GENMITSU3020-PRO MAX V2とACMER S1レーザーでPCB (基板作成編)
本投稿の以下のシリーズの第3段、基板作成編です。
レーザー彫刻機で自作プリント基板
詳細は割愛しますが、どういう手順でPCB作成するのかをまとめると、
行程1. KiCADでPCBデザイン
私はKiCADを使ってます。最近はオンラインでやる環境が整ってきているので、それでもいいと思います。
Elecrowとかに基板発注するときもそうですが、この工程でガーバーデータを出力するところまでやります。
行程2. ガーバーから FlatCAM で加工パス(DXFファイル)を作成
開発が止まっている感じで、Mac版がないのがネックですが、PCB向けに特化したCAMアプリ。
ガーバーデータから、工具(レーザー径)などを設定して加工パス(DXFファイル)を作成やG-code生成までできますが、私はDXFファイル生成までしか使ってないです。
行程3. LaserWebでDXFからG-codeを生成
FlatCAMで生成したDXFファイルをロードして、G-codeの生成を実行します。
この手のアプリだと、Candleが有名ですが、FlatCAMと相性悪いのか不明ですが、大量データになると途中で彫刻が止まってしまう問題があったので、LaserWebを使ってます。
行程4. 生基板準備
- 生基板
銅張積層板 をAmazonとかで購入します。100x70mmぐらいのものを購入するのが良いかと思います。板の厚さは1.0~1.6mmぐらいがいいです。
- つや消し黒スプレー
レーザーにもいろいろありますが、安いモジュールは全部ダイオードレーザーで、集光させたレーザー光で焼きます。なので、反射・透過する素材は加工できないです。
照射したパスを効率よく焼くために反射しづらい、つや消しの黒スプレーを銅板に塗布します。
なるべく薄く均一に塗ります。厚塗りしないのもポイント。塗膜が薄くでもコーティングされていれば、後述するエッチングで銅板が解けないです。
行程5. レーザ彫刻
塗布した銅板をCNCレーザーで焼きます。加工後クレンザーみたいなコンパウンド系の洗剤で優しく洗浄して、銅版がちゃんと露出しているか確認。
彫刻不足なところは、ケガキ針とかで塗膜を除去します。逆に塗膜がなくなっているところは、エッチングされないようにペンとか筆で塗布して修正します。が、なるべくこの作業は発生しないのがベストです。
行程6. エッチング
エッチングは以下があればできます。比較的安全で100均ショップで全部そろいます。
50x50mmぐらいの基板の場合、
- クエン酸(大さじ1)
- 塩(小さじ1)
- オキシドール(大さじ2ぐらい)
- ジプロックなどの袋
分量はシビアじゃないので、まあまあ適当。できれば40℃程度に湯煎できるといいです。
温度が高いほうが化学反応が良く進みます。
自分の場合は、3Dプリンタがあるので、ベッドだけ40℃ぐらいに加熱してそこでエッチングしてます。
下図のように気泡が出て銅が溶け出すと、溶液が緑色になります。
チャック付きのビニール袋がおすすめで、溶液こぼさないように注意してシェイクしたりしながらエッチングの具合を確認すると良いです。
パターン部分が全部エッチングできたら、エッチング溶液にアルミ箔を入れて中和します。
1晩ほど放置すると、アルミと溶液が反応して透明になるので液体は排水できます。
残りはゴミ箱へ。
行程7. 塗膜除去
エッチングが済んだら、塗膜を除去することで銅板がPCBパターンになっていると思います。塗膜の種類によりますが、私はアクリル系で、アセトンで良く除去できました。
結果
今回は、検証なので、カッティングや穴あけまでしないです。よく見ると、レーザーの削り残しがあったところが、そのまま銅パターンとして残ってます。
このまま通電するとショートするので、これを参考に注意しましょう。という感じです。
触ってみると、細いパターンでもしっかり残る感じでしたので、目標としている微細なパターン加工できそうで、個人的には満足してます。
削り残しについては、レーザー彫刻のPass回数を増やすのが、手っ取り早いです。
Elecrowなどに発注すると、おおむね2~3000円ぐらいで、製品レベルのものができてしまうけど、平均2週間ぐらいかかります。
ちょっとした回路検証とかであれば、行程が多くて大変ですが、半日あればできるので、自作もアリだと思います。自己満足が80%ぐらいですが。(笑)
両面基板とか、ビアどうする問題なども実は検証してますが、いつか投稿したいと思います。
とりあえず以上です。
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