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スマートラウンド開発チームにおけるAIへの取り組みの現在地(2025年4月版)

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はじめに

はじめまして、株式会社スマートラウンドでチーフテックリードをしているtsukakei1012です。

この記事は2025年春スマートラウンドAI活用連載シリーズ第1回目の記事です!

他の連載記事はこちら!

この記事では、スマートラウンドの中でも開発チームがどのように最新の生成AI技術を活用しているのか、その実態と今後の展望について紹介していきます。
様々なツールを導入・活用しているので、AIツールの導入に迷われている方の助けになると幸いです!

明日以降、別の部署でのAI活用事例記事も更新する予定ですのでぜひお楽しみに!

Vertical AI Companyへの進化に向けた開発チームの取り組み

ここ最近LLMを中心としたAI技術の進歩が著しく、多くのSaaS企業が今までのビジネスモデルを脱却しようとしています。

弊社も例に漏れず、Vertical AI Companyになるべく、AI技術に対して多くの投資を行っています。

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その中でも、我々開発チームが捉えるべき重要なことは次の2点と考えています!

  • AIを用いた開発生産性向上
    AIによる開発支援の促進とAIを中心とした開発プロセスを確立により、1人当たりの開発生産性を向上させること

  • プロダクトとAIの融合
    LLMに限らず、AIエージェントといった新技術をプロダクトに組み込むことで顧客価値を高めること

(連載の趣旨に合わせて)今回の記事では、AIを用いた開発生産性向上に着目して、どういったツールをどのように活用しているかについてご説明したいと思います。

開発チームが業務で実際に使っているAIツールの紹介

ここでは我々が業務で実際に導入しているツールについて紹介したいと思います!

AIに全力投資ということで様々なツールを使っていますが、それぞれに向き不向きがあり、自然と使い分けが生じている印象です。

Junie

IntelliJから使うことができるJetBrains製のAIコーディングツールで、つい先日Generally Availableになりました🎉
社内ではEarly Access Programの頃からJunieを活用しており、GAとなった今は正式に会社としても購入しています。

X上ではあまり話の聞かないJunieですが、弊社では設計方針の壁打ちから実際の実装やテストコードの実装、エラー原因の調査など幅広いタスクで使われており、日々の開発業務に欠かせない存在になっています。

紹介記事も書いてみましたので、ぜひ興味のある方は読んでみてください!

https://zenn.dev/smartround_dev/articles/b90904e75666a3

Devin

2024年12月にリリースされ、最近CEOが来日したことで話題になっているDevinです。

https://devin.ai/

こちらは完全自律型のAIエージェントとなっております。

弊社では早い時期からDevinへの投資を行なっており、フィーチャーフラグの設定やOptions APIからComposition APIへの置き換えのような定型作業は完全自動化してできるようになっています。

その他にもPRのセルフレビューや簡単なチケットの改修など毎日何らかのタスクをDevinにやってもらっており、こちらも日々の開発業務に欠かせない存在になっています。

(軽めのタスクがあると「それDevinでやれば?」とか「ナレッジに追加すればいけると思いますよ」みたいな会話がチーム内でも普通に飛んでいます😂)

特にDevin 1.5以降は今まで以上に活躍の範囲が広がり、今ではエンジニアに限らずデザイナー・CS・PdMといったエンジニア以外の職種でも活用され始めています!

個人的には、最も期待しているツールの1つで、どのようにしたらさらに活用の幅を広げられるかは日々試行錯誤しています!

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ChatGPT

弊社は会社全体でChatGPT Teamプランを契約しています。
そのため、いろんなメンバーがいろんな使い方をしていますが、開発メンバーに絞った使い方を紹介すると、設計の壁打ちとあまり詳しくない領域の調査に使われています。

僕自身の活用例で言うと、以前、新規プロジェクトを立ち上げる際にo1を使ってアーキテクチャ設計やUI実装を行いました。

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o1はかなり賢かったものの、ナレッジカットオフが2023年10月と古い & Webが使えないため、知識(特にライブラリやフレームワーク系)が古く、かゆいところに手が届かないもどかしさがありました。

ところが、つい最近出てきたo3は情報収集能力と分析力がかなり高く、ちょっとした技術顧問的な活用をしています。
(巷ではハルシネーションが気になるという声もありますが、僕は今のところ気になっていないです。気づいていないだけの可能性もあるのですが、、、)

今週だけでも、①Flutterアプリのアップデートで発生したエラーの解消②Zodを使った複雑なスキーマの定義の2つについて、軽く指示をして出てきた調査結果を裏取りして、実際に対応することができました!

これまでだと調査だけでも2日程度かかっていたかなと思っていたので、開発生産性の向上に大きく寄与してくれた気がしています。

Cursor

Kotlin以外の言語を触ることの多いメンバー中心に使われています!

