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【MCPのトリセツ #7】Slack MCPサーバー:チームコミュニケーションを強化

2025/03/08に公開
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💡 MCPの始め方シリーズについて

Claude などの AI を強化する「MCP(Model Context Protocol)」の導入方法と活用テクニックのシリーズ。今回は、Slack MCPサーバーの導入方法と活用法を解説します。

シリーズ目次

  1. MCPの概要と導入方法
  2. Filesystem MCP Server: AIでローカルファイルを扱う
  3. YouTube MCPサーバー:動画の内容を取得
  4. mcp-pandoc: AIでドキュメント形式を変換
  5. GitHub MCPサーバー: AIでリポジトリを管理
  6. Figma MCP:デザインとコードを効率的に連携
  7. 👉 Slack MCPサーバー:チームコミュニケーションを強化
  8. Firecrawl MCP:スクレイピングでウェブ情報を取得・分析
  9. Markdownify MCP Server: WebページやPDFをMarkdown文書化
  10. Raindrop.io MCP Server: 便利なブックマークサービスをAIから使う
  11. Fetch MCP Server: ウェブコンテンツを取得・処理
  12. Blender MCP Server: 会話で Blender を操作し3Dモデルを作成
  13. Perplexity MCP Server: Perplexity ならではの検索をAIとの会話で実行

参考: ウェブの情報を取得するMCPの使い分け (Fetch、Firecrawl、Markdownify)


🚀 Slack MCPでできること

「チームの Slack で過去のやり取りを分析して課題を見つけたい...」
「Slack のメッセージやスレッドをAIに参照してもらい、的確な返答を得たい...」
「AI がチームの会話コンテキストを理解した上でアドバイスしてくれたら...」

Slack MCPサーバーを使えば、これらを実現できます。AI と Slack を連携させ、チームコミュニケーションの分析や効率化を目指しましょう。

  • チャンネル内の会話履歴を参照
  • 特定のトピックに関する過去の議論を要約
  • メッセージの送信や返信
  • チャンネルの作成や管理
  • メンバーへのメンション
  • チーム内の知識やノウハウの抽出
  • コミュニケーションの傾向分析
  • 効果的な会議要約の作成と共有

🛠️ セットアップ手順

Slack MCPサーバーをセットアップするには、以下の手順に従います。

1. Slack Bot アプリの作成とトークンの取得

まず、Slackワークスペースで使用するBotを作成し、必要なトークンを取得します:

  1. Slack APIのページにアクセスしてログイン
  2. 「Create an App」をクリック
  3. 「From scratch」を選択し、以下を入力:
    • アプリ名: 任意の名前(例:「Claude MCP Bot」)
    • ワークスペース: 対象のSlackワークスペース
  4. 「Create App」をクリック
  5. 左サイドバーから「OAuth & Permissions」を選択
  6. 「Scopes」セクションで「Bot Token Scopes」に以下の権限を追加:
    • chat:write (メッセージ送信)
    • channels:read (チャンネル情報読み取り)
    • channels:history (チャンネル履歴閲覧)
    • users:read (ユーザー情報読み取り)
    • team:read (チーム情報読み取り)
    • 必要に応じて他の権限も追加
  7. 画面上部の「Install to Workspace」ボタンをクリック
  8. 認証画面で「許可する」をクリック
  9. 「Bot User OAuth Token」(xoxb-で始まるトークン)をコピー

2. チームIDの取得

SlackチームのチームID(Team ID)も必要です:

  1. ブラウザでSlackにログイン
  2. URLを確認:https://app.slack.com/client/T0XXXXXXX/...
  3. URLの「T0XXXXXXX」部分がチームIDです

3. MCPサーバーの設定

取得したトークンとチームIDを使って、Slack MCPサーバーを設定します。

Slack MCPサーバーの設定

方法1: mcp-installerを使う場合

シリーズ記事#0でmcp-installerをセットアップ済みであれば、Claude に以下のように指示できます。※セキュリティ的に、チャットでのAPIキーなどの直接入力は絶対に避けてください。

MCPサーバー @modelcontextprotocol/server-slack をインストールして。環境変数 SLACK_BOT_TOKEN は 'your-bot-token-here' で、SLACK_TEAM_ID は 'T0XXXXXXX' で設定します

その後、Claude Desktopの設定ファイル(~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json)を開き、your-bot-token-hereT0XXXXXXX の部分を、実際に取得したトークンとチームIDに置き換えてください。

