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採算度外視で始めたハンドメイド作家が、心のセーフティネットになった話

に公開

1人アドベントカレンダー2025 1日目。

今日から25日間、なんとかスタートするところはできました!走り切りたいと思います!!


はじめに

本業のエンジニアとは別に、なぜハンドメイド作家を続けているのか、という話をふかぼってみたいと思います。

本業があるのに、なぜハンドメイド?

ハンドメイド作家を始めたきっかけは、

「副業で稼ぎたい」

が動機ではありません。

編み物自体は、幼稚園の頃におばあちゃんに教わったのが最初。その後、社会人になってからは長いこと離れていました。

転機は2019年。実家に帰ったとき、亡くなった母親が残していた毛糸がそこそこな量出てきました。

捨てるのも忍びないし(もったいないおばけが出てモノが捨てれない質です)、置いておくのももったいない…。

じゃあ、何か作ってみようか!

…で、長らくやってなかった編み物を再開しました。
YoutubeやSNSの力もあり、昔のように何かを始めるハードルが小さく、ちょっとコツを掴むと色々と作りだしてしまうものの、使うことを目的として編んでないので、溜まる溜まる…。

作ったものを使わないのも勿体無いので(もったいないおばけパート2)、もらい先を検討したところ、昨今はメルカリやらminneやCreemaなどのハンドメイドショップのプラットフォームで販売できる方法がたくさん!!

メルカリのアカウントはあったので、ポチッ!でめでたくハンドメイド作家に。

もちろん、ポチッ!でなりたい自分に変身できるのは、魔法少女の世界のみなので、すぐに売れない現実に行き詰まるのですが、それでも、こんな流れでハンドメイド作家にめでたくなることができました。

採算度外視の実態

正直、ハンドメイドを、時給換算すると全然割に合わないと思います。
(時給だけ考えると、私の場合は本業のスキルで稼いだ方が効率がいいという意味で、効率的に活動されていたり、付加価値をつけて売れている売れっ子作家さんもいっぱいいるので誤解なきよう)

材料費、イベント出展料、交通費、制作時間ーー。

全部を計算すると、イベント出店料がトントンで、作成時間や接客時間なんてもってのほか、材料費もきびしいかもしれないです。

実際、初回のイベント出店はコロナちょっと前の目黒駅前のイベントで、知り合いがきてくれてかってくれたのみで、
イベント出店料がやっとだった記憶です。

最近でも、イベント出店料より売り上げが低かった経験もあります。

"元をとる・稼ぐ" と思うと辛くなるけど、"趣味・経験" と割り切って出費したら続けられるかも、と発想を転換して運営しています。

そう、趣味をするのに、"(お金の)元がとれるか" は考えないですよね?そのノリとおなじですね。

例えば、趣味(釣りでもキャンプでもライブでも)に、かける体力や時間、そして、遠征費など、実生活に影響しない範囲で時間とお金の使い道は考えても、お金のリターンは考えないのと一緒で、"この体験をするための費用"と割り切っています。

もちろん、継続するためや経験的にも、売りたい!は変わらないのですが、それとこれは別です。
(実際、販売している商品は、決して薄利多売なお値段ではないです)

具体的な数字の話は、12/7の記事で書く予定ですので、お楽しみに。

「セーフティネット」という感覚

"稼ぐ・儲ける"でないなら、どういうマインドで続けているの?という疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。

そう、私がハンドメイドを続けてるのは、編み物が「気持ちのセーフティネット」になってるからが大きいかもしれません。

本業や会社員勤めの肩書以外のなにか…。"これがある" "これができる"という感覚は間違いなく気持ちを楽にしてくれました。

実際、プロジェクトが炎上して、深夜帰宅が続いた時期に、気持ちが張り詰めていた時に救ってくれたのは「編み物」だったかもしれません。

寝ても覚めても考えるのは仕事のことばかりでしたが、寝る前に30分だけ、編み物をするようにしたところ、寝る時間を増やすより、朝スッキリした状態で仕事に行くことができたのです。

編み物は、慣れてしまえば("編み図"という設計図を頭の中にある程度イメージできている状態であれば)手を動かすだけで何か考えたりしなくてよく、不思議と、仕事のことが頭から消えました。また、手を動かしながらがいいのか、ふと違う仕事のアプローチを思いついたりもしました。

