最高のAIコーディング環境を目指してあれこれ試した結果と教訓(2025/07)
対象読者
こんな方に読んでもらえると嬉しいです。
- AIコーディングツールの導入を検討中のエンジニアの方
- 最新のAI開発ツールの動向や活用ノウハウに興味がある方
- GitHub CopilotやVSCodeから、もっと効率的な開発環境に移行したい方
- Claude CodeやCursorなど複数のAIツールの使い分けや実運用例が気になる方
- AIツールのコストやプラン選び、実際の課題について知りたい方
はじめに
数年前まで、開発ツールは あくまで支援ツール 程度の認識でした。VSCodeでもWebStormでもVimでも、どれを使ってもそれほど生産性に大きな差は出ないだろうと感じていて、正直あまり関心がありませんでした。GitHub Copilotも使ってはいましたが、「コード補完でちょっと便利になった程度」 という感覚でした。
また、会社での役割の都合上、時間のほとんどを内外の会議・教育などに費やし、指示するだけでほとんどプログラミングに関わることができない状況が続いていました。
ところが、今年に入って開発環境は激変しました。 特に、Clineを知って初めて試したとき、AIが複数ファイルを自動で編集する様子に衝撃を受けました。「これはキャッチアップしておかないとマズい...!」と感じ、Github Copilot、Cursor、Windsurf、Claude Code、Gemini CLIなど、次々と登場する新しいツールを試す日々が始まりました。
そして何より、あまり時間をかけることなく、またモノづくりに携わることができるようになったのが嬉しくて、すっかりハマってしまいました。ツール選びが生産性に直結する時代になったことを痛感しています。
そんな中で試行錯誤を重ねた結果、自分にとって最適だと思う構成に辿り着きました。また、年間契約で失敗した経験なども含め、AIツール選びで学んだ教訓も一緒に共有したいと思います。
結論:Cursor + Claude Code
様々なツールを試した結果、現在の私のベストな開発環境は以下のようになっています。
- ベースエディター: Cursor
- メインAI: Claude Code
- MCP: context7 + sequential-thinking
「AI搭載エディター(Cursor)を使っているのに、なぜ別のAIを?」 と思われるかもしれませんが、「適材適所」での使い分け が、AIの能力を最大限に引き出すポイントだと感じています。
👇こんな感じです。
なぜ Cursor + Claude Code なのか?
1. UI/UXが優れたエディター:Cursor
開発の土台としてCursorを選んだ理由は以下の通りです。
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優秀なタブ補完: コーディング中に思考の流れを一切妨げず、頭の中にあるコードがそのまま画面に現れるような感覚です。従来のIDEとは一線を画す体験で、一度慣れると他のエディターには戻れません。
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Ctrl+K
による編集: コードを選択して指示を出すだけで、瞬時にリファクタリングや修正ができます。ちょっとした調整に最適です。 -
新機能リリースの速さ: GitHub Copilotから乗り換えた理由の一つとして、新機能のリリース速度の差がありました。特にAgentモードの正式リリースが遅く、Cursorの方がアップデートが早く新しい機能が次々に追加されています。
特にタブ補完については激推しです。他ツールの補完とは比較にならないほど自然で、コーディングのリズムを崩しません。これだけのためにCursorにお金を払っていると言っても過言ではないです。
2. 頭脳としてのAI:Claude Code
高度で広範囲なタスクには、Claude Codeを利用します。Claude Codeを選んだ最大の理由は、他のツールとは次元が違う分析・プランニング能力です。
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深い分析・調査能力: プロジェクト全体を俯瞰して複雑な依存関係を把握し、問題の根本原因を的確に特定してくれます。ベテランエンジニアが数日かけて調査した結果を、数分で提示してくれるような感覚です。
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実装プランニング能力: 新機能の実装戦略を立案する際の精度が群を抜いています。「何から手をつけるべきか」「どんなリスクがあるか」「どの順序で進めるか」まで、実現可能で段階的な戦略を提示してくれます。
特に分析・プランニング能力については激推しです。他のAIツールとは比較にならないほど深く、実用的です。技術記事のトレンドがClaudeCodeで埋め尽くされているほど注目されていることが、その証拠かと思います。
最近話題の Gemini CLI はどう?
