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Claude × Obsidian × Zettelkastenでテックブログ執筆ワークフローの脱構築をする

2025/03/22に公開
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これはなに

こんばんは、もりたです。
先日、3.5万文字くらいの記事群[1]を書き終えてホッとしています。今回はそのゆるゆるとした気持ちでテックブログ執筆環境と作業フローを作り直してみました。[2]
具体的にはClaude × Obsidian × Zettelkastenでの作業環境を作ります。また大きな気づきとしてワークフロー設計の大切さを感じているので、その点についてもまとめられればと考えています。

構成と何をやるか

構成

  • 各ツールの紹介
    • Claude
    • Obsidian
    • Zettelkasten
    • Zenn
    • Github
  • 作成した環境とワークフロー
    • 実現したいもの
    • 環境
    • ワークフロー
  • 感想とNA
    • 全体
    • Claude
    • Obsidian
    • Zettelkasten
    • NA
  • おわりに

なにをやるのか?

  • 当初の目的はAIを用いて技術記事を書けるようにしたいと考えていた
    • AIの作る記事は良い意味で安定している
      • 最近少しずつAIが書いたと思われる記事を読むことが増えてきた
      • 特徴の良い面として、文章に特徴が少なくて読みやすい、構成が綺麗というのがある
        • このレベルで書けるならぜひAIを使いたいと思った。記事を書くときにだいぶ時間を使っているし、これを削減したい
    • 本業に活かす前に自分の慣れた分野でAIを試してみたい
      • 自分が慣れている文字を書くという分野でAIに慣れておけば、本業のエンジニアリングでもAIの導入を進められそう
    • 執筆環境で試してみたいツールが色々あった
      • Claude, Obsidian, Zettelkastenの組み合わせを見聞きしていて、全てのツールがちょっとずつ気になっていた
      • ObsidianはNotionの代替として
      • Claude, Zettelkastenは妻が使ってた/実践してた
  • 調査を進めるうちに、これは単なる作業環境の再構築ではなく、記事作成ワークフローの脱構築だと気づいた
    • 単にツールを入れるだけだとハマらない
      • Claudeは頼もしいが、自分一人で調べたり考えたりしたほうが納得感があるなと感じた
      • 同時にこれは自分が使いこなせてないだけで、うまくプロンプトを作ってワークフローとして組み込めばうまくいきそうと思った
    • これまでのワークフローを言語化し、そこにどう新規のツールを組み込むのかを考えるとうまくいきそう
      • AL導入って要するに業務改革なので、新しいツールを前提にしたワークフロー設計が大切っぽい
      • DXやる時にデジタルツールを前提に業務を組む感じで、AIを前提に業務を組み直す
  • ということで、やりたいのは下記
    • やりたい作業の定義
    • 作業環境の構築
    • ワークフロー設計

各ツールの紹介

まずは採用したツールを雑にご紹介します。

Claude

Anthropic社のAIツール。プログラミングをやらせるならClaudeがいいみたいな話をインターネットで見聞きしていたのと、ライティングをやってる妻曰くClaudeが一番良いとのことだったので採用しました。また、ChatGPTも候補にはあったんですが、良く嘘をつくイメージがあったので避けています。
https://claude.ai

Obsidian

markdownエディタです。
これまではメモツールとしてNotionを使っていました。ただAIツールを導入するにあたって、ローカルにテキストファイルをそのまま保存できないというのがネックになっており、オフライン利用を前提としているObsidianを導入しました。
このツールの強みはメモ同士をリンクできることで、後述するZettelkastenという知識整理術の文脈で触れられることがあります。
https://obsidian.md/ [3]

Zettelkasten

これはツールではなく知識をまとめる方法論みたいなやつです。ドイツ出身の論文をたくさん出した社会学者がやっていたメモの取り方を元にしており、わりと最近[4]日本に紹介されて静かなブームが訪れています。小さなメモを大量に取ること、自分の言葉で説明すること、リンクを作成することなどが特徴です。

メモの種類はいくつかあり、

  • fleetings: 走り書きのメモ。サッとメモってあとでpermanentsにまとめ直す。
  • literatures: 文献メモ。どんな文献を読んだのかの書誌情報。他のメモから参照される。
  • permanents: 永続メモ。ペライチで学んだことをまとめていく。これが溜まっていくと自然と関連したものがまとまり、簡単にまとまった文章がかけるらしい。

なおこれらの詳しい解説はこの記事の目的ではありません。また、もりたもZettelkastenの手法を完璧に採用するつもりはないので、この記事での扱いを本物のZettelkastenだとは思わないでください(予防線)。本物が知りたい人は以下の書籍がおすすめです[5]
https://www.amazon.co.jp/dp/4296121677

