【GitHub Copilot】実践ガイド:図解と例で学ぶ使い方とコード品質向上のポイント
AIがコードを書いてくれる画期的なツール、GitHub Copilotをご存知ですか?
私は2024年1月から使い始めましたが、驚くほど便利です。GitHub Copilotは、自然言語による指示やコードの一部を入力するだけで、目的のコードを生成してくれます。そして、エディタ上で、すぐに反映できるので、開発をとてもスムーズに行うことができます。
私は、GitHub Copilotのおかげで、小規模ながらも個人のOSS(オープンソースソフトウェア)開発にチャレンジすることができました。効率よく開発ができたのは言うまでもありませんが、Copilotが提案するコードから多くのことを学びました。そして、何より、楽しくコーディングでき、モノづくりに集中することができました!
このブログでは、GitHub Copilotが初めてという方のために使い方の基本や便利な使い方を図解と例を交えながら丁寧に説明し、品質向上のポイントなど少し発展した内容も紹介します。このブログを読んで、GitHub Copilotの魅力を感じてみてください👍
また、2024年11月に本ブログを大幅に更新しました!魅力的な新機能や使い方が多数追加されていますので、ぜひチェックしてみてください。
ブログ対象者
このブログでは、次のような方を対象に分かりやすく説明します。
-
GitHub Copilotについて知りたい
- 始めたばかりで概要を知りたい方や、新しいツールを試してみたい方
-
GitHub Copilotの使い方に困っている
- 実際にGitHub Copilotを使ってみたが、活用する方法がわからない方
- コーディングの効率を上げたいが、どうすればいいか悩んでいる方
-
GitHub Copilotを使いこなしたい
- すでにGitHub Copilotを使用しているが、さらにスキルを向上したい方
- 便利なショートカットキーやコマンドで、生産性を高めたい方
なお、説明はVSCodeエディタ、Python言語を用いて行いますが、環境が準備できない、Pythonは普段使わないという方にも読みやすく、内容を理解できるようにしています。
得られる効果
このブログを読むことで、次のような効果が得られます。
-
開発効率の向上
- GitHub Copilotの基本機能をマスターし、コーディング速度をアップできます。
- 日々の開発をよりスムーズに進めることができるます。
-
品質向上のポイント
- 静的解析ツールとの組み合わせにより、コードの品質を向上させる方法が得られます。
-
注意点の理解
- GitHub Copilotの使用時に気をつけるべきポイントを把握できます。
ブログの構成
このブログは、大きく分けて6つの章から成ります。各章の概要については、以下の図をご覧ください。
New
やUpdate
のマークが付いた項目は、GitHub CopilotやVSCodeの更新に伴い、2024年11月に本ブログを大幅に追加・更新した部分です。これまでにこのブログをご覧になった方も、ぜひ再度ご確認してみてください。
GitHub Copilotとは
GitHub Copilotは、AIがコードを自動的に生成し、開発者の生産性を向上させる画期的なツールです。それでは、GitHub Copilotの機能の一覧と利用することによるメリットを見ていきましょう。
機能一覧
GitHub Copilotには、多くの機能がありますが、その中でも代表的な機能の一部を紹介します。
GitHub Copilot機能一覧(代表例)
コーディングに必要な各種機能が組み込まれており、AIの力を借りて効率的かつスムーズに開発を進めることができます。何だかワクワクしてきませんか?これらの機能を使ってみたくなったでしょうか。
ChatGPTとの比較とメリット
しかし、機能の一覧を見て、こう感じた方もいるのではないでしょうか?
