ファシリテーターは、何を聴くのか、あるいは何を聴かないのか。わたしが思い浮かべたこと
はじめに
どうも、はじめましての人も、そうでない人も こん○○は。
愛知県は名古屋で、設備点検から炎上対応まで何でもやる課のエンジニアリングマネジャーをしています かとう です。最近はお仕事の傍 父の介護にも微力ながら取り組んでいます。
今日は、「ファシリテーターは、何を聴くのか、あるいは何を聴かないのかで思い浮かべたこと」で少し徒然なるままにポエムを書いてみたいと思っています。
こんなことに困ったことはありませんか?
さて、突然ですが、ミーティングやふりかえりの場で、こんなことに困ったことはないでしょうか?
- ソフトウェア開発のスピードアップの改善のアイデア出しの場で、突然、やっぱり editor は vim か Emacs かで論争になる
- 3時のおやつのお菓子は、きのこの山か たけのこの里で議論になる
- 小室さんの髪型について語り出す [1]
いずれもちょっと極端な例ですが、宗教論争というか決着をはかるには難しく、かつアジェンダからだいぶ離れた話題で時間がかかる、アイスブレークになっていればまだしも、気がついたらこれで1時間のうち40分ほど使っていた。。そんなことはないでしょうか。
A.ミンデルさんの「深層民主主義」によると、「すべての人の声を聴く」「声ならぬ声を聴く」のがファシリテーターの役目と言いますが、時間に限りがあり、全ての声を聴いて拾いおこすのは現実的ではありませんよね。
では、どんな声を聴くのが良いのでしょうか。
1年前のことなんですが、ふと「こんなことなのではないか」と腑におちた出来事があったので、今日は、その出来事について話をしてみたいと思います。
なお、この記事は ファシリテーター Advent Calendar 2022の19日目の記事になります。
ちょうど1年前の今日
父(当時84歳)が入院して約3週間立っていました。コロナ禍のためずっと面会謝絶だったのですが、入院後初めてやっとドクター・担当看護師さんの立ち会いのもと父に面会することができました。その後、病院ケースワーカーの方もお会いでき、最後は配慮してくれて二人っきりで話すこともできました。
ところで。
父の医療システム観が面白かったので、自分なりに理解した範囲で書いてみます。
「病院」は気に入ればずっと安心して死ぬまでいれるところで、一方で元気になればすぐにでも出て行っていけるところ。
調子が悪くなってもう暮らせないと感じたら電話すると、「救急車」がやってきて、希望する「病院」に連れて行ってくれる。
「お医者さん」も「看護婦さん(※本人発言ママ)」も親切でやさしく、何をしてくれているかわかりやすく説明してくれる。突然別の人に変わることはない。つい薬を飲み忘れることがあるから、飲み忘れがないように見守っている。
「病院」「救急車」「お医者さん」「看護婦さん」というパワーワードに反応してしまうと、つい「はあ?」「お父さん、何いっているんだ!」となってしまいます。
- 「病院?今どき何を言っているんだ、ずっといれるわけないよ!? 今どき居れて最大3ヶ月だよ」
- 「救急車?そんな使い方したら、消防隊員に迷惑だよ。タクシーじゃあるまいし。」
- 「お医者さんは薬の管理までしてくれないよ。薬剤師がいるし。それに複数の医者かかったら無理じゃないか。」
- 「今どき看護婦なんて言わないよ!看護師だよ!」
- 「ずっと同じ担当なんてあるわけないじゃないか!」
こんな思考が浮かび、実際に言ってしまいますよね。あわせて、無理だ、ワガママだとも。
が、冷静になってみてましょう。
「はあ?」「何いっているんだ!」なパワーワードを消してみます。
「 」は気に入ればずっと安心して死ぬまでいれるところで、一方で元気になればすぐにでも出て行っていけるところ。
調子が悪くなってもう暮らせないと感じたら、電話すると「 」がやってきて、希望する「 」に連れて行ってくれる。
「 さん」も「 さん」も親切でやさしく、何をしてくれているかわかりやすく説明してくれる。突然別の人に変わることはない。つい薬を飲み忘れることがあるから、飲み忘れがないように見守っている。
いかがでしょうか?
パワーワードを消してみると、だいぶ印象が変わりますよね。
そして、もし、老後こんなシステムがあればなぁと思いますよね。
このように、パワーワードを聴かずに、つい反応にしがちなパワーワードに反応せず、ワードとワードの間にあるコンテキストを聴く。コンテキストにある「流れ」を聴き、その「流れ」に集中して話についていく。
実は、これが「声ならぬ声を聴く」ことではないかと思い当たりました。
もちろん、パワーワードに引っ張られずに、コンテキストの「流れ」を聴き、「流れ」についていくのは容易ではありません。
日々のセッションの中でうまく聴けたか・聴けなかったか、よりうまくいくためにはどうしたら良いか。
自分の場合、日々ストレングスノートをつけていて、その中でふりかえっています。パワーワードに反応した状況を思い浮かべ、聴覚の感じ、身体の感覚、そのとき浮かんだ感情や思考といったことを記録し、同じ感じ・感覚・感情・思考になったら「パワーワード」に反応してしまっているなと自己認知して対処していく。苦手なシチュエーション、苦手な相手、つい反応しがちなワード。。カイゼン事項が盛りだくさんですが、日々の中でうまく対処できてときもあるので、よりうまくいったシーンをより多く増やせるように実験を繰り返す、そんな試みを続けています。
おわりに
以上、ファシリテーターとして、聴くこと・聴かないことを徒然なるままに書いてみました。また、つい聴いてしまうことについてどうやったら対処できるか工夫していることについてもちょっと触れてみました。
プロのファシリテーターの方々は、こんなときどうしているでしょうね。
もしよろしければ、共有してもらえるとありがたいです。こんなところにもファシリテーションの奥深さというかプロの奥深さがあるような気がしています。
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ちょっと古い話で恐縮ですが、昨年末から今年はじめ「小室さんの髪型」は相当のパワーワードだったかと思います。 ↩︎
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