XR Kaigi 2025 での登壇にあわせて衝動買いした AI スマートグラスから考える眼鏡型デバイスの普及
技術戦略部 創造開発ブロックの @ikkou です。創造開発ブロックでは主に XR 領域を見据えた取り組みに関与したり、GitHub × ZOZOTOWN コラボや HHKB × ZOZOTOWN コラボなどの IT コラボを企画したりしています。
2025年12月1日(月)から3日(水)の3日間にわたり “「バーチャル領域の担い手がノウハウや技術をシェアし、繋がり、高め合う」バーチャル領域(XR / メタバース /VTuber)を扱う国内随一の業界カンファレンス” である XR Kaigi 2025 が開催されています。
私は2日目に『Looking Back: How XR Changed in 2025』のスピーカーとして登壇しました。
オープンコラボレーションハブ LODGE が主催する、「XR」をテーマにしたトーク & 体験イベント「LODGE XR Talk」の XR Kaigi 出張版セッションです。ゲストを交え、XR コミュニティの側面から、2025 年に XR はどう変わったのかを振り返ります。
これは ZOZO の紀尾井町オフィスが入居している紀尾井タワーの 17F にあるオープンコラボレーションハブ LODGE で毎月開催されている「LODGE XR Talk」の XR Kaigi 出張版です。
本セッションはアーカイブなし、資料公開なしのため、気になる方は参加された方(いつもありがとうございます!)の一連の実況ポストを参照してください。
一緒に登壇した株式会社palan 代表取締役の齋藤(写真左)とLINEヤフー株式会社の市川さん(写真右)は 日常的に眼鏡型デバイスを使用 しています(技適特例申請済み)。こうした眼鏡型デバイスは、今はまだイノベーター、アーリーアダプターに留まっていると認識していますが、ここ数年で Apple Watch をはじめとする時計型デバイスのように普及する可能性を秘めています。
もちろん私も興味はありつつ、しかし慢性的な頭痛持ちのためか頭を締め付けがちな眼鏡型デバイスとの相性が悪く、ずっと避けてきたのですが、XR Kaigi 2025 の出展ブースでスマートグラスが販売されていたので「このお二人と並ぶなら」と衝動的に 𝒎𝒚 𝒏𝒆𝒘 𝒈𝒆𝒂𝒓. してしまいました。
今回、衝動的に手に入れたのは SKYWORTH 社の「AI Smart Glasses A2」です。
眼鏡型デバイスは大別すると以下のように分類できます。
- ディスプレイ無しカメラ付きの Ray-Ban Meta
- ディスプレイ無しカメラ無しの Even G2
- ディスプレイありカメラ無しの XREAL シリーズ(一部機種はカメラ後付可能)
- ディスプレイありカメラ付きの Spectacles や Meta Ray-Ban Display
なお、これはかなり大雑把な分類です。詳細に触れるには横道に逸れすぎるので、興味のある方は こたうち さんさん さんスマートグラス本を参照してください。
閑話休題。このスマートグラスはKDDIテクノロジー社が XR Kaigi 2025 で展示しているデバイスのひとつです。KDDIテクノロジー社は今回の提携にあわせて技術基準適合証明を取得したそうです。
今回、Skyworth社と提携し新たなAIグラスを展示します。本グラスは重量42グラムと軽量で、1回の充電で写真1000枚以上の撮影が可能です。内部ストレージは32GBあり、アプリと連携して録音・録画データを抽出できます。
今回の展示では、このSkyworth社製AIグラスの実機をご体験いただけます。
このスマートグラスに先行して au Online Shop では SKYWORTH 社のスマートテレビを取り扱っています。もともとの取引先でもあるため、座組が組みやすかったのかもしれません。
今回の提携は展示に留まらず販売も視野に入れているものなので、今後 au Online Shop などの販路で購入できるようになる世界線もあり得ると考えています。
前述の通り、私はこうした眼鏡型デバイスが普及する未来はあると信じていますが、その鍵は 3 つあると考えています。1つ目は「販路」です。今でこそ家電量販店で購入できる「Meta Quest 3」ですが、かつては Meta Store(当初は Oculus Store)からドル建て払いで輸入する必要がありました。それが VR ムーブメントの勃発により日本市場が重要視され、そして販路が切り開かれた末に今があります。
眼鏡型デバイスは XREAL シリーズをはじめとして既に日本での販路が切り開かれていますし、日本での盛り上がりを受けて Even Realities の Even G2 は眼鏡型デバイス界隈では定評のある JUN GINZA さんで購入できるようになりました。そうした中、いわゆる携帯キャリアでの取り扱いが始まれば、“ついで” の購入すらあり得ると考えています。
2つ目の鍵は「社会的許容性」です。これはセッション中でも齋藤さんが言及していましたが、カメラ付きのスマートグラスは「盗撮」を疑われるケースが想像に難くありません。また、カメラ無しのスマートグラスでも「録音」は可能です。昨今の AI メモ系デバイスがそうであるように、私たちの会話は知らず知らずの内に AI に“食わされている”可能性があります。もちろん犯罪行為は論外ですが、普及していく道中で、この社会的許容性が課題になってくるのは間違いありません。
そして、3つ目の鍵は「ロビイング」です。急に政治的な話に飛んだかと思われるかもしれませんが、1つ目の「販路」を切り開く際には必ず「技適」が課題になります。今、日本国内では展開されていない優れた XR デバイスが複数ありますが、技適が障壁のひとつとなっているのは間違っていないはずです。そして2つ目の「社会的許容性」にしても、おそらく法令や条例に手を入れる必要があるのではないかと考えています。これらを実現するための手段として、やや飛躍した考え方かもしれませんが「ロビイング」を挙げています。
かといって、政治の世界に身を置きたいわけでもないので、間もなく VR 元年 10 周年を迎えることから、そうした方向に送り込める方が現れるといいな、と夢想しています。
現場からは以上です!
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