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Manjaro Linux 最初の一歩

2022/04/24に公開

Manjaro Linuxはx86_64系またはarm系プロセッサーのパソコンで動くLinux OSです。

インターネットのサイトを閲覧するためのブラウザや表計算などのオフィス向けソフト、映像編集ソフトなど、いろんなソフトが動きます。

Manjaro-jpは、標準で日本語環境を整えることを目指して、いろいろと調整しています。
USBディスクなどから、起動するライブISO環境兼インストーラーを用意しています。
もしよかったら、お試しください。

Linuxには、いろんなディストリビューションといわれるものがありますが、プログラムのソースが公開されているものが多く、また互換性を保つ努力が継続されています。
またディストリビューションを超えて、アプリケーションを配布する仕組みとして、FlatpakSnapといった仕組みが作られてきました。Manjaro LinuxもFlatpakとSnapにも対応していますので、他のLinuxディストリビューションと同じように、いろんなアプリケーションが動作可能です。(ライブISO環境=USBからISOを起動させた状態では制約があります。)
多くのディストリビューションが存在するのは、デスクトップ環境の差異だったり、OSの更新作業のための保守部分やセキュリティ対策をどうするか、といった部分で、ポリシーだったり、やり方が異なるからです。
ただ、基本的には同じアプリケーションが動作する場合がほとんどなので、一般のユーザーには、あまり関係ないことです。自分が使いやすい、ユーザーが多そうなものを選べば大丈夫だと思います。

なおManjaro LinuxはArm系プロセッサーにも対応していますが、その日本語対応は、サーバーもパソコンも手元に持っていないため、検証が難しいので、未対応です。x86_64系のパソコンでご利用ください。


Manjaro Linux をインストールします。
Xfce > KDE > GNOMEの順で動作が軽い感じがします。
個人的にはGNOMEを使っています。
インストール用のisoファイルをダウンロードし、USBメモリなどでインストーラーが起動するように設定します。
今回はUSBメモリにVentoyをインストールすることで、isoファイルをUSBメモリにコピーするだけで、USBメモリからインストーラーが起動できるようにします。


インストール用USBメモリの作成

1.Ventoyのインストール

https://ventoy.net/
にアクセスして、最新版のVentoyをダウンロードします。
WindowsやLinux向けなどのインストーラーがありますので、各自の環境に合わせてダウンロードして取得してください。
ダウンロード後、USBメモリをPCに接続して、VentoyのGUIインストーラーを起動します。
一応、セキュアブート対応のオプションを設定します。
接続したUSBメモリが認識されていることを確認して、導入します(インストールします)。


Ventoyのインストールについて

Manjaro LinuxでventoyをUSBにインストールする場合の手順

sudo pacman -S ventoy
ventoygui

Linux全般

sourceforgeまたはgithubからダウンロードします。
ダウンロードコマンドがaria2の場合の例

aria2c -c https://sourceforge.net/projects/ventoy/files/v1.0.99/ventoy-1.0.99-linux.tar.gz/download
aria2c -c https://github.com/ventoy/Ventoy/releases/download/v1.0.99/ventoy-1.0.99-linux.tar.gz
tar xf ventoy-1.0.99-linux.tar.gz
cd ventoy-1.0.99
./VentoyGUI.$(uname -m)

Windowsの場合

ブラウザなどでVentoyダウンロードします。またはVentoy Files(SourceForge)から、ダウンロードしましょう。
ダウンロードしたzipファイルを開いて、ventoy2disk.exeを実行しましょう。


2.ファイルシステムの変更

最初にしておいた方が良いのがファイルシステムの変更です。
exfatは制約の多いファイルシステムです。
symbolic linkや hard linkも使えずファイル名にも制約が多いです。
Ventoyは、ありがたいことにext4にも対応しています。
ventoyをインストールした最初のパーテーションにmkfs.ext4などを使って、フォーマットし直しましょう。
もちろんフォーマットなのでデータはなくなります。その点はご注意ください。
最初にext4などでフォーマットしておいてから、ISOファイルなどをコピーして用いると何かと安心ですし、後々にも便利だと思います。

