クラウド導入の計画(CAF for Azure)
はじめに
Cloud Adoption Framework for Azure(CAF)の「計画」ステージについて記載します。CAFについては、以前投稿した「CAFってなに?」と、「計画」ステージの前に実施する「戦略」ステージについては、「クラウド導入の戦略(CAF for Azure)」を参照してください。
クラウド導入計画とは
クラウド導入戦略ではクラウド導入する動機、目標とするビジネス成果を定義すると説明しました。クラウド導入の動機には、"移行 (Migration)"と"革新 (Innovation)"がありますが、クラウド導入計画は"移行"にフォーカスした内容となります。
"革新"においては、クラウド導入戦略で定義したクラウド導入の目的となるビジネス成果について、どのように達成するのか、クラウドでどんなアプリケーションを作りたいのかを明確にして、プロジェクト化します。
クラウド導入計画の進め方
クラウド化したいデジタル資産(サーバー、ミドルウェア、アプリケーションなど)のインベントリデータを収集し、ワークロードごとに最適なクラウドの合理化(IaaS or PaaS or SaaS)を検討します。そして、クラウド導入計画を推進するために必要な組織(体制)を検討し、クラウド構成に必要なスキル習得の準備、検討したこれらの内容をクラウド導入計画として作成します。
クラウドの合理化計画
収集したインベントリデータからクラウド化したい デジタル資産に対して、ワークロードごとにどのようなクラウド化が合理的なのか評価します。このプロセスを「クラウドの合理化5R」といい、クラウド導入戦略で定義したビジネス成果を達成する最適なクラウド化を決定します。
# | 5R | 概要 |
---|---|---|
1 | Rehost | “リフト アンド シフト” 移行とも呼ばれ、アーキテクチャ全体への変更を最小限に抑えて、IaaS に移行します。 |
2 | Refactor | アプリケーションが新しいビジネス機会を実現できるようにコードをリファクタリングして PaaS あるいは IaaS に移行します。 |
3 | Rearchitect | クラウドと互換性がない、あるいはビジネス成果を達成させるためクラウドネイティブなマイクロサービスアーキテクチャになるよう再設計し、PaaS に移行します。 |
4 | Rebuild | クラウド化するには問題が多いため、費用対効果を考慮して現行のデジタル資産を廃止し、ビジネス成果を達成させるためクラウドネイティブなマイクロサービスアーキテクチャになるよう PaaS でアプリケーションを再構築します。 |
5 | Replace | ホストされるアプリケーションに必要なすべての機能が、SaaS アプリケーションから得られる場合、SaaS に置き換えます。 |
クラウド導入計画の推進組織計画
スピードとコントロールのバランスを取るためにMicrosoftは、クラウド導入時に少なくとも、"クラウド導入"と"クラウドガバナンス"に対して説明責任を持つ人材を用意することを推奨しています。
スキルの準備計画
オンプレミス環境からクラウドへとシステムをシフトしていくことに合わせて、社内エンジニアもクラウドエンジニアへとシフトする必要があります。クラウドサービスの利点を十分に活用したシステム開発、運用を行うためのスキルを身につけることで、コストの最適化やオートスケールによる運用負荷の軽減、パフォーマンスの効率化を取り入れることが可能となります。
クラウド移行計画
大規模なITインフラストラクチャをクラウドへ移行する場合、一度にすべてのデジタル資産を移行するのではなく、優先度の高い10個のワークロードを選んで移行します。優先度の付け方は、他ワークロードとの依存関係のない小規模なワークロードを優先したり、移行作業自体の課題を検証するため複雑なワークロードを優先する場合があります。
おわりに
クラウド導入計画では、クラウド化したいデジタル資産のインベントリデータを収集して、そこから達成したいビジネス成果に合わせてクラウド化を計画していきます。
どのくらいのスペックのサーバーが何台、どのくらいの容量のストレージが何台、といったところから利用料金を試算して予算内に収まるよう計画したり、どのくらいのプロジェクト体制にするのか人員を計画したり、どんなロードマップで移行していくのか計画したり、とクラウド導入の中で一番重要な工程だと考えられます。
クラウド導入を外注する場合は、このクラウド導入計画から依頼することをお勧めします。
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