方法2:設定ファイルを直接編集する場合

Claude Desktopの設定ファイル(~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json)を開き、以下のように設定を追加します。your-bot-token-hereT0XXXXXXX の部分は、実際に取得したトークンとチームIDに置き換えてください。

{
  "mcpServers": {
    "slack": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "-y",
        "@modelcontextprotocol/server-slack"
      ],
      "env": {
        "SLACK_BOT_TOKEN": "your-bot-token-here",
        "SLACK_TEAM_ID": "T0XXXXXXX"
      }
    }
  }
}

Windsurf の場合

~/.codeium/windsurf/mcp_config.json を開き、上と同様の設定を追加します。


👨‍💻 基本的な使い方 (プロンプト)

指定したチャンネルの最新メッセージを読み取り、要約

#general チャンネルの最近の会話を要約して

該当するキーワードを含むメッセージスレッドを見つけ、内容を要約

#project-alpha チャンネルで「リリース計画」に関する議論を見つけて要約して

メッセージを作成して、指定したチャンネルに投稿

#announcements チャンネルに、明日の全体ミーティングの案内を丁寧な口調で投稿して

新しいチャンネルを作成し、初期メッセージを投稿

新しいプロジェクト「Beta」用のチャンネル #project-beta を作成し、初回メッセージとしてプロジェクト概要を投稿してください

💡 実践的な活用例 (プロンプト)

1. 会議の内容を要約して、重要ポイントをまとめて別チャンネルに共有

昨日の #team-meetings チャンネルでの製品企画会議の内容を要約し、決定事項と次のアクションアイテムをリスト化して #product-dev チャンネルに共有して

2. チャンネル履歴から特定トピックに関する重要情報を抽出

過去6ヶ月間の #engineering チャンネルから、システムアーキテクチャに関する重要な議論と決定事項を抽出して

3. 新入社員のオンボーディング支援

新入社員向けに、#general チャンネルと #random チャンネルの雰囲気やよく話題になるトピック、チームカルチャーについて分析して

4. コミュニケーションパターンを分析し、改善点を提案

#project-gamma チャンネルでの議論の傾向を分析し、意思決定プロセスを効率化するための提案をして

5. 異なるチーム間での情報共有の補助

#marketing チャンネルで議論されている新機能のプロモーション計画を要約し、#development チャンネルにわかりやすく共有して

🔄 他のMCPサーバーとの組み合わせ

Slack MCPサーバーは他のMCPサーバーと組み合わせることでさらに便利になります:

チャンネルの内容を分析してファイルに保存 (Slack MCP + Filesystem MCP)

#project-docs チャンネルで共有された最新の仕様書の内容を分析し、その要点を ~/Documents/Projects/summary.md ファイルに保存してください

チャンネルの議論内容を元に GitHubイシューを立てる (Slack MCP + GitHub MCP)

#dev-team チャンネルで議論されたバグ修正の内容をもとに、GitHubリポジトリ「our-app」にIssueを作成してください

チャンネルで共有されたYouTube動画の要約 (Slack MCP + YouTube MCP)

#learning-resources チャンネルで共有されたYouTubeチュートリアルのリンクを見つけて、その内容を要約してください

⚠️ Slack MCPサーバーを安全に使用するための注意点

  1. 最小権限の原則: BotアプリにはChatの読み書きなど必要最小限の権限だけを与えましょう
  2. トークンの管理: Slack Bot Token は機密情報として適切に管理し、公開リポジトリに入れないようにしましょう
  3. 利用目的の明確化: チームメンバーには AI が過去の会話を読めることを透明化し、利用目的や範囲を明確に共有しましょう
  4. プライバシー配慮: DMやプライベートチャンネルへのアクセスは特に慎重に検討しましょう

📝 まとめ

Slack MCPサーバーを導入することで、AIはチームのコミュニケーションコンテキストを理解し、より的確なサポートが可能になります。会議の要約、知識の抽出、情報共有の効率化など、ビジネスコミュニケーションの多くの側面を改善できるでしょう。

特にリモートワークやグローバルチームが増える中で、Slack MCPサーバーはコミュニケーションギャップを埋め、チームの結束力を高める強力なツールとなります。プライバシーやセキュリティに配慮しながら、ぜひ Slack MCP を活用してみてください!

新しいMCP記事の更新は X @nagataku_ai でお知らせします。フォローとツッコミ、お待ちしています!

📚 参考リンク

次回の記事では、ウェブ情報をスクレイピングして分析できる「Firecrawl MCP」について解説します。お楽しみに!

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