『Kling AI』で1枚の画像を動画に!作成ポイントとAI動画活用例
私は、検索やちょっとした相談事から、ソースコードや画像、3Dモデルの作成など、さまざまなシーンで生成AIを活用しています。最近、動画を生成するAIを試してみて、「これほどのものがもう世の中に存在するんだ!」と本当に驚かされました。そこで、ぜひ紹介したいと思い、この記事を書きました。
以下をご覧ください。これは一枚の画像から動画を作成した様子です。まず、FLUX.1
という画像生成AIを使って「カメおじさん」を作成します。
FLUX.1で作成した「カメおじさん」画像
この画像も既に踊りだしそうで、これはこれで凄いのですが、さらにこれを動画生成AIに与えると、次のような10秒の動画が生成されます。
何と言いますか、本当に楽しそうに踊っているではありませんか!私がその場にいたなら、踊りの輪に加わりたいくらいです🐢
このような動画の作成を可能にしたのが「Kling AI」という動画生成AIツールです。商用サービスで、自身のPCにインストールする必要もなく、非常に簡単な操作で動画を作成することができます。
今回は、このAIツールを用いた動画生成と、作成したAI動画の活用例を紹介します。
ブログの構成
このブログは「インプット画像の作成」「AIで動画を生成」「生成した動画の活用例」の3つの大きな章からなります。各章の概要については、次の図をご覧ください。
ブログの構成(クリックで拡大)
インプット画像の作成
動画生成AIのインプットとなる画像について、次の内容を説明します。
- 画像を用意する理由
- 画像生成AIの紹介
- 画像作成のポイント
画像を用意する理由
動画生成AIは、プロンプト(指示文)だけで動画を作成できますが、イメージ通りの動画を作るのは難しいことがあります。特に、Kling AI
のような商用サービスでは、動画を作成するたびにクレジットやポイントを消費するため、何度も試行錯誤するのは避けたいところです。
そこで、あらかじめ画像生成AIでイメージに近い画像を作成し、それをインプットとして動画を作成します。こうすることで、イメージに合った高品質でリアルな動画を効率的に作成できます。
画像生成AIの紹介
目的の動画を作成するためには、適切な画像を用意することが重要です。画像生成AIを使うことで、イメージに合った画像を簡単に作成できます。以下に、主要な画像生成AIを一覧で紹介します。
画像生成AI一覧(クリックで拡大)
私はFLUX.1
を使用して画像を生成していますが、これらの画像生成AIの中から目的に合ったものを利用してみてください。詳しい画像生成AIの使い方は、このブログでは触れませんが、「画像生成AI名 使い方」などで検索すると、分かりやすい使い方を解説しているブログや動画がたくさん見つかりますので、そちらを参考にしてみてください。
手軽に画像生成AIを試してみたいのであれば、GoogleのImageFX
やMicrosoftの汎用AIであるCopilot
から利用できるDALL-E3
がオススメです。
画像作成のポイント
動画にした時に「期待する目的の登場人物」が「このように動いてほしい」というイメージを画像の時点で表現することが大切です。冒頭で紹介したカメおじさんに再び登場してもらいますが、この画像は楽しそうにダンスを踊っているように見えませんか?少なくとも愉快な様子は伝わってくると思います(残念ながら背後の観光客は誰も見ていないのですがw)。
再び登場する「カメおじさん」
カメおじさんは次のようなプロンプトで作成しました。
カメのマスコット人形の着ぐるみを着た老人男性がダンスを踊るシーンです。
自由の女神と観光客が背景に広がります。
登場人物は、カメのマスコット人形の着ぐるみを着た老人男性です。
カメの着ぐるみの老人男性は、頭の部分の人形を外して、リアルな人間の顔を晒しています。
カメの着ぐるみの老人男性は、観光客相手に楽しそうに笑顔でダンスを踊っています。
カメの着ぐるみは、フワフワ、モフモフして着心地が良いです。
カメの着ぐるみの老人男性の衣装は、可愛らしい亀の着ぐるみです。
また、スマホで撮影したような感じを出すために、縦画像にしたのもポイントです。このように、動画生成AIで動画を作成する際は、事前の画像作りが非常に重要です。この段階でしっかりとイメージを固めておきます。
AIで動画を生成
動画生成AIのそのものに関連して、次の内容を説明します。
- 動画生成AIの紹介
- Kling AIを選択した理由
- Kling AIによる動画の作成方法
- 動画生成のコツ
動画生成AIの紹介
私はKling AI
を好んで利用していますが、サービスに対する要求や動画に対する感じ方は人それぞれです。ぜひ色々なサービスを比較してみてください。以下に、主要な動画生成AIを一覧で紹介します。
動画生成AI一覧(クリックで拡大)
このブログではKling AI
についてのみ詳しく解説します。その他の動画生成AIについては、画像生成AIの一覧を示した時と同様に、検索していただくことで、分かりやすく解説したブログや動画などの解説サイトを見つけることができると思います。