「無料版のChatGPTでも同じことできるのでは?」
ChatGPTは、お馴染みの方もいらっしゃるかもしれませんが、頼りになる対話型の生成AIです。確かに、一部の機能は、ChatGPTでも行うことができます。では、どのような違いがあるのでしょうか?実際にプログラムを生成する際の手順を比較してみましょう。まずは、ChatGPTの手順を示します。
ChatGPTによるプログラム作成手順
このようにWeb上のChatGPTサービスとエディタ間を行き来しながら、手順を進めていきます。次にGitHub Copilotの手順を示します。
GitHub Copilotによるプログラム作成手順
こちらは全ての手順がエディタの中で完結します。
今回は「指示したプログラムを作成する」というシンプルなケースです。しかし、実際の開発では、バグの修正や部分的な処理の追加、関数コメントの作成、テストの実施など行うことが多岐にわたります。Webブラウザとエディタを行き来する1回あたりの時間は僅かかもしれませんが、これが積み重なると無視できない時間になってきます。
GitHub Copilotは、AIが提示するコードの精度の高さなど多くの魅力がありますが、何よりもエディタの中で全てが完結し、ストレスなく快適に開発ができる、これが一番のメリットだと思います。
導入方法
GitHub Copilotは、有償(学生ほか一部対象者は無料)のツールです。利用するためには、アカウントの作成や契約、エディタの拡張機能をインストールする必要があります。これらの方法について説明します。
なお、既に導入済みの方や、企業などの組織で利用される方(組織で提供される利用手順書等を参照いただくのが確実です)は、この章をスキップして構いません。
この章は、これから使ってみようという個人の利用者を対象にしています。
対象者が限られるので、デフォルトでは、説明の表示を閉じています。
必要に応じて「GitHub Copilotの導入手順」の各項目をクリックして、詳細な説明をご確認ください。
使い方の基本
この章では、GitHub Copilotの基本的な使い方を説明します。初めての方は、まずここで紹介する3つの基本機能から試してみることをお勧めします。これらの機能を使いこなすことで、GitHub Copilotの便利さを実感できると思います。
- インラインチャット
- コードサジェスチョン
- チャット
これらの使い方を、Pythonのプログラムを実際に作成しながら、説明していきます。
機能①:インラインチャット
インラインチャットとは、コードを書いているファイルの中でチャット機能を呼び出し、コードの生成や修正などを行う機能です。次のような開発シーンを想定して説明します。
- プログラムのベースを新規作成
- 部分的に処理を追加
- 冗長な処理を修正
1.プログラムのベースを新規作成
まず、ベースとなる「緑の円の中に、黄色い円を描画する」プログラムを新規作成します。
(gif動画) 処理の新規作成
pyファイルの中でインラインチャットが呼び出され、指示を行うことでプログラムが作成されました。行ったことを順に説明します。
- pyファイル(circle.py)を作成します。
-
Ctrl + I (アイ) キーでインラインチャットを呼び出します。
コード上の✨アイコンをクリックでも、インラインチャットを呼び出すことができます。
✨アイコン - チャット欄に「緑の円の中に、黄色い円を描画するプログラムを作成して」と入力して、Enterキーを押します。
- 候補となるプログラムが出力されるので、次の3つのボタンの中から1つを選択します。
インラインチャット ボタン- Accept:候補を受け入れて、提案を決定します
- Discard:候補を受け入れず、提案を破棄します
- Regenerate(矢印マーク):別の候補を再度生成します
- Acceptで提案を受け入れて確定し、ファイルを保存します。
ちなみに、作成したブログラムは、次のように期待する動作をします。
プログラム実行結果
2.部分的に処理を追加
ベースとなるプログラムに、さらに「赤い円を描画する」処理を追加します。
(gif動画) 処理の追加
赤い円を描画する処理が追加され、さらにメイン処理で描画処理を呼び出す箇所も追加されました。基本的な流れは「1.プログラムのベースを新規作成」と同じですが、異なる点があります。それは、インラインチャットを呼び出す前、処理を追加する箇所にカーソルを移動し、さらに修正が必要なメイン処理も選択している点です。こうすることで、必要な箇所に、必要な処理を追加することができます。
3.冗長な処理を修正
円を描画するいくつかの関数ができましたが、これらは汎用性がなく冗長です。関数を一つにまとめて、汎用的でシンプルな処理に修正します。
(gif動画) 処理の修正
複数の円を描画する処理が削除され、代わりに円を描画する共通関数が追加されました。メイン処理のコール部分も、共通関数でコールされるようになりました。
今回は、全体的に修正が必要なので「2.部分的に処理を追加」ように部分的な選択ではなく、全てを選択してから、インラインチャットで指示を行います。
このように、インラインチャットで複数回指示をするだけで、円を描画するシンプルなプログラムを作成することができました。
機能②:コードサジェスチョン
