セレブレーショングリッドについてまとめてみる😺
はじめに
もう1ヶ月近く前になりますが、人にやさしい組織マネジメント勉強会(Management 3.0)のイベント セレブレーショングリッドで2023年をふりかえって2024年の目標を立てよう! に参加しました。これを機にセレブレーショングリットについて、あらためて勉強しなおしたのでまとめます。
セレブレーショングリッドは、実験をして学びや気づきを得たら「やったー」と祝う のがふりかえりの主旨です。なので、主旨から外れなければ、あとは個々人で工夫して進めればいいんじゃないかと、わたし(かとう)は思っています。ただ、微妙にグリットの解釈が異なりがちで、ややもするとふりかえりの最中で解釈を巡って議論が始まり 肝心のまなびや気づきがどこかに行ってしまいがちになりそうですね。。
そこで、せっかくのふりかえりの時間、時間をかけてグリットの解釈に1時間使っていましたーということがないように、まとめておくといいかなーと思って、本稿を書いてます。
セレブレーショングリットとは、グリットの見方
まずセレブレーショングリット(以下、特に断りがなければグリットと略)を見ていきましょう。グリットは セレブレーショングリッドで2023年をふりかえって2024年の目標を立てよう! からとりました(人にやさしい組織マネジメント勉強会の皆さま、ありがとうございます)。
グリットは、大きく2つのパート、即ち、行動(進め方)と結果のパートと、まなびのパートの二つからなっています。
まず、進め方(行動)と結果のパートです。
横軸が進め方の分類で、縦軸が結果です。進め方の種類が 間違い(誤った進め方)・実験(実験中の進め方)・習慣(成熟して習慣化された進め方)の3種類、結果が成功(うまくいった)と失敗(うまくいかなかった)の2種類、3✖️2で計6種類のグリット(格子)にわけられます。
一般的には、左から順に、最初は間違ったやり方をして失敗を繰り返し、途中から仮説を立てては結果を得る実験の進め方に切り替わり、終盤には実験と学習を繰り返した結果 定石のやり方で成功の確率があがる、そんな見方でいいのかなと思っています。
次に、まなびのパートです。
進め方(行動)と結果のパートと同様、まず横軸が進め方となります。縦軸は、解釈がわかれ難しいですが、ここでは まなびの得やすさ・気づきのしやすさ を「まなびの大きさ」としておきます。
学習・気づきがしやすければしやすいほど、まなびが多く得られて「やったー」と祝える頻度も上がります(黄色の部分ですね)。一方で、灰色の部分はまなびの得にくさ・なかなか気づきを得るのが困難な局面になります。このような困難な局面で 貴重なまなびや気づきを得た場合 やはり「やったー」と祝えるので、どっちに転んでもお祝いができてうれしい、そんな使い方をしていくのがいいのかなと思っています。
セレブレーショングリットによる ふりかえりの進め方
では、実際に進めていきましょう。
場づくり
まず、セレブレーショングリットによる ふりかえりでは、場づくりが大変重要になってきます。後でも触れますが、グリットの解釈、出来事の解釈などなどを巡って意見が異なりがちです。意見の相違を巡って、本来の実験をして学びや気づきを得たら「やったー」と祝う という主旨から外れていくのはもったいない。
そこで、チームにとって望ましい場または雰囲気を意識的・意図的にデザインしていきましょう。具体的には DPA(Design the Partnership Alliance)を結んで進めていくのがよいですね。
あと、現実とは揺らぎやすく、自分が見た現実・出来事と、他の方から見た同じ現実・出来事は、記憶が薄れる中で認知が異なりやすいものです。その中で合意できる現実は何か。一緒に探していく姿勢をもつ場・発見していく場にしていきたいものですよね。
そこで、予めプロセスワークの3つの現実レベルのビデオを見せて場づくりをするのも一つの手だと思います。
タイムラインでふりかえる
次にタイムラインでふりかえっていきましょう。短い間だったら、いきなりグリットに付箋紙をペタペタしてやっていくのも一つの手なんですが、3〜4日・1週間以上のふりかえりの場合、まず時系列に起こった出来事を洗い出した方が良さそうです。
その際、自分やチームにとって、出来事がうれしかった(よかった)のか 悲しかった(悪かった)のか感情も一緒に出してしまう 方が、後のグリットの移動フェーズで冷静になってふりかえれ、気づきを祝えるようになる のでお勧めです。
付箋紙(Sticky note)をグリットに移動する
で、次に、出来事をグリッドの方に移動していきましょう。
やってみるとわかると思いますが、この出来事ってどのグリット?と、どのグリットに分類しておくのが、いざやり出すと迷うこともあります。置いてみて、他のメンバからこの出来事は違うんじゃないかと言われモヤモヤすることも。。大丈夫、そのモヤモヤが気づきのチャンスなんです。一旦、仮置きの形で置いてみて付箋紙に赤マル印でもつけて進めていきましょう。