執筆時点の最新版は1.0.99です。

Ventoyをext4にフォーマットする場合

以下は、Linux環境で操作している場合です。

Ventoyのデバイスを確認

VENTOY=$(lsblk -e7 -lpf -o NAME,LABEL |grep Ventoy|cut -d' ' -f1)
echo $VENTOY

ext4にフォーマット

sudo mkfs.ext4 -L Ventoy $VENTOY
sudo mount $VENTOY /run/media/$USER/Ventoy
sudo chown -R $USER:$USER /run/media/$USER/Ventoy
sudo umount $VENTOY

自動マウントのチェック(Manjaro)

インストール後に、確認してみてください。
またudisk2が稼働している環境の場合のチェック方法の一つとして、参考にしていただければと思います。
以下のコマンドで、自動マウント(UDISKS_AUTO)の設定を確認できます。

VENTOY=$(lsblk -e7 -lpf -o NAME,LABEL |grep Ventoy|cut -d' ' -f1)
echo $VENTOY
sudo udevadm test $VENTOY|grep UDISKS_AUTO

UDISKS_AUTO=0で自動マウントされない場合、udevのルールなどを確認する必要があります。
(私の環境では、ext4ファイルシステムだと自動マウントされないように設定されていました。)
次のような設定ファイルを作成し、USBディスクのパーティションラベルがVentoyの場合に自動マウントされるようにしました。

/etc/udev/rule.d/90-enable-automount-when-ventoy.rules
KERNEL=="sd*", SUBSYSTEM=="block", SUBSYSTEMS=="usb", ENV{ID_PART_ENTRY_NAME}=="Ventoy", ENV{UDISKS_AUTO}="1"

コマンドで作成する場合。

cat <<EOF | sudo tee -a /etc/udev/rules.d/90-enable-automount-when-ventoy.rules
KERNEL=="sd*", SUBSYSTEM=="block", SUBSYSTEMS=="usb", ENV{ID_PART_ENTRY_NAME}=="Ventoy", ENV{UDISKS_AUTO}="1"
EOF

再びチェックしてみましょう。

VENTOY=$(lsblk -e7 -lpf -o NAME,LABEL |grep Ventoy|cut -d' ' -f1)
echo $VENTOY
sudo udevadm test $VENTOY|grep UDISKS_AUTO

UDISKS_AUTO=1ならUSBディスクを接続時に、Ventoyパーティションが/run/media/$USER/Ventoyに自動マウントされるかと思います。

3.Manjaro インストーラーをダウンロード

https://manjaro.org/
https://manjaro.org/products/

から、GNOMEのisoファイルをダウンロードします。
linuxだとコマンドラインのaria2がtorrentも対応していて便利です。
もちろんGUIのtorrentクライアントもあります。

pamac install aria2

Manjaro公式ISOのダウンロード例
URLは適宜、最新のものを確認して置き換えてください。

aria2c -c https://download.manjaro.org/gnome/24.0.7/manjaro-gnome-24.0.7-240821-linux69.iso.torrent

Manjaro-jpのダウンロード例

aria2c -c https://sourceforge.net/projects/manjaro-jp/files/manjaro-jp-gnome-24.0.8-240911-linux610-floorp.iso.torrent/download

また個人的に日本語化カスタマイズしたものを、次の場所で配布しています。
こちらも、良かったらご活用ください。
こちらで配布されているものをご利用いただくと、下記で説明しているような、日本語入力用のアプリや日本語フォントのインストールは予め済んでいるので、そのまま使用できるかと思います。

SourceForge QR
pCloud QR
MEGA QR
TeraBox QR

Teraboxでは、ファイルサイズ4G以上は、コストがかかるので、分割形式でアップロードしています。ダウンロードした後に、一つのファイルにまとめてから、ご利用ください。

MEGA Storageは、ファイルサイズ4G以上のものもアップロードできるので、お勧めです。
pCloudは買い切りのプランがあるようです。

コマンドラインで、MEGA Storageからダウンロードする場合、megatoolsが便利です。

sudo pacman -S megatools
megatools dl --choose-files https://mega.nz/folder/YOVmSaxD#JUuILxlHAM9bdyx3DKLD0A