コードサジェスチョンとは、コードを書いているときに、1行または複数行の最適なコードを提案(サジェスチョン)する機能です。これと似たような機能は、今までもありましたが、GitHub Copilotが優れているのは精度の高さです。利用者のコーディング環境を学習をして、コードの記述の仕方を合わせてくれます。また、提案するコードも期待するコードである割合が非常に高いです。
それでは「赤い円を異なる箇所に3つ描画する処理」の追加をコードサジェスチョンで行ってみましょう。
(gif動画) コードサジェスチョン
このように、改行すると次から次にコードが提案されます。行ったことを順に説明します。
- コメントで実行したい処理を記述します。
- 目的の箇所で改行すると、薄い色の文字でコードが提案されます。
- TABキーを押すと確定します。
- 以降は、手順2と3を繰り返します。
なお、コードの提案が期待する内容ではなかった場合、Ctrl + Enter キーを入力することで、別の提案を一覧で表示することができます。期待する提案が一覧にあれば Accept suggestion X ボタンを押して、選択した提案を反映します。
Ctrl + Enterによる提案一覧
今回は、コメントを記載して、分かりやすくサジェスチョンさせましたが、軽微な修正を行うときなどコメントを記載せずとも、期待する候補の提案も行ってくれるので、とても作業が捗ります。
機能③:チャット
チャットは、エディタ上でコードの生成や関数の説明、その他プログラム開発に関する質問など自然言語により対話する機能です。チャット機能は、エディタ上部の検索バー右横のCopilotボタンをクリックすることで使うことができます。
Copilot ボタン
起動すると、エディタ右側のセカンダリサイドバーにチャット欄が表示されます。以前から使っている方は、位置が移動して最初は慣れないかもしれませんが、慣れてくるとチャット欄を常時表示したままファイル操作やソース管理ができるため、とても便利です。
チャット欄のセカンダリサイドバー表示
実際に対話を行いながらプログラムを作成した様子を示します。インラインチャットで行った円を描画するプログラムの作成を、チャット機能でも同じように行うことができました。
(gif動画) チャット機能で対話によるプログラム作成
作成したコードは、Insert at Cursor ボタンを押すことで、ファイルに簡単に反映することができます。
Insert at Cursor ボタンによる追加
会話の話題を切り替えたときは、チャット画面上部の+のボタン(New Chat)を押すことで、今までの会話をクリアして、新しく始めることができます。また、これまでの会話内容を確認したいときは、時計マークのボタン(Show Chats)を押すことで見ることができます。
新しい会話を始める・これまでの会話を表示する ボタン
なお、チャット機能の注意点として、プログラミングに関する内容以外は受け付けてくれないことです。オススメの観光地は別のAIに聞いてください🙇♂️
オススメの観光地は教えてくれない
このように、コード生成をサポートしてもらったり、困ったことを質問して解決したいときなどに、チャット機能は、素早くエディタ上で頼れる存在です。
便利な使い方
まずは、「使い方の基本」で紹介した機能を、自然な言葉で試してみてください。そして、これらの基本機能に慣れてきたら、次に示す「便利な使い方」にも挑戦してみてください。より効率的に、目的に応じた使い方ができるようになります。
- ショートカットキー
- チャットパーティシパンツ(Chat Participants)
- スラッシュコマンド(Slash Commands)
- コンテキスト変数(Context Variables)
- AIモデルの選択
これらを活用することで、さらにGitHub Copilotが身近な存在になると思います。
ショートカットキー
GitHub Copilotでは、次のショートカットキーを使うことができます。なお、詳細な使い方は、既に機能①~③の説明でgif動画を交えて触れていますので、そちらをご参照ください。ショートカットキーの一覧と内容を示します。
ショートカットキー | 内容 | よく使う(★) |
---|---|---|
Ctrl + I (アイ) |
インラインチャットを起動する コーディングしているファイルの中で、 チャットを起動し、コードの生成や質問ができる |
★★★ |
TAB |
コードサジェスチョン(提案)を受け入れる コーディングしているときに、 提案してくるコードの案を受け入れて確定する |
★★★ |
ESC |
コードサジェスチョン(提案)を拒否する コーディングしているときに、 提案してくるコードの案を拒否する |
★★★ |
Ctrl + Enter |
コードサジェスチョン(提案)の一覧を表示する コーディングしているときに、 提案してくるコードの別案の一覧を表示する |
★★☆ |
Alt + ] | 次のコードサジェスチョン(提案)を表示する | ★☆☆(※) |
Alt + [ | 前のコードサジェスチョン(提案)を表示する | ★☆☆(※) |
(参考URL) GitHub Copilot の概要 (公式)
(※) 「次/前の提案を表示する」は、環境により動作しない可能性があります。
チャットパーティシパンツ(Chat Participants)
チャットパーティシパンツは、日本語では「チャット参加者」と訳されます。解説サイトによっては、エージェントと呼ばれることもあります。チャット欄に@workspace
