【MCPのトリセツ #7】Slack MCPサーバー:チームコミュニケーションを強化
💡 MCPの始め方シリーズについて
Claude などの AI を強化する「MCP(Model Context Protocol)」の導入方法と活用テクニックのシリーズ。今回は、Slack MCPサーバーの導入方法と活用法を解説します。
シリーズ目次
- MCPの概要と導入方法
- Filesystem MCP Server: AIでローカルファイルを扱う
- YouTube MCPサーバー:動画の内容を取得
- mcp-pandoc: AIでドキュメント形式を変換
- GitHub MCPサーバー: AIでリポジトリを管理
- Figma MCP:デザインとコードを効率的に連携
- 👉 Slack MCPサーバー:チームコミュニケーションを強化
- Firecrawl MCP:スクレイピングでウェブ情報を取得・分析
- Markdownify MCP Server: WebページやPDFをMarkdown文書化
- Raindrop.io MCP Server: 便利なブックマークサービスをAIから使う
- Fetch MCP Server: ウェブコンテンツを取得・処理
- Blender MCP Server: 会話で Blender を操作し3Dモデルを作成
- Perplexity MCP Server: Perplexity ならではの検索をAIとの会話で実行
参考: ウェブの情報を取得するMCPの使い分け (Fetch、Firecrawl、Markdownify)
🚀 Slack MCPでできること
「チームの Slack で過去のやり取りを分析して課題を見つけたい...」
「Slack のメッセージやスレッドをAIに参照してもらい、的確な返答を得たい...」
「AI がチームの会話コンテキストを理解した上でアドバイスしてくれたら...」
Slack MCPサーバーを使えば、これらを実現できます。AI と Slack を連携させ、チームコミュニケーションの分析や効率化を目指しましょう。
- チャンネル内の会話履歴を参照
- 特定のトピックに関する過去の議論を要約
- メッセージの送信や返信
- チャンネルの作成や管理
- メンバーへのメンション
- チーム内の知識やノウハウの抽出
- コミュニケーションの傾向分析
- 効果的な会議要約の作成と共有
🛠️ セットアップ手順
Slack MCPサーバーをセットアップするには、以下の手順に従います。
1. Slack Bot アプリの作成とトークンの取得
まず、Slackワークスペースで使用するBotを作成し、必要なトークンを取得します:
- Slack APIのページにアクセスしてログイン
- 「Create an App」をクリック
- 「From scratch」を選択し、以下を入力:
- アプリ名: 任意の名前(例:「Claude MCP Bot」)
- ワークスペース: 対象のSlackワークスペース
- 「Create App」をクリック
- 左サイドバーから「OAuth & Permissions」を選択
- 「Scopes」セクションで「Bot Token Scopes」に以下の権限を追加:
-
chat:write
(メッセージ送信) -
channels:read
(チャンネル情報読み取り) -
channels:history
(チャンネル履歴閲覧) -
users:read
(ユーザー情報読み取り) -
team:read
(チーム情報読み取り) - 必要に応じて他の権限も追加
-
- 画面上部の「Install to Workspace」ボタンをクリック
- 認証画面で「許可する」をクリック
- 「Bot User OAuth Token」(
xoxb-
で始まるトークン)をコピー
2. チームIDの取得
SlackチームのチームID(Team ID)も必要です:
- ブラウザでSlackにログイン
- URLを確認:
https://app.slack.com/client/T0XXXXXXX/...
