電子工作 その10(配線図作成ソフト:Fritzingの使い方を学ぶ)
こんにちは、Ideagearの鈴木陽介です。
今回は、電子工作で配線図(以下、ブレッドボード図)をつくる際に非常に便利な、Fritzingというブレッドボード図作成ソフトの使い方についてご説明します。
はじめに
本記事は、2023年7月1日の午後に浜松のTAKE-SPACE及びオンラインで開催された電子工作のワークショップ用のテキストとして使用しました。
下記は当ワークショップのチラシです。
ワークショップの前半では、本記事を元にFritzingの使い方を学び、後半は下記以前の記事を元にKiCadの使い方を学びました。
有料版のダウンロード
下記はFritzingのダウンロードページです。
2023年6月30日現在では有料になっています。本格的に使いたい方はぜひこの有料版をお使いください。
ただ、今回の目的はFritzingの使い方に慣れていただくことですので、下記参考記事も交えながら、まずは無料版を使わせてもらいましょう!
参考記事
無料版の入手方法
先程の参考記事は無料版のダウンロード方法について書かれています。
1つ目の記事は、要は、WEBサイトの過去のページにアクセスし、無料版をダウンロードしましょうという意味です。
このウェイバックマシンというWebサイトは、既に公開されなくなったウェブサイトやそのウェブサイトの過去のページを見たい時に、そのURLを打ち込むことで遡って見ることができるという便利なサイトです。
まぁ逆に言えば、URLを知らないとどうしようもないのですが、、、このようなサイトはいくつかありますのでご自身でも調べてみてください。
2つ目の記事は、正規の有料版ではなく、開発途中の無料版がGitHub上にあるのでそれを使いましょうという意味です。
どちらでも構いませんが、今回はより確実そうな?2つ目の方法をご説明したいと思います。
無料版のダウンロード
GitHubのダウンロードページにアクセスします。
CD-625は2020年11月6日にリリースされ、プレリリース版としては現時点の最新バージョンですが、これはLinux用しかありません。よって、その一つ前のを試します。
次に新しいのは、Development version CD-548です。
Assetsをクリックしてすべて表示させてください。
■Windows版
Windowsと書かれているのは2つありますが、上図のとおり、上から7つ目のを選びましょう。
■MAC版
Mac版は上から5つ目のを選んでください。
ダウンロードできたら、zipを解答します。
(解答が上手くいかない場合は、参考記事の通りファイル名を短くしてください。アルファベットと数字のみにすれば確実です。)
フォルダを展開するとexeファイル以外のファイルも確認できます。
Fritzingのアイコンをダブルクリックしてアプリを起動します。
アプリ起動中です。
こちらは起動後のトップページです。
ブレッドボード図をつくってみる
Fritzingではブレッドボード図だけでなく、回路図やプリント基板の設計もできるようです。
ただ、正直言いますと、私はこのソフトではブレッドボード図しか使ったことがありません。餅は餅屋ではありませんが、Fritzingはブレッドボード図ををつくるのにはとても優れていますが、回路・基板設計はKiCadなどの他の専用ソフトの方が使いやすいです。
ですので、今回はブレッドボード図のところだけをご説明します。
(基板設計に関しては、KiCadの記事をご覧ください。)
ということで、まずは上部メニューバーの「ブレッドボード」をクリックします。
ブレッドボードのサイズを変更する
ブレッドボードを選択すると、デフォルトでは、どデカいブレッドボードが表示されます。
ただ、電子工作の場合は一般的に、特に初学者の場合はこの半分のサイズのブレッドボードを使うことが多いため、まずはブレッドボードのサイズを変更します。
右上のインスペクターに何も表示されていない場合はブレッドボードが選択されていませんので、ブレッドボードの任意の場所をクリックして選択してください。
すると、インスペクター内の表示が切り替わります。
ただ、デフォルトではインスペクターのウィンドウのサイズが小さいため、すべてが表示されません。
よって、下の方へスクロールすると、プロパティが表示されます。
ファミリーがbreadboardになっていますが、その下のサイズが「full+」になっているのでここを変更します。
サイズ的には「half」と「half+」のどちらでもいいですが、実際のブレッドボードと同じようにプラスマイナスを表す赤青のラインがあった方がわかりやすいため、今回は後者を選びます。前者は何の色もついていないまっさらなブレッドボードです。
ブレッドボードのサイズが半分になりました。
各ウィンドウの配置を調整する
次は、作業しやすくするために、各ウィンドウのサイズや配置を調整してみましょう。