Kling AIを選択した理由
私は、Kling AI
を利用する前にいくつかの動画生成AIを試しました。
Stable Video Diffusion
は、初めて利用した動画生成AIです。動画が動いた瞬間はとても嬉しかったのを覚えています。ただ、古い技術であり、25フレーム(6fpsで5秒、8fpsで3秒程度)までという制限があるため、カクカクした動画になります。
Luma Dream Machine
は、初めて利用した商用サービスの動画生成AIです。簡単な操作で高品質の動画を生成でき、とても驚きました。また、無料アカウントでも素早く生成できたのも好印象でした。
そして、さらに探していた時に出会ったのがKling AI
です。Kling AI
を選択した理由は次の通りです。
-
圧倒的に高品質な出力動画
- 公式サイトのサンプル動画を見ていただければ分かると思いますが、本当に高品質な動画に驚かされました!
-
初めてでも使いやすいインタフェース
- 画像を用意して、短いプロンプトを入力し、僅かな設定をするだけで動画が作成できます。
-
丁寧で分かりやすい解説サイトの提供
- 画像や動画生成の全てのエッセンスを詰め込んだ解説とその出力結果が丁寧に示されたサイトが公式から提供されています。
以下に公式サイトのリンクを示しますので、まずはぜひサンプルを見てみてください。
Kling AIによる動画の作成方法
事前準備
まず事前準備として、アカウント作成とサブスクリプションへの加入(任意ですが加入をオススメします)が必要になりますので解説します。
●アカウントの作成
まず、利用にあたってはアカウントの作成が必要になります。
- https://klingai.com/(公式サイト)にアクセス
- ホーム画面右上のSign Inをクリック
- Welcome to KLING AIのポップアップ画面が表示されるので、Sign up for freeをクリック
- 表示される内容に従って、必要事項を入力し、アカウントを作成
●サブスクリプションへの加入
これはなかなか悩ましいところです。無料でも利用できなくはありませんが、Freeプランの場合、現状では動画作成が99%で止まり、2日くらい待たされることがあります。最終的に失敗することも多く、気軽にお試しできないのがKling AI
の現状の弱点かもしれません。
一方で、月額サブスクリプションに加入するとこの状況は劇的に改善し、動画作成が数分で完了するようになります。たまに「Kling AI
はサブスクに加入してもこの状況だったら嫌だな」という声をSNSで見かけますが、私の経験上は改善しています。初月は割引もあるため、まずは数百円払ってお試しのつもりで体験してみるのも良いと思います。
- ホーム画面右上にある
Subscription program
をクリック -
サブスクリプションのメニューが表示されるので、ポップアップ画面左上の
Monthly Saver
を選択
※本来はYearly Saver
が安いのですが、キャンペーン中は初月のみ〇% Offのような割引をMonthly Saver
で行っています。1か月間はこちらでサブスクして、気に入ったら年間契約に切り替えるのも良いでしょう。 - いくつかプランが表示されるので、まずは
Standard
を選択 - プラン説明の下にある
Subscribe Special Offer
やSubscribe Monthly
などのボタンをクリック - 必要なクレジットカード情報などを入力して完了
ちなみに、Standard
プランでは毎月660クレジットが付与される他に、毎日ログインボーナスとして当日限定(翌日繰越し不可)の66クレジットが付与されます。
つまり、単純計算で 660クレジット + 66クレジット × 30日 = 2640クレジットが付与されることになります。
- 標準モード5秒動画 = 10クレジット → 264本
- プロモード5秒動画 = 35クレジット → 75本
これは、他の動画生成AIよりもお得だと感じています。
動画作成
いよいよ動画を作成していきます。本当に簡単ですので、ご安心ください👍
-
ホーム画面で
AI Videos
をクリック
-
KLING Createve Space
画面が開いたら、Image to Video
を選択
-
Image and Prompt
の項目にベースとなる画像と、動画に与えるプロンプト(指示文)を入力
- プロンプトは入力しなくても動画作成は可能ですが、目的の動画を作成するのが難しくなるため、入力した方が良いです。
- プロンプトは英語で入力します。
-
Settingの項目を設定
各設定項目の意味は次の通りです。-
Creativity/Relevanceスライダー
- Creativity:
AIが創造性豊かで自由な発想で動画を生成 - Relevance:
AIがプロンプトに忠実な動画を生成
- Creativity:
-
Mode
- Standard Mode:
より速い生成速度を優先し、迅速に少ない費用で動画を生成 - Professional Mode:
