『Kling AI』で1枚の画像を動画に!作成ポイントとAI動画活用例
私は、検索やちょっとした相談事から、ソースコードや画像、3Dモデルの作成など、さまざまなシーンで生成AIを活用しています。最近、動画を生成するAIを試してみて、「これほどのものがもう世の中に存在するんだ!」と本当に驚かされました。そこで、ぜひ紹介したいと思い、この記事を書きました。
以下をご覧ください。これは一枚の画像から動画を作成した様子です。まず、FLUX.1
という画像生成AIを使って「カメおじさん」を作成します。
FLUX.1で作成した「カメおじさん」画像
この画像も既に踊りだしそうで、これはこれで凄いのですが、さらにこれを動画生成AIに与えると、次のような10秒の動画が生成されます。
何と言いますか、本当に楽しそうに踊っているではありませんか!私がその場にいたなら、踊りの輪に加わりたいくらいです🐢
このような動画の作成を可能にしたのが「Kling AI」という動画生成AIツールです。商用サービスで、自身のPCにインストールする必要もなく、非常に簡単な操作で動画を作成することができます。
Kling AIで動画を生成した後、それらと各種素材をうまく組み合わせて動画編集ソフトで編集すると、次のような映像作品も作れるようになります。
今回は、このAIツールを用いた動画生成の基本的な方法と、生成した5秒から10秒のAI動画をどのように活用するかについて例を紹介します。
ブログの構成
このブログは「インプット画像の作成」「AIで動画を生成」「生成した動画の活用例」の3つの大きな章からなります。各章の概要については、次の図をご覧ください。
ブログの構成(クリックで拡大)
インプット画像の作成
動画生成AIのインプットとなる画像について、次の内容を説明します。
- 画像を用意する理由
- 画像生成AIの紹介
- 画像作成のポイント
画像を用意する理由
動画生成AIは、プロンプト(指示文)だけで動画を作成できますが、イメージ通りの動画を作るのは難しいことがあります。特に、Kling AI
のような商用サービスでは、動画を作成するたびにクレジットやポイントを消費するため、何度も試行錯誤するのは避けたいところです。
そこで、あらかじめ画像生成AIでイメージに近い画像を作成し、それをインプットとして動画を作成します。こうすることで、イメージに合った高品質でリアルな動画を効率的に作成できます。
画像生成AIの紹介
目的の動画を作成するためには、適切な画像を用意することが重要です。画像生成AIを使うことで、イメージに合った画像を簡単に作成できます。以下に、主要な画像生成AIを一覧で紹介します。
画像生成AI一覧(クリックで拡大)
私はFLUX.1
を使用して画像を生成していますが、これらの画像生成AIの中から目的に合ったものを利用してみてください。詳しい画像生成AIの使い方は、このブログでは触れませんが、「画像生成AI名 使い方」などで検索すると、分かりやすい使い方を解説しているブログや動画がたくさん見つかりますので、そちらを参考にしてみてください。
手軽に画像生成AIを試してみたいのであれば、GoogleのImageFX
やMicrosoftの汎用AIであるCopilot
から利用できるDALL-E3
がオススメです。
画像作成のポイント
動画にした時に「期待する目的の登場人物」が「このように動いてほしい」というイメージを画像の時点で表現することが大切です。冒頭で紹介したカメおじさんに再び登場してもらいますが、この画像は楽しそうにダンスを踊っているように見えませんか?少なくとも愉快な様子は伝わってくると思います(残念ながら背後の観光客は誰も見ていないのですがw)。
再び登場する「カメおじさん」
カメおじさんは次のようなプロンプトで作成しました。
カメのマスコット人形の着ぐるみを着た老人男性がダンスを踊るシーンです。
自由の女神と観光客が背景に広がります。
登場人物は、カメのマスコット人形の着ぐるみを着た老人男性です。
カメの着ぐるみの老人男性は、頭の部分の人形を外して、リアルな人間の顔を晒しています。
カメの着ぐるみの老人男性は、観光客相手に楽しそうに笑顔でダンスを踊っています。
カメの着ぐるみは、フワフワ、モフモフして着心地が良いです。
カメの着ぐるみの老人男性の衣装は、可愛らしい亀の着ぐるみです。
また、スマホで撮影したような感じを出すために、縦画像にしたのもポイントです。このように、動画生成AIで動画を作成する際は、事前の画像作りが非常に重要です。この段階でしっかりとイメージを固めておきます。
AIで動画を生成
動画生成AIのそのものに関連して、次の内容を説明します。
- 動画生成AIの紹介
- Kling AIを選択した理由
- Kling AIによる動画の作成方法
- 動画生成のコツ
動画生成AIの紹介
私はKling AI
を好んで利用していますが、サービスに対する要求や動画に対する感じ方は人それぞれです。ぜひ色々なサービスを比較してみてください。以下に、主要な動画生成AIを一覧で紹介します。
動画生成AI一覧(クリックで拡大)
このブログではKling AI
