ちょっと乗り遅れたが心理的安全性についてまとめみた
はじめに
たまたま(本当は必要なかったんですが、、、)、心理的安全性について調べる機会があったので、調べた内容をまとめてみました。ホットなタイミングはちょっと前だったかもしれませんが、このタイミングで書いてみました。
最近よく耳にするようになった背景
昨今は変化の激しいVUCAの時代になりました。
VUCAというのはVolatility Uncertainty Complexity Ambiguityの略で変動性が高く、不確実性に満ち、複雑性・曖昧性の高い時代という意味になります。
変化が激しいというのは正解のない時代、または正解がすぐに変化してしまう時代です。こういった正解のない時代において、チームの力を引き出すことが非常に大切であると考えられました。
「チームの力を引き出す」とは、多様な視点や意見を持ち寄り、チームとして挑戦し、試行錯誤し、軌道修正しながら前へ進むということです。
そこで心理的安全性が重要視されるようになってきました。
心理的安全性とは?
では心理的安全性についてです。
最近よく聞きますが、実はかなり歴史は古く、マサチューセッツ工科大学のEdgar Schein、Warren Bessis教授が1965年に提唱しました。
「組織の課題や挑戦に対して、安心して行動を変えることができる、と人々が感じるために心理的安全性は、重要である。」
ということで、地位や経験に関わらず、誰もが意見や疑問を言うことができる組織やチームになっていることを意味します。個人の話ではなくチーム全体がそう言う状態になることです。
チームの誰もが不都合な話でも共有してメンバーなりの視点で意見を言い合い、疑問を確認できる状態だと心理的安全性の高いチームとなります。
言い合うというのは人間関係に衝突が起きるということではなく、価値あるゴールのために意見を出し合えていることを指します。心理的に安全だからこそ意見をぶつけ合うことができるのです。
誰もが率直な意見を言える心理的安全性が組織の業績に貢献するという証拠が米国組織行動学会を中心に報告されています。
ハーバード大学のAmy.C.Edmondson教授はチームの心理的安全性について、1999年に以下のように定義しました。
「チームの心理的安全性とはチームの中でリスクを取っても大丈夫だ、と言うチームメンバーに共有される信念のこと」
ということはチームの心理的安全性はチームの色が出るものとなります。全てのチームが同じ信念かどうかは違います。ですので各チームで心理的安全性は異なっていきます。
続いて、チームの心理的安全性が高いとどんなメリットがあるのでしょうか。
チームの模索や挑戦による学習を促進して、中長期でパフォーマンスに貢献することです。また、意見の衝突がイノベーションにつながるので、より良いアウトプットになる可能性が高いです。それを逆に個人に落とし込むと、満足度とエンゲージメントが上がって離職率が下がるということになります。
心理的安全性をビジネスドメインに広めたのはGoogleです。
優秀な人を集めたチームより心理的安全性が高いチームの方がパフォーマンスが高かったのです。組織やチームの視点では心理的安全性は組織やチームの成長とパフォーマンスの先行指標と捉えらることができます。
心理的安全性があれば全てできるわけではないけど、複雑な協働が必要なとき、全ての土台となりうるものと捉えることができます。
心理的安全性を作る4つの因子
心理的安全な組織やチームを作るためのフォーカスポイントは以下の4つになります。
- 話しやすさ
- 気づいたことを自由にシェアできるか
- 知らないことを知らないと言えるか
- 助け合い
- チームは相互作用があって初めてチームになる
- 相談に乗ってくれる雰囲気がある
- 問題が発生した時に人のせいにせず建設的に解決策を考える雰囲気がある
- 挑戦
- 成功しようが失敗しようがそれを受け入れる
- トライすることを歓迎する
- 挑戦は損ではなく得なことだと思える
- 実績がないものを取り入れやすくなる
- 新奇歓迎
- メンバー一人一人の強みを共有し、適材適所でチームのパフォーマンスを高められるかどうか
- 役割に応じて強みを発揮することを歓迎されていると感じる
- 常識にとらわれず様々な視点を持ち込むことが歓迎される
- 挑戦に似てるかもしれないけど人にフォーカス
