MVVを組織のプロンプトとして再考する
以下の記事を読んで考えたことです
MVVの説明等は上記記事にとてもわかりやすい説明があるので、わからない方は参照してください。
1. はじめに
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は多くの組織で策定されていますが、浸透しているケースもあればそうでないこともあると思います。
そこでMVVを「組織に対するプロンプト」として捉え直してみることで生きた言葉として、あるいは組織のオペレーティングシスステムとして適用させるアプローチを考えて見ました。
まず、MVVがなぜ浸透しないかをClaudeにざっと出してもらいましょう。
2. MVVがなぜ浸透しないのか
Claude
MVVが組織に十分に浸透しない主な理由として、以下が挙げられます:
1. 抽象的で遠い存在:
- MVVが日常業務と乖離した高邁な理想として捉えられ、実践的な指針として認識されない。
2. トップダウンの押し付け:
- 経営層が一方的に策定し、従業員の共感や理解を得られていない。
3. 形骸化:
- 一度策定されたMVVが長期間更新されず、時代や状況にそぐわなくなっている。
4. 具体的行動への落とし込み不足:
- MVVを日々の業務や判断にどう反映させるべきか、明確なガイダンスがない。
5. 評価との不整合:
- MVVの実践が個人やチームの評価に適切に反映されていない。
6. コミュニケーション不足:
- MVVの意味や重要性について、継続的な対話や教育が行われていない。
このように、抽象的な故に掴み取れなかったり浸透自体にコミュニケーションコストがかかる傾向にあると思います。
3. MVVをLLMプロンプトとして見てみよう
ここでMVVを「組織に対するLLMプロンプト」として捉え直してみましょう。
そうすると、プロンプトがよく練られてないLLMとMVVが浸透していない組織の対比ができます。
側面 | MVVが浸透していない組織 | プロンプトがよく練られていないLLM |
---|---|---|
1. 方向性の欠如 | • 従業員が組織の目的や目標を理解していない • 各部門や個人が異なる方向を向いている |
• AIの出力が一貫性を欠く • ユーザーの意図とかけ離れた結果を生成 |
2. 一貫性の不足 | • 意思決定が場当たり的になりがち • 部門間の連携が取れない |
• 同じ質問に対して矛盾する回答をする • コンテキストの把握が不十分 |
3. 効率の低下 | • リソースの無駄遣い • 重複した作業や矛盾した取り組み |
• 不要な情報の生成 • 多数の試行錯誤が必要 |
4. 品質の問題 | • 製品やサービスの品質にばらつきが生じる • 顧客満足度の低下 |
• 不正確または不適切な情報の生成 • ユーザーの期待に沿わない回答 |
5. モチベーション低下 | • 従業員の帰属意識の欠如 • 仕事の意義を見出せない |
• ユーザーの frustration の増加 • AIシステムへの信頼性の低下 |
6. イノベーションの停滞 | • 長期的なビジョンの欠如による新規アイデアの不足 • リスクを取る文化の欠如 |
• 創造的な解決策の提案が限定的 • 既存の情報の再構成に留まる |
7. 評価の難しさ | • 明確な基準がないため、業績評価が主観的になる • 改善点の特定が困難 |
• AIの性能評価基準が不明確 • システムの改善方向性が定まらない |
8. 外部とのコミュニケーション障害 | • ステークホルダーに一貫したメッセージを伝えられない • ブランドイメージの希薄化 |
• ユーザーとAIの意思疎通が困難 • AIシステムの意図した用途が不明確 |
9. 適応力の欠如 | • 市場変化への対応が遅れる • 危機時の迅速な判断と行動が困難 |
• 新しい状況や特殊なケースへの対応が不十分 • コンテキストに応じた柔軟な対応ができない |
10. 倫理的問題 | • 倫理的な判断基準が不明確 • コンプライアンス違反のリスク増大 |
• 倫理的配慮が不足した回答や提案 • バイアスや差別的な内容の生成 |
組織の問題だと非常に捉えにくかったり、大きかったりしますがプロンプトと対比させるとわかりやすくなると思います。
次に、具体的にプロンプトとしてのMVVとは何かを考えてみましょう。
プロンプトとしてのMVVとは?
以下の図にまとめました。
-
指針の提供
- AIに対するプロンプトが出力の方向性を規定するように、MVVは組織の行動や判断の指針となる。
-
コンテキストの設定
- プロンプトがAIに文脈を与えるように、MVVは組織の意思決定に文脈を提供する。
-
柔軟性と解釈の余地
- 良質なプロンプトが多様な出力を可能にするように、MVVも状況に応じた柔軟な解釈を許容する。
-
継続的な影響
- プロンプトがAIの出力全体を導くように、MVVも組織の行動全体に持続的な影響を与える。
-
実用性の向上
- 抽象的な理想ではなく、日々の判断や行動を導く具体的な指針として機能する。
-
柔軟な適用
- 変化する環境や状況に応じて、MVVの解釈を柔軟に調整できる。
-
従業員のエンゲージメント強化
- MVVを自分なりに解釈し、適用する余地があることで、主体的な関与が促進される。
-
一貫性の確保
- 組織全体が同じ「プロンプト」に基づいて行動することで、一貫性が生まれる。
今度は、この組織プロンプトであるMVVを個人をLLMとみたて、どう適用していくかをみていきます。
個人をLLMに見立てた組織プロンプトの認識と実践
1. 自身を「組織LLM」として捉える
-
日々の振り返り
- 行動や決定を「出力」として記録
- 影響を与えたMVV要素を分析
2. プロンプトエンジニアリングの適用
-
個人MVVの作成
- 組織のMVVを基に、自分の言葉で再構築
- 自身の役割や価値観との関連を深く考察
3. ファインチューニング
-
役割別MVV強化ポイントの特定
- 職務に関連深いMVV要素を特定
- 詳細な行動指針を作成
-
個人の強みとMVVの統合
- 個人の強みを特定
- MVVの実現への貢献方法を検討
-
MVV実践度の自己評価
- 定期的に実践度を評価
- 評価結果に基づき改善計画を立案
このようにLLMの考え方を用いて、MVVを自分ごととして捉える機会を作ります。
5. まとめ
- MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を組織に対する「プロンプト」として捉え直すことで、抽象的な概念を具体的な指針に変換できる。
- 個人をLLM(大規模言語モデル)に見立て、MVVを自己のプロンプトとして内在化することで、組織の一貫性と個人の多様性を両立させる。
- 日々の振り返り、個人MVVの作成、役割別MVV強化ポイントの特定など、具体的なステップを通じてMVVを日常業務に組み込む。
6. 結論
MVVをプロンプトと捉えることで
抽象的な目標から具体的なプロンプトという認識に変化し
LLMの考え方を用いて具体的な対策まで落とし込むことが可能になると思います。
この記事がMVVについて考える際の一助になれば幸いです。
Discussion