Gemini CLI も試してみましたが、以下の理由でメインツールにはなりませんでした。
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モデルの自動フォールバック:
gemini-2.5-pro
からgemini-2.5-flash
にすぐフォールバックされてしまい、高品質なモデルを継続して使えないことが多々ありました(有料のAPI経由なら大丈夫らしいですが)。 -
プランニング能力の差: 複雑な実装戦略の立案において、Claude Codeほどの深い思考プロセスを感じられませんでした。この点については後述の sequential-thinking を使うことで、ある程度補うことができます。
ただし、文章作成にはよく使っており、十分使えるツールだと思います。
また、無料で使う場合は モデル学習に使われるリスクがあるため、注意してください。詳しくはこちらの記事にまとめています。
MCPでAIの能力をさらに拡張
Claude CodeにはMCP(Model Context Protocol)という拡張機能があり、AIの能力を向上させることができます。CursorにもMCPが導入されており、同じ設定を適用しています。 私が重宝しているMCPは以下の2つです。
context7
最新のフレームワークやライブラリのドキュメントを直接取得し、AIが学習していない新しい技術にも対応できるようになります。最新バージョンのライブラリの仕様について質問する際や、古いバージョンのコードを書かせたくない際に威力を発揮します。
インストールコマンド
# Mac/Linux(WSL)
claude mcp add context7 -s project -- npx -y @upstash/context7-mcp
# PowerShell
claude mcp add context7 -s project -- cmd /c npx -y @upstash/context7-mcp
プロンプト例
Laravelの最新バリデーションルールについて教えて use context7
sequential-thinking
複雑な問題を段階的に分析し、思考プロセスを可視化してくれます。パフォーマンス問題の調査、設計の検討、デバッグ時の原因特定など、論理的な思考が必要な場面で有効です。
インストールコマンド
# Mac/Linux(WSL)
claude mcp add sequential-thinking -s project -- npx -y @modelcontextprotocol/server-sequential-thinking
# PowerShell
claude mcp add sequential-thinking -s project -- cmd /c npx -y @modelcontextprotocol/server-sequential-thinking
ツールの使い分け
開発を進める際のツールの使い分けは以下のようにしています。
1. 【Claude Code】大枠の設計と調査
まず、Cursor内のターミナルでclaude
を起動。Shift+Tab
(Windowsで動作しない場合はこちらの記事を参照)でPlan Modeに切り替えてから「○○機能を実装したい」と相談。既存コードの分析、データベース設計、実装についてのプランを一緒に考えてもらいます。完成した計画は plan.md
ファイルに出力しておきます。
2. 【Claude Code】骨格コードの生成
Shift+Tab
でAct Modeに戻してから、plan.md
ファイルをコンテキスト(@plan.md
)として、設計に基づき、複数ファイルにまたがる骨格となるコードを生成してもらいます。
3. 【Cursor】細かい調整と仕上げ
生成されたコードを、Cursorのタブ補完とCtrl+K
を使って微調整。変数名の変更やちょっとしたリファクタリングなど、仕上げの作業を行います。
4. 【Claude Code】ドキュメント作成
コードが完成したら、再びClaude Codeでドキュメント作成を行います。READMEファイル、API仕様書など、プロジェクトに必要なドキュメントを生成してもらいます。細かいテキストの修正はCursorのタブ補完とCtrl+K
を活用します。
このように、全体的な設計や調査はClaude Code、細かい調整やリファクタリングはCursor と使い分けることで、AIと何度もやりとりしたり、最初からやり直したり...など無駄な時間をかけずに開発を進めることができます。
なぜCursorのAgentモードを使わないのか?
CursorにもAgentモード(複数ファイルの編集や複雑なタスクを自動実行)や、Todoリストの自動作成などの機能がありますが、以下の理由で現在は使用していません。
-
月の利用制限が厳しい: Claude-4-sonnetなどの高性能モデルは月の使用量に上限があり、予期しないタイミングで制限に達してしまうリスク があります。
Claude-4-OpusのようなMAXモデルを何も考えずに使うと 数日で制限に達してしまいます し、リセットされるまでの期間(利用開始日から1ヶ月?)は、あまり賢くないモデルでやり過ごす羽目になります。 - コスト管理のストレス: 使用量を常に気にしながら開発する必要があり、「思考を止めずにコーディング」というCursorの最大のメリットが損なわれて しまいます。最初は楽しみながらモデルを使い分けしていましたが、もう飽きた&疲れました。
なお、Claude Codeが制限に達した際にサブ的に使うことはあります。 メインでは使いませんが、緊急で何かを直したいときなどには重宝しています。
制限を気にせず自由に使える環境が整えば、Agentモードも非常に魅力的な機能だと思いますが、使用量ベース課金やUltraプランを契約するのでしたら、Claude CodeのMAXプランの方がコスト管理のストレスがなく良いと思います。
コストの節約方法については、以下の記事をご覧ください。
契約中の料金プラン
現在、私が契約中の料金プランです。
- Claude Code: Proプラン(月額$20)を利用中ですが、使用頻度が高いためMaxプラン(月額$100〜)への移行を検討しています。
- Cursor: Teamsプラン(月額$40)を年間契約(割引ありで月額$32)していますが、個人開発であればProプラン(月額$20)で十分です。
ここで、料金プランに関連して大切な教訓をお伝えしたいと思います。
教訓:AIツールの長期契約は慎重に!
AIツールは長期契約しない方が良い というのが、試行錯誤した経験から学んだ教訓です。
実は、GitHub CopilotからCursorに乗り換えた時は、Copilot Businessプランが月額契約しかなく偶然にも救われていました。しかし、2025年はじめに複数のツールを十分検証し、慎重に検討した上で「Cursor一本に絞る!」と決めて年間契約(割引があったので)をしました。それでも、たった数か月でClaude Codeがメインに変わってしまいました。
AIツールの進化は予想以上に速く、数か月で主力ツールが変わることもあってもおかしくないと思います。月額契約で柔軟性を保つ方が、結果的にコスト効率が良いと感じています。
おわりに
AIコーディングツールは 単一のツールに固執せず 、それぞれの 長所を理解し組み合わせて活用する ことが、現時点での最適解だと考えています。
また、進化が早いため長期契約は避け、柔軟性を保つことも重要な学びでした。過去に試してイマイチだったツールも、バージョンアップして良くなっていることがあるので、定期的にツールを試し直すことも大切 です。
今後も様々なツールを試しながら、自社にあった「ベストプラクティス」を更新し続けていきたいと思います!

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