4.isoファイルをUSBメモリへコピー

ダウンロードしたManjaro Linuxのインストール用isoファイルをVentoyを導入したUSBメモリへコピーします。

Manjaro Linux インストーラーの起動

USBメモリを接続した状態で、PCを再起動します。
BIOSの設定で、起動ディスクの優先順位をUSBメモリが優先になるようにしておくと、電源を立ち上げるだけで、USBメモリに導入されたVentoyの画面が立ち上がります。
Ventoyの画面にはUSBメモリへコピーしたisoファイルの一覧が表示され、それらを選ぶだけで多くの場合、isoファイルのインストーラーが起動します。
Ventoyのおかげで、複数のインストール用isoファイルの管理が楽になります。
起動後のインストールの手順は他に譲ります。


インストール後に最初にしておくとよいこと。

1. パッケージの更新元ミラーサーバーを日本にする。

pacman-mirrors

インストール

pamac install pacman-mirrors

ミラー更新

ミラーサーバーを地理的に近い場所にする。
Place the mirror server in a geographically close location.

sudo pacman-mirrors --geoip

または国を指定する。

sudo pacman-mirrors -c Japan

またはネットワークのアクセス速度順にする。

sudo pacman-mirrors -f

rate-mirrors

ミラーサーバーへの速度検査を簡易的に行い、速度順に並べ替えたmirrorlistを生成してくれるコマンドです。

インストール

pamac build rate-mirrors
pamac build rate-mirrors-bin

ミラー更新

日本限定だと次のような感じになります。aliasで指定しておくと楽です。
.bashrcや.zshrcなどに設定しておきましょう。

sudo pamcan -S curl jq sed --needed
alias mirror-update='
    export TMPFILE="$(mktemp)"; \
    export TMPFILE2="$(mktemp)"; \
    sudo true; \
    curl -SsLo $TMPFILE2 https://repo.manjaro.org/status.json ;
    jq -r ".[]|select(.country==\"Japan\")|.url" $TMPFILE2 | sed "s/http:/https:/" | \
    rate-mirrors --protocol https --min-bytes-per-mirror 100 --save=$TMPFILE stdin \
      --path-to-return="stable/\$repo/\$arch" \
      --output-prefix="Server = " \
      && sudo mv /etc/pacman.d/mirrorlist /etc/pacman.d/mirrorlist-backup \
      && sudo mv $TMPFILE /etc/pacman.d/mirrorlist \
      && sudo rm $TMPFILE2'
mirror-update

2. パッケージデータベースの更新

Update package database.
パッケージの更新。
ソフトウェアの追加と削除から、パッケージのアップデートの有無を確認できます。

また次のコマンドでも行えます。

sudo pacman -Syu

または

pamac upgrade

またはyayコマンドを導入してから、

sudo pacman -Sy yay
yay -Syu

3. ファイアウォールの設定

外部からの接続を禁止して、内部からのネットワーク接続を許可することができます。
ファイアウォールの設定ツールの盾マークに緑と赤色のカラーが現れていたら、有効化されています。
statusの横のボタンでオンオフできます。


4. バックアップソフトの設定

バックアップ用のソフトとして、timeshiftというものがあります。
特にファイルシステムにbtrfsを選んだ場合に、より有効です。
そうでない場合にもrsyncコマンドというファイルの同期用のコマンドを使って、バックアップをとってくれます。ウィザードがあるので、そこで設定してみてください。


5. 日本語フォントのインストール

Installing Japanese Fonts
ここは、お好みで。

pamac install ipa-fonts ttf-sazanami noto-fonts-cjk \
adobe-source-han-sans-jp-fonts \
adobe-source-han-serif-jp-fonts 