についてのみ詳しく解説します。その他の動画生成AIについては、画像生成AIの一覧を示した時と同様に、検索していただくことで、分かりやすく解説したブログや動画などの解説サイトを見つけることができると思います。
Kling AIを選択した理由
私は、Kling AI
を利用する前にいくつかの動画生成AIを試しました。
Stable Video Diffusion
は、初めて利用した動画生成AIです。動画が動いた瞬間はとても嬉しかったのを覚えています。ただ、25フレーム、6fpsあたりに最適化されているようで、基本的には短時間の低フレームレートの動画となります。
Luma Dream Machine
は、初めて利用した商用サービスの動画生成AIです。簡単な操作で高品質の動画を生成でき、とても驚きました。また、無料アカウントでも素早く生成できたのも好印象でした。
そして、さらに探していた時に出会ったのがKling AI
です。Kling AI
を選択した理由は次の通りです。
-
圧倒的に高品質な出力動画
- 公式サイトのサンプル動画を見ていただければ分かると思いますが、本当に高品質な動画に驚かされました!
-
初めてでも使いやすいインタフェース
- 画像を用意して、短いプロンプトを入力し、僅かな設定をするだけで動画が作成できます。
-
丁寧で分かりやすい解説サイトの提供
- 画像や動画生成の全てのエッセンスを詰め込んだ解説とその出力結果が丁寧に示されたサイトが公式から提供されています。
以下に公式サイトのリンクを示しますので、まずはぜひサンプルを見てみてください。
Kling AIによる動画の作成方法
事前準備
まず事前準備として、アカウント作成とサブスクリプションへの加入(任意ですが加入をオススメします)が必要になりますので解説します。
●アカウントの作成
まず、利用にあたってはアカウントの作成が必要になります。
- https://klingai.com/(公式サイト)にアクセス
- ホーム画面右上のSign Inをクリック
- Welcome to KLING AIのポップアップ画面が表示されるので、Sign up for freeをクリック
- 表示される内容に従って、必要事項を入力し、アカウントを作成
●サブスクリプションへの加入
これはなかなか悩ましいところです。無料でも利用できなくはありませんが、Freeプランの場合、現状では動画作成が99%で止まり、2日くらい待たされることがあります。最終的に失敗することも多く、気軽にお試しできないのがKling AI
の現状の弱点かもしれません。
一方で、月額サブスクリプションに加入するとこの状況は劇的に改善し、動画作成が数分で完了するようになります。たまに「Kling AI
はサブスクに加入してもこの状況だったら嫌だな」という声をSNSで見かけますが、私の経験上は改善しています。初月は割引もあるため、まずは数百円払ってお試しのつもりで体験してみるのも良いと思います。
- ホーム画面右上にある
Subscription program
をクリック -
サブスクリプションのメニューが表示されるので、ポップアップ画面左上の
Monthly Saver
を選択
※本来はYearly Saver
が安いのですが、キャンペーン中は初月のみ〇% Offのような割引をMonthly Saver
で行っています。1か月間はこちらでサブスクして、気に入ったら年間契約に切り替えるのも良いでしょう。 - いくつかプランが表示されるので、まずは
Standard
を選択 - プラン説明の下にある
Subscribe Special Offer
やSubscribe Monthly
などのボタンをクリック - 必要なクレジットカード情報などを入力して完了
ちなみに、Standard
プランでは毎月660クレジットが付与される他に、毎日ログインボーナスとして当日限定(翌日繰越し不可)の66クレジットが付与されます。
つまり、単純計算で 660クレジット + 66クレジット × 30日 = 2640クレジットが付与されることになります。
- 標準モード5秒動画 = 10クレジット → 264本
- プロモード5秒動画 = 35クレジット → 75本
これは、他の動画生成AIよりもお得だと感じています。
動画作成
いよいよ動画を作成していきます。本当に簡単ですので、ご安心ください👍
-
ホーム画面で
AI Videos
をクリック
-
KLING Createve Space
画面が開いたら、Image to Video
を選択
-
Image and Prompt
の項目にベースとなる画像と、動画に与えるプロンプト(指示文)を入力
- プロンプトは入力しなくても動画作成は可能ですが、目的の動画を作成するのが難しくなるため、入力した方が良いです。
- プロンプトは英語で入力します。
-
Settingの項目を設定
各設定項目の意味は次の通りです。-
Creativity/Relevanceスライダー
- Creativity:
AIが創造性豊かで自由な発想で動画を生成 - Relevance:
AIがプロンプトに忠実な動画を生成
- Creativity:
-
Mode
- Standard Mode:
