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【統計検定準1級】マルコフの不等式・チェビシェフの不等式

2024/09/08に公開

はじめに

この記事では、統計検定準1級取得に向けて学習したことをまとめていきます。
工学系の数学ではなく数理あるあるの、論述ゴリゴリな解答になっていると思いますのであらかじめご了承ください。
注意:さらに計算過程は数学文化の『省略の美』を無視してエレファントに書いています。

【リンク紹介】
統計検定準1級のまとめ記事一覧
これまで書いたシリーズ記事一覧

学習書籍について

この記事では「統計学実践ワークブック」を中心に、学んだことをまとめていきます。記事を読んで本格的に勉強してみたいなと思った方は、是非ご購入を検討なさってください。


参考書籍について

この記事では他の記事と異なり、「数理統計学:統計的推論の基礎」を参考にしています。普段は主に「統計学入門」で学んでいるのですが、今回は定理の証明が関わっているため、こちらの本を中心に学習しました。

※この本はゴリゴリの専門書です。大学数学の基礎が身についていないと読めない書籍なので、買う場合はご注意ください。文系さんは多分卒倒します…。

前提知識の定義

x, y \hspace{5mm}変数
X, Y \hspace{2.9mm}確率変数
f(x) \hspace{3.6mm}X確率密度関数
E[X] \hspace{2.1mm}X期待値
V[X] \hspace{2mm}X分散

マルコフの不等式

定理

非負値確率変数XについてE[X]が存在するならば、
すべての実数\varepsilon > 0に対して、

P(X \geqq \varepsilon) \leqq \cfrac{E[X]}{\varepsilon}

が成り立つ。

証明

(証明)

【統計検定準1級】確率変数の収束の中で示した、次の不等式

P(|X_n - Y| \geqq \varepsilon) \leqq \cfrac{E[|X_n - Y|^p]}{{\varepsilon}^p}

において、X_n = X, Y = 0, p = 1をそれぞれ適用すればよい。実際に

\begin{alignat*}{2} P(|X_n - Y| \geqq \varepsilon) & \leqq \cfrac{E[|X_n - Y|^p]}{{\varepsilon}^p} \\ P(|X - 0| \geqq \varepsilon) & \leqq \cfrac{E[|X - 0|^1]}{{\varepsilon}^1} \\ P(|X| \geqq \varepsilon) & \leqq \cfrac{E[|X|]}{{\varepsilon}} \\ \end{alignat*}

となる。
(証明終)

チェビシェフの不等式

定理

確率変数XについてE[X]V[X]が存在するならば、

すべての実数\varepsilon > 0に対して、

\begin{alignat*}{2} P(|X - E[X]| \geqq \varepsilon) &\leqq \cfrac{E[|X - E[X]|^2]}{{\varepsilon}^2} \\ & \left( = \cfrac{V[X]}{{\varepsilon}^2} \right) \end{alignat*}

証明①

(証明)

\begin{alignat*}{2} E[|X - E[X]|^2] &= \int_{\mathbb{R}} (x - E[x])^2 f(x) dx \\ &\geqq \int_{|x - E[x]| \geqq \varepsilon} (x - E[x])^2 f(x) dx \\ &\geqq \int_{|x - E[x]| \geqq \varepsilon} {\varepsilon}^2 f(x) dx \\ &= {\varepsilon}^2 \int_{|x - E[x]| \geqq \varepsilon} f(x) dx \\ &= {\varepsilon}^2 P(|x - E[x]| \geqq \varepsilon) \\ \end{alignat*}

つまり、

E[|X - E[X]|^2] \geqq {\varepsilon}^2 P(|x - E[x]| \geqq \varepsilon)

である。したがって、

\begin{alignat*}{2} E[|X - E[X]|^2] &\geqq {\varepsilon}^2 P(|x - E[x]| \geqq \varepsilon) \\ P(|X - E[X]| \geqq \varepsilon) &\leqq \cfrac{E[|X - E[X]|^2]}{{\varepsilon}^2}\end{alignat*}

となる。
(証明終)

証明②

等式

P(|X - E[X]| \geqq \varepsilon) = P(|X - E[X]|^2 \geqq {\varepsilon}^2)

と、マルコフの不等式より

P(|X - E[X]| \geqq \varepsilon) \leqq \cfrac{E[|X - E[X]|^2]}{{\varepsilon}^2} \\

が成り立つ。

(証明終)

参考資料

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