より良いビジュアルで、豊かなディテールと優れた品質の動画を生成
- Standard Mode:
-
Length
5秒/10秒、選択した長さの動画を生成 -
Number of Generations
一度に作成する動画の数を設定
-
Creativity/Relevanceスライダー
-
Generateボタンを押して動画を生成
- 動画の生成は、数分程度で完了します。
- Camera Movementは、Text to Videoの機能のため使用しません。
- Negative Promptは、どうしても禁止したい要素があれば入力しても良いですが、基本は空欄で良いです。
-
作成が完了した動画を選択して、ダウンロード
- サブスクリプションに加入すると、ウォーターマーク(透かし)無しでダウンロードできます。
-
無事に動画が完成(動画再掲)
動画生成のコツ
動画生成のコツとして、動画用のプロンプトと私の動画Settingについて述べます。
動画用のプロンプト
まず、カメおじさんの動画を作るときのプロンプトは次のようにしました。
マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性が、楽しそうに全身を使ってダンスを踊るシーンです。
しかし、マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性の背後の人々はその場から去っていきました。
マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性は、一人になっても踊り続けた。
しかし、実際に生成された動画では、背後の人々は立ち去るどころか優しくおじさんを見守っていました。このことから、あまり長いプロンプトを指定しても、全てが動画に反映されるわけではないことが分かりました。
後から確認して分かったのですが、Kling AI
公式のベストプラクティス集によると、本当に短いプロンプトで良いようです。ただし、次の内容を含んでおくと、よりイメージに近く、高品質な動画が生成されるようです。
- 動画の主役、主人公
- どのような動作をするのか
- シーンの背景
詳細な解説については、次のリンク先に記載がありますので、ぜひ機械翻訳するなどして読んでみてください。
KLING AI Guide(Image-to-Video) ※リンク先へジャンプ
また、画像生成やプロンプトからの動画生成について書かれたマニュアルも存在します。これらを読むだけで、画像や動画の作成に関する重要なポイントを把握できると思います。
KLING AI Best Practices ※リンク先へジャンプ
私の動画Setting
私は次のSettingを行って動画生成を行っています。もしよければ参考にしてください。
-
Creativity/Relevance
基本は、0.5
に設定して動画生成AIが生成する予想外の展開も少し楽しんでいます。プロンプトにある程度忠実にしたい場合は0.7~0.8
に設定して、少し余白を残すようにしています。 -
Mode
基本は、Professional Mode
にしています。今まで生成した動画で満足度が高いのは、ほぼProfessional Mode
で生成した動画です。サブスクがStandard
プランなので、1日2~3個くらいのペースで生成すれば、デイリーボーナスを消費しつつ、適度にメンバーシップの660クレジットも少しずつ消費するかと思います。 -
Length
基本は5秒
ですが、ストーリー性がある動画を作成したいときは10秒
にします。 -
Number of Generations
基本は1
です。
以上で、AIによる動画生成の説明は終了です。お疲れさまでした🎉ここまでの内容を理解すれば、きっと目的の動画を作ることができるようになると思います。
引き続き、生成した動画の活用例について、よろしければお読みください。
生成した動画の活用例
生成した動画の活用例を紹介します。静止画が動画として動き出すだけでも十分に楽しいのですが、せっかくですので、その作成した動画を用いてさらに面白いことができないかと考えてみました。そこで思いついたのが、学習塾のCMのような動画を作ってみることでした。
-
ベース画像の準備
次のような学生がNo.1みたいなポーズをしている、いかにも学習塾っぽい画像を作成しました👆
FLUX.1(anzu_flux)を利用して生成した画像 -
動画のプロンプトとSetting
生成動画用のプロンプトは、この時点では、何かを熱く語りながらそのまま腕を上にあげて、No.1ポーズみたいなのを想定して、次の内容を与えました。
また、動画の設定はCreativity/Relevance0.5
、ModeProfessional Mode
、Length5
としました。
Japanese:
女子高生は、賑やかな教室でよく喋ります。
女子高生は、片手を上に突き上げ、勝ち誇ったポーズをとります。
----
English:
This is a high school girl talking very much in a busy classroom.
