[AWS]EC2の運用(EIP,AMI,ライフサイクル,スケジュールイベント)
昨日に引き続き、AWSの学習を進めていきます!
学んだこと:ENI,セキュリティグループ,EC2のIPアドレス,EC2のストレージ
前提知識
- EC2の構成(ルートテーブル,インターネットゲートウェイ,EC2インスタンスタイプの命名規則,HVM,PV)
- ネットワークの構成(IPアドレス,VPC,サブネット,CIDR)
- クラウドについて
- PCの基礎知識
EIP(イーアイピー, Elastic IP)
AWSが提供する 固定のパブリックIPアドレス。
EC2インスタンスに割り当てることで、IPアドレスを固定化し、インスタンスの再起動や障害時にも同じIPを使い続けることができる。
AMI(Amazon Machine Image)
EC2インスタンスを作成するための「テンプレート」
OSや設定、ソフトウェア、アプリケーション環境を含んでおり、AMIを使うことで同じ環境のEC2インスタンスをすばやく複製・デプロイできる。
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ここで選択できる!
EC2インスタンスの「ライフサイクル」(状態変化)について
EC2インスタンスは、起動・停止・再起動・終了の各フェーズを持ち、それぞれの状態で異なる挙動をする。特に「停止」と「再起動」では動作が異なる。
インスタンスの停止/起動時の挙動
停止すると物理サーバーから削除される
- EC2インスタンスを 「停止」 すると、そのインスタンスは 現在実行されている物理サーバー(ホストマシン)から削除 される。
- そのため、停止したインスタンスを 再び「起動」すると、異なる物理サーバー上で動作する ことになる。
📌 ポイント:
- 停止 → 別の物理サーバーで起動するが、表面的には変化なし。
- EBSにデータが残っていれば、停止前と同じ状態で再開できる。
- インスタンスストア(Instance Store) を使用していた場合、データは消える。
インスタンスの再起動時の挙動
再起動は「同じ物理サーバー」で行われる
- AWSマネジメントコンソールから「再起動」 した場合、OSの通常の再起動と同じであり、インスタンスが現在動作している物理サーバー上で再起動される。
- そのため、パブリックIPアドレスやパブリックDNS名、インスタンスストアのデータは通常保持される。
📌 ポイント:
- OSレベルの再起動と同じ挙動(WindowsやLinuxの「再起動」コマンドと同等)。
- 停止とは異なり、別の物理サーバーには移動しない。
- インスタンスストアのデータは保持される可能性が高いが、保証はない。
インスタンス停止時のEBSやEIPの挙動
インスタンスの「終了(terminate)」でEBSが削除される場合がある
- EBSボリュームの削除設定 によって、EC2インスタンスを 終了(terminate) した際に、EBS(ルートボリューム)が削除されるかどうかが決まる。
- インスタンス作成時の「ストレージ(ボリューム)」設定で、「終了時に削除」を「はい(Yes)」にすると、EBSも削除される。
- 「いいえ(No)」にすると、インスタンスが削除されてもEBSは残る。
📌 ポイント:
- EBSを保持する場合 → 「終了時に削除」の設定を「いいえ(No)」にする。
- EBSを削除したくない場合は、事前にスナップショットを取得しておく。
Elastic IP(EIP)の挙動
- EIPはインスタンスが「停止」しても保持される。
- ただし、インスタンスを「終了」するとデフォルトでEIPは解放される。
- 未使用のEIPは課金対象 なので、不要なら解放(Release)すること。
EIPの解放とは
AWSが提供する 固定パブリックIPアドレス(EIP)を手放すこと。
EIPは 割り当て(Allocate)→ アタッチ(Attach)→ 解放(Release) という流れで管理される。
EIPは EC2にアタッチされている間は無料 だが、未使用(どのEC2にもアタッチされていない)状態 では課金が発生する。
不要なEIPを保持すると無駄なコストが発生するため、使わなくなったEIPは解放するべき!