後述しますが、セレブレーショングリットは出来事のコンテキスト(例えば実験の場合どんな仮説を持って進めていたか)が重要になってきます。出来事の前後に何があったのか思い出せるように、あとでこの出来事って一体何だっけ?とならないように付箋に日付など書いておくとよいですね。
MiroやMuralのようなオンラインボードでふりかえる場合、付箋紙の複製が容易です。こういったオンラインボードの良さもどんどん活用していくとよいかなと思っています。
気づいたことを付箋にしてどんどん貼っていこう
こうしてグリットに貼られた付箋たち、まず俯瞰して眺めてみましょう。特にどのグリットに付箋が多いでしょうか。
習慣・成功グリットと、間違い・失敗グリットにある出来事
まず、習慣・成功グリットや間違い・失敗グリットにある出来事は、実のところ、気づきや学びが少ない出来事です。他のグリットに付箋が多い場合、そちらにより時間を使いたいですよね、なので読み上げ軽く「やったー」とお祝いしておしまいにし、先に進めるのも一案です。
習慣・成功グリットと、間違い・失敗グリットにある出来事が多い場合はどうしたらよいでしょうか。
間違い・失敗グリットにある出来事はどうしたら成功できるようになるか仮説を立てて実験ができるようにアイデアを出していきましょう。アイデアは付箋にしてまなびのパートに貼っていきます。
同様に、習慣・成功グリットに付箋が多い場合、より成功を持続するにはどうしたらよいのかアイデアを出していきます。ただ、習慣・成功グリットに付箋が著しく多い場合、よりよいアイデアを出していくために、セレブレーショングリッドに拘らず、この時点でふりかえり手法を変えてみるのも一案だと思います。
実験して成功グリットと実験して失敗グリットにある出来事
実験して成功グリットと実験して失敗グリットには、事前に仮説を立て、進め方を雑でもよいので決めていた場合には入れやすいです。ただ、成功だったか失敗だったかは評価がわかれることもありますよね。そうなんです、それがまずまなびや気づきのチャンスなんです。
アジャイルに開発する場合、手早く大火傷しないように失敗することが大事ですよね。なので、成功にしろ失敗にしろ如何に早く結果を確定するためにはどうしたらよいか、チームのみんなで考えていくと、大きな気づきやまなびが得られていくことでしょう。
また、実験にある付箋紙の中でも、よくよくみると、なんとなく習慣でやっていたり、この仮説に基づく進め方自体 間違っていたなぁと気づく付箋紙もあると思います。仮説も解像度が低い仮説になっていた場合もあるでしょう、それも重要な気づきです。その付箋紙は習慣・間違い・実験に移動し、その上で次どうしたらよいか気づきを言語化して(付箋にして)まなびのパートに置いておくとよいと思います。
いずれにしろ これらのグリットは、まなびや気づきが多く「やったー」な局面が多くなるはずです。その度に祝って盛り上げていきましょう。
習慣・失敗グリットと、間違い・成功グリットにある出来事
場づくりをしっかりしていないと(しっかりしていても)、習慣・失敗グリットと、間違い・成功グリット、そして間違い・失敗グリットに置くのは、恥ずかしい思いやら「認めたくないものだな、自分自身の、若さ故の過ちというものを」やらで、大変勇気がいることになります。
また、意外と、出来事が習慣に基づくものだったのか、なんとなく進め方がぼんやりとして間違っていたのか 曖昧で、どちらにいれるか迷うことがあると思います。
習慣・失敗グリットと、間違い・成功グリットで考えられるのは、状況が変わって、今まで習慣化された正しいやり方が間違った進め方に転じてしまった、たまたま成功していた だってあり得ますよね、つまりどちらもあり得るです。
どちらにしろ、今後失敗し続ける可能性がある出来事を、今ココの時点で気づけたのは大きな気づきではないではないでしょうか。これってすごいことですね!なので、今ココの時点で気づけたことを祝って いきましょう。
おわりに 失敗しても まなびや気づき得よう、そして気づけたことを祝おう!
以上、セレブレーショングリットとはなんぞやから始まって、グリットの見方や進め方について述べてきました。
繰り返しになって恐縮なんですが、セレブレーショングリッドとは、起こったことを見つめ実験をして学びや気づきを得たら「やったー」と祝う のがふりかえりの主旨になります。
つまり、普通にやったこと・楽しかったことだけでなく、悲しかった・つらかった出来事なんだけど、冷静になってふりかえってみると、〇×な気づきやまなびが得られた、これってすごいことだよね(やったー)というシーンがいくつも起こって終わるのが理想ではないでしょうか。
この理想に持っていくには、それなりの仕掛けが必要で、仕掛けをするためには事前準備も重要だとあらためて感じました。
セレブレーショングリッドは、とくに失敗という逆境から あえて ふりかえってまなびを得ようとする、珍しい ふりかえりです。それだけに使い出がある ふりかえり手法ではないでしょうか。
本稿が、そんな失敗という逆境から学ぶ ふりかえりの一助になっていれば幸いです。
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