※編み物のいいところは、手と、思考や音・視覚が別で "ながらXXXX"ができるところ。私のお気に入りは、好きなゲーム配信を見ながらの編み物の時間です。

"たった30分"の時間があるだけで、うだうだ考えていた頭がスッキリし、思考がスッキリとして、翌日はほんの少しだけ気持ちよく仕事に向かうことができました。

仕事がしんどいとき、プロジェクトが炎上しているとき。そういうときに「編み物」という逃げ場があるのは救いだったと思います。

"逃げ場"というとちょっと言葉がよくないかもですが、本業とはまったく別の軸で「自分にはこれができる」と思えることが、自信や心の余裕を作ってくれました。

また、編み物の30分は、小さなものなら作り切れて達成感を感じられるのも、私には良かったポイントです。

作ったものが誰かの手に渡る喜び

もう一つ、「編み物」を続けている理由があります。

ネットショップやイベントで販売をしていると、購入者の方からのレビューをいただけることがあります。

「まさかクリスマスに間に合うとは思ってなかったので、本当にありがとうございます」
「お散歩用にケープが欲しく、一年を通して着れそうなベージュにしました。サイズもぴったりです」

などなど。

実際に自分が作ったものが、喜んでくれる人の手に届き、フィードバックをもらえる体験は、システムエンジニアとは違った感覚で、なにものにも得難い体験です。

システム開発は、完成するまでに時間がかかり、完成してもすぐにはフィードバックはもらえません。(ともすれば、フィードバックがない=問題なく動いている になる場合もある)

ユーザーの手元に届くまでにいくつもの工程や担当チームがあり、自分の実績が、どこでどう使われているのかは実感しにくいです。

直接フィードバックをもらえるという「手触り」が、システム開発ではなかなか体験しずらいものでした。

100均で毛糸を買ってきた女の子

最後に、「編み物」を続けていて忘れられない・経験しがたい話を一つしたいと思います。

かぼちゃの編みぐるみ
ワークショップで編めるかぼちゃの編みぐるみ

イベント出展で簡易ワークショップをやっていたときのことです。

私のワークショップは、あらかじめ編んでおいたパーツを選んで組み合わせるだけの簡単なもので、編み物の経験がなくても参加できるように工夫していました。

ワークショップに参加した小学生(小4)の女の子が「私にも編めるか」と聞いてきたのです。

色々と話を聞いてみると、編み物はしたことないとのこと。正直、イベント中は忙しいのですが、その気持ちに答えたい!と思いました。

「時間があるなら、近くの100均で毛糸とかぎ針を買ってきたら、教えてあげるよ」

といったところ、本当に買ってもどってきたので、初心者用の動画サイトや編み方のイメージ図をスマホに出しをみせながら、編み方を教えることにしました。

そこから約2時間。かぼちゃのあみぐるみを、一から編み上げて完成させました!

実は、横から見ていて、目を飛ばしていたり、多少の間違いがあるのは気づいていました。

でも、「難しい」と思わせるより「やり切る」方が大事と思い、注意はせず見守りました。
どうしても、後からリカバリーが難しそうな間違いが続いた場合や、集中力が途切れたな、と思ったら「少し貸してね」とリカバリーを施しながら手本を見せて、最後まで編み終えるのを見守りました。

編み上がったとき、には日が落ちて暗かったのですが、喜んでくれました。

イベント中で忙しかったけど、編み物を学ぶ場所(机の端)と椅子だけは用意してあげて本当に良かったな、と思います。

その後、楽しいと思ってもらえたようで、お家でもう一度編んでくれたかぼちゃのあみぐるみの写真を送ってくれたのも良い思い出です。

おわりに

気づいたら続いていた編み物が、システムエンジニアと別の「軸」になっていました。

稼ぐための副業ではない。でも、だからこそ続けられているのだとも思います。

自己紹介記事で書いた「できないことを、できるようにならなくてもいい」という話と、根っこは同じです。苦手なことを無理に克服しなくても、自分が楽しいと思っていることや、執着せず提供できることを大事にしていけば、それが"別の軸"になると思っています。


明日は「慎重さ32位のSEが18年生き残れた理由——ストレングスファインダー16年の変化」を書きます。

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