6. 日本語入力をインストール

Fcitx5-MozcまたはIbus-Mozcをインストールします。
KDEではFcitx5-Mozcがトラブルが起きにくいので、おすすめです。

Fcitx5-Mozc

いろんな環境で安定して、使える印象です。Ibus-Mozcでトラブルが起こる場合には、こちらを選択するのも良いかと思います。
X11環境(xfce,cinnamonなど)では、manjaro-asian-input-support-fcitx5パッケージの導入をおすすめします。KDEでも、X11セッションで利用する方、あるいはKDE(Wayland)でもKWin(仮想キーボード)からの起動を行わない場合には、導入をおすすめします。

sudo pacman -S fcitx5-mozc fcitx5-im

SudachiDict(and unidic,ipadic)をシステム辞書に組み込んだパッケージの場合、

yay -S fcitx5-mozc-with-jp-dict fcitx5-im

または

pamac build fcitx5-mozc-with-jp-dict fcitx5-im

X11環境の場合

X11環境、X11セッションで利用する場合、追加インストール。

sudo pacman -S manjaro-asian-input-support-fcitx5

Ibus-Mozc

  • AURからのインストールになります。
  • SudachiDict(and unidic,ipadic)をシステム辞書に組み込んだパッケージです。
yay -S ibus-mozc-with-jp-dict

または

pamac build ibus-mozc-with-jp-dict

X11環境(xfce,cinnamonなど)、KDEのX11セッションなどで利用する場合、追加インストール。
GNOME(Wayland)では不要です。

sudo pacman -S manjaro-asian-input-support-ibus

ビルド済みのパッケージがこちら[1]で入手できますが、回線が弱いので、お手柔らかにお願いします。
sourceforgeにもミラーさせていただいております。[2]
また、こちらも、ご確認ください。
ArchLinux and ManjaroLinux向け Mozcパッケージ[3]

Ibus-Mozcは、Wayland(GNOME)でも問題なく動作しました。用例表示もOKです。gtkアプリ、flatpak版ブラウザなどへの入力も大丈夫でした。

ちなみに下記設定ファイルのmozc_rendererのenbaledをTrueにしておくと用例表示が行われます。
Falseにすると用例表示はオフになりますが、テーマによる配色の問題や変換候補の表示位置の問題などは起こりにくいと思います。

~/.config/mozc/ibus_config.textproto
# This settings are available in 2.29.5205 and later versions
mozc_renderer {
  enabled : True
  compatible_wayland_desktop_names : ["GNOME"]
}

設定変更後、次のコマンドでibusを再起動するか、一旦ログアウトしてみてください。

ibus restart

Ibus-Mozcの設定の詳細は下記の公式文書をご確認ください。
ibus mozc configurations

変換候補の絵文字を表示するには

日本語フォント設定に関する参考サイトも、参考になるかと思います。

  1. AURパッケージの活用

    pamac build emoji-fontconfig
    
  2. 手動でfontconfigファイルを作成する場合
    AURパッケージを用いず、手動で作成する場合。

    mkdir -p ~/.config/fontconfig/conf.d
    

    次のようなファイルを作成して、コマンドを実行することで、変換候補の絵文字表示も行われます。

    ~/.config/fontconfig/conf.d/50-color-emoji.conf
    <?xml version="1.0"?>
    <!DOCTYPE fontconfig SYSTEM "fonts.dtd">
    <fontconfig>
    
      <alias>
        <family>serif</family>
        <prefer>
          <family>system-ui</family>
          <family>emoji</family>
        </prefer>
      </alias>
    
      <alias>
        <family>sans-serif</family>
        <prefer>
          <family>system-ui</family>
          <family>emoji</family>
        </prefer> 
      </alias>
    
      <alias>
        <family>monospace</family>
        <prefer>
          <family>system-ui</family>
          <family>emoji</family>
        </prefer>
      </alias>
    </fontconfig>
    

    上記の~/.config/fontconfig/conf.d/50-color-emoji.confファイルを作成して、次のコマンドを実行してみてください。

    fc-cache -vf
    ibus restart
    
  3. dejavuフォントを削除する
    上記の手順を行えば、dejavuフォントがインストールされていても、Noto Color Emojiなどの絵文字フォントが優先されますが、優先して表示されている白黒絵文字が多く含まれているフォントを取り除くことも一つの手です。

    pamac remove ttf-dejavu
    
  4. そもそも絵文字全般が豆腐状態(□)で表示される場合。
    絵文字フォントが一つもインストールされていない場合、たとえばNoto Color Emojiをインストールします。

    pamac install noto-fonts-emoji
    

    フォントのインストールだけでうまくいかない場合には、Noto Color Emojiを優先表示させるAURパッケージを導入します。

    pamac build noto-color-emoji-fontconfig
    

その他、トラブルシューティング

古い設定が残っていて、gtk-im-moduleになにか設定されている場合、一部アプリで入力できないケースがあるようです。

gsettings get org.gnome.desktop.interface gtk-im-module

このコマンドで'gtk-im-context-simple'などが表示されたら、次のコマンドで設定を消しましょう。

gsettings set org.gnome.desktop.interface gtk-im-module ''

