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JuliaHEP 2025 Workshop 参加レポート

に公開

7月下旬に JuliaCon 2025 と併せて参加した JuliaHEP 2025 Workshop についての参加レポートをまとめます.

JuliaCon 2025 から JuliaHEP 2025 Workshop へ

2025年7月22-26日にアメリカ・ピッツバーグにて, Julia言語の国際会議『JuliaCon 2025』が開催されました. その様子はこちらで報告しています. 続けて, 2025年7月28-31日にアメリカ・プリンストンにて, Julia言語の国際会議『JuliaCon 2025』が開催されました.

移動方法は, ピッツバーグ国際空港(PIT)からニューアーク・リバティー国際空港(EWR)まで飛行機で, その後は電車でプリンストン大学の最寄りのプリンストン駅まで移動します. Googleマップでは途中でバスに乗り換えるプランも提案されましたが, そもそもバス停が存在しておらず電車に再び戻ることになりました. プリンストン大学に行く方はお気を付けください. なお, 線路が繋がっていないので, プリンストンジャンクション駅で必ず乗り換えです. 単線の, 味がある列車でした.

会場

プリンストン大学で開催されました. ハリーポッターに登場しそうな立派な校舎が立ち並んでいました. リスもいます🐿

その他の写真



発表

いくつかの研究発表をピックアップして紹介します. 発表の様子:

https://x.com/TomiyaAkio/status/1949885851619799412

Julia in HEP: diff 2024 2025

NumericalDistributions.jl に関する言及がありました. Distributions.jl で予め実装された分布関数を選んで使うのに対して, こちらのパッケージでは分布関数を自分で定義して利用できるようです. 速度や厳密さを追求しないのであれば非常に使いやすいパッケージに思われます.

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#49-julia-in-hep-diff-2024-2025

Julia at Princeton

報告された資料によると, プリンストン大学だけでも100名以上のユーザーがいるとのこと. 日本も負けてられませんね.

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#80-julia-at-princeton

Hands-on session: Introduction to Julia for scientists

題して「科学者のためのJulia入門」です. 作者に確認しましたが, オープンソースなのでもちろん日本語に翻訳してよいとのこと.

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#66-hands-on-session-introducti

PrecisionCarriers.jl: Easy Detection of Floating Point Precision Loss

MultiFloats.jlなどの高精度演算パッケージを評価する際に非常に重要な話をされていました.

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#88-precisioncarriersjl-easy-de

ML for HEP Analysis in Julia

高エネルギー物理学(HEP, High Energy Physics)での機械学習に関するチュートリアルです. いくつか参考になるパッケージがありました

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#68-ml-for-hep-analysis-in-juli

Efficient Matrix-Element Generation in Julia

KernelAbstractions.jlに関する言及がありました. NVIDIA CUDA, AMD ROCm, Intel oneAPI, Apple Metal を同じ枠組みで利用できるようです.

https://indico.cern.ch/event/1488852/timetable/#45-efficient-matrix-element-ge

その他

自動微分で2階微分を計算する際のベストプラクティスが分からずに困っていましたが, DifferentiationInterface.jlをご紹介いただきました. ZygoteやEnzymeを同じ枠組みから利用でき, 2階微分なども用意されています. 記事を用意しました.

https://zenn.dev/ohno/articles/0d8d24a50316b5

おわりに

発表だけでなく, パフォーマンスや高精度計算, 自動微分についての有益なアドバイスをいただきました. 特にDifferentiationInterface.jl はインパクトがあるので日本でも広まるとよいと思います.

関連記事

https://zenn.dev/ohno/articles/f49f9af3f52405

https://zenn.dev/ohno/articles/4e305ce2132511

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