「象・死んだ魚・嘔吐」フレームワークでチームの心理的安全性を強化する
株式会社ウェイブでCoolmicのエンジニアをしている山﨑です。Coolmicエンジニアチームのマネージャーもやってます。
我々のチームではスプリントレトロスペクティブとしてKPTAによる振り返りを実施していますが、今回それとは別に「象・死んだ魚・嘔吐」を用いた振り返りを実施してみました。
「象・死んだ魚・嘔吐」とは
ネガティブな話題にフォーカスする振り返り手法で、何がうまくいっていないのかを浮き彫りにします。
- 🐘 象(部屋の中の象): 誰もが認識しているが口に出さない問題
- 🐟 死んだ魚: 放っておくと大変なことになる問題
- 🤮 嘔吐: 胸の中に秘めている問題
なぜやろうと思ったか
KPTA(特にP)や日々のコミュニケーションの効果をより高めるためです。
私達のチームの心理的安全性はそれなりに高いと思っていますが、社歴の浅いメンバーが多いためどうしても遠慮が出てしまったり、みんな優しくて察しが良いので多少気になることがあっても「まぁいろんな事情があるんだろうな」と納得してしまうことがあります。そのため、チームの自律性をより高めるためにも、みんながもっと気軽に問題点に言及している環境を作りたいと考えました。
そこで、ネガティブな意見を吐露するエクササイズとして当該フレームワークを採用しました。
※ 本来はうまくいっていないことを改善するために行うものだと思いますが、今回はあくまでエクササイズとして、改善アクションの策定までは行わず意見の共有にとどめました。
実践
エンジニアチーム3名+ビジネスサイドのマネージャー1名で実施しました。
形式はリーンコーヒーを採用しました。まずJamboardで各自意見を挙げていき、その後気になったカードに投票して得票数が多いカードから話し合います。
工夫
初回の取り組みということもあり、とにかくカジュアルに取り組めるように心がけました。
他の方の実践例にもありましたが、まずチェックインとしてふりかえり最優先条項(Retrospective prime directive)を含む以下の内容を読み合わせました。
チェックイン
【ふりかえり最優先条項】
私たちが何を見たとしても、全員が当時の知識、スキルと能力、利用可能なリソース、
および現在の状況を考慮した上で最善を尽くしたと理解し、心から信じています。
【ルール】
この会におけるメンバーのいかなる発言も他人を攻撃する意図はなく、
出来事や仕組みに対する意見であると理解します。
【ゴール】
- まず初回なので、チームの闇をあらわにする、ネガティブな意見を出すという練習
- この場でTryまでは決めません
あと、個人的に「嘔吐🤮」の文字面を見ると気持ち悪くなるので「ぶっちゃけ🤧」に置換しました。
「象・死んだ魚・ぶっちゃけ」洗い出しとセッション
想定よりたくさん出してもらえたので、意見交換は時間切れになってしまいました。
ホワイトボードよりTrelloとかのほうが向いていたかもですが、このポップさも捨てがたいので悩ましいですね🤔
場があたたまるまで時間がかかるので、洗い出しに10~15分ぐらいかけるとよいなと思いました。
また、Tryを決めるところまでは目的としていないものの、マネージャーとしていろいろ持ち帰れることが聞けて非常によかったです。
感想
まず、目的としていた「ネガティブな意見の吐露に慣れる」ことはできたかなと思います。どんなことを言っても誰も嫌な顔をしないという体験ができたのは心理的安全性の確保に役立ったかなと思います。
改善点としては、ファシリテーターを明確に立てるべきだなと思いました。基本的に後ろ向きなテーマについて語るため、意見交換の場ではどうしても重苦しくなりがちです。そのため、逆の意見はありますか?とか、◯◯さんはどうですか?とか、セッションを成功させるためにはファシリテーターの役割が大きいと思います。
あとアイスブレイクも大事だと思います。GarticPhoneやりました。
参考
株式会社ウェイブのエンジニアによるテックブログです。 弊社では、電子コミック、アニメ配信などのエンタメコンテンツを自社開発で運営しております! ve.jp/service/
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