心理的安全なチームは意見を言っても、助けを求めても、挑戦してみても、個性を発揮しても安全なチームということになります。
ですので、これら4つの因子を高めていくことが大切になってきます。
心理的安全性のよくある誤解
よく心理的安全性が高いと、それは緩いチームなのでは?と思う人たちがいるが、そこは仕事の基準と併せて考えます。
心理的安全性を高めても仕事の基準が低いと「ヌルい職場」になってしまいます。理想は仕事の基準が高い 「学習する職場」 になります。
他にも話しやすさ因子が高くて挑戦因子が低いことで「ヌルい職場」になることがあったり、助け合い因子が低いとキツい職場になったりと、各因子をそれぞれ高めていくことが重要になってきます。
では仕事の基準を高めるためには、どうすれば良いでしょうか。
それは目指すべき姿を言語化してチーム内で共有することが非常に大切になります。共通言語化できるとチームメンバーが同じところを目指して動けるので、仕事に対して高い基準を持つことができるといわれています。
健全な衝突
高い仕事基準で心理的安全なチームは健全に衝突します。
一般的な組織論では3つの衝突が定義されています。
- 人間関係
- タスク(意見の相違)
- プロセス(誰が何をやるのか)
いずれもそのまま衝突すると業績にネガティブな影響あります。しかしながら、その中で「タスク」は心理的安全な状況ではポジティブな影響になり得ます。意見を言っても安全だから逆説的に健全に衝突でき、プラスになっていきます。
衝突というイメージは対立するみたいに聞こえますが、健全な衝突は価値あるゴールに向かってそれぞれの意見をしっかりと出し、どれが価値があるのか議論できることをいいます。もちろん前提として価値あるゴールが明確になっていることが大切です。
チームの誰もがチームのゴールに向かって意見や疑問を伝えられ、安全だからやってみるということをできることが心理的安全性となります。
リーダーシップとフォロワーシップ
変革にはリーダーシップが重要となります。
心理的安全性を高めていくには一人一人がリーダーシップを磨くことが重要になります。そして、誰かがリーダーシップを発揮した時に周囲のフォロワーシップも重要になってきます。
それぞれがどういうものなのか詳しく見ていきます。
リーダーシップ
よくいうリーダーとリーダシップの違いはリーダーが役割に対しての言葉でリーダーシップは他者へ影響を与える能力(リーダーに限らない能力のこと)に対しての言葉となります。
チームの心理的安全性とは「チームの歴史」を背負った「結果・状態」であるといえます。過去のメンバーの行動や起きた事件、それに対する対応の積み重ねが、チームの心理的状態となります。チームの状態はそれぞれのチームでもちろん違うので全てのチームに使える正解はありません。一つ一つのチームに応じて柔軟に対応できる心のしなやかさ、心理的柔軟なリーダシップが大切です。
心理的柔軟性
正論を振りかざすのではなく「役に立つこと」をすることを意味します。
役に立つことをしなやかにするポイントは心の中のことではなく実際の行動そのものに集中することが重要です。例えば、リーダーが「当事者意識」とか「主体性」のような抽象的なことを言ったところで、メンバーとの共通認識が成り立ってないとミスコミュニケーションが発生するリスクが高くなります。それよりも、具体的な行動を言ってあげた方が役に立つことに直結できます。
大切なのは心理的柔軟性を発揮し、心理的安全性をもたらすためにも、行動にフォーカスをすべきということになります。
リーダーシップとしての心理的柔軟性には3つの要素が存在します。望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らすためにあるといえます。心理的非柔軟だと、それが望ましくないものでも過去の行動パターンから脱出するのが難しくなり負のサイクルに陥ってしまいます。
- 必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
- 大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
- 大切なものや意義を明確に言語化することで、行動を起こす際の推進力を生み出す
- プロジェクトやチームとして大切なことを明確にし、実際にそこへ向かっていく
