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KiCadの使い方 その1(回路設計を学ぼう)

2022/09/28に公開約9,400字

こんにちは、Ideagearの鈴木陽介です。

今回は、KiCad(キキャド)というオープンソースの電子回路設計ソフトの使い方をご紹介します。

KiCadは、回路図作成とPCB配置の設計が一つのソフトでまとめてできるのが特徴で、プリント基板(PCB/PCBA)制作用のファイル変換も容易でとても便利です。

まぁそもそも、私はこれしか知りませんので比較できませんが(笑)、慣れていないと最初はとっつきにくいですが、一度作ってしまえば、変更や追加はとても楽な印象です。

私が仕事で実際に関わっている方もKiCadを使っている方がほとんどですし、基板工場側もKiCadのデータに対応しているところが多いため、このソフトを使って電子基板設計をしている人は少なくないと思います。

ここ最近、プリント基板をつくる仕事がまた増えてきましたので、自分自身の復習と将来のKiCadのワークショップへの準備も兼ねて、KiCadの使い方をご紹介していきたいと思います。

KiCadをダウンロード

では、まずはKiCadの公式サイトでのダウンロード方法からご説明します。
https://www.kicad.org


中央のダウンロードをクリック!


お使いのOSを選んでください。
(今回はWindowsを選択します。)

(以下、あくまでも私のPCの場合として進めます。)
64-bit(recommended)
Worldwide
と進んで、その次は、OSDNとGitHubどちらでもOKです。


で、この寄付お願いしますの画面が表示されるタイミングで、勝手にダウンロードがはじまります。

ダウンロードが完了すると、「kicad-6.0.7-x86_64.exe」というexeファイルが現れますので、後はこちらをクリックして、表示された内容に従ってインストールしてください。

KiCadのインストールと起動

インストールはデフォルト設定のままで大丈夫です。

つまり、次へ次へとクリックするだけなので、操作はカンタンなので説明は割愛しますが、ご心配な方は下記サイト含め、ネット上にkiCadのダウンロード&インストール方法は溢れていますのでそちらをご覧ください。
https://kb.seeck.jp/archives/18698


インストールされるとこのようなアイコンが現れます。
クリックして開きます。


こちらがクリックして最初に出てくる画面です。

いきなりこれを見せられるとうわっ難しそう、、、と思うかもしれませんが(笑)、回路設計に慣れない間は、「回路図エディター」と「PCBエディター」の使い方だけ覚えれば大丈夫です。

ただ、この2つをいきなりクリックしても下記のようにエラーになります。

というのも、KiCadは複数の形式の異なるファイルを統括したソフトなので、各ファイル間の連結をスムーズにするためにも、まずプロジェクトを起こし、その中でファイルごとに作り込んでいくというスタイルだからです。

なので、言われた通りまずはプロジェクトを作成します。

ファイル -> 新規プロジェクト
の順に進めます。


任意のフォルダに任意の名前をつけてプロジェクトを保存します。
(ここではフォルダ名をKiCad、プロジェクト名をTESTとしました。)


すると、このようにプロジェクトが作成されます。

TEST.kicad_proというプロジェクトの下に、
TEST.kicad_pcb(PCBエディターで使用)
TEST.kicad_sch(回路図エディターで使用)
これら2つのファイルが紐づいていることが見て取れます。

ここまでできれば設計の下準備は完了です!

KiCadを使った電子設計の流れ

これは、KiCadを使うかどうかに関わらずですが、電子設計の大まかな流れは、

1.回路設計
2.基板設計

この順番で進めます。逆は不可能です。
※但し、既に過去に作った基板の設計データがある場合は、それを元に回路図に反映させることも可能です。

もっと細かく言えば、たとえばKiCadの場合は、回路図設計→電子部品の割り当て(フットプリントを割り当て)→PCB上での電子部品の配置→外形出しと電子部品間の配線→各種ファイル出力&工場へ発注。