Waylandの場合

Waylandセッションの場合、環境変数は設定しなくても良いみたいなので、input-supportパッケージは使わないほうが良い場合が多いです。
KDE(Wayland)では環境変数を設定しないように通知がでます。
仮想キーボードではなく、地域の設定の入力メソッドからFcitx5を起動する場合には、Waylandでも環境変数を設定したほうが良さそうです。

GNOMEで、Fcitx5 Wayland 診断の通知をオフにする

Fcitx5の設定からアドオンの通知の設定を開きます。
隠す通知にキーワード「wayland-diagnose-gnome」を追加すれば、GNOME環境でInput Method Panelを導入していない場合や、導入済みでも、起動に時間がかかる場合などの理由で通知が出る場合に、通知をオフにできるかと思います。

補足

X11環境(xfce,cinnamon,KDE Plasma(X11))などでは、input-supportパッケージを導入したほうが簡単です。
Waylandではmanjaro-asian-input-support-{ibus,fcitx5}パッケージは使わないほうが良さそうです。

特にGNOME(Wayland)ではinput-supportパッケージは、現在は使わないほうが良さそうです。
変換候補の表示位置の問題や、用例表示の有無、flatpakアプリやgtkアプリなどへの入力トラブルなどが起こりにくそうです。X11環境と異なり環境変数の設定が不要になっています。

manjaro-jpレポジトリに修正版のmanjaro-asian-input-support-{ibus,fcitx5}パッケージを追加しました。Wayland以外の環境でのみ、環境変数を設定するように変更したものです。大体のX11、Waylandの環境で、日本語入力を行えるようになるかと思います。

sudo pacman -S manjaro-jp/manjaro-asian-input-support-fcitx5

KDE Plasma(Wayland)でIbusを使う場合、input-supportパッケージに/etc/xdg/autostart/ibus.desktopというibus自動起動のファイルが含まれており、仮想キーボードから起動されるIbus-Waylandと競合します。
同時起動はできないので、どちらかを無効にしたほうがいいでしょう。
仮想キーボードからの起動を通知で促されますが、次回以降、表示しないこともできるので、スルーしたほうがいいかもしれません。
またKDEのIbus(Wayland)では変換候補の窓の表示位置が、一部アプリで入力位置から離れた場所に表示される場合があるようです。(画面左上や左下に変換候補が出現する現象)

X11セッションで利用する場合には、環境変数などの設定が必要ですので、引き続きmanjaro-asian-input-supportパッケージを導入するか、手動で設定ファイルを作成しましょう。

KDEでFcitx5(Wayland)を使う場合には、Fcitx5パッケージに含まれる自動起動の設定/etc/xdg/autostart/org.fcitx.Fcitx5.desktopと、仮想キーボードから起動する場合の~/.config/kwinrcに設定される/usr/share/applications/org.fcitx.Fcitx5.desktop/usr/share/applications/fcitx5-wayland-launcher.desktopが競合します。
こちらも同時起動はできないので、仮想キーボードから起動させる場合には、xdgフォルダの設定を無効にしたほうが良さそうです。
仮想キーボードで、Fcitx5(Wayland launcher)で起動する設定を行うと、下記ファイルに次の項目が追加されて、Fcitx5が起動されるようになります。(仮想キーボードから起動する場合には、input-supportパッケージは不要です。)
~/.config/kwinrc

.config/kwinrc
[Wayland]
InputMethod[$e]=/usr/share/applications/fcitx5-wayland-launcher.desktop
sudo rm /etc/xdg/autostart/org.fcitx.Fcitx5.desktop