や@terminal
のようなタグを入力し、その後に続く指示を行うことで、ワークスペースやターミナルなど特定の内容について質問を行うことができます。このタグ付けを行うことで、質問の範囲を広げ、より良い回答を得ることができます。
※「Chat participants」という表記は、GitHub DocsやVSCode拡張機能「GitHub Copilot Chat」の説明に基づいています。
(参考URL) GitHub Docs - Chat participants (公式)
タグ一覧
チャットパーティシパンツのタグ一覧を示します。
変数名 | 内容 | よく使う(★) |
---|---|---|
@workspace | ワークスペース全体に関する質問をする。 | ★★★ |
@terminal | ターミナルでの操作に関する質問をする。 | ★★☆ |
@vscode | Visual Studio Codeに関する質問をする。 | ★★☆ |
@github | GitHubに関する質問をする。 | ★☆☆ |
タグの詳細な使い方
一覧で示したタグに付いて、詳細に説明します。
@workspace
@workspaceは、ワークスペース全体に関する質問を行うためのタグで、私が最もよく使うタグです。例えば、@workspace フォルダ、ファイルを一覧にして項目ごとに分類して説明し、全体の目的を教えて下さい。
と入力します。すると、まずワークスペース全体の情報を収集し、その後に指示内容を実行して、各ファイルの説明とワークスペースの目的を教えてくれます。
(gif動画) @workspaceによるワークスペースの解説
さらに、@workspace UI処理を別ファイルで行いたい。
と入力すると、ワークスペースからUI処理を探し出し、処理を別ファイルで行う提案を行ってくれます。
ワークスペースの情報収集と処理提案
このタグのポイントは、まずワークスペース全体の情報を収集することです。これにより、精度の高い回答を得ることができます。
GitHub CopilotのAIモデルがGPT-3の頃は、扱える情報量が少なく、あまり利用することはありませんでした。しかし、現在はAIモデルがGPT-4oになり、扱える情報量が大幅に増え、精度が向上したため、とてもよく使うようになりました。
@terminal
@terminalは、ターミナルでの操作に関する質問をする際に使用します。例えば、@terminal ディスクの使用状況を表示したい
や@terminal ubuntuでフォルダの一覧を示して、特定のフォルダを削除したい
と入力すると、目的のターミナルコマンドを教えてくれます。コマンドを忘れてしまったときにとても便利です。
ターミナルコマンドの提示
@vscode
@vscodeは、Visual Studio Codeに関する質問をする際に使用します。例えば、@vscode ターミナルを開きたい
や@vscode フォントサイズを16に設定したい
と入力すると、Visual Studio Codeに関する具体的な回答を得ることができます。
vscodeの回答
@github
@githubは、GitHubに関する質問をする際に使用します。例えば、@github codespaceについて教えてほしい
や@github コミットをリバートする方法を知りたい
と入力することで、具体的な回答を得ることができます。ただし、@github
を使わなくても似たような回答を得られるため、現状では使い方を模索している段階です。良い利用方法が見つかりましたら、ブログで更新します。
スラッシュコマンド(Slash Commands)
GitHub Copilotには、目的の機能を簡単に呼び出し、素早く実行するためにスラッシュコマンドがあります。チャット欄に/fix
や /doc
などを入力するだけで、コード修正をしたり、関数の説明コメントを追加したりすることができます。コマンドの一覧を示し、よく使うものについてはさらに詳細な使い方の説明を行います。
コマンド一覧
スラッシュコマンドの一覧を示します。なお、項目の機能①Inlineと機能③Chatについては、それぞれ、インラインチャット機能とチャット機能を示しています。〇がついているものは、その機能のチャット欄から呼び出せるコマンドであることを表しています。
コマンド名 | 内容 | 機能 ① Inline |
機能 ③ Chat |
よく使う(★) |
---|---|---|---|---|
/fix | 選択したコードの問題の修正案を提示する | 〇 | 〇 | ★★★ |
/doc | ドキュメンテーションコメント(※)を追加する (※) 関数等の概要や引数、戻り値のコメント |
〇 | ★★★ | |
/tests | 選択したコードのテストコードを生成する | 〇 | 〇 | ★★★ |
/explain | 選択したコードの意味や動作を説明する | 〇 | 〇 | ★★☆ |
/new | 新しいワークスペースのファイル、コードを生成する | 〇 | ★★☆ | |
/newChat | 新しいチャットを開始する | 〇 | ★☆☆ | |
/help | GitHub Copilotの使い方のヘルプを表示する | 〇 | ★☆☆ | |
/api | VS Codeの拡張開発について質問する | 〇 | ☆☆☆ | |
/newNotebook | 新しいJupyter Notebookを作成する | 〇 | -(※) |