Zenn CLI

記事はZennに載せるので、Zenn。Zenn CLIを使おり、Github連携もさせています。

Github

Githubです。説明不要だと思うので省略します。

作成した環境とワークフロー

やりたいこと

Zennに上げられる技術ブログの作成。アイデア出しから公開までをワークフローの範囲にする。
まずは現行のワークフローがどんなステップを踏んでいるのか、それぞれのステップがどんな役割なのかをまとめ、新しいツールを前提に組み直しました。

作業環境のご紹介

As-Is

現行の作業環境はこちら。

シンプルで良い

To-Be

作り直した作業環境はこちら。

ごちゃごちゃしてるなと思うが、まあやっていくうちに洗練されそう

ワークフローのご紹介

As-Is

現行のワークフローを改めて言語化したところ、こんな感じでやっていました。

各ステップについてそれぞれ解説します。

  • ネタ出し
    • 書きたいネタを思いついたら、Notionの記事ネタDatabaseにページを追加する
      • 気になったら追加してOK。本当に書くかどうかは確定していない
  • 書く対象を決める
    • 記事ネタ一覧の中で本当に書きたいものがあれば選ぶ
    • 対象記事ネタのページ配下に調査ページを追加する
    • 調査ページをルートページとし、以降の調査で作成したメモをどんどん追加する
  • 調査
    • 以下ふたつのステップは満足するまで繰り返す
      • 「先行文献を読む」
      • 「気持ちを整理する」
  • 「先行文献を読む」
    • 調査メモを追加し、読んだ感想を書く
    • 文献の中身を引用しながら細かくツッコミを入れていく。「何言ってんのかわからん」とか「おもしろ」とか雑に書いていく
  • 「気持ちを整理する」
    • 先行文献を読んでいくとモヤモヤした気持ちになっていくので、気持ちを整理する。
    • ここでは本当に色々な作業をやっている。具体的には下記
      • 読んだ感想の吐き出し(わかんね〜とかここがおもしれ〜とか)
      • テーマ・調査範囲設定
      • パンチラインの設定
      • 不明点の洗い出し
      • 根拠となる文献のメモ
      • 次に読みたい文献の検索
  • 構成
    • 記事ネタページ本体に作成したい記事の章構成を立てる
    • 調査ループの「気持ちを整理する」でどんな記事にしたいのかは大体まとめてしまっているので、ここは一瞬で終わる
  • 文章作成
    • 構成に則って箇条書きで書いたのち、読みやすく直す
  • 校正
    • 印刷して読み、誤字脱字や変な表現を直す
  • 画像、参考文献などを補足する
  • 公開
  • 公開後のやり取り

To-Be

というわけでTo-Beフローです。ここでは新しいツールを導入することで、既存のフローが持つ価値を損なわず(もしくは別工程で担保して)、より良い価値を付け加えたいと考えています。
また、To-Beフローではふたつのやり方をとることが可能だと思っています。ひとつ目はこれまで通り集中的に記事を書くもの、ふたつ目は散発的な文献収集とAIを駆使した記事作成です。

①集中的に書くパターン

このパターンはこれまでの記事執筆とほとんど同じですが、一部フローにAIを噛ませることが可能です。
以下では変更のあったフローにのみコメントをつけています。

  • 調査
    • Zettelkastenのやり方を踏襲しつつ、基本的にはこれまでと同じやり方をとる。ここは省力化したいポイントではあるが、自分が理解する過程なので時間をかけるべきポイントではある
    • 調査の初期段階でClaudeを利用し、概要を掴むのに利用できそう
  • 構成
    • ここは一瞬でできる想定だが、Claudeにレビューを依頼できそう
  • 文章作成、校正
    • 箇条書きから本文を作成するところは依頼できそう
  • 画像作成
    • 手書きの図解をいい感じにしてくれるツールがあると良さそう。これはClaudeにこだわらずに探してみたい