私も約1ヶ月ほどフロントエンドに集中するエピックがあり、その際はVue+TypeScriptということもありヘビーユースしていました。
その時の感想としては、Cursor Tabがサクサクで気持ちいい、行単位で指示出せるのが便利、困ったらaskかagentに聞けるのもいい、という風にUXがかなり使いやすく洗練されているように感じました!
(一番好きな機能は行単位で指示を出せるやつです!)

ちなみにProject Rules自体はあまり整備せず、プロンプトを使って「xxxを参考にしてxxxして」と指示を出すことが多いです!

GitHub Copilot

弊社では一番古くから導入しており、Junieが来るまでの間、IDEに組み込んで使われていることが多かったです。

最近はPRのCode Review機能にpublic previewとしてKotlinも対応言語に入ったため、少しずつ使われ始めています。

(ちなみにこちらの記事を参考に日本語でレビューしてくれるようにしました。)

https://zenn.dev/rescuenow/articles/55ea72023527d1

ただ、レビュー精度がちょっと微妙だったり、reviewerにアサインしないと動かないなど、現状のUXはDevinにSlack経由で依頼する方が優れており、Devinを使っているメンバーの方が多い印象です。

GitHubには今後の改善を期待したいと思います!

Claude

弊社ではAnthropic社のClaudeも使えるようにSREチームが環境整備を行なってくれています。(Slack連携もされているのですが、その話はまた今度にSREチームにしてもらいましょう!)

開発用途ではあまり活用できていないのですが、動画文字起こしの加工・要約や文章のブラッシュアップなど、サブ的な業務で活用しています!

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Gemini

弊社ではGoogle製のGeminiも導入されています!
僕自身はリリースされた直後にサラッと触った程度でそれ以降あまり活用できていないのですが、開発チームの他メンバーはプロンプトのブラッシュアップや実装方針の相談・他サービスの調査などに使ったりしているようです!

NotebookLM

弊社ではGoogle製のNotebookLMもGeminiと同様に導入されています!

NotebookLMは正直、まだほとんど触れていないのが正直なところではあります。
活用方法のイメージは湧いていて、全社的に行なっている業界知識キャッチアップ会やドメイン知識(株主総会・投資先評価・資本政策など複雑なものが多いのです)習得のサポートに使えるのではないかと考えています。

これもやってみないとわからないことが多々あると思うので、まずは開発チームのオンボーディングでやってみて、良さそうであれば範囲を徐々に広げていくような形で運用していこうと考えています。

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チームとして活用度合いを高めるための工夫

AIに関連する情報・ツール・ベストプラクティスが目まぐるしいスピードで変わっていることもあり
社内外の知見は、チーム全体のレベルアップと社内の技術浸透のために積極的に共有するように意識しています。
具体的な施策としては、

  • 10分AIキャッチアップ会
    毎週定例で最新のAI技術動向やを短時間で共有する会を朝会前に実施しています。(ログラスさんの10分勉強会をパクりました!笑)これにより、AIの最新情報をキャッチアップしています。

  • 開発チーム全体MTG
    週次で行っている開発チーム全体MTGでも積極的にAIツールの活用例を共有しています。Devinによってほぼほぼ完全自動でできるようになった事例について共有することが多いです。

  • チームごとの振り返り
    プロダクトエンジニアは週次でチームごとに振り返りを行っています。ここでもトピックとして、「AIをこうやってやったら上手くいった」「Devinが言うこと聞いてくれなかった」などが時々出てきます。タスクの内容がチーム内でわかっているからこそ、具体的なエピソードに発展することが多く、いい共有の機会になっているように感じます。(サイロ化しないようにトピックと議論は全メンバーが見られるようになっています。)

  • LLM勉強会
    開発チームでは積極的に勉強会(業務時間内)を行っているのですが、その1つとしてLLM勉強会を行っています。座学だけでなく実践も重視しており、最近はMCP関連の勉強が多いです。

  • 他職種との交流
    明日以降に他部署でのAI活用記事が出ますが、他部署他職種の方とAI活用の話をするのもとても参考になります。前回の全員出社日ではデザイナーも交えてAIの話をすることで多角的・多面的な知識と意見の共有があり、参考になりました。

余談:開発チーム内でのモデルの使い分けについて

モデルの使い分けについては各自の知見を共有しつつも、それぞれ好きなものを使うようにしています。
これについては、①まず何でもいいからガンガン触ってみてほしい②進化が速すぎて早すぎる最適化に陥るかもしれない③みんなが色んなものを触っていた方がAIの多様性が生まれるといった理由からです。

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おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
開発チームが利用しているAIツールについてご紹介しました!

我々もそれなりにAIを使いこなせている自負がある一方、まだまだ改善の余地があるように感じています。
今後も開発生産性を爆上げするために、さらなる活用方法を考え出していきたいと思います。
この記事を読まれた皆様もご質問やご意見などがあれば、ぜひコメントやカジュアル面談フォームからお寄せください!

https://jobs.smartround.com/

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