(※) /newNotebookコマンドについて、私がJupyter Notebookを使わないため無評価としました。ただ、Notebookを調べて、実際にコマンドを実行してみたところ、Jupyter Notebookを利用する方にとって、重宝しそうなコマンドだと思いましたので、補足いたします。
コマンドの詳細な使い方
一覧で示したコマンドのうち、★が2つ以上のよく使うものについて、詳細に説明します。
/fix
/fix は、選択したコードの問題の修正案を提示するコマンドです。構文のエラーやバグ、セキュリティのリスクなどを検出し、提案します。また、コードの効率や可読性を向上させるために、冗長な処理や不要な変数などを簡略化することもできます。例えば、/fix 処理を簡略化して、変数xはリストにしてください
と入力すると、変数xをリストに変換するコード作成します。自身が認識していない問題があるか確認したい場合は /fixのみを、修正方針などがある場合は、/fix に続けて指示文を入力する、というように使い分けてみてください。
(gif動画) /fixコマンドによるコード修正提案
/doc
/doc は、コードにドキュメンテーションコメントを追加するコマンドです。ドキュメンテーションコメントとは、関数やクラスの概要や引数、戻り値を説明するコメントのことです。なお、/doc
のみを入力すると、英語のコメントが生成されますが、/doc 日本語で
と入力すると、日本語のコメントが生成されます。
※ 環境によっては、/doc
のみでも日本語のコメントが生成される場合があります。
(gif動画) /docコマンドによるコメント追加
/tests
/tests は、コードに対応するテストコードを生成するコマンドです。ユニットテストなどプログラムの品質を確認するためのテストケースを作成し、テストファイルに保存します。
/tests
を入力すると、テストケースの一覧が表示されます。そして、Createをクリックすると、テストファイルが生成されます。/tests の後に指示文を入力すると、テストケースの数や内容をカスタマイズすることができます。例えば、/tests 複数
と入力すると、必要な複数のテストケースが作成されます。
(gif動画) /testsコマンドによるテストコード作成
/explain
/explain は、コードの意味や動作を分かりやすく説明するコマンドです。自分でプログラムを作成するときは、あまり必要ないかもしれませんが、他の人が作成したプログラムを読む際に、コメントがない、処理のロジックがわからないなどの場合に便利なコマンドです。/explain
のみを入力すると、英語で説明が表示されますが、/explain 日本語で
と入力すると、日本語で説明が表示されます。
(gif動画) /explainコマンドによる関数の説明
/new
/new は、新しいワークスペースのファイルやコードを生成するコマンドです。指示文に従って、ワークスペースのフォルダ構成やファイル名、各ファイルのコード内容を作成します。例えば、@workspace /new Python TCP通信を行うアプリケーション テストフォルダを用意する
と入力すると、TCP通信を行うアプリケーションのファイルやテストフォルダを生成します。なお、チャット欄に/new
と入力すると、自動的に@workspace /new
と補完され、ワークスペースに対するコマンドになります。新しいプロジェクトを始めるときに使ってみてください。
(gif動画) /newコマンドによる新しいワークスペース作成
コンテキスト変数(Context Variables)
特定のファイルやコードの一部を指定して、より具体的で関連性の高い回答を得るためにコンテキスト変数があります。チャット欄に#file
や #selection
、#terminalSelection
などを入力して、情報を与えることで利用できます。私は、Copilotを用いたAIコーディングで、このコンテキスト変数を本当によく使います。スラッシュコマンド同様、一覧を示し、よく使うものについてはさらに詳細な使い方の説明を行います。
変数一覧
コンテキスト変数の一覧を示します。
変数名 | 内容 | よく使う(★) |
---|---|---|
#selection | アクティブなエディタのカーソル選択した範囲 | ★★★ |
#terminalSelection | アクティブなターミナルのカーソル選択した範囲 | ★★★ |
#file | ワークスペース内の選択したファイル | ★★☆ |
#codebase | プロジェクト全体のコード | ★★☆ |
#editor | アクティブなエディタ | ★☆☆ |
#terminalLastCommand | アクティブなターミナルの最後実行したコマンド | ★☆☆ |
#vscodeApi | VS Code APIリファレンスを使用し、 VS Code拡張開発に関する質問に回答 |
☆☆☆ |
変数の詳細な使い方
一覧で示したコマンドのうち、★が2つ以上のよく使うものについて、詳細に説明します。
#selection
#selectionは、アクティブなエディタでカーソル選択した範囲を示す変数です。エディタ上でコード選択し、#selection 処理内容を説明してください
や#selection 処理を簡略化してください