まとめ
操作 | 物理サーバーの変化 | IPアドレスの変化 | EBSのデータ | インスタンスストアのデータ |
---|---|---|---|---|
停止 | 削除される(再起動時に別の物理サーバー) | パブリックIPは変わる(EIPを使えば固定) | 保持される | 消える |
再起動 | 同じ物理サーバー | 変わらない | 保持される | 保持される可能性あり(保証なし) |
終了 | 削除される | EIPを設定しないと削除 | 「終了時に削除」がYesなら消える | 消える |
「スケジュールイベント」とは
AWSでは、EC2インスタンスがAWS側のメンテナンスや障害対応のために、
自動的に「停止」「再起動」「リタイア」されることがある これを 「スケジュールイベント(Scheduled Event)」 と呼ぶ。
「主にメンテナンスや障害対応のために発生する、事前に予定されたイベント」
スケジュールイベントの概要
✅ AWSがEC2インスタンスに対して行う予定された操作のこと
✅ 主にメンテナンスや障害対応のために発生する
✅ AWSアカウントのEメールに通知が届く(実施日や内容が記載されている)
✅ 影響を受けるインスタンスは、AWSマネジメントコンソールやAWS CLIで確認可能
📌 注意点:
- スケジュールイベントは事前通知されるが、指定された期間内にユーザーが対応しない場合、AWS側で強制的に実行される
- AWSの管理する物理サーバー上で問題が発生した場合、EC2が別のホストへ移行されることがある(特に「停止」「リタイア」のイベントで発生)
スケジュールイベントの種類
スケジュールイベントには、3つの主な種類 があります。
イベント名 | 内容 | 影響 |
---|---|---|
Instance stop(停止) | インスタンスが 一時的に停止 される | 再起動すると 別の物理サーバーで起動 |
Instance retirement(リタイア) | インスタンスが 完全に削除(リタイア) される | Instance Store-backed の場合は削除、EBS-backed の場合は停止 |
Instance reboot(再起動) | インスタンスが 再起動 される | 物理サーバーは変わらない |
1. Instance Stop(インスタンスの停止)
EC2インスタンスがAWS側の判断で「停止」されるイベント。
これは、メンテナンスや障害対応のために必要な場合に発生 します。
✅ 影響
- インスタンスは「stopped(停止)」状態になる
- インスタンスを「起動」すると、別の物理サーバー上で動作する
- EBS-backedインスタンスのデータは保持される
- パブリックIPアドレス(EIPなしの場合)は変わる
📌 対策
- できるだけ 事前に手動で停止→起動を行い、早めに移行するのが推奨
- Elastic IP(EIP)を利用すると、IPアドレスの変更を防げる
2. Instance Retirement(インスタンスのリタイア)
インスタンスが完全に削除(リタイア)されるイベント。
これは、AWSの物理サーバーの老朽化や障害が原因で発生することが多い。
✅ 影響
-
Instance Store-backed(インスタンスストア) の場合
→ リタイアと同時にインスタンスは削除され、データも消える -
EBS-backed(EBSボリュームを利用) の場合
→ EBSは保持され、インスタンスは停止される
📌 対策
- Instance Store-backed の場合は、事前にデータをバックアップすることが必須
- EBS-backed の場合は、スナップショットを取っておくと安全
3. Instance Reboot(インスタンスの再起動)
インスタンスがAWSによって「再起動」されるイベント。
通常はOSレベルの再起動と同じ動作で、インスタンスが現在動作している物理サーバーのまま再起動 される。
✅ 影響
- EC2は一時的に停止し、数分後に再起動される
- パブリックIPアドレス(EIPなしの場合)は変わらない
- インスタンスストアのデータは通常保持されるが、保証はない
📌 対策
- 定期的にOSのシャットダウン処理が正常に行われるかチェックしておく
- 念のためEBSスナップショットを取得しておく
Auto Recovery(自動回復)とは?