- 大切なものや意義を明確に言語化することで、行動を起こす際の推進力を生み出す
- それらをマインドフルに見分ける
- 役に立っているかどうかに気づく
- ネガティブに陥っていること、大切なことから離れていることに気づき、しなやかに軌道修正をする
- 役に立っているかどうかに気づく
必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
これが低いと以下のようになっていきます。
- 思い込み・バイアスで判断する
- 安心するためだけの検討を続ける
- 自分の正しさを証明するための仕事が増える
思考を真に受ける(思考=現実)てしまうと柔軟性がどんどん低くなってしまいます。そういった場合は、思考を軽く持ち、距離をとることが重要です。その思考から世界を眺めるのではなく、思考そのものを観察する訓練ができると困難な思考があったとしても効果的な行動が取れるようになります。
そもそも思考というものに気づくことが難しいですが、「そういったことがあるかもしれない」という認識を持つことが大切です。
大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
これが高いと以下のようになっていきます。
- 働く意味・意義を感じられる
- 役に立つ行動が増える
- 仕事の「基準が」上がる
「ヌルい職場」から「学習する職場」への変革はこれが重要になります。
チームや組織として、向かいたい方向・大切なことがわからないと「価値の混乱」が発生します。これは以下のようなよろしくない状態になっていきます。
- とりあえず折衷案(妥協案)で決める
- 個人目標を達成することに集中し、助け合いがない
- 顧客やミッションではなく、上司の顔を見た仕事になってしまう
そうならないためにも個人の「大切なこと」が明確になってきたら、チームや組織の中でも「大切なこと」やこの仕事をやる「意味・意義」を話し合い、言語化していきます。「大切なこと」が言葉として明確になっていると仕事を取り組む姿勢と取り組む質量が変わってきて、障害や困難があったとしても具体的な行動を試行錯誤します。そうすると、現実のフィードバックをもとに、行動を修正することが可能になってくるので非常に大事なポイントとなります。
ここで重要なのは言葉のきっかけを作ることです。
- 人々の行動を強化(増加) する
- 行動の意味が感じられるもの
- 迷った時の目印 となるもの
上記のようになる何かが、チームにとって良い「言葉のきっかけ」というものになります。
それらをマインドフルに見分ける
これが低いと以下のようになっていきます。
- 現実からのフィードバックが受け取れなくなる
- 心ここに在らず、上の空で集中できない
- 肩書きやメンツにこだわり「大切なこと」を忘れる
刻々と変わる文脈や状況に合わせて、役に立たない行動をやめて役に立つ行動を取るために重要な要素となります。いま、この瞬間への、柔軟な気づきと集中が必要です。これはマインドフルネスとか座禅の取り組みに近いです。経歴や肩書きなどの「物語としての私」を離れ、自分自身の思考や行動も客観的に眺められる「観察者としての私」で居続けることができるようになります。
さらに、この柔軟性のポイントは2つあります。
- 「心ここに在らずで上の空からマインドフルな集中」
- 「物語としての自己から観察者としての自己」
心ここに在らずで上の空からマインドフルな集中
いま、この瞬間に集中するヒントは、思考ではなく五感に注意を向ける訓練をすることです。創造の産物や認識ではなく、自分が直接感じたもので判断することをやってみます。
物語としての自己から観察者としての自己
物語としての自分に囚われてしまうと以下の問題が発生します。
- 自分らしさを守るため、役に立たない行動を続けてしまう
- 自分の立場を守るために、正当化を始める
- 自分=上級の役職となった結果、メンバーに助けてと言えなくなる
- 過去の自分らしくないけれど、道が開けるかもしれない新しい行動パターンが取りにくくなる
- 価値創造ではなく、自分の有能さを示すための仕事をしてしまう
こういった状態は負のサイクルを生むため改善していく必要があります。自己というのはイコールの集合体という考え方から、まずは、自分のイコールに気づくことが大事になってきます。その上で、自分自身の「物語」、つまり自分とイコールで結んでいる肩書きや、自分に対する決めつけ・思い込みを離れて、自分自身の思考や感情を、むしろ観察することで、他人の視点・立場からも物事を眺めてみることが少しづつできてきます。