右端にある各ウィンドウの右上に閉じるボタン(×)がありますが、その左にあるマークをクリックすると、このように各ウィンドウが独立します。
一方で、この後に使うウィンドウはパーツだけす。他の2つは邪魔なので消してしまいましょう。
また、ウィンドウが浮き出ていると逆に邪魔だと思われる場合は、パーツと閉じるボタンの間のどこかをダブルクリックすると右端に引っ込みます。
逆に、もし閉じだウィンドウを復活させたい場合は、上側のメニューバーのウィンドウから復活させたいウィンドウにレ点を付ければ復活します。
部品を配置する
では、いよいよ本格的なブレッドボード図作成に入ります。
ブレッドボード上に電子部品を配置してみましょう。
ブレッドボード図をつくるにあたって、まだ慣れない内は、実際にブレッドボードで配線及び動作確認し、それを見ながらブレッドボード図を作成してください。こうすることで、せっかくつくったブレッドボード図を見ながら配線しても動かない。という惨事を減らすことができます。
まず手始めに、LED(発光ダイオード)を光らせるだけのブレッドボード図をつくってみます。
LEDを使うにあたって抵抗器は必須です。電子工作では地味ですが抵抗器はよく使われる部品です。
そのためか、パーツの一番最初の部品は抵抗ですが、まずこれをドラッグアンドドロップして取り出します。
このように抵抗が出てきました。
同様に下の方にあるLEDも取り出します。
今度はこれらの部品をブレッドボード上へ移動してみましょう。
親切なことに、部品のピンとブレッドボードの穴位置を自動で合わせてくれます。
部品を配置し終えると、これまた自動で接続されている部分が緑色で表示されます。
抵抗も同じように移動させ、LEDのカソード(-)側へ移動させます。
ただ、せっかくなので、ブレッドボードのプラスマイナスエリアに直接つなげてみましょう。
ところが、そのまま傾きではプラスマイナスエリアに接続できませんので、部品を回転させます。
抵抗を選択し、右クリックします。
回転を選び、90度回転させます。
このようにマイナス側と接続すると、今度はマイナス側はすべて中でつながっているため、すべて緑色に変わります。
ただ、これだけだと電源が無く、実際はLEDが光らないので、今度はバッテリーを追加しましょう。
単純にパーツを下の方にスクロールしても出てこないので、そのような時は検索窓で探したい部品の名称(英語のみ)を入力して検索します。
今回はリチウムイオンバッテリーを使ってみましょう。やたらデカいですが、、、
ブレッドボードとバッテリーを配線しやすい配置に調整します。
続いて、配線したい場所にマウスポインタを合わせると色が変わります。
クリックしながらマウスポインタを移動させることで配線できます。
プラス側も配線しますが、デフォルトでは配線の色がブルーになっていますので、プラス側はレッドに変えましょう。
線の上で右クリックするとワイヤの色を変更できます。
上から2つ目のレッドにレ点を入れます。
このように色が変わりました。
仕上げとして、LEDのアノード側も配線しましょう。
これで、バッテリー駆動でLEDが常時点灯するブレッドボード図ができました。
あとは、このようにスクリーンショットを撮ってペイントなどに貼り付け、必要な部分だけを切り抜いて記事やSNSなどで使用しましょう。
Lチカの配線図
続いて、応用問題として、Arduinoを使ったLチカのブレッドボード図をつくってみます。
Arduino系は、パーツの左端にあるアイコンの上から3つ目をクリックすると出てきます。
一番最初のパーツはArduino Unoです。今回はこれを使います。
これもムダにデカいですがw、実物もハーフのブレッドボードとほぼ同じ大きさですので、ほぼ実寸ですね。
配線するとこのようになります。
ここではLEDのアノード側はArduinoの10番ピンにつないでいますが、こちらは実際のソースコードに合わせてください。ソースコードについては下記記事をご参考に。
このようにPC等からのArduinoへの5V供給で、LEDが点滅すればOKです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
私の場合は、右側のウィンドウの扱いに慣れるまで時間がかかりましたし、使いたい部品が意外と無かったりするのがややネックですが、とは言え、電子工作で使うたいていの部品はデフォルトでカバーされているのでとても便利です。
電子工作はわかりやすい配線図があるかないかで難易度がまったく変わってきます。
たとえ、自分自身が過去にやったことであっても、時間が経つと配線後の写真やピン配置の記録だけでは再現が難しい場合もあります。
ですので、多少面倒でも、復習も兼ねてぜひひと手間かけてFritzingで配線図を残しておきましょう。
それではまた!
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