寿司を握る技術(実践編)
この記事は、Boulder Advent Calendar 13日目の記事です。かなり遅れてしまいました...。
先日、寿司を握る技術(導入編)という怪文書を投稿しましたがその続きになります。
前の記事では、寿司を握ることになった経緯から始め、実際に寿司を握る前の準備として、寿司の構造や作るプロセス、それを支える道具を紹介しました。
この記事では、実際に寿司を握る工程と、自分なりのTipsをご紹介していきます。プロではないので、あくまで自己流だということだけ御留意いただければと思います。
使用する道具
前回の記事では便利な道具などをピックアップしてご紹介しましたが、今回は使用する全ての道具をリストアップしました。使用工程の数字は、「実工程」の番号に対応しています。
名前 | 用途 | 使用工程 |
---|---|---|
まな板 | ネタの下ごしらえ、切り出し | 2,6 |
厚手のキッチンペーパー | ネタの下ごしらえ | 2 |
炊飯器 | 米を炊く | 3 |
円筒形の容器 | 合わせ酢作り | 4 |
小さめの攪拌器 | 合わせ酢作り | 4 |
寿司桶 | 酢飯作り | 5 |
布巾・手拭い | 酢飯作り | 5 |
小型扇風機 | 酢飯作り | 5 |
刺身包丁 | ネタを切り出す | 6 |
キッチンスケール | シャリをとる | 7 |
材料
米一合を基準にして、目安で書いています。酢飯一合が大体330グラム、握り1つにつきシャリが約13gだとすると、25個くらい握れます。それに合わせて25枚のネタを切り出そうとすると2柵くらいは必要かな...というざっくり計算です。
魚の種類によって1柵から切り出せるネタの量は違ってくるので、どれくらい食べられるかなども加味して決めていただければと思います。
名前 | 用途 | 分量 |
---|---|---|
米 | 酢飯の材料 | 1合 |
すし酢 | 酢飯の材料 | 大さじ2 |
砂糖 | 酢飯の材料 | 大さじ1 |
塩1 | 酢飯の材料 | 小さじ2 |
塩2 | ネタの下拵え | 適量 |
魚 | ネタの材料 | 2柵くらい |
わさび | 握りに入れる | 適量 |
寿司を握るプロセス
前回の記事で出した図です。大まかには、この流れで進めていきます。ご飯と魚のラインは依存関係がないので、並行して進めることができます。
実工程
1. 魚を買う
ご近所のスーパーで柵をゲットできればOKです。少しガチで選んでみたい方は、専門のお店で探すのも楽しいと思います。都内のおすすめは御徒町にある吉池です。いろんな魚が柵や切り身の状態で手軽に手に入ります。
2. 魚の下ごしらえをする(1h-1.5h)
新鮮な魚の身はそのままでも美味しいのですが、締めて水気を抜くことでもっちりとした食感になります。今回は塩じめという方法をご紹介します。水っぽくなりがちな白身魚や、マグロの赤身(特に解凍のもの)などに使うとおいしくなります。
マグロのトロなどの脂分が多いものは、傷んで色が変わりやすいので、塩で締めるのはオススメしません。表面の水分をキッチンペーパーで拭き取ってあげるくらいに止め、なるべく温度を上げないように注意してください。
塩じめの方法は
- まな板に塩をふる
- まな板に切り身を載せて上から塩をふる。このとき、切り身を複数枚並べる場合、身の分厚い方がまな板の同じ方向にあるように注意して並べる
- まな板を傾けて立てかける。身の分厚い方が下になるようにする。こうすることで、出た水分が下に流れる
- 30分置く。この間に、塩を拭き取るためのキッチンペーパーを水で濡らして絞っておく。切り身一枚につき2,3枚使う想定
- 30分置いたら、4のキッチンペーパーで切り身の塩を拭き取る。ペーパーを替えながら、身の目に沿って丁寧に拭きとる
- 塩を拭き取ったら、ラップで包むなどして冷蔵庫で30分おく。チルドルームがある場合は使うのがオススメ
以前テレビ番組で見た方法を参考にしてやっているのですが、調べたらWebページがありました。併せてご参照ください。
3. 米を炊く(40min)
すしめし設定で炊きます。そんな設定はない!という場合は、水少なめで炊けばOKです。
4. 合わせ酢をつくる(3min)
米一合に対する合わせ酢の量は、酢 大さじ2
砂糖 大さじ1
塩 小さじ 2
