コミックフェスタ開発チームでピアフィードバックを実施してみた話
株式会社ウェイブでComicFestaのエンジニアリングマネージャー・開発エンジニアをしている多田です。
今回の記事は私のチームで実施した ピアフィードバック
に関して解説していこうと思います。
ピアフィードバックとは?
ピア
とつくとおり、普段一緒の立場で業務を行う同僚同士で、お互いの良い点や改善点を相互にフィードバックする手法です。
上下関係がある相手同士ではなく、普段同じ立場で一緒に仕事をする同僚同士、ってところがこの手法の大きな特徴です。
同僚同士のフィードバックを行うことによって、上下関係がある相手からのフィードバックとは違った効果を得ることができます。(詳細は参考資料参照)
導入の理由
1.仕事のモチベーションやパフォーマンスを高めるため
普段淡々と仕事をこなしていると、自分の仕事ぶりが他人からどう思われてるのかって、案外意識しないですよね?
いろいろ調べてみると、「外面的自己認識」を高めることによって、自己認知が高まり結果として生産性が上がるらしい。
そして「外面的自己認識」を高めるには、フィードバックがちょうどいいらしい。ということが見えてきました。
そうした繋がりから、一人一人の生産性を高めていこうよ!という理由で導入してみようと思いました。
補足: 自己認知とは
自分の性格や感情、物事の理解等に対する認識のこと。
自己認知は2つの側面がある
- 「内面的自己認識」(自分を理解する能力)
- 「外面的自己認識」(他人が自分をどうみているかを自分で理解する能力)
両者のギャップが少ないほど個々人の能力を発揮しやすい。と考えられているらしい
2.相互理解の一環
役職柄、ひごろメンバーと1on1してる時に感じたんですが、メンバー同士が全然お互いのことを言い合えてないと感じてました。例えばメンバー同士で感謝してる点とか、この人ならこれをやってくれるなって期待している点とか、逆にここもうちょっと頑張ってほしいって気になる点とか。
こういった部分の交流を強化して相互理解を深めることを通じて、チームの心理的安全性を高めることを狙いました。
実際のやり方
こんな感じのステップで実施しました。
- マネージャーがFB記入者を選んで、FB記入を依頼
- 依頼を受けた人がFBをマネージャー宛に回答する
- マネージャーが回答内容をまとめる
- マネージャーがFB内容をまとめたものを本人に伝える
1.マネージャーがFB記入者を選んで、FB記入を依頼
読んで字の如くです。
多角的にその人のことを知るため、FB記入者は被FB者ひとりにつき2人に設定しました。
今回はスモールスタートということでコミックフェスタ開発チームに限定して記入者を選定しました。
(実施する際には工数などの課題があるため)
このあたりがクリアできて、より多角的なメンバーからフィードバックをもらうことができると、より高い効果が期待できるんではないかと思います。
2.依頼を受けた人がFBをマネージャー宛に回答する
依頼を受けた人は、その人に対するFBをフォーム(またはメール)の質問項目にしたがって記入していきます
実際の質問がこちら↓
・この人に対して、優れていると思うところはどんなところですか?どういった行動に対してそれを思いましたか?
・この人に対して、伸びしろだと思うところはどんなところですか?どういった行動に対してそれを思いましたか?他にフィードバックしたいことはありますか?
・このフィードバックを本人に伝える時、匿名にしたいですか?
・最後に、この人に感謝の気持ちを贈りましょう!
