三頭身RPG・最初の村
拙作『三頭身RPG』(以後は本作)を作るにあたって考えたことなど、つらつら書いて行きます。
今回はゲーム開始地点の村について。
始まりの村
RPGの開始点は田舎の村というのが基本だと思います。
というのも都会から始めると、まだゲームに慣れていなプレイヤーにとって情報量(住人や建物の数)が多すぎて咀嚼できないからです。
この辺はあまり奇を衒わず、王道に田舎の村スタートで行きました。
ハロルドの住む村全景
セーブポイント
ハロルド君の家から出るとセーブポイントが置いてあります。
緑のクリスタルにしたのは、緑に薬草的なヒーリングイメージがあるのと、クリスタルの背景から浮いている異物感、が採用のポイントです。
ただMZのクリスタルは減色が雑でグラデーションがディザ(点々)になってて、透明感がイマイチなんですよね…MVのやつにしたほうが良かったかと思ったりします。
いやなんかマップのタイルをMVのやつで作ったんで、せっかくMZ買ったんだしMZの画像データも活用したいなーみたいに思って。
ちなみにMVは減色してなくて無駄にファイルサイズがでかかったりします(MZ:95KB、MV:608KB)
ツクール開発部は中庸ということを…丁度良いということを知らんなー。
本作のセーブポイントは強力で、データの保存はもちろんHP・MP全回復、異常状態の除去、戦闘不能からの復帰、全部やってくれます。
なので宿屋にゲームシステム的な意味は無くなっています。
今時はどこでもセーブできるかつオートセーブが主流ですが、以下のような部分があまり好きではありません。
- すぐに復帰できるのでプレイが雑になる(せっかくのシステムやハラハラするように調整されたバランスが活用されない)
- ランダム性のある箇所(カジノとか)の手前でセーブしていい目がでるまで繰り返す不毛なプレイが発生しがち。
- オートセーブの発生タイミングがよくわからなくてイライラする(セーブされてると思ってたら意外に前だったり)
- セーブするタイミングを計りづらい(手動セーブし忘れる)
- ハマって復帰できない場所やタイミングでセーブしてしまう危険がある。
- セーブ地点が不明なため、制作側はバランス調整にメリハリがつけづらい(勢い、突然強い敵を置いて驚かすみたいなバランスになりがち)
- セーブ・ロードで意外なバグが発生しがちなので製作者的にテストが大変。
本作は全滅した際はそれまでのデータは破棄して、ロードして開始するタイプです。
ドラクエみたいな経験値とアイテムそのまま所持金半分が嫌いなわけではなく…システム作るの面倒……じゃない「なるだけプレーンなシステム」というコンセプトだからです!!
ちなみにセーブポイント制の利点は次の通り。
- (回復能力のある)セーブポイントを拠点にできる(自分で拠点になりそうなところを作ったり探したりする必要がない)
- 作る方はセーブポイントを中心にモンスターを配置して、バランス調整できる。
- セーブポイントを見つければ「ゲームが進んだ」ということがハッキリ分かる。
- ダンジョン奥にセーブポイントがあると「強い敵がいそうだな」という予兆になる。
- ゲームにのめり込んでセーブするの忘れる、ということが発生しづらい(セーブポイントが見えるとプレイヤーにセーブが意識されるので)
- メニュー開く手間が一段階減る(割と重要)
- メニューの項目が一つ減る(かなり重要)
- マップ上の情報密度を上げてスカスカ感を減らしてくれる(そこそこ重要)
セーブポイント制のデメリットは書かなくてもわかりますよね…そう、ご飯の時間が来たからって直ぐにヤメられないのだっ!
なお本作は一応保険的にオートセーブを1ファイル作るシステムですが…オートセーブでバグがおきても知らないよ!
僕がセーブポイント制が好きなのは、シューティングゲームでも「その場復活は邪道」とか言ってたようなプレイヤーなんでさもありなん。
ただしコンティニューは無限が好き!
