月 1 回出社のハイブリッドワークでチームの信頼関係を育んだ話
ハコベル開発本部のおおいし (@bicstone) です。普段はフロントエンドエンジニアとしてSaaSプロダクトの開発を行なっています。
この記事では、普段のリモートワークに月1回のオフィスワークを取り入れ、メンバー同士の相互理解による信頼関係を育むことを目的としたハイブリッドワークの取り組みの内容を紹介します。
背景
ハコベルでは、COVID-19の流行をきっかけに、フルリモートワークの制度を導入しました。もともとチームファーストな評価制度や、情報共有の透明性を重視した行動指針などの取り組みを行っていた背景からフィットし、以前よりも業務効率が高まる効果を得ることができました。
一方で、社員同士が顔を合わせて生まれる一体感や信頼関係が構築しきれなくなったという課題が発生し始めていました。数十名のメンバーがフルリモートワーク下で入社したり、チーム間のメンバー異動も発生したことで、この課題が顕著になってきました。
画面越しのコミュニケーションのみでは、一緒に働くメンバーのパーソナリティを理解することは難しくなり、信頼関係が構築しきれなくなります。そのため、心理的安全性が低下し、最低限度の業務に必要なコミュニケーションしか取らなくなり、積極的な議論が交わされなくなっていくという懸念がありました。
これらの課題を踏まえ、フルリモートワークによって促進できていなかった相互理解や信頼感を高めることを目的としたハイブリッドワークの取り組みを開始しました。
週 1 回の出社設定の試み
まずは、任意でオフィスワークを可能とし、特定の曜日はできるだけ出社しようという取り組みを開始しました。最初は多くのメンバーが出社したものの、出社率は毎週減っていきました。次のような課題があり、週1回の出社日設定は失敗に終わりました。
- 普段の業務があるので、業務に関わるメンバー以外とのコミュニケーションを取る余裕がない
- 普段の環境とは異なるため開発に集中できず、業務効率が低下する
- 騒音が大きいためリモート会議の効率が低下する
- 出社頻度が高いと、子育てなどプライベートとの両立が難しくなり、出社すること自体が負担になる
オフィスワークをすること自体が目的になってしまい、ただ仕事場が変わって業務効率が低下しただけの結果になりました。アクティビティのデザインをしないと有効にコミュニケーションは取れないことがわかりました。
月 1 回の出社日イベント化
そこで、出社を推奨する日を月1回に減らした上でイベント化することで、コミュニケーションを促進する日として変革しました。イベントのミッションは「月1回集中して1日オフラインでの活動にフォーカスする日をつくる」としています。
イベント当日は、普段の業務を行わないよう事前に調整します。月1回の頻度なため無理なく調整できています。
出社日イベントの段取り
- 事前にテーマ案を出しておく
Notionにやりたいテーマを書いておく。 - 主催チームを設定し、テーマを決める
毎月主催チームを設定する。主催チームはテーマ案からテーマを選び、当日の段取りを計画しメンバーに共有する。 - 出社日
当日は、テーマに沿ったアクティビティを実施する。会議費を活用し、ランチ会なども開催する。 - アンケート
イベントの翌日にアンケートを実施し、メンバーからフィードバックをもらう。
出社日イベントの例
最近行った出社日イベントの例を紹介します。
オペレーションを徹底的に理解する会
カスタマーサクセスチームのメンバーや、実際に社内で配車オペレーションをしているメンバーに対してじっくり時間をとってヒアリングを行い、オペレーションを徹底的に理解する会を開催しました。
普段の打ち合わせでは話せなかった課題や要望などをヒアリングすることで、オペレーションのより深い理解を得ることができました。さらには、雑談を通じてチームの垣根を超えたコミュニケーションを取ることができました。
ヒアリングした内容は、他のチームにも理解できるように発表するというアウトプット活動も行いました。
カスタマーサクセスチームのメンバーへエンジニアメンバーがヒアリングをしている様子
ヒヤリングの結果をまとめ、業務フローや課題を整理
自社プロダクトを触りながら理解を深める会
ハコベルは複数のプロダクトを展開しており、プロダクトごとにチームを設けています。そのため、多くのメンバーは普段開発していない自社プロダクトの機能や仕組みをすべて理解できていませんでした。そこで、普段開発していない自社プロダクトを触りながら理解を深める会を開催しました。
他チームとのコミュニケーションを深めたり、他チームのプロダクトを操作することで理解を深めることができました。さらには、第三者目線で操作することで、気が付いたことや課題を洗い出したり、さらにはバグを発見することもありプロダクトの改善にも繋がりました。
自社プロダクトを触りながら、複数のチームメンバーが一つになって打ち合わせをしている様子
フローをまとめ、気がついたことを付箋に記入
緊急度が低いが課題感はあるタスクを片付ける会
全チームのバックログを見渡すと、緊急度が低いが課題感はあるタスクが多く溜まっていることに気が付きました。そこで、これらのタスクを一気に片付ける会を開催しました。
システム改善などを通じて、プロダクトが将来にわたって継続的に価値を提供するための土台作りができました。また、システム改善タスクが片付くことで、メンバーのモチベーションが上がったという効果もありました。
また、全員が同じ場で作業しているため他のチームの技術に強いメンバーへ口頭で質問をするなどのコミュニケーションも取りやすいというメリットがありました。
次の記事で取り上げた改善は、このイベントで実装したものです。
自己紹介ランチの会
ハコベルは、事業拡大によりメンバーが増えてきており、開発メンバーは30名を突破しました。メンバーが増えるにつれ、一緒に仕事したことがないメンバーも増えてきており、お互いのバッググラウンドや価値観などを知ることができる機会は少なくなってきました。
そこで、美味しいピザとオードブルを囲みながら、みんなで自己紹介を発表するというランチ会を開催しました。お互いのバッググラウンドや価値観などを知ることができたり、その後の質問を通じて雑談することで、チームの垣根を超えてコミュニケーションが活性化されました。
それぞれのメンバーの背景や得意分野などを発表し、メンバーのパーソナリティを知ることができました。よって、組織全体でメンバーの相互理解やコミュニケーションの活性化ができました。
成城石井のオードブルを囲みながらランチをしている様子
主催者の想定を上回る速度で無くなっていくピザ
画面にスライドを投影してエンジニアメンバーが自己紹介をしている様子
出社日イベントの評価
出社日イベントの翌日に匿名でアンケートを取っています。イベントの満足度を尋ねたところ、94 % のメンバーが「とても良い」「良い」と評価しています。
また、改善点やアイデアを挙げてくれるメンバーもおり、今後のイベントの改善に繋げています。
94 % のメンバーが「とても良い」「良い」と評価
まとめ
ハコベルにおけるハイブリッドワークの取り組みについて紹介しました。
COVID-19の流行をきっかけにフルリモートワークへ移行しましたが、現在はオフィスワークを任意にした上で、アクティビティを明確にした月1回の出社日イベントを実施するハイブリッドワークを実施しています。
ハイブリッドワークを行うことで、フルリモートワークによって促進できていなかった相互理解や信頼感を高めることを目指しています。
今後も月1出社のハイブリッドワークを継続していきます。
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Discussion
自社オフィスを持たない企業の皆様の場合も、月 1 回レンタルスペースを借りるという運用がオススメです。
毎週だと費用面でキツいと思いますが、月 1 回であれば費用対効果が十分高そうです!