The high school girl thrusts one hand upwards and strikes a victorious pose.
-
BGMの用意
BGMもAIで生成したら面白かったのですが、今回はYouTubeオーディオライブラリ
から取得しました。こちらの音源であれば、YouTubeで使う分にはライセンスの心配が無いため安心です。 -
動画編集ソフトで編集
動画はこのような形で編集ソフトを使って仕上げていきます。
動画編集画面
私は古いPower Director
という有償のツールを使っています。最新のバージョンには、さまざまなAIを活用した機能が追加されているようです。
また、有償のソフトはちょっと...という方も無料で使えるオープンソースの動画編集ソフトOpenShot Video Editor
があります。基本的な編集であればこちらでも十分です。
-
CMの完成
そして、完成したのがこちらの動画です。若干、AIが生成した動画に寄せている感はありますが、無事完成させることができました。ちなみに最後に出てくる企業ロゴ風のマークも生成AIで作成しています。
2024/09/19追記:
記事をリリースした後、AI楽曲作成サービス「Suno」が気になり、使ってみました。これまたクオリティの高さに驚かされました(最近驚いてばかりです)。せっかくなので、タートル学習塾のテーマソングを作成し、動画を再編集しました。もしよければ、こちらの動画もご覧ください。
ちなみにKling AIは、作成済みの動画の長さを後から拡張することができます。この動画素材も曲に合わせて5秒から10秒に拡張しました。生成した動画の左下にextend
ボタンがあります。自動で長くする方法と、長くしたい部分のプロンプトを指定する方法の2パターンがあります。
動画の長さ拡張
以上で全ての説明が完了しました。
今回も、本当にお疲れさまでした🎉
まとめ
動画生成AI「Kling AI」を用いた一連の動画の作り方から、サンプルCMを作成する活用例を示すことができました。
私自身、普段はエンジニアとして、ロボットやシステム開発を行っており、映像などをクリエイトすることはなく、全くの専門外です。AIという文脈だけでほぼ完全に趣味の世界で触っているだけですが、それでもAIを利用することでここまでのことができるようになりました。AIは人間の能力を拡張する、素敵なパートナーであると思います。
この記事を読んだ方も、ぜひ新しい世界にチャレンジしてみてほしいと思います。もし、分からないことや、ちょっとした疑問などがありましたら、遠慮なくコメント欄に書き込んでください。🐢
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
リンク
私が書いたAI関連の記事のリンクを示します。もし興味があれば見てみてください。
TripoSRというAIで3Dモデルを生成する技術の記事です。3Dモデル作成における画像生成のコツや成功・失敗事例なども記載しています。
TripoSRの後継モデル「Stable Fast 3D」の記事です。Stable Fast 3Dは3Dモデルの出力品質が向上しました。使い方やStable Fast 3DとTripoSRの出力結果の比較など、興味深い内容多数です。
GitHub CopilotというAIを利用したコーディングツールの記事です。プログラミングに興味がある方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。AIをうまく活用すると、モノづくりの速度が劇的に改善します。
更新履歴
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2024/09/19
CM風動画のテーマソングロングバージョンを作成して公開しました。
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