と入力することで、選択範囲のコードについてのみ説明や修正を行うことができます。
(gif動画) #selectionによる選択範囲の説明
なお、300行程度のコードは省略せずに回答されますが、それ以上の長いコードでは説明が一部省略されることがあります。長いコードは数関数ずつに分けて選択し、回答を得るようにしてください。
#terminalSelection
#terminalSelectionは、アクティブなターミナルでカーソル選択した範囲を示す変数です。VSCodeではCtrl + @
でターミナルを起動できます。この変数は、プログラム実行時にエラーが発生するシーンでよく利用します。ターミナルに表示されたエラーを選択し、#terminalSelection エラーの原因と対策を教えてください
と入力すると、エラーの原因と対策を教えてくれます。
(gif動画) #terminalSelectionによるエラー原因と対策
インターネット等でエラーコードを検索するよりも速く、エラー解決の糸口を得ることができます。本当によく使うオススメの変数です。
#file
#fileは、ワークスペース内で選択したファイルを示す変数です。ファイルの概要や関数の一覧、ファイル同士の関係性を知りたいときに便利です。例えば、#file:sample.py ファイルの概要と関数の一覧を示してください
や#file:kame.py #file:turtle.py これらのファイルの関係性を示してください
と入力します。
(gif動画) #fileによるファイルの説明
また、#file
と似た「ファイルをコンテキストとしてアタッチする」という機能もあります。ファイルを選択してチャット欄にドラッグ&ドロップするだけで簡単に利用できます。以下の動画でその使い方を確認できます。
(gif動画) ファイルをコンテキストとしてアタッチする
一見すると、#file
とこの機能はほぼ同じように見えるかもしれません。しかし、#file
はプロンプト内で変数として使用できる点が異なります。例えば、#file:test_kame.pyと同じような形式でmockを利用し、#file:test_turtle.pyにテストケースを追加してください
というように使います。
どちらの機能も似たようなシーンで使えるため、使いやすい方を選んで利用すると良いと思います。
なお、巨大なファイルなど情報量が多すぎる場合、一部の回答が省略されることがあります。その際は、ファイルを開いて#selection
を使い、少しずつ回答を得るようにしてください。
#codebase
#codebaseは、プロジェクト全体のソースコードを示す変数です。プロジェクト内の実装詳細や具体的な使用例を調べるのに有効です。例えば、#codebase Turtleメソッドの使用例と呼び出し元を教えてください
というように使います。このコマンドはワークスペース全体の情報を収集してから実行されます。
(gif動画) #codebaseによるメソッドの検索・利用方法
このコマンドは、@workspace
と似ていますが、次のように使い分けると良いと思います。
-
#codebase: コードの実装や機能に関する質問をするときに使用。
- 例: メソッドの使用例、実装パターンの検索、コール方法など。
-
@workspace: 開発環境の構造や設定に関する質問をするときに使用。
- 例: フォルダ構成、設定ファイルの配置、プロジェクト構成など。
(注:ここでの「プロジェクト」はソフトウェア開発のためのソースと関連ファイルの集合体を、「ワークスペース」は複数のプロジェクトを含む開発者の作業環境を指します。)
AIモデルの選択
私が特に気に入っている機能の一つが、複数のAIモデルを選択できることです。AIは性質上、ハルシネーション(実際には存在しないことを本当のように述べる)が一定の割合で発生します。しかし、複数のAIモデルを利用することで、セカンドオピニオン的にクロスチェックができ、情報の正確さを確認することができます。チャット上でモデルをすぐに切り替えられるのは非常に便利です👍️
チャット欄にある選択欄から、使いたいAIモデルを選択します。
AIモデルの選択
※ 個人契約の方は、同意にOKするとすぐに使えますが、企業などでEnterpriseライセンスを利用している方は、Organization管理者が有効設定していないと使えません。もし使えない場合は、管理者に問い合わせてください。
それぞれのAIモデルの特徴は次の通りです。
AIモデル名 | 開発元 | 特徴 |
---|---|---|
Claude 3.5 Sonnet | Anthropic | ソフトウェア開発の全ライフサイクルにわたるコーディングタスクに優れている。 初期設計からバグ修正、メンテナンス、最適化まで、複雑で多段階のコーディングタスクを高い精度で行う。 |
Gemini 1.5 Pro | コーディングシナリオにおいて高い能力を発揮する。 200万トークンのコンテキストウィンドウを持ち、コード、画像、音声、動画、テキストを同時に処理できるマルチモーダル機能を備えている。 コード提案やドキュメントの生成、コードの説明においても優れた応答速度を示す。 |
|
o1-preview o1-mini |
OpenAI | o1-previewとo1-miniは、GPT-4oよりも高度な推論能力を備えた新しいAIモデル。 GitHub Copilotでの使用において、コードの制約やエッジケースを深く理解し、効率的で質の高い結果を生成する。 |
