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ハンドメイド副業で月5万円を目指したけど届かなかった話(数字と失敗を全部出す)

に公開

これは、1人アドベントカレンダー2025 7日目の記事です。


はじめに

12/1の記事で「採算度外視で始めた」「時給換算すると全然割に合わない」と書きました。

じゃあなんで今日、売り上げの話をするのか。

矛盾しているように聞こえるかもしれません。

多くの人に喜んでもらえたことのわかりやすい数値は"売り上げ"になります(対価を支払って手に入れてもらったという意味)。このため、せっかく活動するならまずは「月5万円くらいは稼げるようになりたい」と思っていました。

結論から言うと、達成できませんでした。最高記録は32,440円。あと17,560円で5万円でした。

この「あと少し届かなかった」距離感が、振り返りのきっかけになりました。

今日は、その数字を全部公開します。

2025年の売上、全公開

まず、数字を見てください。

イベント minne 委託販売 技術書イベント※ 合計
1月 - 1,140円 2,200円 500円 3,840円
3月 11,000円 - - - 11,000円
5月 - 620円 900円 - 1,520円
6月 - - - 500円 500円
7月 - - 1,000円 - 1,000円
9月 31,700円 740円 - - 32,440円
10月 16,900円 - 1,000円 300円 18,200円
11月 5,600円 2,300円 - 800円 8,700円

※技術書イベントでハンドメイド商品も販売

2025年合計:77,200円(11月時点)

月平均にすると、約7,000円。全然5万円に届いていません。

ただ、9月だけ突出しています。32,440円。この月に何があったかというと、「あわい祭」というイベントに3日間出店しました。

最大の成功:あわい祭

あわい祭は、9月13日から15日まで開催されたイベントです。3日間で31,700円を売り上げました。

内訳を見ると、面白いことがわかります。

1日目:9,100円
2日目:16,300円
3日目:6,300円

2日目が突出しています。ハロウィンセット(2セットで7,000円)が売れたのが大きかったです。

この期間、事前に十分に準備ができなかった分、AIにも相談しながら途中途中でアップデートしながら挑みました。

その中で、9月だからハロウィン需要は先取りすぎであまり期待しない方がいい、と言われていたのですが、結果的に季節先取りのハロウィンものが売れ、売り上げの大半を担ったのは面白い結果でした。

また、ペットものをメインに出していたのですが、気温が暑かったのもあってか暑苦しいと思われたのか伸び悩んでいた感じもあります。
(実際、手に取ってもらえる回数は少なめで、季節性の影響を感じました)

個数的には、少し持っていっていたアクリルたわしが結構出たのも面白い結果でした。

そして、もう一つ、興味深いデータがあります。

海外からの購入者による売上:11,000円(全体の34.7%)

新宿西口のバスターミナル近くで、外国人観光客が結構買ってくれたのが大きかったかもしれません。がま口ミニ財布、ハロウィンバンダナ、コットンおもちゃ。日本っぽい手作り感が刺さったのかもしれません。

この成功体験が、次の失敗につながります。
(今振り返ると、成功と言えるかは微妙なのですが……)

最大の失敗:根津神社

「外国人に売れるなら、外国人観光客が多い場所に出店すればいいのでは?」

そう考えて、「観光地なら売れるはず」という仮説に合わせて、色バリエーションの和名や英訳POPも用意しました。9月23日、根津神社のイベントに出店しました。

結果。

売上:2,000円
経費:4,400円(場所代3,700円+机椅子700円)
純損失:-2,400円

赤字です。

売れたのは2点だけ。毛糸のお花1点と、アクリルたわし4個セット1点。どちらも日本人の方が買ってくれました。

外国人観光客もそこそこ通りました。が、通り過ぎるだけで。立ち止まって見てくれる人はいても、買ってくれる人はいませんでした。

あわい祭と根津神社、何が違ったのか。

あわい祭は「買い物を楽しむ」ためのイベントでした。来場者は最初から「何か買おう」というモードで来ている。

海外から根津神社に来ている目的は「観光」です。外国人観光客は神社を見に来ているので、ついでにペット小物やニットアイテムを買う気にはならなかったみたいです。

イベント出店に躍起になった

在庫だけが溜まっていく状況で、「イベントに出れば動くはずだ」と思っていました。

だからこそ、利益に関係なく、とにかく売り上げを作れる場に行かなければ…!と思っていました。

振り返ると、気持ちばかりが先走っていました。

イベントに出れば少しでも売れる → 根津神社で失敗 → みたマルシェでは16,900円売れた → イベントで売り上げ上げないと!

「イベントさえ出ていれば大丈夫」。そんな風に思い込んでいたのかもしれません。

夏の間は売りにくい毛糸小物を売れるシーズンに入ったぞ!ということも後押しし、ずっとこの思考回路で回してしまいました。

田町タワーは雨天にも関わらず好調で、ワークショップも出来て満足でした。アトレ竹芝は5,600円と控えめでしたが、赤字にはならなかった。「成功」と「失敗」の間を行ったり来たりして、結局イベントへの執着が抜けませんでした。

2025年のイベント出店、全部の損益を出してみます。

イベント 売上 経費(出店料) 損益
みたマルシェ(3月) 11,000円 7,100円 +3,900円
あわい祭 31,700円 23,100円 +8,600円
根津神社 2,000円 4,400円 -2,400円
みたマルシェ(10月) 16,900円 7,100円 +9,800円
アトレ竹芝 5,600円 2,400円 +3,200円
合計 67,200円 34,100円 +23,100円

