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【統計検定準1級】ポアソン分布

2024/07/22に公開

はじめに

この記事では、統計検定準1級取得に向けて学習したことをまとめていきます。
工学系の数学ではなく数理あるあるの、論述ゴリゴリな解答になっていると思いますのであらかじめご了承ください。
注意:さらに計算過程は数学文化の『省略の美』を無視してエレファントに書いています。

【リンク紹介】
統計検定準1級のまとめ記事一覧
これまで書いたシリーズ記事一覧

学習書籍について

この記事では「統計学実践ワークブック」を中心に、学んだことをまとめていきます。記事を読んで本格的に勉強してみたいなと思った方は、是非ご購入を検討なさってください。


参考書籍について

統計実践ワークブックは、大量の知識項目と問題が収められている反面、計算過程や知識背景が大きく省略されているため、知識体系をきちんと学ぶ参考書として東京大学から出版されている名著「統計学入門」を使っています。
※ワークブックとしては素晴らしい質だと思いますが、どうしてもその内容量とページ数の都合上、問題のない範囲で削除されているということです。人によっては1冊で問題ない方もおられると思いますが、私には無理でした。


ポアソン分布

Xを非負整数の確率変数であるとする。このとき、Xの確率が

\begin{alignat*}{2} P(X = x) &= p(x) \\ &= \cfrac{\lambda^x}{x !} e^{- \lambda} \hspace{5mm} (x = 0, 1, 2, \cdots)\\ \end{alignat*}

であるとき、この確率関数pポアソン分布(Poisson distribution)といい、Po(\lambda)で表す。

ポアソン分布の再現性

「Y_1がPo(\lambda_1)に、Y_2がPo(\lambda_2)にそれぞれ従い、かつY_1とY_2が独立である」\\ ならば、Y_1 + Y_2はPo(\lambda_1 + \lambda_2)に従う。

ポアソン分布の期待値

E[X]X期待値

E[X] = \lambda

ポアソン分布の分散

V[X]X分散

V[X] = \lambda

ポアソン分布の確率母関数

G(s) = E[s^X]X確率母関数

\begin{alignat*}{2} G(s) &= E[s^X] \\ &= e^{\lambda (s - 1)} \end{alignat*}

例題

(「統計学実践ワークブック」より)
問5.4
あるサッカーの試合において、チームT1があげた得点XおよびチームT2があげた得点Yがそれぞれ独立に平均1.5および3のポアソン分布に従うと仮定する。次の空欄に当てはまる数値または用語をこたえよ。
[1] 2チームの合計得点X + Yの従う分布は、平均が\fbox{ ア }、分散が\fbox{ イ }のポアソン分布である。
[2] 2チームの合計得点X + Yが5であるという条件のもとで、チームT1の得点Xが平均\fbox{ ウ }\fbox{ エ }分布に従う。

解答

問5.4
[1] X, Yはそれぞれポアソン分布に従うことから、

E[X] = 1.5 \\ E[Y] = 3

である。まずE[X + Y]をもとめる。

\begin{alignat*}{2} E[X + Y] &= E[X] + E[Y] \\ &= 1.5 + 3 \\ &= \underline{4.5} \cdots \fbox{ ア } \end{alignat*}

次にV[X + Y]を求める。X, Yはそれぞれポアソン分布に従うことから、

V[X] = 1.5 \\ V[Y] = 3

であり、こちらもX, Yが独立であるので、

\begin{alignat*}{2} V[X + Y] &= V[X] + V[Y] \\ &= 1.5 + 3 \\ &= \underline{4.5} \cdots \fbox{ イ } \end{alignat*} (ポアソン分布の再現性を用いた解答)

X, Yはそれぞれポアソン分布Po(1.5), Po(3)に従い、かつX, Yは独立であることから、
X + Yはポアソン分布Po(1.5 + 3)に従う。
よって平均、分散は\underline{4.5}


[2] X + Y = 5であるという条件の下で、T1の得点Xが値xを取る確率P(X=x|X+Y=5)は、X, Yが独立である(注意:X, Yと書かれていて勘違いするかもしれないが、同時確率関数ではないので注意。高校数学の条件付き確率と同じものである)ことに注意すると、

\begin{alignat*}{2} P(X = x | X + Y = 5) &= \cfrac{P(X = x かつ X + Y = 5)}{P(X + Y = 5)} \\ &= \cfrac{P(X = x かつ Y = 5 - x)}{P(X + Y = 5)} \\ &= \cfrac{P(X = x) \cdot P(Y = 5 - x)}{P(X + Y = 5)} \\ &= \cfrac { \cfrac{1.5^{x}}{x!} \cdot e^{-1.5} \cdot \cfrac{3^{5 - x}}{(5 - x)!} \cdot e^{-3} } { \cfrac{(1.5 + 3)^{5}}{5!} \cdot e^{- (1.5 + 3)} } \\ &= \cfrac { \cfrac{1.5^{x}}{x!} \cdot \cfrac{3^{5 - x}}{(5 - x)!} \cdot e^{-4.5} } { \cfrac{4.5^{5}}{5!} \cdot e^{-4.5} } \\ &= \cfrac{5!}{x! (5 - x)!} \cdot \cfrac{1.5^x \cdot 3^{5 - x}}{4.5^{x + (5 - x)}} \\ &= {}_5 C_{x} \cdot \left( \cfrac{1.5}{ \ 4.5 \ } \right)^x \left( \cfrac{3}{ \ 4.5 \ } \right)^{5 - x} \\ &= {}_5 C_{x} \cdot \left( \cfrac{1}{ \ 3 \ } \right)^x \left( 1 - \cfrac{1}{ \ 3 \ } \right)^{5 - x} \\ \end{alignat*}

となる。これはX + Y = 5という条件のもとで、Xは試行回数5、成功確率\cfrac{1}{ \ 3 \ }二項分布Bin \left(5, \cfrac{1}{ \ 3 \ } \right)に従うことを意味する。したがって、この平均は

5 \cdot \cfrac{1}{ \ 3 \ } = \cfrac{5}{ \ 3 \ }

である。以上より、

\underline{\fbox{ ウ } = \cfrac{5}{ \ 3 \ }、\fbox{ エ } = 二項}

参考資料

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