より速い生成速度を優先し、迅速に少ない費用で動画を生成 - Professional Mode:
より良いビジュアルで、豊かなディテールと優れた品質の動画を生成
- Standard Mode:
-
Length
5秒/10秒、選択した長さの動画を生成 -
Number of Generations
一度に作成する動画の数を設定
-
Creativity/Relevanceスライダー
-
Generateボタンを押して動画を生成
- 動画の生成は、数分程度で完了します。
- Camera Movementは、Text to Videoの機能のため使用しません。
- Negative Promptは、どうしても禁止したい要素があれば入力しても良いですが、基本は空欄で良いです。
-
作成が完了した動画を選択して、ダウンロード
- サブスクリプションに加入すると、ウォーターマーク(透かし)無しでダウンロードできます。
-
無事に動画が完成(動画再掲)
動画生成のコツ
動画生成のコツとして、動画用のプロンプトと私の動画Settingについて述べます。
動画用のプロンプト
まず、カメおじさんの動画を作るときのプロンプトは次のようにしました。
マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性が、楽しそうに全身を使ってダンスを踊るシーンです。
しかし、マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性の背後の人々はその場から去っていきました。
マスコット人形の着ぐるみを着た老人男性は、一人になっても踊り続けた。
しかし、実際に生成された動画では、背後の人々は立ち去るどころか優しくおじさんを見守っていました。このことから、あまり長いプロンプトを指定しても、全てが動画に反映されるわけではないことが分かりました。
後から確認して分かったのですが、Kling AI
公式のベストプラクティス集によると、本当に短いプロンプトで良いようです。ただし、次の内容を含んでおくと、よりイメージに近く、高品質な動画が生成されるようです。
- 動画の主役、主人公
- どのような動作をするのか
- シーンの背景
詳細な解説については、次のリンク先に記載がありますので、ぜひ機械翻訳するなどして読んでみてください。
KLING AI Guide(Image-to-Video) ※リンク先へジャンプ
また、画像生成やプロンプトからの動画生成について書かれたマニュアルも存在します。これらを読むだけで、画像や動画の作成に関する重要なポイントを把握できると思います。
KLING AI Best Practices ※リンク先へジャンプ
私の動画Setting
私は次のSettingを行って動画生成を行っています。もしよければ参考にしてください。
-
Creativity/Relevance
基本は、0.5
に設定して動画生成AIが生成する予想外の展開も少し楽しんでいます。プロンプトにある程度忠実にしたい場合は0.7~0.8
に設定して、少し余白を残すようにしています。 -
Mode
基本は、Professional Mode
にしています。今まで生成した動画で満足度が高いのは、ほぼProfessional Mode
で生成した動画です。サブスクがStandard
プランなので、1日2~3個くらいのペースで生成すれば、デイリーボーナスを消費しつつ、適度にメンバーシップの660クレジットも少しずつ消費するかと思います。 -
Length
基本は5秒
ですが、ストーリー性がある動画を作成したいときは10秒
にします。 -
Number of Generations
基本は1
です。
以上で、AIによる動画生成の説明は終了です。お疲れさまでした🎉ここまでの内容を理解すれば、きっと目的の動画を作ることができるようになると思います。
引き続き、生成した動画の活用例について、よろしければお読みください。
生成した動画の活用例
生成した動画の活用例を紹介します。静止画が動画として動き出すだけでも十分に楽しいのですが、せっかくですので、その作成した動画を用いてさらに面白いことができないかと考えてみました。そこで思いついたのが、学習塾のCMのような動画を作ってみることでした。
-
ベース画像の準備
次のような学生がNo.1みたいなポーズをしている、いかにも学習塾っぽい画像を作成しました👆
FLUX.1(anzu_flux)を利用して生成した画像 -
動画のプロンプトとSetting
生成動画用のプロンプトは、この時点では、何かを熱く語りながらそのまま腕を上にあげて、No.1ポーズみたいなのを想定して、次の内容を与えました。
また、動画の設定はCreativity/Relevance0.5
、ModeProfessional Mode
、Length5
としました。
Japanese:
女子高生は、賑やかな教室でよく喋ります。
女子高生は、片手を上に突き上げ、勝ち誇ったポーズをとります。
----
English:
This is a high school girl talking very much in a busy classroom.