の順で進めますが、ややこしいので、まずは、回路図エディターを使ってからPCBエディターを使う。
ということだけ覚えておいてください。

KiCadで回路図を設計する

プロジェクトを立ち上げたら、改めて「回路図エディター」をクリックします。


すると、このようなまっさらな回路図が表示されます。

で、説明のための題材として何かいいものは無いかと考えましたが、以前に電子工作まで実施している下記ページの内容を、プリント基板に起こすということでご説明したいと思います。

電子工作のワークショップをファブラボで開催!その4(Arduino+ブレッドボード編【補足編】)
https://zenn.dev/suzuky/articles/ff4bce82aa975d


この時はArduinoありですが、今回はArduinoなし、つまり、Lチカなしで、スイッチのON/OFFで発行ダイオードが点滅するだけのシンプルな回路とします。

シンボルを配置する

では、まずは図面上にシンボルという回路記号を配置します。


配置 -> シンボルを追加


すると、シンボルを選択する画面が出ます。

まずはLED(発行ダイオード)から配置したいと思いますが、この中から一つ一つ探していくのはナンセンスです。


そこで、検索窓に「LED」と、入力すると対象が絞られて候補が出てきます。

余談ですが、LEDのアノード(+)とカソード(-)ですが、シンボルの脇に→が2つある側がカソード、△の根元側がアノードです。

今回は、一番上の
Device:LED
説明:Light emitting diode
でいいので、それを選択してOKします。


すると、マウスポインタの先に当該シンボルが出てくるので、適当な場所に移動させてクリックします。


このように変化したら配置完了です。
この要領で他のシンボルも配置していきます。

時計回りに、
1.LED(発行ダイオード)
2.スイッチ
3.抵抗
4.コネクタ(オス)
5.ブザー
となっています。
シンボル選択のところで、それぞれLED、SW、R、Conn、Buzzerと入力すると出てきます。

補足1:
バッテリーが無いのは、バッテリーはコネクタ接続で基板とつなぐからです。
基板は基本的にそれ単体では用をなさず、電源やモニター、各種センサーなどとつないで使いますので、このコネクタはほぼ必須のシンボルです。

補足2:
右に4つある「Mounting hole」というのは取り付け穴のことです。
基板は基本的に筐体なりに固定して使われますので、基板上にあらかじめネジやボルトで留める用の穴を用意しておく方が無難です。
ただ、電子回路上では他との配線が発生しないため、必要な数だけとりあえず適当な位置に並べておけばいいです。このシンボルはMo...まで入力すると出てきます。

現状では、各部品上に「?」が表示されていますが、エラーではありません。
これはこの後解消されますので、現時点では無視してください。

シンボル同士を配線する

シンボルが出そろったら、シンボル同士を配線します。

この時に、すでに電子工作レベル、つまりブレッドボードやユニバーサルボード上で配線して動作確認を終えておけば、それを見ながら回路図の配線をすればいいので簡単ですし、基板をつくってから動かないという可能性も低くなります。

ですので、電子工作は単に気軽に動作確認できるだけでなく、基板を起こす下準備としても決して軽視できないステップです。

余談はこれくらいにして、シンボル同士を配線しましょう!


KiCadの右端のメニューバーの上から5つ目に「ワイヤーの追加」があります。
ここをクリックするとマウスポインタが配線モードになります。


このように、描画ソフトの要領で2点間を配線します。


すべて配線するとこのようになります。

次に、ちゃんと配線できているかチェックしましょう!


検査 -> エレクトリカルルールチェッカー
を選択します。


ERCを実行をクリックします。


エラーだらけですね。
回路図上にもエラー箇所を表す矢印が多数、、、回路図はブレッドボードを見てそっくりそのまま配置しましたし、シンボル間の配線も確実にしました。なのになぜこんなにエラーが。。。

それもそのはずです。
アノテーションするのを忘れていました!

回路図をアノテーションする

アノテーションとは、回路図内のシンボルにリファレンス番号を割り振る機能です。
では、早速やってみましょう!