村のマップ
マップはハルマキさんが公開しているマップ素材をベースに作っていくことにしました。
そこそこツクールのゲームをプレイしている人なら他のゲームでも見たことがあるんじゃないかと思います。
僕自身はマップを作れないというタイプではないのですが、こだわりが強いので最初から自作しようとすると逆に完成しない心配があります。
そういうこだわりがあるタイプでも、そのまま使ってもいいな、と思わせるクオリティをもつハルマップ、エターナル脱出にハルマップ!!
参考: 創作工房春巻(ツクールサンプルデータ集からどーぞ)
とはいえそのまま使うわけではなく、様々にアレンジしています。
線が引いてあると心理的に進みづらくなるので、気軽に移動して欲しいところは極力線を引いているように見えないよう気をつけています。
というか玄関の前の草はむしりますよね、人が住んでたら。
ここでは開く方向を考えヒンジを気にしてますが、そもそも蝶番がそのまま外に出ていたら泥棒が扉を外しやすすぎます!昔の蝶番なんて、金属棒挿してるだけだったりしますから簡単に抜ける!
みたいな細かいことを考えてマップを作っていますが、あまりこだわると進捗が悪くなるので、ある程度はテキトーに。
自動(オートタイル)だと壁に影は落ちず床だけに影が落ちます。また家具の横にも影は落ちません。
タイル(マップチップ)方式で描くと、気をつけないとノッペリしたマップになってしまいます。
影ペンは比較的気軽にマップの密度が上がるので、影がありそうなところに置きまくりました。
ここは村長さんち。村の会議が開かれたりもしているという想定で、立派なテーブルがあります。
村長さんちの地下にピート君がいて仲間になってくれる…というかほぼ聖水補充要員です。
実は最初HTMLでおなじみハロルド・テレーゼ・マーシャ・ルキウスのパーティにしようと思ってたんですが、曖昧な記憶で「緑髮のイケメン」ぐらいで選んでしまったのがこのピート君です(笑)
あれ、こいつよく見たらルキウスじゃねーな。みたいな。
ふつーにイケメン出しても面白くないので、引きこもりのコケ大好き変人の設定を加えておきました。
ピートというかピートが持ってる聖水がないとかなり苦戦するバランスなので、住人に話を聞くことの大事さを身につけてもらおうという算段です。
いくらなんでもこの角は直角すぎるでしょ!もうちょっとなんとかできなかったの!?
と思うものの、このレベルの不自然さを気にしていたら完成が遠のくので、諦めましたが……やっぱり今も気になります。
極力先頭のプレイヤーが操作していると認識するキャラにこういう「そっちは進めないよ」的なセリフは言わせないようにしています。
誰かが指摘しなきゃいけないなら、可愛い妹ならOKかなーみたいなさじ加減。
なお、マップの端は透明な壁ではない理論により、マップの端から先に進めなくてもOKとしています。
最初のダンジョン
宿屋に魔物が襲撃しているとの知らせを受け、宿屋にたどり着く一行。
セーブポイントで回復できるから宿屋いらなくなったので、一発目で廃墟にするという手に出ました(笑)
今まで静かだったんですが、宿屋に入ると緊迫したBGMが流れます。
前に無音の状態を置いてインパクト出したかったんですよね。
ここでは左のほうに女性キャラが見えます。
ゴーストがいて逃げられなくなっているのかな?勇者(プレイヤー)的には助けに行かなきゃいけないのかな?みたいな誘導になっています。
ちなみに上にはおっさんがいますが、ここからは見えません。おっさんを救出に行くのはプレイヤーの動機としては弱いと『ルイージマンション』をプレイして思ったので(笑)
さらにここから右に画面をスクロールさせるとテレーゼ(怪力の嫁と事前説明があるので、鎧を着ているこの人かな?と想像がつく)が青白い顔の男と対峙していて、ピンチっぽくなっています。
女性二人のピンチ!これは勇者的には助けに行かざるを得ない!!
そこ通らないと先にいけないところに敵をおいておけば、戦うしかないですよね。
戦うとレベルが上がりますよね。楽しいですよね!の三段論法。
このシンボルは戦うと消えるので、戦う回復を繰り返せばピート君なしでも突破できます。
最初はこれは突破できめぇ!と思ってたらテストプレイで突破されて「まじか!」と思った(笑)
ちゃんとまさかの時の分岐も用意しないといけないですね!
