Vercel の料金形態と内容についてまとめた - 2020冬
はじめに
この記事は #EveOneZenn (Everyday One Zenn) vol.14 です。
Next.js などを手掛ける Vercel Inc.(旧 Zeit )が運営しているサービス、Vercel(旧 Zeit Now)の料金形態とその内容についてまとめます。
なお、掲載内容は 2020/12/08 時点のものです。
(過去に別所で公開していた記事の加筆版です)
Note: 2020/12/08 19:51 - Hobby プランは個人的かつ非営利目的な目的でのみ利用できる旨を追記
Note: 2021/02/06 - 禁止されている用途について追記
Note: 2021/02/11 - Hobby プランにおける広告を掲載した、個人ブログでの利用について追記
Note: 2022/02/26 - Hobby プランにおける広告掲載の利用不可について追記
前回:
Vercel について
Vercel は静的サイトとサーバレス機能のホスティングを提供するクラウドプラットフォームです。
JAMStack な Web サイトやサービスをホストしてアプリケーションを簡単にデプロイできます。
スケーリングやサーバーの監視は Vercel が行うため、開発者は Vercel へデプロイするだけでアプリケーションを公開・運用できます。
Vercel へデプロイできるアプリケーションのサンプルは GitHub のリポジトリに各種フレームワーク・ライブラリを使用した例が公開されています。
料金プラン
Vercel の料金プランには Hobby・Pro・Enterprise の 3 種類があります。
これらのプランは 2020/04/09 のアナウンスで発表されました。
各プランに含まれる機能は次のページで説明されています。
Hobby プラン
料金
無料(従量課金なし)
※個人的かつ非営利な目的でのみの利用に限定
商用利用の定義については Fair Use Policy の Commercial Usage をご確認ください。
広告を掲載した、個人ブログでの利用について
2021/02/08 より「広告を掲載していても、パーソナルな用途であれば問題ない」旨の記載をしておりましたが、規約上誤りであったため修正します。
誤情報を記載してしまい申し訳ございません。
Vercel の利用規約の商用利用に該当する用途について以下の記載があります。
The inclusion of advertisements, including but not limited to online advertising platforms like Google AdSense.
Fair Use Policy – Vercel DocsGoogle AdSenseのようなオンライン広告プラットフォームを含むがこれに限定されない広告を含めること。 (DeepL 翻訳)
そのため、 Hobby プランにて広告掲載を行っている場合は、以下の対処を行う必要があります。
- Vercel Pro プランに変更する
- 広告掲載を取りやめる
- Vercel 以外の商用利用の認められているサービスへ移行する
@smikitky さん、コメントでのご指摘 ありがとうございました。
以前の記載内容
@nyanko さんにコメントにて Hobby プランで運営している個人ブログへの広告掲載が可能かを問い合わせた結果を共有していただきました。
Perfectly possible and allowed. Hobby accounts are for personal use, so you need to respect the limits in the Fair Use Policy.
In case your site receives more traffic, we will ask you to use a Pro account.以下、 DeepL での翻訳:
"完全に可能であり、許可されています。ホビーアカウントは個人利用のためのものですので、フェアユースポリシーの制限を尊重する必要があります。
あなたのサイトがより多くのトラフィックを受信した場合、我々はあなたにProアカウントを使用するようにお願いします。"
Hobby プランでの広告掲載は、個人利用の範疇かつ低負荷な用途であれば許可されているようです
機能
次の機能は Hobby プラン・ Pro プラン・ Enterprise プラン すべてで利用できます。
ただし、一部機能ではプランごとに制限(後述)が設けられています。
- HTTPS 対応のカスタムドメイン
- GitHub・GitLab・BitBucket と連携した継続的デプロイメント
- 高機能なエッジネットワーク
- 無制限の Webサイト と API
- Node.js や Go を使用したサーバレス関数
Pro プラン
料金
メンバーあたり $20/月(14日間の無料トライアルあり)
機能
次の機能は Pro プラン・ Enterprise プランで利用できます。
- 最大 10 人のチームメンバー
- 詳細な請求書設定
- ビルドの並列化(1 スロットにつき $50/月)
- ブランチごとのプレビューデプロイメント($100/月)
- 独自のパスワード保護($150/月)
Enterprise プラン
料金
問い合わせ
機能