The high school girl thrusts one hand upwards and strikes a victorious pose.
-
BGMの用意
BGMもAIで生成したら面白かったのですが、今回はYouTubeオーディオライブラリ
から取得しました。こちらの音源であれば、YouTubeで使う分にはライセンスの心配が無いため安心です。 -
動画編集ソフトで編集
動画はこのような形で編集ソフトを使って仕上げていきます。
動画編集画面
私は古いPower Director
という有償のツールを使っています。最新のバージョンには、さまざまなAIを活用した機能が追加されているようです。
また、有償のソフトはちょっと...という方も無料で使えるオープンソースの動画編集ソフトOpenShot Video Editor
があります。基本的な編集であればこちらでも十分です。
-
CMの完成
そして、完成したのがこちらの動画です。若干、AIが生成した動画に寄せている感はありますが、無事完成させることができました。ちなみに最後に出てくる企業ロゴ風のマークも生成AIで作成しています。
2024/09/19追記:
記事をリリースした後、AI楽曲作成サービス「Suno」が気になり、使ってみました。これまたクオリティの高さに驚かされました(最近驚いてばかりです)。せっかくなので、タートル学習塾のテーマソングを作成し、動画を再編集しました。もしよければ、こちらの動画もご覧ください。
ちなみにKling AIは、作成済みの動画の長さを後から拡張することができます。この動画素材も曲に合わせて5秒から10秒に拡張しました。生成した動画の左下にExtend
ボタンがあります。自動で長くする方法と、長くしたい部分のプロンプトを指定する方法の2パターンがあります。
動画の長さ拡張
まとめ
動画生成AI「Kling AI」を用いた一連の動画の作り方から、サンプルCMを作成する活用例を示すことができました。
私自身、普段はエンジニアとして、ロボットやシステム開発を行っており、映像などをクリエイトすることはなく、全くの専門外です。AIという文脈だけでほぼ完全に趣味の世界で触っているだけですが、それでもAIを利用することでここまでのことができるようになりました。AIは人間の能力を拡張する、素敵なパートナーであると思います。
この記事を読んだ方も、ぜひ新しい世界にチャレンジしてみてほしいと思います。もし、分からないことや、ちょっとした疑問などがありましたら、遠慮なくコメント欄に書き込んでください。🐢
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
・・・と思いましたが、もう少しだけお付き合いください🙇♂️
新機能が追加されたので、説明させていただきます。
追加機能解説① (2024/09/19追記)
2024/09/19に新しい機能が追加されました🎉 主要なアップデート内容は次の通りです。
-
KLING 1.5モデルのリリース:
- 1080p HDビデオの生成が可能
- 大画面向けに最適化された美しい映像
- より自然な動きとテキストの応答性の向上
- 「高品質モード」が追加料金なしで利用可能
-
新しいモーションブラシ機能:
- 画像内の任意の要素の動きを正確に定義可能
- キャラクターやオブジェクトの動きを自由にコントロール
- クリエイティブなビジョンを実現するための強力なツール
それでは、それぞれの機能について見てみましょう。
KLING 1.5モデル
KLING 1.5モデルを利用するためには、AI Videos
のページに行き、画面左上のドロップダウンリストがKLING1.5
になっていることを確認します。
モデル選択ドロップダウンリスト
そして、動画作成の章でお伝えしたのと同じ手順で動画を作成していきます。なお、KLING1.5
モデルでも5秒で35クレジットは変わりません。これは嬉しいです!ただ、KLING1.0
モデルと比較して作成には時間がかかるようです(リリース直後だからかもしれませんが)。
プロンプトは次のように設定しました。プロンプトへの追従性を確認するために、特徴的なプロンプトを設定してみました。