物語としての自分が色々な物語・出来事に一喜一憂することだとすると、観察者としての自分とは自分の人生で上映されている映画を見ている観客であるようなものです。映画を見ている感覚で全ての感情を楽しめるという考えのもとネガティブな感情も含めて感情は楽しめるものと捉えられると、苦痛や嫌な気持ちを避けるために人生を消費するのではなく、たとえ苦痛があっても有意義で豊かな人生を選ぶことが私たちにはできるはずです。それが嫌な気持ちとの戦いから受け入れるということへの変容となります。
このようにまとめてきましたが、わたしたちは心理的非柔軟性に陥りやすいです。その時に「それは相手の問題だ」と考えず、行動分析をちゃんと考えるて相手にプラス方向の行動をしてもらうように自分の行動と品質の両方が上がる努力すべきです。
心理的柔軟なリーダシップを発揮し、心理的安全性4つの因子にアプローチしてみて、うまくいかない時は他者の反応に心理的柔軟に接触することでしなやかに自分自身の行動をより役に立つ行動へと変えていく。これが心理的柔軟なリーダーシップとなります。
出典/『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)
フォロワーシップ
フォロワーシップはカーネギーメロン大学のRobert E. Kelley教授が1992年に以下のように定義しました。
「リーダーの言動に対して建設的な批判をし、自発的で担当業務以上の仕事をすること」
では、なぜフォロワーシップが大事なのでしょうか。
組織が出す結果への影響力はリーダーよりメンバーの方が圧倒的に高く、80〜90%にものぼります。組織目標を達成するためには、リーダーの推進力とフォロワーのバックアップが必要不可欠となります。
リーダーシップとフォロワーシップの違い
リーダーシップを発揮する人は自らのゴールに向けて周りに影響力を発揮する人ということとなりリーダーシップは当事者視点となります。
逆にフォロワーシップはわたしたち視点となります。
微妙にニュアンスが分かりにくいですが、わたしたち視点というのは他人事ではない状態を指します。「わたしたち視点」を持つことでチームで起きることは以下があります。
- 素朴な疑問が出る
- アイデアが出る
- 提案がある
- 改善点が提言される
- チャレンジが生まれる
- 全員の意見がしっかり出る
- ゴールや目的が共有される
- それぞれの個性が発揮できている
前述の4つの因子が「わたしたち視点」を持つことでさらに高まっていきます。
誰かがリーダーシップを発揮しようとした時にフォロワーが一人でもいることで成果が変わってくることがわかっています。なので、この2つの要素が大切になってきます。
「わたしたち視点」を持つためには、「当事者視点」で見ているゴールが共有されていると「わたしたち視点」を持ちやすいといわれています。
フォロワーシップのあるチームでは以下のような行動がたくさん生まれるサイクルとなり4つの因子が高まっていきます。
- 率直な疑問を質問する
- 求めるサポートを聞く
- 自分のアイデアを提案する
- 得意なことを共有する
そして、フォロワーシップが高いメンバーの感謝や承認の言葉でリーダーは自分の行動に確信を持つことができ、より行動が増えていきます。
心理的柔軟なリーダーシップを磨き、チームでフォロワーシップを発揮することで心理的安全で成果の出るチームになっていきます。
まとめ
自分自身は話しやすさを重視するマインドでやって来たので、少しはこの考え方に寄与しながらチームビルディングして来たとは思うのですが、行動分析という概念を知らなかったので、メンバーへマイナスな行動もすごいしていたと思いました。今回色々まとめまて、自分のよくなかった行動を見つめ直せてよかったと思います。
ただ、正直分かりにくい抽象的な話が多かったなぁと(苦笑
特にリーダーシップの部分、、、
心理的安全性について完全に理解できたわけではないけど、理解できた中でこれからの仕事にプラスになるようなものを取り込んでいきたいと思います。
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