【崩壊スターレイル】カットシーンを観る Vol.3 羅浮編1
本記事は『崩壊スターレイル』の VFX がどういったテクニックで制作されているかを観察・推察しながら紐解き、開発者向けに知見として形に残しておくことを目的としており、YouTubeに上がっている動画を引用させていただいています。
羅浮編1
2つ目に探索するのは巨大な宇宙船が街になっている「羅浮」のストーリーになります。
冒頭
刃ちゃん登場シーンです。床に滞留する煙にでかなり強いバンディングが起きています。黒ベタ背景に薄い煙を敷いているにしてもここまで起こるものですっけ。。ちょっと気になりますね🤔

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=1
天から光が射すようなシーンもよくありますが、簡単なエフェクトで絵の見栄えを持たせることができるので、知っていると1つの引き出しになりますね✨

夢の中のシーンはよくアニメで行われるディフュージョンのポスプロをかけたり、画面周囲がボケたようにしたりしますが、ここでは簡易的に放射ブラーで代用していますね。また、刀にライトを当てていますね。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=51
ただ、刃ちゃんの肌にはディフュージョンがかかっているような見た目になっているため、ポスプロのブルームが適用される閾値で 1.0 を超えない肌にもかかるようにしているかも知れませんね。

ホログラム
星穹列車にカフカが通信してきたシーン。真っ黒い状態から本ショットに切り替わる直前に効果音を入れることで、ホログラムが出現するような演出を省略していてうまいですね。半透明のように見える色をしていますが不透明と思われるため、出現演出を入れると VFX を重ねて誤魔化すにしてもディザが汚く見えやすいので、避けるのも良い選択に思います。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=63
たまに瞬間的にノイズが入る表現を、頂点を引き伸ばすことで見せています。SF 作品でのデジタル空間内で異変が起こっているような場面でよく見られる表現ですね✨

髪の毛とは違って頂点が密集している顔に激しい頂点の移動が見られるため、専用に UV を開いたりはしていない様子。また飛び出した部分を先端にかけて白くするような処理も入っていますね。

眼鏡がキラリ
ヨウおじさんの眼鏡の反射表現は、彼の必殺技の演出の分析記事にも書きましたが、マテリアルで制御可能なようになっていると思われます。これは色んなシーンで活用したくなりますね!

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=68
後のシーンでカフカの眼鏡もキラっとしています。眼鏡専用の汎用マテリアルがあるのかも?

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=175
星穹列車のワープ
ヤリーロVI編の記事で紹介している演出を流用しているように見えるため割愛します。
余談:空をシミュレーション?
羅浮は巨大なコロニー戦艦で中は地球のように空があって昼夜があるのですが、外壁に投影している感じの設定なんでしょうね。この広さで太陽光をシミュレートするとかなりのエネルギーを消費しそうです。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=137
丹恒の別行動シーン
羅刹が剣を振った際に剣を振った方向へ散るような光の粒が出ていますが、剣から発生させるだけではこんなに良い感じの動きにならないので、キャラクターの動きとカメラに合わせて良い感じに見えるようなエフェクトを作って配置している気がします。さり気なく横に流れる気流も入れてますね✨

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=166
銃乱射~符弦登場
カフカが銃を乱射する際、1つの弾丸に注目させて途中で急にスローモーションになるシーンですが、その際に弾本体が白くなってキラリと光らせていて、何気に手間がかかっています。全体を白くするだけじゃなくて弾のお尻から先端にかけて白いグラデーションを流して、先端で十字の光を回転させています。もしかしたら弾ごとエフェクトかも知れないけど、その場合はエフェクトをアタッチできるヌルアニメでやってもらっている可能性もありますね。エフェクトよりもモーションの方が上流工程なので、絵コンテとカメラワークに対して良い位置に弾を持ってくる絵作りをしやすいのはモーションになるので。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=177
スローモーション中はいつもの放射ブラー + 色収差に加えて、雰囲気出しを兼ねてか小さな粒子を散りばめていますね。奥の建物の隙間から見ている空が明るいためレンズフレアも出ています。うまいなと思うのはこのあと符玄が弾丸を踏む瞬間に向かって徐々にシーンを暗くしていっていること。露出を絞っているのかな?

カメラが見上げていくとそちらから符玄の足がフレームインしてきて予定調和のような動きで弾丸を踏む演技が素晴らしい。その際に波紋 + 音波のようなエフェクトを出しています。

ショットが変わる瞬間、ライティングが変わりつつ(?)周囲の空が見えるよう中継の壁が取り払われている‥?遷移を自然に繋ぐため意図して直前のフレームに差し込んでいるのかな?

真っ白な背景に対して周辺減光を大きめに効かせています。太陽を背負っているかのように強くブルームさせているのがとても良い。キャラのアクセサリ・目・額も光らせていますね。あと弾丸が影を落としているのはボリュームライトでよくある表現ですが、ここは単に放射ブラーによってそう見せているだけだと思います。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=182
弾丸の向きを変える際に弾丸から次々と生成させている屈折の波紋も向きが変わっています。

窮観の陣
符玄が捕らえたカフカに窮観の陣をかけるシーン。1つ前の記事の星座のパーティクルでも取り上げましたが、こちらでは線が徐々に繋がっていく表現がされています。でも固定のメッシュに UV スクロールをしているだけのようにも見えますね。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=229
手から散っている粒子は、紫の色に赤寄りと青寄りの幅があります。2色分を放出しているか色にランダム幅を持たせているかでしょうか。色が単調にならない工夫をしていて良いですね✨

螺旋を描きながら中央に収束しているのはモデルかトレイルか。輝度の高いラインと柔らかくて暗い紫のラインの2種類を重ねて UV スクロールし切るタイミングをズラしているように見えますね。

みんな大好き魔法陣。エフェクトだけでなく背景と絡めた演出なため大掛かりですね。ここまでやる場合はちゃんとアートが用意されていることでしょう。ちなみにかなり引きのアングルなため、符玄から放たれるピンクのオーラはこのショットだけ大きめサイズになっているように思います。

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=234
カフカを取り巻く青いエネルギーのラインに沿う大量の粒子は、そういう絵を起伏を付けたリングモデルに貼って UV スクロールで動きの緩急を見せているように見えます。

真っ黒の絵を瞬間的に挟むことで、その一瞬でカフカの記憶/思考を読み取った様子を表現していますね。

キャラに強烈なリムライトが当たっているような表現は本体モデルへのマテリアルの仕込みなのか、背面法の輪郭モデルへのマテリアルの仕込みなのか、どうやってるのでしょうね? ちなみに余韻の粒子を広く長く持たせているのも良い感じですね✨

動画:https://youtu.be/3LhWHD-f2Jk?t=252
羅浮編は長いため、3分割くらいになりそうです。
今回はここまで。
前回の「ヤリーロVI編」はこちら。 次回の「羅浮編2」はこちら。
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