5回(7日間)出店して、利益23,100円。1回あたり約4,620円(1日あたり3,300円)。

一日まるっと使って、この金額。数字にすると現実を突きつけられますね。
正直、徒労感がずっしり。痛い…。

売上だけ見ると67,200円で「売れていない」という状況でもないと思えます。が、経費を引くと23,100円。これが現実です。

イベント出店は楽しい。お客さんと直接話せる。「かわいい」と言ってもらえる。売れた瞬間の喜びがある。

答えの見えないSNS投稿や、数字に現れないネットショップのメンテナンスをしなくても、戦略が雑でも、在庫を詰めてイベントに行けば、少しは売り上げをあげることができます。

しかしながら、イベント出店には限界があります。

  • 土日のイベントにしか行けない
  • 車を運転できないので遠方には行けない
  • 当日は丸一日拘束される
  • 天候に左右される
  • 場所代がかかる
  • 平日は本業があるので月に何回も出店できない

イベントだけで月5万円を達成しようとすると、今のペースだと毎週出店し続けなければいけない。
本業がある身としては、それは現実的ではないので、イベントあたりの売り上げを上げる必要がある--。

と、冷静に振り返りました。

当時の私は、即時性のあるフィードバックばかりを追っていました--。

本当に必要なのは、前もってのSNSでのイベント告知や、ネットショップのメンテ、どういうアイテムを取り扱っているかの周知。無意識に避けていた作業でした。

エンジニアなのに、エンジニアらしくなかった

ここで、自分の職業を思い出してください。

私はエンジニアです。18年やっています。

エンジニアなら、データを見て、分析して、改善する。PDCAを回す。自動化できるところは自動化する。

ハンドメイド副業でも、本来ならそれをやるべきでした。

Squareのカート放棄率。minneのアルゴリズム。どの商品がどの層に売れているか。データは見ていました。見ていたんです。

でも、“売れてほしい気持ち” のほうが強くて、数字を行動に落とし込めていませんでした。

「イベントに出れば売れる」という短絡的な思考に支配されて、地道なネット販売の改善を後回しにしていました。

委託販売先への納品も、後回しにしていました。

シナト・ビジュアルクリエイションさんに委託しているのですが、ハロウィン向けの商品を納品しようと思っていたのに、イベント準備で忙しくて、結局納品できず。冬向けのマフラーも、送れていない状況です。

実際、一昨年は、ハロウィン向けのアイテムを早めに納品したおかげで月の売り上げがイベント1回くらい分になった実績があります。
去年はハロウィンに間に合わなかったけど、その後、10月・11月で発起してクリスマスには間に合わせたので、マフラーやケープが順調でイベント1.5回分の売り上げは出していました。しかし、今年はそれも後回しにしてしまっています。

イベントで売れると嬉しくって、さらにいっぱい作ってしまったアクリルたわしは200個に。ええ、家に眠ったままです。

「忙しい」を言い訳にしてきました。しかし、冷静に落ち着いてみると、

本当に忙しかったのか?

実際には、イベント準備に時間を使いすぎて、やるべきことを後回しにしていただけでした。

忙しさではなく、優先順位の問題だったのだと痛感しました。

この記事を書いて気づいたこと

正直に言います。

この記事を書くまで、自分が何をやっていなかったのか、ちゃんと整理できていませんでした。

「月5万円いかなかったな」とは思っていた。でも、なぜいかなかったのか、何が足りなかったのか、言語化できていなかった。

記事にするために数字を整理して、時系列を追って、失敗を振り返って--。

そうしたら、やっていなかったことが見えてきました。

ネット販売の整備を、やっていなかった。

Squareは送料の設定が面倒で、放置していました。minneは出品しているけど、新商品の追加が滞っていました。アクリルたわしのセット販売、やろうと思っていたのにやっていませんでした。

イベントで直接売ることに意識が向きすぎて、24時間365日動いてくれるネットショップを育てることを怠っていた。

これは、エンジニアとしては恥ずかしい判断ミスです。

おわりに

2025年、月5万円は達成できませんでした。

最高記録は32,440円。あと17,560円。

委託販売をちゃんとやっていれば、埋められた差だったかもしれません。実際、一昨年・去年は委託販売だけで月1万円売れた月もありました。委託が順調で、ネットショップで2〜3個売れていたら、決して届かない金額ではなかった。

こうして振り返ると、成果が出た年は“イベントではなく準備を頑張っていた年”だったんですよね。

この記事を書いたおかげで、何をすべきかが明確になりました。

12/4の記事で書いた通り、ペット用ニットウェアは「サイズ調整が必要なものは自分に合わない」と気づいて方向転換しました。今回も同じです。イベント出店に躍起になるのは、自分に合っていなかった。

記事公開後、やります。

  • Squareを送料込み価格に変更する
  • アクリルたわしのセット販売を出品する
  • minneで新商品を追加する
  • 委託先に納品する

イベント出店をやめるわけではありません。楽しいし、お客さんとの出会いがある。12/1の記事で書いた「心のセーフティネット」は、今も変わっていません。

結果的に、採算度外視でいいんだと思います。

ただ、「採算度外視」は「タダでいい」ではない。時給換算で割に合わなくてもいいけど、価値を認めてくれる人に届けたいと思っています。

やれることはやる。

思い込んだり、やるとなったら何がなんでもやり切ってしまうのですが、もう少し地固めして、エンジニアらしく、ネット販売を最適化する。データを見て、改善する。

根幹は、売れても売れなくても、編み物を続けたいという思い--。

そう思えた時点で、この振り返りは十分に意味があったのだと思います。

来年の目標は、数字より「在庫を減らす」かもしれません。

でも、一番楽しいのは作ることなんだよな…。

作りすぎ問題については、12/14の記事で書きます。


明日は「ECS Fargateスケーリング戦略まとめ」を書きます。

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