AWSが自動的に行うステータスチェック(EC2インスタンスが正常に動作しているかどうか監視すること)が原因で、EC2が正常に動作しなくなる問題が発生することがある。
この時、自動的にインスタンスを復旧する機能をAuto Recovery(自動回復) という。
ステータスチェックの「失敗」の種類
ステータスチェックの失敗は 2種類 に分けられる。
チェックの種類 | 問題の発生箇所 | 原因 | 対応方法 |
---|---|---|---|
①システムステータスチェック(StatusCheckFailed_System ) |
AWSの物理ホスト側 | ネットワーク障害、電源障害、ホストマシンの問題など | Auto Recoveryが適用され、AWS側で修復される |
②インスタンスステータスチェック(StatusCheckFailed_Instance ) |
EC2の内部(OS) | メモリ不足、ネットワーク設定ミス、ファイルシステム破損など | ユーザーが手動で対応する必要がある |
① 「システムステータスチェック」の主な原因(AWS側の問題)
AWSの物理サーバーやネットワークに問題が発生し、EC2インスタンスが正常に動作できなくなる。
主な原因
- ネットワーク接続の喪失(AWS側のネットワーク障害)
- システム電源の喪失(物理サーバーの障害)
- ホストマシンのソフトウェアの問題(AWS側のバグやアップデートの影響)
- ハードウェア障害(AWSのデータセンター内の機器故障)
📌 この場合、AWSが自動的にEC2を別の正常なホストマシンに移動し、復旧を試みる(Auto Recovery)。
② 「インスタンスステータスチェック」の主な原因(ユーザー側の問題)
EC2のOSやアプリケーションが原因で、インスタンスが正常に動作しなくなる。
主な原因
- ネットワーク設定ミス(ファイアウォールやセキュリティグループの誤設定)
- メモリの枯渇(アプリのメモリリークや大量のプロセス起動)
- ファイルシステムの破損(誤った設定変更やディスク障害)
📌 この場合、AWSでは自動復旧されず、ユーザーが手動で対応する必要がある。
Amazon CloudWatch(監視・モニタリング)
AWSでは、システムやサービスを安定して運用するために、常に状態を監視する必要がある。
そのための監視ツールが Amazon CloudWatch で、AWSのリソースやアプリケーションのリアルタイム監視 を行う。
監視対象の主要なAWSサービス
- Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)
- Amazon EBS(Elastic Block Store)
- Amazon RDS(Relational Database Service)
- Elastic Load Balancing(ELB)
CloudWatchの3つの主要機能
CloudWatchは 「モニタリング」「結果の可視化」「アラート通知」 という3つの機能を提供する。
機能 | 説明 |
---|---|
モニタリング | サービスの稼働状態やパフォーマンスを監視する |
結果の可視化 | 取得したメトリクス(監視データ)をグラフ化 |
アラート通知 | しきい値を超えたらアラームを発生させる |
メトリクス(Metrics)
AWSのリソースやアプリケーションの状態を監視するための「監視項目」。
メトリクスを使うことで、CPU使用率・ディスクI/O・ネットワークトラフィックなどのパフォーマンスデータを収集し、可視化・分析・通知できるようになる。
AWSでは、メトリクスの収集・管理を Amazon CloudWatch で行う。
CloudWatchのメトリクスには、「標準メトリクス」 と 「カスタムメトリクス」 の2種類がある。
標準メトリクス(AWSが自動で収集するメトリクス)
AWSが提供するサービス(EC2、RDS、EBS、ELB など)の 主要なパフォーマンスデータ を自動的に収集する。
カスタムメトリクス(ユーザーが独自に設定するメトリクス)
標準メトリクスでは収集できない項目を、独自に定義して収集・監視できる 機能。
今回出てきた用語まとめ
用語 | 意味 |
---|---|
EIP(イーアイピー, Elastic IP) | AWSが提供する 固定のパブリックIPアドレス。EC2インスタンスに割り当てることで、IPアドレスを固定化し、インスタンスの再起動や障害時にも同じIPを使い続けることができる。 |
AMI(Amazon Machine Image) | EC2インスタンスを作成するための「テンプレート」 |
スケジュールイベント | 主にメンテナンスや障害対応のために発生する、事前に予定されたイベント |
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud) | AWSの仮想サーバー |
Amazon EBS(Elastic Block Store) | EC2インスタンスのストレージ |
Amazon RDS(Relational Database Service) | AWSのマネージドデータベース(RDS) |
Elastic Load Balancing(ELB) | 負荷分散サービス |
Auto Recovery(自動回復) | AWSが自動的に行うステータスチェック(EC2インスタンスが正常に動作しているかどうか監視すること)が原因で、EC2が正常に動作しなくなる問題が発生することがある。この時、自動的にインスタンスを復旧する機能。 |
AWS CloudWatch | AWSの主要な監視ツール。 |
メトリクス(Metrics) | AWSのリソースやアプリケーションの状態を監視するための「監視項目」。 |
参考文献
Discussion