環境変数を手動で設定する場合

WaylandだとXsessionのスクリプトが読み込まれない[4]ので、別の場所で設定することが勧められています。
systemdが動作しているシステムだと下記の場所で設定するのが良さそうです。
ただWaylandでibusやfcitx5の環境変数の設定は不要な場合が多いので、ご注意ください。

fcitx5の場合

mkdir -p ~/.config/environment.d/
im=fcitx
cat <<EOL> ~/.config/environment.d/mozc.conf
GTK_IM_MODULE=$im
QT_IM_MODULE=$im
XMODIFIERS=@im=$im
INPUT_METHOD=$im
SDL_IM_MODULE=$im
EOL

ibusの場合

mkdir -p ~/.config/environment.d/
im=ibus
cat <<EOL> ~/.config/environment.d/mozc.conf
GTK_IM_MODULE=$im
QT_IM_MODULE=$im
XMODIFIERS=@im=$im
INPUT_METHOD=$im
SDL_IM_MODULE=$im
EOL

Mozc向けユーザー辞書の紹介

SudachiDictなどの辞書をシステム辞書に含めたパッケージが上記で紹介をしたAURのibus-mozc-with-jp-dictなどです。
Manjaro向けのビルド済みバイナリは、上記で紹介したとおりです。[1:1][2:1]
また下記サイトでもMozcのシステム辞書として、SudachiDictとMeCab unidic neolog,MeCab ipadic neologdを組み込んだものを用意しています。
ArchLinux and ManjaroLinux向け Mozcパッケージ[3:1]

それとは異なるアプローチとして、SudachiDictのデータをもとにMozc向けのユーザー辞書形式に変換したものを公開しています。[5]
Mozcのシステム辞書に組み込むことが難しい場合に、ご利用ください。ただ件数が多いので、環境によっては、処理が重たくなるかもしれません。全件を取り込むと重くなり、IMEが反応しなくなる場合があるようです。

ダウンロード後、展開したテキストファイルをMozcの辞書ツールでインポートしてご利用ください。

aria2c -c https://github.com/phoepsilonix/mozcdic-ut-sudachidict/releases/download/2024-07-16/user_dic-ut-sudachidict.tar.xz
tar xf user_dic-ut-sudachidict.tar.xz
user_dic-ut-sudachidict-01.txt
user_dic-ut-sudachidict-02.txt
user_dic-ut-sudachidict-03.txt

このユーザー辞書は、Mozc UT Dictionariesのデータを、ユーザー辞書形式に変換したものです。

SudachiDict以外のMozc向けユーザー辞書も用意しました。
それぞれのリンク先で、user_dic-から始まるtar.xz形式のファイルがユーザー辞書のテキストを圧縮したものです。ただ重複する単語もたくさんあるかと思いますので、SudachiDictのみで十分な気もします。SudachiDictは件数が多すぎて、ユーザー辞書として用いると、IMEが反応しなくなる場合があるので、別の少なめの辞書のほうが、良いかもしれません。(件数が多すぎるユーザー辞書は、実用性が低いかもしれません。)

なおSudachiDictについては、下記記事もご参照ください。
SudachiDict

謝辞

Mozc向けユーザー辞書を作成するにあたり、次のプロジェクトを参考にしております。
感謝です。

  • Mozc UT Dictionaries
  • mozcdict-ext
    Mozcの品詞に合わせる品詞を対応させるアルゴリズムはこちらをベースに手を加えています。

その他のIMEとのユーザー辞書の相互変換

Startide Projectさんが公開されているRubyスクリプトを用いれば、Anthyなどの他IMEの辞書の型式との相互変換ができるみたいです。利用には、オブジェクト指向スクリプト言語 Rubyとその拡張gemのrexmlが必要です。
userdic - 日本語入力ユーザー辞書変換スクリプト[6]

Fcitx5-hazkeyのご紹介

ios向けに提供されているazooKeyと同じEngingeを用いたIMEが公開されています。Linux向けは、試験的な段階なのでしょう。ユーザー辞書などは未対応の模様です。

7ka-Hiira/fcitx5-hazkey: Japanese input method for fcitx5, powered by azooKey engine
azooKey blogs