- 稼働率 99.99% の SLA
- サーバレス関数のマルチリージョン化
- エンタープライズサポート
- Next.js アプリケーションの監査
各種制限
Vercel の各機能に課された制限です。
ここでは主な制限のみをまとめます。
上限
Vercel ではプランごとにサーバレス関数の数や 1 日あたりのデプロイ回数などに上限が設けられています。
なお、 Next.js の SSG 用のサーバレス関数およびプレビュー用のサーバレス関数は「デプロイごとのサーバレス関数」のカウントから除外されます。
** | Hobby | Pro | Enterprise |
---|---|---|---|
1日あたりのデプロイ回数 | 100 | 300 | カスタム |
デプロイごとのサーバレス関数の数 | 12 | 24 | カスタム |
1ヶ月あたりのサーバレス関数のデプロイ回数 | 160 | 640 | カスタム |
サーバレス関数の実行期間 | 10秒 | 60秒 | 900秒 |
1週間あたりの CLI からのデプロイ回数 | 2,000 | 2,000 | カスタム |
チームごとのメンバー数 | - | 10 | カスタム |
サーバレス関数のスペック
サーバレス関数のスペックはプランごとに異なります。
なお、マルチリージョンの利用は Enterprise プランのみとなります。
** | Hobby | Pro |
---|---|---|
サイズ | 最大50MB | 最大50MB |
メモリ | 最大1,024MB | 最大3,008MB |
同時実行性 | 最大1,000 | 最大1,000 |
ペイロードサイズ | 最大5MB | 最大5MB |
リージョン | -- | -- |
環境変数
環境変数はプロジェクトごとに最大 100 件登録できます。
また、すべての環境変数の名前と値のサイズは最大 4KB までに制限されます。
レート制限
Vercel ではビルドやデプロイ、ドメイン操作などの回数に制限が設けられています。
ここでは、主なレートの制限のみをまとめます。
なお、サーバレス関数の実行については同時実行数が最大 1,000 であること以外に制限は設けられていません。
一部のレート制限は無料分と有料分で制限の内容が異なります。
** | 制限(無料) | 制限(有料) |
---|---|---|
1時間あたりのフックトリガーからのデプロイ回数 | 60 | 3,600 |
1日あたりのビルド回数 | 100 | 3,000 |
1時間あたりのビルド回数 | 32 | 512 |
1日あたりのデプロイ回数 | 100 | 3,000 |
1時間あたりのデプロイ回数 | 100 | 150 |
1日あたりのチーム作成数 | 5 | 25 |
1日あたりのチームメンバーの作成数 | 50 | 150 |
1日あたりのアップロード数 | 5,000 | 40,000 |
禁止されている用途
Vercel の Fair Use Policy では、次の用途での Vercel の使用を禁止しています。
- Proxy や VPN サーバーとしての利用
- 直リンクを目的としたメディアのホスティング
- ウェブスクレイピング
- クリプトマイニング(暗号通貨の採掘)
- 機械学習などの CPU を集中的に使用する API
- 負荷テスト
Fair Use Policy にはほかにも Hobby プラン・Pro プランでの許容される使用量などもまとめられているので、利用前に確認しておくと良いでしょう。
Hobby プランまとめ
Vercel は無料枠である Hobby プランでも、サーバレス関数の数や実行数をあまり気にせずしようできることがわかりました。
Hobby プランを使用するか Pro プランを使用するかの判断は、メンバーが複数人いるかかデプロイの頻度かなと思います。
追記:営利目的の場合は Pro 以上のプランを使用する必要があります。
最後に、 Hobby プランでできることと制限ををまとめます。
機能
- HTTPS 対応のカスタムドメイン
- GitHub・GitLab・BitBucket と連携した継続的デプロイメント
- 高機能なエッジネットワーク
- 無制限の Webサイト と API
- Node.js や Go を使用したサーバレス関数
制限
- サーバレス関数のサイズ:最大 50 MB
- サーバレス関数のメモリ:最大 1,024 MB
- サーバレス関数の同時実行性:最大 1,000
- サーバレス関数が受け取るペイロードサイズ:最大 5 MB
- 1日あたりのビルド数:100
- 1時間あたりのビルド数:32
- 1時間あたりのフックトリガーからのデプロイ回数:60
- 1日あたりのデプロイ数:100
- 1時間あたりのデプロイ数:100
Discussion
まとめてくださってありがとうございます🙏大変参考になりました。
私もvercelを利用してみたいと思っているのですが、hobbyプランで例えば個人ブログを運用するとして、そこに広告を載せるのは「営利目的」にあたるのか、色々調べているのですがなかなかそこに言及している情報が見当たりません。(私の検索力の問題かもしれません)
直接vercelに問い合わせればいい話ではあると思うのですが、、𝖘𝖎𝖒𝖔𝖈𝖍𝖊𝖊さんはどう思われますでしょうか。
参考までにお聞かせいただけますと嬉しいです。
コメントいただきありがとうございます!