参考:
※ 2024/11/09時点でGeminiは利用できませんが、今後数週間で使えるようになるとアナウンスされています。
おすすめの機能ですので、ぜひ活用してみてください。
お疲れさまでした!以上で「使い方の基本」「便利な使い方」の説明を終わります。
ここまでの内容を読めば、GitHub Copilotの使い方はマスターできていると思います👍
ですが、注意して使うことがあるため、よろしければ次の章も読んでみてください。
注意すべきポイント
ここまで、Github Copilotのメリットや魅力的な機能を紹介してきましたが、その使用にあたっては注意も必要です。ここではそのポイントを説明します。
推奨言語以外では期待する結果が得られない可能性がある
GitHub Copilotの公式サイトによると、次の言語での使用が推奨されています。
- Python
- JavaScript
- TypeScript
- Ruby
- Go
- C#
- C++
その理由は、これらの言語が多くのプロジェクトや開発者に使われており、Copilotの学習データにも多く含まれているからです。他の言語でも使用できますが、期待する結果が得られないことがあります。
(参考URL) GitHub Copilot の概要 (公式)
古いライブラリやAPIが提案されることがある
GitHub Copilotは、過去のコードから学習しているため、場合によっては古い情報に基づいた提案をすることがあります。例えば、PDFをテキストに変換するアプリを生成した際に、次のようなエラーが出力されることがありました。
PyPDF2.errors.DeprecationErrorreader.numPages is deprecated and was removed in PyPDF2 3.0.0. Use len(reader.pages) instead.
提案されたコードは、古いバージョンのAPIを使用していました。なお、エラーが発生した場合、開発者は手動で修正してもよいですが、Copilotに任せて/fix
コマンドにエラー情報を指示文として与えて修正することで、対応できる場合があります。
Copilotはあくまで副操縦士である
GitHub Copilotはあくまで副操縦士です。これまで示したようにAIは完ぺきではないため、提案されたコードは必ず確認し、問題がないか自身でチェックすることが大切です。また、プログラミングの基本知識やスキルの習得も欠かせません。
これらのポイントを押さえて、GitHub Copilotを活用してください。
以上が、注意すべきポイントの紹介でした。
始めたばかりの方や、まずは基本をおさえたいという方は、ここまでの内容でも十分です👍
一旦、復習のために、今までの内容を振り返りながら、実際に触ってみるのも良いと思います。
次の章では少し、発展的な内容を説明します。
引き続き興味がある方は、ご覧ください。
品質向上のポイント
GitHub Copilotを使ったコーディングで効率よく、品質を向上させるために静的解析ツールなど従来の手法を組み合わせることが有効です。次に代表的なツール、手法を紹介します。
品質を高めるツール・手法
これらは、コードの一貫性を保ち、潜在的なエラーやバグを事前に検出するのに役立ちます。実際の活用方法については、私が書いた記事にまとめておりますので、もしよろしければ見てみてください。
なお、内容はPython言語で説明していますが、他の言語にも同様の仕組みがあります。
Copilotでさらに便利に
静的解析ツールによる指摘への対応や、型ヒントの対応は、意外と時間がかかります。そこで、GitHub Copilotを活用することで、効率的に対応を行うことができます。
静的解析ツールの指摘修正
静的解析ツールには、Quick Fixという指摘内容を簡単に修正する仕組みがあります。便利な機能ですが、GitHub Copilotが導入されていない環境では、静的解析ツールの指摘は表示されても、修正案が得られないケースがあります。このようなときは、時間をかけてWebなどで調べてから、対応する必要が出てきます。
GitHub Copilot未導入時のQuick Fix
しかし、GitHub Copilotが導入されていると、次のようにQuick Fixが表示されます。これを選択するとFix using Copilot
という、Copilotで修正する選択肢が出てきます。さらに選択をするとGitHub Copilotによって、修正の提案が行われます。
(gif動画) GitHub Copilot導入済のQuick Fix
型ヒントの追加
型ヒントも便利な仕組みですが、コーディングする際にヒントを書く作業は、以外と手間と時間がかかります。しかし、Copilotならコードの構文などを解析して、より正確に型ヒントを追加することができます。方法は、今まで説明してきたインラインチャットを使い、対象の関数を選択してから「型ヒントを追加してください。必要に応じてtypingをインクルードしてください。」と指示をするだけです。
(gif動画) GitHub Copilotによる型ヒントの追加
GitHub Copilotは、従来のツールや手法を組み合わせることで、より品質の高いプログラムを作成することができます。ぜひ、この方法を活用してみてください。
以上で全ての説明は完了となります!