②散発的に書くパターン

散発的に書くパターンは新しいワークフローです。
このフローはZettelkastenの狙いとClaudeの強みを活かしたフローになっています。

  • ネタ出し〜調査
    • 散発的にメモをとる
      • fleetingsにメモをどんどん入れていく
        • 気になったこと、単なる日記、読んだ文献の感想、書いている記事の思考整理、次に読みたい文献など全ての雑なメモを入れる
        • fleetingsメモのテンプレにプロパティを用意し、NAに未定とかって入れておく。これでNAは管理する
      • literaturesには読んだ文献情報のみ入れる
        • これはfleetingsのリンクを貼るため
      • permanentsは真理を書いていく
        • fleetingsから抜き出すなどしてまとめる。多分ここで記事を書くことにもなりそう
    • タグでの理解
      • permanentsメモにタグを設定しておくと、ジャンルごとにメモの溜まり具合がわかる。たくさんたまってきたな、というタグがあればそのタグを元に記事を書くことを検討する
      • Obsidianはメモ同士の関連をグラフビューで見れるが、タグ情報をグラフビューで見ることでジャンルごとの関心度合いが把握しやすい
  • テーマ設定
    • Claudeを利用したテーマ設定
      • これまではテーマ設定のステップがありませんでしたが、散発的に書いた場合は改めてここで記事の枠組みを決めるフェーズが入る
      • Claudeは大量の文章データを処理することが得意。対象タグのテキストを全てClaudeに食わせて、適切なテーマ設定まで持っていくことができそう
  • 構成
    • テーマ設定を適切に行えたら、サクッと構成を立て、Claudeによるレビューを入れる
  • 本文作成〜公開
    • ここはClaudeに書いて貰えばよろしい
    • 画像作成は手で書いたのち、清書してもらう

感想とNA

全体

まず記事作成のフローを再構築すること自体が面白いと感じました。
As-Isフローを言語化し、Claudeというツールの存在を前提に組み直す過程が面白かったです。DXって多分こういうことをやるんだろうと思うのですが、ステークホルダーがいないと面白いところしかなくていいなと思いました。[6]
また同時に生成AIへの疑念の多くは適切なワークフロー設計がされていないことから生まれていそうとも感じています。
次のClaudeの感想でも少し書いていますが、破壊的なツールを入れるときはその存在を前提にワークフローを組み直さないとそのツールの良さが十分に発揮されません。どこにどのように生成AIを組み込めるのかを考え、その組み込み方を改善し続けていくことでより良いパートナーとして協業することができるでしょう。

Claude

割と致命的な感想なんですが、Claudeが入ることでどの作業を改善できるのかはまだ分かっていません。
今回のこのフローを作成するにあたって、調査の壁打ち相手をやってもらっています。その中でワークフロー設計という概念を知り、それがこの記事の中心的なテーマにはなっているので有用なツールではあると思います。むしろ、上でまとめた通りワークフロー設計をするときにこれまでのやり方(主に調査まわり)へのこだわりが強すぎて気持ちの面でうまく移行できていないのだと推測しています。
Claudeが入って効果を発揮する箇所はいくつかありそうなので、今後も試していきたいと思いました。特に初めて取り組むテーマに対しての調査はかなり有用だと感じます。むしろClaudeをどう活かすか? という問題を調査してもらうでもいいかもしれませんね。

Obsidian

Obsidianが一番心配だったんですが、うまく使えています。
使い始めるまではNotionで困っている点がテキストファイルとして扱いずらい点以外なく、Obsidianで生まれるデメリットの方が大きいのではないかと思っていました。ただ使ってみるとNotionでできることはObsidianで割とできそうだし、ページの階層構造を使わずタグで管理するという考え方は面白いなと思っています。
不満があるとすればモバイル環境が弱いことです。同期するために$5/月の出費があったり、プラグインが対応していなかったりするのが辛いなと感じます。
また、把握できていない機能が色々あるので今後は楽しく使っていきたいです。

Zettelkasten

これもよかったです。自分の言葉でまとめ直すなどの考え方は自分が今までやってきていたものと近く、ハードルを感じずに取り入れることができました。
今後は気まぐれに書いた文章を集めて偶発的な記事が出来上がることに期待しています。

NA

Obsidianの使い方をマスターしていきたいのと、Claudeとの協業案をいくつかやってみようと考えています。

おわりに

自分のやっている作業フローを再設計するのはDXをやっているみたいで楽しかったです。仕事の業務設計もこれくらい簡単にできたらいいのになと思いました。やっぱステークホルダーが多いと見えているものも違って大変だよね〜。

参考文献

脚注
  1. MySQLのDDLを安全に使うための全て, MySQLのオンラインDDL(INPLACE)がどう動くか理解するのことです ↩︎

  2. なおこの記事はだいたい手で書いています(笑)。調査のところだけちょっと手伝ってもらった。 ↩︎

  3. ドメインがmdになってんのかっこいいな... ↩︎

  4. 2022年? ↩︎

  5. 近所の啓文堂では面陳されていたのでよく売れてるんだろうと思います ↩︎

  6. まあつまり辛いのは気持ちを全てわかっているわけではないステークホルダーの要求を想像して取りまとめる作業なんだろうなあ、など ↩︎

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Discussion

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