Manjaro-jpレポジトリからインストール

sudo pacman -S fcitx5-hazkey

AURからインストール

yay -S fcitx5-hazkey-bin

7. 絵文字フォントのインストール

これもお好みで。
I also love emoji.

pamac install noto-fonts-emoji unicode-emoji

他にもお気に入りの日本語フォントなどありましたら、導入しましょう。
私にも紹介してください。

たとえばAURに登録されたMorisawa BIZ UDフォントの無償版も追加してみましょう。

pamac install morisawa-biz-ud-gothic-fonts morisawa-biz-ud-mincho-fonts

8. ホームディレクトリの言語を日本語や英語へ切り替える。

日本語

LANG=ja_JP xdg-user-dirs-gtk-update 

英語

LANG=en_US xdg-user-dirs-gtk-update 

フィンランド語

LANG=fi_FI xdg-user-dirs-gtk-update 

注意事項

  • 対応しているlocaleがあれば、いろんな言語に変更できると思います。
  • ホームディレクトリの言語を変更してくれますが、フォルダの中身までは移動してくれません。
    あくまでホームディレクトリに表示されるフォルダの名称変更のみです。
    フォルダの中にあるファイルの移動は別途、行いましょう。[7]
cat ~/.config/user-dirs.dirs
cat ~/.config/user-dirs.locale

9. 時間の同期設定

NTPサーバーを指定して、時刻をインターネットのサーバと同期させることができます。
GNOMEの場合には、設定画面で時刻の同期のオンオフが簡単に設定できます。
またコマンドによって、より細やかな設定も可能です。
timedatectlコマンドを使うと、設定の確認や変更が可能です。

現在の設定の確認

timedatectl 
               Local time: 日 2022-04-24 19:49:11 JST
           Universal time: 日 2022-04-24 10:49:11 UTC
                 RTC time: 日 2022-04-24 10:49:11
                Time zone: Asia/Tokyo (JST, +0900)
System clock synchronized: yes
              NTP service: active
          RTC in local TZ: no

NTPサーバーの指定を増やす場合

日本だと、たとえば設定ファイルに次の1行を追加します。

NTP=ntp.nict.jp
sudo nano /etc/systemd/timesyncd.conf

時刻同期(NTP)を有効化する

timedatectl set-ntp true

時刻同期をwindows10に合わせたい場合?

これはハードウェアクロックがUTCかタイムゾーンのどちらに合わせるかの変更になるのだと思います。どちらでも、大きな問題はありませんが、Windowsとのデュアルブート環境だと起動時間に影響を受けることもあるようです。

timedatectl set-local-rtc true --adjust-system-clock

タイムゾーンをコマンドラインで変更する場合

timedatectl set-timezone Asia/Tokyo 

時刻同期プログラムの動作状態の確認

systemctl status systemd-timesyncd

GNOMEの画面例

ややこしそうだなという方へ。
たとえばGNOMEなら最初に書きましたとおり、次のような画面で設定ができます。
大体の設定は、コマンドを使わなくても大丈夫です。


10. 日本語フォント設定に関する参考サイト

Customize fontconfig. CJK, but other Latin fonts are preferred[8]
日本語フォントの設定 | 逆襲のSlackware[9]
Linux でシステムフォントを設定する - SHIDALOG[10]

11. (補足)メモリが少なめの環境の場合

/tmpフォルダは一時ファイルを作成するフォルダで、最近のLinuxの多くはメモリの一部をRAMディスクのような感じで割り当てています。これはパフォーマンス向上に置いて、ある程度、有効な方法ではあるのですが、大きなファイルを操作したり、高負荷の処理を行う場合などに、メモリ不足となりやすいかもしれません。パフォーマンスは若干、落ちるかもしれませんが、/tmpフォルダをストレージの一部を割り当てることで、高負荷時の動作が安定する場合もあることでしょう。
その場合には、次の記事を参考にしてみてください。
/tmpをサブボリューム@tmpのマウントへ変更する - Qiita[11]