ツール -> 回路図をアノテーション
と進みます。


アノテーションをクリックします。


問題が無かったのでエラー表示なし。
閉じます。


念のため、ERCを再実行します。


今度はエラーなし!
つまり、先ほどERCで回路をチェックした時にエラーが多数出たのは、単純にアノテーションをしていなかっただけということが判明しました。


このとおり、回路図上のエラー表示も消えています。

一応、手動でのリファレンス番号の振り方も説明します。


右上の「アイテムを選択」の状態でシンボル上のJ?やJ1といったリファレンス文字をダブルクリックします。


すると、Windowが開きますので、任意の英数字に変更できます。

フットプリントの割り当て

シンボルを配置し、配線し、リファレンス番号も振り終えました。
では、次は基板の設計に進みましょう!

とはならないです。残念ながら。

その前に、回路図という概念的なものから基板という物理的なものに落とし込むための橋渡しとして、回路図に配置した各シンボルに対して、どのような電子部品を実装する予定かを教えてあげる必要があります。

部品ごとに部品の大きさやリード線の太さ、接点と接点の間隔などがまちまちです。それに応じて、はんだづけされる基板側も各部品のスルーホールの大きさや間隔を調整する必要があります。

上手に説明できませんが、カンタンに言えば、「基板に開ける穴をここで指定する」と思ってください。それが「フットプリントの割り当て」という作業で、これが基板設計の中で一番面倒で、かつわかりにくい作業なのです。。。

前置きが長くなりましたが、実際にやってみましょう。


ツール -> フットプリントを割り当て
と進みます。


開くと、回路図上に配置したシンボルがすべて表示されます。

この状態から、「シンボル:フットプリント割り当て」をリファレンスごとに一つ一つ選択するという地味な作業がはじまります。

面倒なことに、デフォルトの状態ではフットプリントの種類が圧倒的に少なく、最適化するためにはたいていは自分でフットプリントを作成する必要があります。

ただ、今回そこまでやると大変なので、ちょっとした裏ワザを使います。

今回は、ブレッドボード上で実現した状態をプリント基板化するのが目的です。

つまり、ブレッドボード上で使える部品 = 手はんだできるサイズの部品 = ほとんどの部品のリード線ピッチはブレッドボードのピッチと同じ = ピンヘッダのピッチと同じ、ということで、

適切なフットプリントが無い場合は、すべて2.54mmピッチのピンヘッダを採用します。
具体的には下記の通りです。


例として、2.54mmのPinHeaderを使用。

フットプリントライブラリー:
Connector_PinHeader_2.54mm

フィルターされたフットプリント:
Connector_PinHeader_2.54mm:PinHeader_1x02_P2.54mm_Vertical

なお、取り付け用の固定穴はMoutingHoleを使います。


例として、M3用の3.2mmのMountingHoleを使用。

フットプリントライブラリー:
MountingHole

フィルターされたフットプリント:
MountingHole:MountingHole_3.2mm_M3


今回は、最終的に上記のフットプリントを採用しました。

割り当てを終えたら、「適用して、回路図の保存&続行」をクリック。


OKをクリックして閉じます。

ここまでで、ようやく回路図エディターを用いての回路図設計が終わりました。

回路図から基板を更新

回路図の設計を言えたら、次のステップとして、これをPCBエディターに反映させます。


ツール -> 回路図から基板を更新
をクリック、、、

と、その前に、せっかくなので図面情報を記録しておきましょう。


ファイル -> ページ設定
と進みます。


すると、ページ設定の画面が出てきます。

発行日には、「<<<」をクリックすると右横の日付(デフォルトは当日)が入ります。

あとは、リビジョン、タイトル、会社名あたりを入れておきましょう。


入力し終わったら、OKをクリックして閉じます。


上記の通り、図面の右下に反映されます。

では、気を取り直して、
ツール -> 回路図から基板を更新
をクリックします。


すると、PCBエディターが立ち上がり、上記のような画面が表示されます。

今回はここまでです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

他人が作った回路図を見ると、難しいなーと感じるかもしれませんが、電子工作→ユニバーサルボード→KiCadを使った回路設計と順を追って進めれば、さほど難しくないということがおわかりいただけたのではないでしょうか?

プログラミングも人が作ったソースコードを解明するのは骨が折れますが、自分でゼロからつくると理解が深まるのと同じかもしれませんね。

今回は、回路図エディターの説明だけでかなりの文量になってしまったため、PCBエディターの説明は次回とします!

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