私見、ということで良ければ営利目的に含まれると思います。
Vercel も営利企業ですし、検証や学習、OSS活動などの「利益を生まない利用」以外からは収益を得たいと考えるものではないかと考えます。
...というのが私見ですが、実際のところはユースケースによっては容認されるケースもあるかもしれないので問い合わせて確認するのが確実かなと思います!
ご返答いただきましてありがとうございます😊
私もそうかなと思っていたところではありまして、vercelに問い合わせ中です。
返答があり次第、こちらに展開させていただきますね。
vercelのサポートから返答がありました。
ちなみに質問内容は以下のものです。(質問/返答ともに、原文の下にDeepLでの翻訳文を掲載しています)
vercelからの返答↓
予想に反してホビープランで広告を載せるのはOKなようです。
𝖘𝖎𝖒𝖔𝖈𝖍𝖊𝖊さんのおっしゃるように直接確認する事が大切ですね。
共有いただきありがとうございます!
おお、そうなのですね!以外でした。
やっぱりグレーな部分は問い合わせると意外な回答が得られることがありますね...
コメントいただいた内容を、記事本文中に反映しても良いでしょうか?
以下、追記予定の原稿です。
Hobby プラン
料金
アフィリエイトを含む、個人ブログでの利用について
@nyanko さんにコメントにて Hobby プランで運営している個人ブログへの広告掲載が可能かを問い合わせた結果を共有していただきました。
@nyanko さんのコメントより
Hobby プランでの広告掲載は、個人利用の範疇かつ低負荷な用途であれば許可されているようです。
もちろんです!
ご丁寧にありがとうございます!
記事本文に追記しました!ありがとうございました。
ブランチごとのプレビューデプロイメント 100ドルと記載がありますが、
公式には、「Preview Deployment Suffix」と書いてありました
実際に使ってないのでわからないのですが、プレビュー環境のドメイン名などではないのでしょうか?
プレビュー自体もproではお金がかかるのでしょうか?
無料でもプレビューできるので少し疑問に思いました
参考になりそうな記事置いておきます
「Preview Deployment Suffix」
tokio さん
ご指摘いただきありがとうございます!
おっしゃるとおり、ドキュメントの記述を読む感じでは「ブランチごとのプレビューデプロイメント」という感じではなく「プレビューデプロイでのカスタムドメインの使用」のような表現のほうが適切な気がしました。
こちらでもよくドキュメントを確認して表記を改めます。
𝖘𝖎𝖒𝖔𝖈𝖍𝖊𝖊さん
ご返信ありがとうございます
よかったです
英語が苦手でどうなんだろうと思ってたので、とても助かりました。
記事もとても参考になりました
ありがとうございました
現在の Vercel ドキュメント内の Fair Use Policy には、「Hobby アカウントで認められない商用利用の例」として AdSense 広告の利用が明確に挙げられています。
上記のにゃんこさんの投稿と矛盾するので「もしかして最近ルールが変わったんですか」と Vercel サポートに問い合わせたところ、「2021年2月時点でも今でもあらゆる商用利用は等しく禁止だよ、ただし Fair Use Policy ページに禁止事項を具体的に書いたのはつい最近だよ、以前に万一 OK という返答をした Vercel スタッフがいるならそれは何かの間違いだよ」という、ぐうの音も出ない返答を貰いました。ちょっと前までは Vercel 内部でも曖昧な扱いだったのかもしれませんが、ともかく少なくとも今は明白にダメということで間違いなさそうです。
なるほど…!ちょっとそちらの規約まで把握しきれていなかったので、こちらでも確認して記事を更新します!
お知らせいただき、ありがとうごさいます。
こちらで規約を確認し、明確に商用利用として定義されていたため記載を変更しました。
ご指摘ありがとうございました。
私の記憶違いでなければ、商用利用の例がこれだけ具体的に規約に明記されたのは2021年後半のどこかだと思いますし、過去に一旦はサポートがOKと言ったこともあるようですので、ここの人は誰も悪くないような気がしますね…。
いずれにせよ対応ありがとうございました!