女子高生は、僅かに微笑みながら親指を立て、喜びを表現します。
女子高生は、表情をキープします。
背後の学生たちは、立ち上がり両手を上げて最高潮に盛り上がります。
画面の両端からクラッカーと紙吹雪の効果的な演出があり、画面を明るい雰囲気にします。
そして結果はこちらです。
指が親指か人差し指かという些細な違いはありますが、それ以外はプロンプトの指示通りです。一回の生成でこの品質と追従性はシンプルにすごいです!特に後述の新機能を使わないのであれば、基本はKLING1.5
モデルで良いと思います👍
モーションブラシ機能
モーションブラシ機能は、特定のオブジェクト(手、顔、背景の木々、ボールなど)の動きを指定できる機能です。今まではプロンプト任せで、結果がどうなるか予測しづらい部分もありましたが、この機能を用いることでコントロールすることができます。
この機能は、現時点ではKLING1.0
モデルでのみ使える機能ですので、まず画面左上のドロップダウンリストをKLING1.0
に設定します。
モデル選択ドロップダウンリスト
次に、設定項目のMotion Brush
のDraw Motions
をクリックします。
モーションブラシ設定
画面右側のAdd Movement Path
のArea
を選択して、動かしたい対象物を選択します。画面上部のAuto-Segmentation
をONにすると、対象物の形を自動で認識して選択してくれるようになります。対象物は1つのAreaでまとめて指定しようとせず、小分けにAreaを設定したほうが期待する動作になりやすいとユーザーマニュアルに書いてありましたので、参考にしてみてください。
対象物のArea選択
Area
の設定が終わったら、画面右側のAdd Movement Path
のPaths
を選択して、それぞれのAreaの動きを定義します。動きはPCの場合、左クリックしながらマウスを動かして描きます。今回は指と顔が画面向かって左側を向き、髪が反動でなびくようなシーンを想定して、Pathを設定しました。
対象物のPath指定
なお、ここでは割愛しますが、動かしたくないAreaを設定するためのStatic Area
というものがあります。例えば、背景で動かしたくないオブジェクトがあるときなどに指定します。
これらの指定が終わったら、Confirm
ボタンで設定を完了します。
元の画面に戻ったら、プロンプトを設定します。このプロンプトも大切で、動きとある程度一致するような形で記載する必要があります。そうしないと期待する動作をしないようです。
女子高生は、人差し指を画面の左上に掲げます。
女子高生は、僅かな笑顔の表情で横を向き、人差し指を見つめます。
女子高生の髪は、首を振った反動で反対側にフワッとなびいています。
ここまでの一連のモーションブラシ機能の設定と、プロンプトの関連などについては、次の公式ドキュメントに記載があります。成功する方法や失敗する原因が詳しく書いてありますので、読むことをオススメします。
Motion Brush User Guide ※リンク先へジャンプ
そして、モーションブラシ機能を用いて作成した動画がこちらになります。
指と顔の動きは、ほぼ期待通りのものでした。一方で、髪の動きには効果が見られませんでした。これは、AreaやPathの指定が適切でなかったのか、プロンプトが不十分だったのかもしれません。それでも、モーションブラシ機能の効果を確認するには十分な結果となりました。
以上で、Kling AIアップデートの説明は終わりです。
動画サンプル集 (2024/09/23追記)
Kling AIで生成した動画に、編集ソフトで効果音やBGMを追加してみました。元の素材が良いので、少し手を加えるだけで映像作品として仕上がるのがすごいと思います。ぜひご覧ください。
なお、BGMや効果音などは、YouTube Studioのオーディオライブラリから入手することができ、著作権使用料無料で利用できます。ごく一部のBGMについては帰属表示(公開時にアーティスト名などの情報を記載する)が必要な場合がありますので、ライセンスをよくご確認ください。