質問項目の選定に当たっては、参考資料を多分に参考にしつつ、「フィードバックしよう」と思える質問になるように心がけました。
記入時間は1人のフィードバックあたり30分と(適当に)想定して、負担を考えて回答期間を2週間くらい設けました。
また依頼の際、いくつか注意事項をまとめて周知することで、意図した内容を書いてもらえるようにしました。
- 今回回答して欲しいことは「評価」ではなく「フィードバック」であること
- 評価
- 意義・価値を見定めること
- 主に結果を対象とする
- 客観的
- フィードバック
- 改善の土台となる意見・反
- 応主に結果、過程の両方を対象とする
- 主観的
- 評価
- その人の「行動」にフォーカスして記入してできる限り具体的な行動を記載しつつ、主観的に感じたことを書いてほしいこと
- 「フィードバック」として、感情、感想を記入するのはもちろんOKだが、薄っぺらくならないように、事実に基づいて意見を述べてほしいというニュアンス
- あくまで改善に繋げることを目的としているので、性格・人格には触れないこと
- 伸びしろに関しては、できる限り改善案を書くこと
3.マネージャーが回答内容をまとめる
ピアフィードバックを実施するに当たって、より深い自己認知に至るため、FB内容はできるだけ素の温度感を保ちたいと思ってました。
とはいえ中には直接言いたくないのに誰からのFBかが思いっきりバレてしまうようで双方の関係がこじれたり、内容が粗すぎてその人の人格、性格面をひどく傷つけるものだったりする可能性もなくはありません。
そうしたFBを目にするのは本人にとって辛いことだし、チーム内に余計な戦争をうむ可能性があります
初めて実施する試みであるということもあり、今回に関しては回答内容はマネージャーが一旦確認して本人に出しても大丈夫な形にする、としてリスクを最小限に抑える方向にしました。
まあ実施した結論としてはフィードバック記載内容がとても素晴らしかったのでここのフローは不要だったなあと思います。
※FBする側の目線としては、本人に直接伝わるならどうしよう、、と迷うことなく書ける反面、マネージャーにチェックしてもらえるなら配慮しなくてもいっか、みたいな思考に進んじゃって内容が雑にならないよう注意する必要があると思います
4.マネージャーがFB内容をまとめたものを本人に伝える
ここでようやく本人にFBします。がっつり対面で1人30分くらい。
フィードバックミーティングでは、これを受けて、じゃあこれからどうしていこうか?を建設的に話し合うことを意識しました
ちなみにFB内容は、とりあえず本人のみ公開にしました。
本当のことを言うとメンバーがお互いのフィードバック内容を完全に公開し、相互に参照できるようにして、あ、この人は今これを頑張ってるんだ。が見えるようにしたい気持ちはありましたが、初めての試みということもありFBがどんな内容になるか想定しきれないのでとりあえずこうした感じです。
結果として前述のように記載内容はとても素晴らしかったので、次回やるときは全公開にしちゃっていいかなって思ってます。
まとめ
反省点はありつつ、実施自体は概ねメンバーからも好評でした。とはいえ上長のぼくに遠慮して正直にいえてない可能性もありますw
元々目的としていた 相互理解の一環
、 仕事のモチベーションやパフォーマンスを高めるため
がどうだったかでいうと、正直半々かなってところです。
相互理解に関してはそこそこ上がったように感じる一方、モチベーションやパフォーマンスに関しては期待したほど上がってない気がします。
多分ですがこのあたりの効果はフィードバックの内容の充実度に依存するところがだいぶ大きくて、メンバーと喋った感想+全てのフィードバックを見た私の感想としては、厳しいフィードバック(ネガティブフィードバック)が弱く、そこまで厳しい内容にならなかったので、その分効果が薄まってしまったのかなと感じています。
この辺りは初回で様子見してしまった部分もあるかと思うので、質問項目の文言訂正や、文量目安の提示など、改善の余地はまだまだありそうです。
まとめとしては、引き続きこの取り組みを進めていくことでどんどんお互い要求しあえるチームになるといいのかなっと感じました。
理想系としては、「ピアフィードバックやります!」と銘打たなくても、毎日毎時毎分毎秒、お互いに自然とフィードバックのことばが出てくるような関係性をチームメンバーと築くことができたら良いですね。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
参考資料
- https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2019/12/okr-peer-feedback-20191223.html
- https://www.recruit-ms.co.jp/issue/column/0000000167/?theme=career
- https://note.com/tw_non_nyan/n/n5897b4209d61
宣伝
株式会社ウェイブでは、電子コミックやアニメ配信サービスなどを自社開発で運営しております。
新しい技術を積極的に取り入れているモダンな環境が整っているウェイブで一緒に働いてみませんか?
興味ある方は是非こちらをご覧ください!
株式会社ウェイブのエンジニアによるテックブログです。 弊社では、電子コミック、アニメ配信などのエンタメコンテンツを自社開発で運営しております! ve.jp/service/
Discussion