最後に

日本語入力のインストールにも用いたManjaro HelloからApplicationsを起動すると、基本的なアプリケーションは導入が簡単になっています。
ブラウザも複数のものを試せますし、パスワードマネージャーなども有名なものが導入できます。
オフィスソフト(表計算など)も複数の選択肢から選べます。
もちろんグラフィカルなユーザーインターフェースでも、上記のようなアプリケーションやフォントをインストールできます。

ぜひ利用してみてください。

繰り返しになりますが

個人的に日本語化カスタマイズしたものを、次の場所で配布しています。
こちらも、良かったらご活用ください。
こちらで配布されているものをご利用いただくと、上記で説明しているような、日本語入力用のアプリや日本語フォントのインストールは予め済んでいるので、そのまま使用できるかと思います。

SourceForge QR
pCloud QR
MEGA QR
TeraBox QR

トラブル予防

最近は問題が少なくなっているかと思いますが、ハイバネートやサスペンド機能がうまく動作しないケースがあります。それはLinuxも例外ではなく、過去、kernelのバージョンや古い機器との相性によっては、うまく動作しない場合がありました。
OSをインストールしたあとに、最初に、サスペンドやハイバネート機能がうまく動作するか確認しておいて、うまくいかない場合には、設定画面の電源の項目などを見直して、機能をオフにしておくのは転ばぬ先の杖かと思います。
またカーネルを複数インストールしておくことは、バージョンアップ時のトラブル防止になります。

署名鍵でパッケージ更新がうまくいかない場合

sudo pacman-key --init
sudo pacman-key --populate
sudo pamcan -Syy
sudo pacman -Fyy
sudo pacman -Su

Manjaro公式とのkernelの違い

kererl-6.6系がManjaro公式のisoでは採用されていました。最新のManjaroはkernel-6.11系に移行したようです。
ここで配布しているisoは、なるべく新しいkernelを採用しています。現在はkernel-6.11系です。

kernelおよびkernelモジュールのビルドにgccではなくclangを使用しています。
またkernelのrust対応も有効にしています。
Manjaro公式のkernelを利用したい場合には、下記コマンドのようにレポジトリcoreを指定してインストールしてください。

sudo pacman -S core/linux66 core/linux66-headers
sudo pacman -S core/linux611 core/linux611-headers

おまけのお知らせ

おすすめ映像編集ソフト

Linux系OSで動きます。
DaVinci Resolve 18 | Blackmagic Design
無料版でも十分、使えます。
有料版のStudioだと、より便利な機能が使えます。

ShotCut


その他のおすすめOS
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MX Linux

EndeavourOS


Manjaroレポジトリミラー試験稼働中

## Country : Japan
Server = https://mirror.phoepsilonix.love/manjaro/stable/$repo/$arch

[manjaro-jp]
SigLevel = Required
Server = https://manjaro-jp.phoepsilonix.love/manjaro-jp/
#Server = https://manjaro-jp.sourceforge.io/manjaro-jp/
#Server = https://manjaro-jp.osdn.jp/manjaro-jp/

Manjaro Linux JP
Manjaro Linux JP2
Manjaro-JP at gitlab
Manjaro-JP at github
Manjaro-JP at sf
(GPG signing public key:57B49CC5AA4F00FC) <phoepsilonix あっと phoepsilonix どっと love>


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脚注
  1. manjaro-jp レポジトリ ↩︎ ↩︎

  2. manjaro-jp sourceforge ミラー ↩︎ ↩︎

  3. ArchLinux and ManjaroLinux向け Mozcパッケージ ↩︎ ↩︎

  4. https://zenn.dev/armcore/articles/linux-system-imconfig-2 ↩︎

  5. SudahiDictベースmozcユーザー辞書: user_dic-ut-sudachidict.tar.xz ↩︎

  6. userdic - 日本語入力ユーザー辞書変換スクリプト ↩︎

  7. ホームディレクトリのフォルダ名の表記言語の切り替え ↩︎

  8. Customize fontconfig. CJK, but other Latin fonts are preferred ↩︎

  9. 日本語フォントの設定 | 逆襲のSlackware ↩︎

  10. Linux でシステムフォントを設定する - SHIDALOG ↩︎

  11. /tmpをサブボリューム@tmpのマウントへ変更する(btrfs) - Qiita ↩︎

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