"shouldとmightの使い分けがわからん"を解決するアイディア
英語でmayとかshouldとか助動詞の使い分けがわからない…そんな課題にぶつかったことはないですか?
今回はそんな「ニュアンス」の調整についての悩みを考えてみます。
言いたいことって、何? まずは原文を見直そう
助動詞の使い分けや時制の調整が難しいと思うとき、実は自分の中で「本当に言いたいこと」がそもそも整理できていないことが多いです。
英語でどうするか考えるのはもっと後の段階、一旦放り投げてしまいましょう
日本語の見直し
まずは日本語の深掘りをします。今ある日本語の文章を読み砕いて、言いたいことを分解…いわゆる因数分解をしていきます。ざっくりとしたステップは3つです。
1.敬語をやめる
2.箇条書きにする
3.5W1Hを突き詰める
以前の記事で例も添えて詳しく紹介してますので、参考にしてみてください。
分解するコツ
友人など身近な人に「わかりやすくストーリーを説明する」ようにしていくと分解しやすいです。
僕は、後輩や新人、全く別の部署の同期に語りかけるようなイメージをしています。
場面によって若干異なってきますが、大半の場合はこんなフォーマットで語ります。
- どんな発端があって(起)
- 誰が、なんで、いつ、どんなことをしたくて / どんな背景や理由があって(承)
- どこで、どのような方法で実行した / どういうことをしようとして(転)
- その結果、どうなった / 今どうしたい(結)
事前知識がない人に語りかけるイメージを持つことで、自然と「難しいことを易しい言葉に分解する」「あいまいな言い回しを避ける」ようになります。
分解が十分か自己チェックする
「で、ぶっちゃけ何?(So what?)」を繰り返し自問するとよいです。
これは英語話者からよく問いかけられる、一番素朴な問いです。いじめようとか悪意があるわけではなく、受け手が単純に理解できなかった=話し手の具体化や理由づけが甘い時によく聞きます。
この問いに答えられるうちはまだ深掘りの余地がある、つまり「自分がぶっちゃけ言いたいこと」の核心を伝えられていないことが多いです。
自分で深掘りの余地があるかチェックする手法としてお勧めです。
さらにブラッシュアップする:ラベル付の例
箇条書きの冒頭や小見出しに日本語でラベルをつけてみるともっと具体的にわかりやすくなります。
言いたいことに合わせてラベル付をしてみてください。
ラベルセットA: お願いのニュアンス表現
日本語で言うところの「推奨」は、思っているよりもバリエーションや幅があります。
- [必須、必ずやって]Mandatory
- [(強く)推奨、できるだけやって] (strongly) Recommend
- [推奨、あるといいなぁ] Good-to-have
- [任意、どっちでもいい] optional
- [非推奨、しない方がいい]not Recommended
- [禁止、やっちゃだめ]Prohibited
ラベルセットB: 理解度の温度感
「たぶん」にもかなり温度差があります。
- [確実]sure
- [不確実] not sure
- [ほぼ確実にたぶん] most-likely, probably
- [五分五分でたぶん] maybe
- [違う気もするけどたぶん] perhaps, possibely
- [否定、絶対違う] No
ラベルセットC: 時制
- [予定,やろうとしていること] plan, will
- [進捗中,今やっていること] ongoing, (work in) progress
- [完了、すでに起きたこと] done, fact
ラベルセットD: 返事の温度感
実はYesともNoとも言い切れないことの方がほとんどです。
- [はい] Yes, Agree
- [どちらでもない] Yes and No, partially yes, almost Yes but...
- [いいえ] No
ラベルセットE: 自分の考えの確度
- [確実にこうだ]I'm sure...
- [確実じゃないけどこのはずだ]I believe...
- [たぶんこうだと思う]I think...
- [知らんけどこう感じる]I feel...