- URLの「T0XXXXXXX」部分がチームIDです
3. MCPサーバーの設定
取得したトークンとチームIDを使って、Slack MCPサーバーを設定します。
Slack MCPサーバーの設定
方法1: mcp-installerを使う場合
シリーズ記事#0でmcp-installerをセットアップ済みであれば、Claude に以下のように指示できます。※セキュリティ的に、チャットでのAPIキーなどの直接入力は絶対に避けてください。
MCPサーバー @modelcontextprotocol/server-slack をインストールして。環境変数 SLACK_BOT_TOKEN は 'your-bot-token-here' で、SLACK_TEAM_ID は 'T0XXXXXXX' で設定します
その後、Claude Desktopの設定ファイル(~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
)を開き、your-bot-token-here
と T0XXXXXXX
の部分を、実際に取得したトークンとチームIDに置き換えてください。
方法2:設定ファイルを直接編集する場合
Claude Desktopの設定ファイル(~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json
)を開き、以下のように設定を追加します。your-bot-token-here
と T0XXXXXXX
の部分は、実際に取得したトークンとチームIDに置き換えてください。
{
"mcpServers": {
"slack": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@modelcontextprotocol/server-slack"
],
"env": {
"SLACK_BOT_TOKEN": "your-bot-token-here",
"SLACK_TEAM_ID": "T0XXXXXXX"
}
}
}
}
Windsurf の場合
~/.codeium/windsurf/mcp_config.json
を開き、上と同様の設定を追加します。
👨💻 基本的な使い方 (プロンプト)
指定したチャンネルの最新メッセージを読み取り、要約
#general チャンネルの最近の会話を要約して
該当するキーワードを含むメッセージスレッドを見つけ、内容を要約
#project-alpha チャンネルで「リリース計画」に関する議論を見つけて要約して
メッセージを作成して、指定したチャンネルに投稿
#announcements チャンネルに、明日の全体ミーティングの案内を丁寧な口調で投稿して
新しいチャンネルを作成し、初期メッセージを投稿
新しいプロジェクト「Beta」用のチャンネル #project-beta を作成し、初回メッセージとしてプロジェクト概要を投稿してください
💡 実践的な活用例 (プロンプト)
1. 会議の内容を要約して、重要ポイントをまとめて別チャンネルに共有
昨日の #team-meetings チャンネルでの製品企画会議の内容を要約し、決定事項と次のアクションアイテムをリスト化して #product-dev チャンネルに共有して
2. チャンネル履歴から特定トピックに関する重要情報を抽出
過去6ヶ月間の #engineering チャンネルから、システムアーキテクチャに関する重要な議論と決定事項を抽出して
3. 新入社員のオンボーディング支援
新入社員向けに、#general チャンネルと #random チャンネルの雰囲気やよく話題になるトピック、チームカルチャーについて分析して
4. コミュニケーションパターンを分析し、改善点を提案
#project-gamma チャンネルでの議論の傾向を分析し、意思決定プロセスを効率化するための提案をして
5. 異なるチーム間での情報共有の補助
#marketing チャンネルで議論されている新機能のプロモーション計画を要約し、#development チャンネルにわかりやすく共有して
🔄 他のMCPサーバーとの組み合わせ
Slack MCPサーバーは他のMCPサーバーと組み合わせることでさらに便利になります:
チャンネルの内容を分析してファイルに保存 (Slack MCP + Filesystem MCP)
#project-docs チャンネルで共有された最新の仕様書の内容を分析し、その要点を ~/Documents/Projects/summary.md ファイルに保存してください
チャンネルの議論内容を元に GitHubイシューを立てる (Slack MCP + GitHub MCP)
#dev-team チャンネルで議論されたバグ修正の内容をもとに、GitHubリポジトリ「our-app」にIssueを作成してください
チャンネルで共有されたYouTube動画の要約 (Slack MCP + YouTube MCP)
#learning-resources チャンネルで共有されたYouTubeチュートリアルのリンクを見つけて、その内容を要約してください
⚠️ Slack MCPサーバーを安全に使用するための注意点
- 最小権限の原則: BotアプリにはChatの読み書きなど必要最小限の権限だけを与えましょう
- トークンの管理: Slack Bot Token は機密情報として適切に管理し、公開リポジトリに入れないようにしましょう
- 利用目的の明確化: チームメンバーには AI が過去の会話を読めることを透明化し、利用目的や範囲を明確に共有しましょう
- プライバシー配慮: DMやプライベートチャンネルへのアクセスは特に慎重に検討しましょう
📝 まとめ
Slack MCPサーバーを導入することで、AIはチームのコミュニケーションコンテキストを理解し、より的確なサポートが可能になります。会議の要約、知識の抽出、情報共有の効率化など、ビジネスコミュニケーションの多くの側面を改善できるでしょう。
特にリモートワークやグローバルチームが増える中で、Slack MCPサーバーはコミュニケーションギャップを埋め、チームの結束力を高める強力なツールとなります。プライバシーやセキュリティに配慮しながら、ぜひ Slack MCP を活用してみてください!
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📚 参考リンク
次回の記事では、ウェブ情報をスクレイピングして分析できる「Firecrawl MCP」について解説します。お楽しみに!
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