本当にお疲れさまでした🎉
まとめ
GitHub Copilotを使ってみたい、これなら使えそうだ!と思っていただけたでしょうか。少しでも、この記事を読んでくださった方に、そう思っていただけたなら幸いです。 もし、分からないことや、分かりにくい部分がありましたら遠慮なくコメント欄に書き込んでください。🐢
私は、GitHub Copilotを使い始めたその日から、その魅力に魅了されました。他にも多くの詳細な記事がありますが、私の経験を通じて、私の言葉で、皆さんにその魅力を伝えたいと思い、この記事を書きました。このブログが、皆さんの開発に少しでも役立つことを願っています。
今後も魅力的な機能が追加されると思いますので、その都度ブログを更新していきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
リンク
これらの記事では、たった一枚の画像からAIを活用し、3Dプリンタでリアルな造形物を作成する技術を紹介しています。外側の造形部分はリンク先の記事の内容で、内側のソフトウェアはGitHub Copilotを使って開発することで、近い将来、AIをベースにした家電のようなモノづくりができるかもしれません。そんな未来に興味がある方は、ぜひ記事を読んでみてください👍
Tripo 2.0は、TripoSRの後継モデルで、劇的に精度が向上しました。モノづくり、ゲーム、VRなど幅広い分野に広がりそうな勢いを感じました。進化が止まりません!
Stable Fast 3Dは、TripoSRの後継モデルで、さらに素早くキレイな3Dデータを生成できるようになりました。AIの世界は進化がすごいです。
TripoSRは、少し古い技術になりましたが、インプット画像生成のコツや成功・失敗事例なども記載しています。参考になる部分もいろいろあります。
更新履歴
更新履歴は折りたたみ表示にしています。
確認したい場合は、以下のバーをクリック(タップ)してください。
更新履歴(最終更新日:2024/11/11)
更新履歴
-
2024/11/11
- 導入部分の文章を見直し
- ブログ構成の図の一部不正確な内容を修正
- リンク章の文章を一部修正
- タイポを修正
-
2024/11/09
- 導入の文章にCopilotアップデートに対応した旨を追加
- ブログの構成の章を追加して、ブログの一覧性を向上
- チャット機能の起動方法や表示位置について記載
- チャット機能のgif動画を更新
- 便利な使い方の章を追加して、コンテキスト変数などを移動
- チャットパーティシパンツ(Chat Participants)章を新規追加
- コンテキスト変数の#fileにファイルをアタッチする機能を新規追加
- コンテキスト変数#codebaseを追加更新
- AIモデルの選択を新規追加
- まとめの文章に更新追従する旨の一文を追加
- 変更履歴の表示を折りたたみ表示に変更
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2024/09/30
- Tripo 2.0リンク及び、説明文を追加
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2024/08/04
- AI関連のStable Fast 3Dの記事を追加し、説明文を追加修正
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2024/08/02
- 記事紹介のリンクを追加し、AI関連のTripoSRの記事を紹介
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2024/07/10
- コンテキスト変数の説明を追加
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2024/03/04
- 説明に使用した一部の画像やgif動画の文字が見づらいため、画像サイズを大きくした
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