予定されたイベント
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud) AWSの仮想サーバー
Amazon EBS(Elastic Block Store) EC2インスタンスのストレージ
Amazon RDS(Relational Database Service) AWSのマネージドデータベース(RDS)
Elastic Load Balancing(ELB) 負荷分散サービス
Auto Recovery(自動回復) AWSが自動的に行うステータスチェック(EC2インスタンスが正常に動作しているかどうか監視すること)が原因で、EC2が正常に動作しなくなる問題が発生することがある。この時、自動的にインスタンスを復旧する機能。
AWS CloudWatch AWSの主要な監視ツール。
メトリクス(Metrics) AWSのリソースやアプリケーションの状態を監視するための「監視項目」。

参考文献

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/ec2-instance-lifecycle.html
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/ebs/latest/userguide/ebs-deleting-volume.html
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/elastic-ip-addresses-eip.html

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