なるだけプレーンでという方針にも関わらず、ステータス表示部分はかなり変更してます。
これも16:9にしたため、標準のままだと間抜けなレイアウトになっちゃったんでしょうがなく。
まずルルの協会さんのLL_ExGaugeDrawing.jsを入れて、自作プラグインで細かい調整してます。
なかなかうまく調整できず、ここが原因でゲームが完成できないところでしたが、なんとかクリア。
そもそもなんで16:9にしたのかといえば、自分のパソコンのディスプレイ比率が16:9なんで、フルスクリーン表示にした時に黒い部分無くしたかったんですよね。
「プレイヤーって、まず自分じゃないですか!」自分の環境で快適でないゲームなんか作っても、なんも嬉しくないですよ!!
ちなみに右側に並んでいるパーティーメンバーの位置もプラグインを作って16:9に合わせて調整しています。
プレーンとは…「なるだけ」の意味の拡大解釈が問題視される昨今です。
会議システム
最初のダンジョン(宿)とボス(バンパイア)をクリアしたところで、会議が始まり一通りの話を聞くとパーティ編成がハロルド・アルド・テレーゼとなり村の外で出られるようになります。
この会議はこれまでの話の整理とこれからの行動の指針を説明するために、そこそこ頻繁に入れることにしました。
ボタンを押すと順にキャラが喋って全員喋ったら終了みたいにすると、操作らしい操作もできなくて退屈なので話を読まないだろう(僕がそう)と思ったので、プレイヤーキャラ一人にして机を囲んでいるメンバーに一人ずつ話しかける形式にしました。
『ドラゴンクエストⅦ』で取り入れられたメンバーとの会話コマンドや、『シャイニングフォース』の陣地での会話、『グランディア』での宿屋での会話みたいなシステムです。
あらすじメニューは便利ではあるものの、作るコストがかかるわりに読まれないし、面白く書くのも難しいので強制的に入れてしまえ!そんで会話にすれば読みやすい!という判断です。
何か積極的な行動をして会議を終了したかったので、一通り話しかけた後に出口に向かうと会議終了というシステムにしました。
キャラが同じことしか言わなくなったら、もう出口に行くしかないので、完了フラグを仕掛けるには便利です。
ひらけた場所で会議を始めると、終了に必要な行動が分かり辛いことになるので基本どこかの部屋で会議は開かれます。
フィールドへ
とか開発ツイートでは語ってましたが、実際入れました↓
加えて今まで装備やメニューを気にする必要はなかったけど、ここで武器を渡して解説。
チュートリアルは早めに済ませたいけど「一気に説明されると結局一個も覚えてない」ということになりがちなので、小出しにしてます。
まとめ
最初の部屋で「鍵と敵との戦闘、アイテムの使い方」
最初の村で「セーブポイント、住人から情報を得る、戦闘でレベルアップ、ボス戦でダンジョンクリア、会議で方針決定」
と移動可能な範囲を広げつつチュートリアルをこなすという作りになっています。
こういうまとまりで作るとプレイヤーにとって理解しやすいのはもちろん、作る方としても「最悪ここまでできたら完成にしてしまえ」という割り切りがしやすいので、適当なエリアで区切りを入れる手法は便利です。
逆に区切りが明確でないオープンワールドとか作るのは、とりあえず完成までの道のりが長いので危険です。
日記を見るとこんなこと書いてあります。
## 2020-08-09
TCTひとまず最初のクエストを作り終えた。
ハロルドとテレーゼが新婚夫婦という、どっかで見た設定を踏襲。
え!?1日でここまで作ったの!?当時の僕はどうかしてたな。
とはいえ、前回書いたように最初の部分はゲーム完結までずっと作りこんでいたので、本当に1日でできたわけではないですが。
ちなみにハロルドとテレーゼが新婚夫婦というのは前に作った『ハロルドとテレーゼのハネムーンサラダ』というゲームです。
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