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本当に尊大だったのか。あるいは 今ここにいるお客さんの声を組織で聴く難しさ。

2022/01/02に公開約3,300字

先日、興味深い記事に出会いました。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67270?fbclid=IwAR046Q7RPrLIOr_RQeEYiM1OVEDiiw3WmmSOBFJNkivK4qy-aEUMiJsjRI4

従来、店舗を持たない郵送型DVDレンタルという商売で儲けていたネットフリックス。
2011年9月、クイックスターという100%子会社を立ち上げ、こちらにDVDレンタル事業を移し競合のブロックバスター社と競わせることを決定しました。ネットフリックス本体は現在のネットのストリーミング事業に軸足を移すことにします。
この決定が実は大失敗で、当時の従来の顧客にも見放され、かといって新規の顧客もつかず。。倒産寸前の窮地に陥り、一旦事業を撤回せざるを得ませんでした。
その反省から、以後社内規律の1番目に、「反対意見を募る」という項目を入れた。。

というあらすじです。

以下、少し考えたことを書きます。

まず冒頭から恐縮なんすが、不勉強なこともあり、ネットフリックスのトップの方を自分はよく知らず、尊大な性格な方かどうかよくわかりません。

でも、尊大でなく仮に謙虚だったとして、結果はどうだったでしょうか?
ロジカルに部下に説明していたら、部下はもやもやな感じ方をしても、そのロジカルさゆえに誰も何も言えなかった気がします。むしろ頭脳明晰さに感心して「さすがは我がトップ」で終わっていたのではないでしょうか。

また、タイミングもいつだったらよかったのか。
先でしょうか、いいえ、もっと後だったらよかったでしょうか。これまたどっちも結果は変わらなかった気がします。そもそも後になればなるほどブロックバスター社と同じ道のりを辿ると判断したからこそ、このタイミングで決断したですよね。下手すると、もっと悪い結果になっていたかもしれません。

それに。
募った「反対意見」は、今ある商売「郵送型DVD」の維持を望むような意見が多数になったことでしょう。人ひとりひとりはそうそう変わるものでありません。全体としてはそうかもしれないが、少なくとも自分ところはうまくいっている。今それなりにうまくいっているのになぜ変える必要があるのか、なぜ自分一人が犠牲になる必要があるのか、そんな思考がよぎっても不思議ではないでしょう。

一方で。
顧客の予想される反応をリアルタイムで一番よく知っているのは、まさに前線・先端にいる部下一人・一人です。それが全体としてどのような傾向にあるのか、リアルタイムで知る必要があります。競争が厳しいならなおさらです。

以上を踏まえて考えていくと、ここに 「今ここにいる」お客さんの声を聴く難しさ があると思うんです、組織として。


この困難な状況に対して、組織はどういったプロセスを辿っていくとよいのでしょうか。

まず、トップが我々全員の将来にとってとても重要な案件だから、お互い持っている情報を持ち寄って、もっとよく話し合って決めたいと問いかけが必要です。

ただ、これだけではうまくいきません。
なぜなら、成員には各々役割がありそれに応じた立場がありそこから生じる利益・不利益があるからです。経営者やマネジャー経験者の皆さんなら、立場のバイアスを超えて「真の情報」を引き出す難しさに同意してもらえるかと思います。何を言ってもそのロールが故に言っているのではないか。そうしたポジショニングトークを越えていく必要があります。

そこで。
トップの弱さ、「知らないことの弱さ」の情報公開が必要だと思うんです。
「今ここにいる」お客さんの声を聴ける部下の皆さん、頑張ってくれている現場の人々を支援する人として、私は本当に顧客さんの声を聴けているだろうかと。
トップが「知らない弱さ」をさらけ出してこそ、「真の情報」が全体として集まり、組織として正しい決断ができるようになるんじゃないでしょうか。

トム・アーンキルというフィンランドの方が Taking up One's Warries という対話の考え方を提唱しています。
元々は、医療の現場で多職種の支援者間で連携がうまくいかない,あるいは支援が行き詰まっている等,何らかの困難が生じた場合の問題解決のための対話の手法なんですが、この考え方は医療の現場に限らず経営や開発の現場でも適用できると思うんですよね。
広義の意味でのオープンダイアローグのうちダイアロジカルな手法の一つです。

今年(2022年)はこのあたりのことをもっともっと学んでいきたいですね。ともに学んで実行していく場を作りたいなと思っています。父の介護の件が落ち着いてきたら設定します。

参加している皆さんと一緒に学んでいけたらうれしいです。

参考文献

[^1] トム・エーリク・アーンキル他、あなたの心配ごとを話しましょう 響きあう対話の世界へ日本評論社
[^2] ヤーコ・セイックラ、トム・アーンキル 開かれた対話と未来 今この瞬間に他者を思いやる医学書院
[^3] 川田美和 未来語りのダイアローグ(Anticipation / future Dialogues) Phenomena in Nursing, 2017

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