Zenn本『Glideで楽しむアプリ開発』を書きました
Zenn本『Glideで楽しむアプリ開発』の執筆に目処がつき公開しましたので、紹介させてください。
本のコンセプト
前著『AppSheetでアプリ開発入門』の記事でも言ったことですが、Zennの記事を普段から読んでいるような人は、いわゆるエンジニア系の人が多いと思います。が、この本もそうでない人、非エンジニアの「普通の人」を主な対象として書きました。実際に、特に専門知識のない大学生に使ってもらいながら、本書を執筆・改訂しています。
Glideは、アプリを作ることを得意としたノーコードサービスです。同系統のAppSheetに比べて、画面設計の自由度が高く、さわっていて楽しい、おもちゃ箱のようなツールです。作れるアプリの種類もAppSheetに比べて多いので、コードを書けない「普通の人」がアイディアを形にしていく楽しさを味わうのにも向いています。
ただ、ツール全体で説明が不足している感があり、とにかく試行錯誤しながら学んでいく、わからないことがあるたびにネットで(時に英語のリソースを)調べることを求められます。これは、エンジニアの人であれば平常運転で特に問題ないかもしれませんが、そういう習慣のない「普通の人」にはなかなか厳しい要求ではないでしょうか。
こういうツールで楽しんだことをきっかけに、その後エンジニアなどになる人もいるだろうことを考えると、あっさり挫折してしまうのはもったいない。そういう思いもあって、試行錯誤の重要性は説きつつも体系的な説明を中心にしたテキストを書きました。
どんな内容なのか
本書は、初期生成アプリの解説とToDoアプリの作成でGlideの基本を説明した「基本編」と、いろいろなパターンの作例アプリを10個ほど紹介した「作例編」に分かれています。作例アプリは主に以下のようなものです。
- 選択肢によって展開を分岐できる紙芝居系アプリ
- ランダムな結果を表示できるくじ引き系アプリ
- BMIや電子レンジ加熱時間などの計算系アプリ
- フラッシュカード付き単語帳アプリ
- 回答を採点し判定する占い・検定アプリ
文字数も15万字弱、図版も300以上使って、筆者が(ある程度体系的に)説明できそうなことは全部載せました。これ一冊で、タイトル通り「自分なりのアプリを開発して楽しむ」というところまでいけるのではないかと思います。
先人たちへの感謝も込めて
本書のコラムでもふれていますが、Glideに関するネット上の資料は、ノーコードがブームになった2020年ごろに公開されたものが多いです。それらはすごく良い資料で、筆者も当時は大いに参考にさせてもらったのですが、現在の入門者にはやや活用しにくいものとなっています。Glideがその後に大幅アップデートをした関係で、機能や画面が現在のものと大きく違っているからです。読み替えを初心者に求めるのは酷ですしね。
先人たちに助けられたことへの感謝の気持ちも込めて、いま自分が知っていることはなるべく全部公開しよう、という思いもあって本書を書きました。曖昧な理解を検証によって確かめたり、体系的に整理する方法を考えたり、初心者が理解しやすい作例を捻り出したりと、本書を書き上げるために相当に時間を費やしています。やっぱり大変ですね。でも、2024年末時点での最新のGlideに対応した、体系的にまとまった初心者向け資料としては、唯一無二くらいのものになったと思います。これから学ぶ人は大いに役立てていただければと思います。
執筆終盤に「Glideを使ってトランプゲームを再現できないかなぁ」などと思って挑戦したアプリは、本書には向かないかなぁと思って載せていません。今後その公開と紹介記事も書ければと考えています。タイトルは「Glideでゲーム作るには」にしようかしら。
Discussion