- [すっごく自信がないけどたぶん]I'm not sure but I feel,,,
補足
あいまいな「たぶん」や「進捗」は、20% sure, 70% progressのように「ざっくり数字でどれぐらい」を示すとよりわかりやすくなります。
また、会議の場などでは同時に「何が確実で」「何が不確実か」や「何が終わっていて」「何が残っているか」、「どこに同意できて」「どこに同意できない」といった両面を補足してあげると相手も納得しやすくなります。
いざ英訳
さて、ここまでの分解を踏まえて英訳について考えていきます。
英訳そのものを考える前に、大事なのは「正しい英語を作ること」ではなく「相手に温度感を伝えること」です。
なのでshould, must, willなどの助動詞の選び方を間違えることを過度に恐れなくてもよいです。「文章全体で温度感が伝われば十分」なので、他の修飾子や動詞の強弱で挽回できれば十分です。
助動詞の選び方
僕も含め、多くの人がつまづくのは助動詞選びです。一般的な使われるものをまとめると、おおよそこんなところです。
可能性と許可:must(絶対にする) > can (してもいい) > could (してもいいかもしれない) > might (かもしれない)
義務と推奨:may(絶対にして) > shall(すべきだ) > should (した方がいい、でも義務じゃない)
意思:will(こうするよ!) > would (まだわからんけどこうするかも)
主語+助動詞+動詞が冒頭にくる英語、特に会話においては、助動詞は「最初にこれから言わんとする中身のトーンを宣言して、あらかじめ知らせることで相手に読む・聞く準備を促す」ような役割をします。
ただ、多少書き間違えたり言い間違えたりしても、大体の場合後ろに続く文章(this is because..., but it is...など)で訂正や挽回、ニュアンスの調整は可能なものです。
ですので、文章の中のほんの一要素でしかない助動詞にこだわりすぎることについて実はナンセンスだと、文法嫌いな僕は思っていたりします。むしろ文章全体の流れを気にした方がよいです。
書くシーンであまりにも迷うようであれば、助動詞は一度適当に置いて文章全体を書き上げて、冒頭から読み直しながら後で修正することをお勧めします。
動詞や形容詞のトーンでの調整
ラベルセットでも一部紹介したように、日本語で言うところの「思う」を表す単語ひとつとっても表現の仕方は様々です。believe, think, feelなど複数の選択肢があります。
トーンに合わせて表現できるようになるためには様々な選択肢を思いつくこと、つまり身も蓋も無いことを言ってしまうとボキャブラリーの数が結局ものを言います。
ボキャブラリーを増やす方法
特にネイティブの人から、相手がメールや発言からワードをパクることをお勧めしています。
いいと思った表現や単語はメモしておき、どんどん真似して自分の身にしていきましょう。
英会話教室や教材から学ぶことももちろん有効ですが、「その組織や場面で通じる言い回し」は現場調達するのが一番です。
慣れないうちの書き方・話し方
以前書いた記事でも触れていますが、「その時点で身につけている手札」で勝負する他ありません。
簡単な数字表現で⚪︎% sure, ⚪︎% recommendなどでニュアンスを表現することをお勧めしています。
「言いたいこと」に合わせて、手持ちのボキャブラリーを組み合わせてどう表現できるか知恵を絞ってみましょう。
最終的には全体と流れが大事
特にじっくり時間をかけて考えられる「書く」場面では、作った一連の文章を冒頭から眺めてスムーズに読み進められるかを見直すと良いです。他の人に読んでもらったり、英語が得意な人にチェックしてもらうのもよいかもしれません。
「話す」場面ではすぐに返答しなければいけないので、「正確なニュアンスのワードを瞬時に選ぶ」ことは実際かなり難しいです。なんなら、ネイティブの人が間違えて後で言い直すのを見る機会も稀にあるぐらいです。
一通り会話を済ませた場面で一拍置いて、そこまでの議論を一回まとめる時間を取るとよいでしょう。
- あなたがこう言った
- 僕はこう言った
- 結論としては現状はxxだとわかった
- 次はこうしようって決めた
- …という理解であってるかね?(Do we have same understanding? / Are we on the same page)
余談ですが、この1ステップを挟むことは「認識の齟齬が生まれにくくなる」「議事録を書きやすくなる」といった別の側面からも非常に効果的です。
❗️まとめ:迷ったら、まず「日本語の整理」から
- 助動詞やニュアンスの迷いは、「そもそも何を言いたいのか」があいまいなことに起因するケースが多い
- 書き手として「何をどの程度の温度感で伝えたいか」を整理するだけで、英語表現がクリアになる。
- 助動詞は“ニュアンスのラベル”の1要素にすぎないのでこだわりすぎない
- 書く時も話す時も、「最後に全体を見直す・まとめ直す」ことがとても大事!
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