YouTube Studio ※リンク先へジャンプ
※リンク先に飛ぶとGoogleアカウントを入力する画面が表示されることがあります。気になる方は、自身で検索いただき、公式サイトよりアクセスください。
YouTube Studioの画面が開いたら、画面左のメニューからオーディオライブラリを選択してください。
YouTube Studio オーディオライブラリ
それでは、以降のサンプル動画集をお楽しみください。
モーションブラシ機能でオブジェクトをイメージに近い形で動かしました。また、2種類の効果音を追加するだけでそれらしくなります。なお、少々強引な発艦で、地上の人々は大変そうではありますが、諸々ありえない現象を再現できるのもAIの良いところ(?)です。
モーションブラシの設定
KLING1.5モデルで生成した動画にBGMを追加しました。これから宇宙を舞台にした物語が始まりそうです。船体を緑にしたのは銀河英雄伝説の影響です。
こちらも、KLING1.5モデルで生成した動画にBGMを追加しました。まるでサスペンスのワンシーンのようです。動画の後半で目線を下にやるしぐさが自然です。
こちらは、KLING1.5モデルで生成した動画に字幕を追加しました。文字を追加するだけで、日本語吹き替えの洋画のような雰囲気になりました。絵師が動き出そうとする絵画を制しつつ「絵は動かないですよ」と誤魔化し、絵がしぶしぶ動くのをやめる様子がよく表現されています。また、魔法のような現象を少し自慢気に語る女性も、自然な感じが出ています。
少しでも何かの参考になれば幸いです。
追加機能解説② (2024/10/02追記)
2024/09/30にアップデートがありました。前回のアップデートから10日程度しか経過しておらず、その勢いが凄まじいです。
今回の主要なアップデートは次の通りです。
-
リップシンク機能
- 既に作成済みの動画に対して、ナレーションや歌データをアップロードすると、その内容に合わせて口の動きが連動する機能です。より自然に話したり、歌ったりしているように見えます。
-
コミュニティ機能
- 作品を共有する機能が追加されました。おそらくトップ画面などに表示されると思います。
-
APIプラットフォーム
- 企業や開発者がアプリケーションなどからアクセス可能なAPIが公開されました。Kling AIを使ったビジネスや開発が加速しそうです。
今回は、機能を試しやすいリップシンク機能とコミュニティ機能について解説します。
リップシンク機能
リップシンク機能とは、音声データ(ナレーションや音楽など)に合わせて、動画の口の動きを連動させるものです。以下に手順を示します。
-
動画をKling AIで作成し、用意します。
- KLING 1.5、1.0モデルどちらで作った動画でも構いません。
-
音声や音楽データを用意します。
- 動画と音声の長さは、できる限り合わせるようにします。
- 私はVOICEPEAKという有償版のソフトを使用して合成音声を作成しました。
VOICEPEAK(合成音声ソフト例)
※ 無償版の合成音声ソフトは便利ですが、公開する場合、企業名やソフト名を表記する必要があるケースがあります。ご注意ください。
-
手順1で用意した動画を開き、動画左下の
Match Mouth Type
ボタンをクリックします。
Match Mouth Typeのボタンの位置 -
少し待つと次のような音声データを登録する画面が表示されるので、ここに音声データをドラッグ&ドロップします。
音声データ登録前の画面 -
音声データのアップロードが完了すると次の画面が表示されるので、右下の
Lip Sync
ボタンを押します。
音声データ登録後の画面- 消費するクレジットは以下の通りです。
- 5秒動画 = 5クレジット
- 10秒動画 = 10クレジット
- 消費するクレジットは以下の通りです。
-
作成が完了すると、音声に口の動きが連動した動画が生成されます。
また、今まで作ってきた映像にもリップシンク機能を試してみました。こちらもぜひご覧ください。
さらに、上記の映像に新たな映像を加えて、よりそれらしい映像も作成してみました。ものすごい勢いです!