です。これはベースの分量で、よくすし酢の黄金比と言われる4:2:1
の比率になっています。細かな塩梅は、好みで調整してください。
混ぜるのには、小さめの筒状の容器と小さい攪拌器があると便利です。飛び散ることを気にせず混ぜられます。僕は以下のようなものを使っています。
5. 酢飯をつくる(5min)
寿司桶を濡らした布巾で湿らせてからご飯をとります。平らにのしたら、冷めないうちに作っておいた合わせ酢を回し掛けます。米が冷めてしまうとデンプン質が固まってしまって味が乗りづらくなってしまうので注意してください。
軽く混ぜて全体に馴染ませたら、扇いで冷ましながら混ぜていきます。このとき小型扇風機を使うと混ぜることに集中できて楽です(下画像参照)。出来上がったら、乾かないように蓋をするか、絞った布巾などをかけておきます。
6. ネタを切り出す
この工程が、寿司を作る中で毎回かならず頭を使う部分になります。やることとしては、欲しいサイズのネタを切り身から切り出す、なのですが、ここで考えなくてはいけないことが二つあります。
- 握りたい寿司の形にするためにどう切るか
- 魚によって身の形やサイズも変わるため、どのように切り出すか
6.1. 握りたい寿司の形から逆算する
世の中にはいろんな形の寿司があります。どれが正解ということはありません。自分の握りたい寿司の形を想像して、その形にするにはどうしたらいいかを考えます。忘れてはいけないのは、人間が手で握っている以上、程よいサイズ感というのは人によって異なるということです。自分にあったサイズはどれくらいなのかという肌感は、握りながら会得していく必要があります。
めちゃくちゃシンプルにすると、寿司というのは以下のような構造です。僕は、寿司の形を考えるときは、いつもこの構造をベースにして考えています。
(Wn,Hn,Ln) := ネタのサイズ(幅,高さ、長さ)
(Ws,Hs,Ls) := シャリのサイズ(幅,高さ、長さ)
ここで、半透明になっている赤い部分は、シャリに被さってくるネタを表しています。被さってくる部分のサイズは、ネタとシャリのサイズ差と、ネタがどの程度曲がるのかによって決まります。
どの程度曲がるかは、ネタの厚み(Hn
)や魚の種類によって違うので、α
と β
という変数で置いています。いずれにせよ、単純なサイズ差分よりは小さくなるということです。
僕は大体、シャリの横幅は自分の人差し指の幅と同じくらい、長さは黄金比を目安に横幅の1.6倍くらいのサイズ感にしています。人によって当然手のサイズは違うので、握りやすいサイズ感も違うと思います。どのくらいのサイズ感が自分の手に合っているのかは、握っていくうちにわかってくるはずです。
6.2. 身の形やサイズに応じて切り方を変える
寿司ネタを一番切り出しやすい柵は、自分の手のサイズにあったものです。これは大体、幅が指4本分のものです。ネタを切り出す柵をこのサイズにすることを「手柵にとる」という言い方をします。
手柵よりも小さい場合、斜めに切り出さなくてはいけませんし、逆に大きい場合はどうしても縦に長くなってしまうので、切り出す前にサイズを調整する必要があります。
柵が用意できたら、「6.1.握りたい寿司の形から逆算する」で考えたサイズになるように切り出します。詳しい切り出し方については、とても丁寧に説明してくださっている動画を見つけたので、こちらをご参照ください。
7. 手でシャリをとる
最初は、決めておいたg数になっているかどうかをキッチンスケールで確かめながらシャリをとるのがオススメです。僕は12-13gくらいと決めて測りながらとっていました。慣れてきたらなんとなく目視でも手の感覚でも分量がわかるようになります。
8. 握る
握る工程はざっくり以下の流れで進めます。すでにネタは切ってある状態です。
- 手を水で湿らせる
- 手にネタをとり、ワサビをつける
- シャリをとってネタに載せる
- シャリの形を整える
- 裏返して握り、全体の形を整える
細かい作業についてテキストでどう説明したものか、と考えていたのですが、ネタの切り出し方動画に引き続きとても丁寧な説明動画をあげてくださっていたので、こちらを見ていただくとわかりやすいと思います。
完成
これで寿司の完成です。是非、お寿司作りを楽しんでみてください🍣
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