- なお、リップシンクで生成される動画は、KLING1.0モデルが使用されているようです。そのため、KLING1.5で作成した動画にリップシンクを行うと、細かい部分で映像が劣化する場合もあります。
コミュニティ機能
コミュニティ機能は、自身が作成した生成物をKlingのコミュニティに共有する機能です。掲載されるには審査が必要とのことです。私も審査に通るかどうかよくわかりませんが、リップシンク機能で紹介した2つの動画を投稿してみました。
-
TOP画面から「Community」を選択します。
Communityの位置 -
「Publish」ボタンを押下します。
Publishボタンの位置 -
必要事項を入力して、「Publish」します。
- 動画をアップロードしないと「Publish」ボタンはグレーアウトのままで押せません。
投稿記載例
- 動画をアップロードしないと「Publish」ボタンはグレーアウトのままで押せません。
-
投稿後しばらく待ち、動画の内容に問題が無ければ、次のような通知が届きます。
投稿結果成功
英語の日本語訳
システム通知 投稿成功
素晴らしい仕事です!あなたの作品は無事に投稿されました。クレジットがあなたのアカウントに追加されました。特別オファー:今すぐ、短編映画ごとに666クレジット、ビデオ素材ごとに36クレジット、画像素材ごとに6クレジットを獲得できます。(注:獲得したクレジットは1か月間有効です。)今すぐ作成を開始して、さらに多くのクレジットを獲得しましょう!
なお、次のような注意点があります。- 投稿した内容は内部でチェックされているようで、結果が出るまで少し時間がかかります。
- あまりにも短い投稿はチェックではじかれるようです。5秒の動画にBGMと音声をつけたものはNGでした。一方で18秒の動画はOKでした。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
リンク
私が書いたAI関連の記事のリンクを紹介します。興味があればぜひご覧ください。
Tripo 2.0というAIで3Dモデルを生成する技術に関する記事です。下の記事のTripoSR後継モデルで、精度が劇的に向上しています。モノづくり、動画、VRなど幅広い分野に応用できる可能性があります。現在は未実装ですが、3Dワールドの生成やヒューマノイドモデルを自在に動かして動画を作成する機能もリリース予定とのことで、今後の展開が非常に楽しみです。
上記のTripo 2.0の元となったAIで3Dモデルを生成する技術に関する記事です。ローカル環境ではいくらでも生成できるため、全くメリットが無くなったわけではありません。技術の変遷を確認する意味でも、読んでみると良いかもしれません。3Dモデル作成における画像生成のコツや成功・失敗事例なども記載しており、楽しんでいただけると思います。
TripoSRの後継モデル「Stable Fast 3D」に関する記事です。Stable Fast 3Dは、Tripo AI社と提携しているStability AI社がリリースし、3Dモデルの出力品質が向上しました。使い方やStable Fast 3DとTripoSRの出力結果の比較など、興味深い内容が多数含まれています。TripoSR、Stable Fast 3D、そしてTripo 2.0の順でリリースされました。
GitHub CopilotというAIを利用したコーディングツールの記事です。プログラミングに興味がある方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。AIをうまく活用すると、モノづくりの速度が改善します。
更新履歴
-
2024/09/19 ①
タートル学習塾のCM風動画の尺を長くし、さらにテーマソングを入れたバージョンを作成して、追加しました。 -
2024/09/19 ②
アップデートされた、KLING 1.5モデルの追加と、モーションブラシ機能について解説を追加しました。 -
2024/09/23
動画サンプル集を追加しました。 -
2024/09/24
YouTube Studio オーディオライブラリの説明を、動画サンプル集の説明文に追加しました。 -
2024/09/28
動画サンプル集に動画を追加しました。 -
2024/09/30
Tripo 2.0リンク及び、説明文を追加しました。
TripoSRの記事紹介文の内容を見直しました。
Stable Fast 3Dの記事紹介文の内容を見直しました。 -
2024/10/02
アップデートされた、リップシンク機能とコミュニティ機能について解説を追加しました。 -
2024/10/03
リップシンク機能の章に新たな動画を追加しました。 -
2024/10/04
コミュニティ機能で投稿した動画の結果通知内容を追加しました。 -
2024/10/06
ブログの導入部分に、動画生成AIによる映像作品例を追加しました。
Discussion